神と従者

彩茸

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第一部

見学

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―――休憩しつつ静也さんと圭梧の模擬戦を見ていたのだが・・・何だこれ、動きが
見えねえ。
さっきの模擬戦でかなり手加減されていたのだと実感させられるその戦いに、俺だけ
でなく御鈴も呆然としていた。

「圭梧くん、癖だろうけど夜月抜こうとしない!」

「何で抜いちゃ駄目なんだよ!」

「危ないからだよ!晴樹に怒られるの俺なんだからな?!」

 そんな会話をしながらも攻撃の手を一切緩めない彼らに、格の違いというか・・・
 次元の違いを感じた。
 段々目が慣れてきたのか、少しずつ圭梧と静也さんの太刀筋が見えるようになって
 くる。互いに急所を狙い合いつつも、たまにフェイントを入れる。武器だけでなく
 体全てを使って相手にダメージを与えようと動いている。
 ・・・暫く見ていて、気付いた。静也さんは瞬時に動いて攻撃を躱している・・・
 まるで勘を身体能力で補いながら戦っているような感じなのだが、一方の圭梧は
 静也さんの攻撃が繰り出される少し前に動いて攻撃を躱す・・・まるで状況を判断
 してあらかじめ動いているかのような戦い方をしていた。
 静也さんみたいな戦い方はできないが、圭梧みたいな戦い方ならできるんじゃない
 だろうか・・・なんて考えが浮かんでくる。

「あっ」

 御鈴が声を上げる。それと同時に、戦いは終わりを迎えた。
 静也さんの持っている木刀が、圭梧の喉元に突き付けられる。圭梧の持っていた
 刀は地面に叩き落とされており、圭梧は両手を上げて言った。

「降参・・・」

 静也さんは木刀を下げると、圭梧の刀を拾い上げながら笑みを浮かべる。

「流石晴樹の息子だな、よく見えてる。前戦ったときよりも動きが良くなったんじゃ
 ないか?」

「え、マジで?やったあ!」

 嬉しそうな顔で刀を受け取った圭梧は、お待たせ!と俺を見る。
 俺が立ち上がると、御鈴がボソッと呟いた。

「あ奴、まだを出しておらんかったな。いや、それは圭梧の方もか・・・」

 その言葉に、動きを止める。うっそだろ・・・と思いながら、静也さんと圭梧を
 見る。

「あ、あの、もしかしてお互い本気で戦ってなかったりします・・・?」

 そう聞くと、静也さんと圭梧はキョトンとした顔をして同時に言った。

「そりゃあ、本気出したらどっちも怪我するし」

 互いに手加減してあれかよ。
 うわあ・・・と声を漏らすと、圭梧が言った。

「本気ってあれだろ?互いに殺す気でやるって事だろ?」

「え、あ、えっと・・・うん、そうだよな。ごめん、気にしないでくれ・・・」

 ・・・やっぱり、祓い屋は倫理観がぶっ飛んでいるのかもしれない。
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