17 / 95
第1章 はじまりの街 編
016 なかよし3人組 <04/03(水)AM 07:26>
しおりを挟むはじまりの街[スパデズ]西口方面から、北の『森の端』で素材収集をはじめ、北口から真北にのびている道までやって来たところで、そのまま道なりに はじまりの街[スパデズ]北口まで歩いて帰った。
残念ながら北の森では、宝箱なども不確定アイテムも入手出来なかった。まぁ昨日散々拾いまくったし、やはり『ランダムPOP宝箱』は『辺境』や『秘境』みたいな場所に多いものだ。『青銅の長剣』が入手出来た幸運に感謝だ。
『イルカモネ山猫』LV5にも出会わなかった。まぁLVだけで言えば俺はLV6だから、もうそこまで恐れるほどでは…あるな。『痛み』について、まだわかっていないのだ。今後のためにもそろそろ『ダメージを受けてみなければ』ならないだろう。
「………」とはいうものの、とにもかくにもまずは朝飯にしよう。TJOは開拓精神を評価する。それは理解しているのだが、何故か俺は「ミスターチキン」にやって来ていた。TJOは安定と停滞とマンネリを嫌う。わかってはいるのだ。
「おっさん、ササミカツ丼」
「ササミカツ丼だな、500Gだ」
500Gをテーブルに置くと、前回と同じ量産型おっさんが「6」と書かれた木製の番号札を渡してくる。おっさんは手元に置いてある番号札を、適当に取り上げて客に渡しているだけだ。「朝早くから揚げ物はちょっと…」なのか客は俺達だけだった。
「………」おっさんが何番の札を渡してくるか? でその日の運勢を占う『おっさん占い』とかもアリかもしれない。そうなると「3」番は『鉄の長剣』を拾ったから『大吉』だな。
「それを持って適当に空いてる席で待っててくれ、おい、ササミカツ丼1丁」
「あいよ」
厨房から量産型おばちゃんらしき声が聞こえる。
今日も店の奥のゲーム時代に≪いつも座っていた席≫に座ると、ミケネコがヒザの上に跳び乗って丸まった。重ねてあるコップを1つ取り、隣の水差しで水を注いでぐっと飲む。
う~ん、今朝の宿屋の裏の井戸水と同じ…か? 飲料水は共通のアイテム扱い? なのだろうか。しかし俺は違いの≪わからない≫男、利き水とかは出来ない。なんか旨い、なんか美味しい、好みに合わない、美味しくない…程度の舌だ。
そうこうしていると量産型おっさんがササミカツ丼を持ってやってきた。「6」と書かれた木製の番号札を、量産型おっさんに渡しササミカツ丼を受け取る。そしてやってきたササミカツ丼をさっそく頂く。
陶器らしきフタを開けると、卵と揚げ物の匂いがぷ~んと漂ってくる。いい匂いだ。そう言えば昨日の夕方、干し肉を一切れ食べたきりだったか? やはり空腹では無いのだが、この匂いを嗅いではたまらない、我慢出来ずにササミカツ丼にガッついた。
…今朝も存分にササミカツ丼を堪能し、ミスターチキン[スパデズ]店を後にする。
別段買うべきものなども無いので、宿屋裏のミスターチキンから、まっすぐ北口に向かう途中で、クリスタルの前を通過する際さっと触れて、LVが上がっていない事を確認しつつ、そのまま北口前の広場に着いた。
視界の右下の方へ意識を向けると<04/03(水)AM 08:21>と表示されている。時間的にも「これから探索に出よう」というプレイヤーやパーティ達で広場前は活気にあふれていた。
今日も広場の片隅のベンチが空いていたのでそこに座り、『インベントリ』からバリ好きーを取り出す。平然を装っているつもり? のミケネコさんだが、目の前でうろうろと落ち着きが無い。袋に手を入れ掌に小盛りにして、バリ好きーをミケネコの前に差し出す。
「宝箱の発見、大儀であった」
「やった♪」
カリカリポリポリ、カリカリポリポリ…… さっそくミケネコがバリ好きーを噛み砕いていく。うん、俺の話なんか聞いちゃいないな。
俺は掌の上のバリ好きーを、無心に食べているミケネコを見てから『北口前の広場』に視線を移す。朝9時前とあってパーティメンバーの募集が多い。
「………」そう言えば、これもTJOの良い所の1つでもある。
この『広場』が『各出口前にある』おかげで、クリスタル前ではなく出口前広場で募集をする。そのため希望するパーティが探しやすいのだ。
これがクリスタル前だったら、『バルーンラビット狩り』とか、『シマブタ狩り』とかもたくさん混ざって、「大量の募集がある割に希望するパーティが探しづらい」、「LVUPチェックの邪魔」、…という状況になっただろうが、各出口前の広場に分散している事で、『その出口方面に関連する募集』ばかりになって探しやすいのである。
特に『大陸に向かう出発口』でもある『西口前』は、高LV者の護衛を募集していたり、6人パーティを組んで、次の街まで強行突破しよう…といった募集が目立つ。
ちなみにクリスタル前では『商売』や『交換希望』の募集などが盛んに行われている。
「イルカモネ山猫狩り一緒に行きませんか?」
「山の洞窟行きます。LV7以上の方~@2」
「トシマ山猫行きませんか~1回遭遇したら解散です@3」
『@〇』というのは、「あと〇人」の意味だ。TJOでは『パーティは6人まで』である。
「@」は「アットマーク」という。それでアット2→あと2→あと2人…ネトゲ用語? なのかな。つまり『@2』というのは「今4人居るのであと2人空きがあります。どうですか?」…という事だ。
「山の洞窟行きます。回復出来る方〔※1〕お願いします」
「………」お? これは「渡りに船」…というやつか?
今後の予定は昨晩や今朝と同じ事をしながら、『イルカモネ山猫に攻撃されてみる』つもりだったが、はっきり言って素材収集も山猫ズとの遭遇も、もはや『ボーナス経験値が得られない』ので美味しく無い。これがTJOの初回ボーナスの罠なのだ。しょせんは『給料の前借り』なのである。先に貰っておいて、その後の、≪このタダ働き感≫たるや。
しかし[山の洞窟]について行けばリスクが軽減でき、新たな土地、新たな敵に遭遇する事が出来る。TJOは挑戦を、開拓を求めている。安定と停滞とマンネリは悪なのだ。しかし俺には色々と制限がある、まずは話をしてみなければならないだろう。
ん~? 『ささやき〔※2〕』って、どうすればいいんだ? ゲーム時代は 会話前にw、wisを付けるとか、チャットコマンドで指定出来たのだが。…ええい、迷ったらやってみる。ささやく、あのプレイヤーにささやく……
(ユウコへささやき)「すみません、パーティ組めないけどいいですか? 回復は出来ます」
お? 先ほどのプレイヤーがキョロキョロしている。通じたかな?
(ユウコからのささやき)「えっと…これでいい、の、かな? 回復してもらえれば~」
(ユウコへささやき)「回復は大丈夫だと思います。あぁベンチで猫にエサやってる者です」
先ほどのプレイヤーが、辺りを見回してから、こちらに気付いた様だ。少し頭をさげて会釈する。
(ユウコからのささやき)「あっわかりました」
(ユウコへささやき)「それで条件なのですが、こちらは『回復をするだけ』で。ドロップは全てそちらの方で分けて下さい」
(ユウコからのささやき)「えっ! いいんですか?」
(ユウコへささやき)「こちらも回復させてもらえれば経験値が入りますし、[山の洞窟]の見学がしてみたいだけなので」
(ユウコからのささやき)「えっと、ちょっと他のメンバーの意見を聞いてみますので、待っててください」
(ユウコへささやき)「はい、決まったら また声をかけて下さい」
先ほどのプレイヤーがどこかへ向かって歩いていった。メンバーと相談するのだろう。
掌の上のバリ好きーが無くなってからも、俺の掌をしばらく舐めていたミケネコさんは、いつもの様に顔を前足で洗い、その前足を舐めて毛づくろいをはじめている。うん、猫っぽい。
…しばらくするとユウコさんと、メンバーらしき2人がやってきた。
「『みならい戦士』です。よろしくお願いします」
「こちらこそお願いします。『みならい僧侶』です」
「『みならい魔法使~い』。回復よろしく~」
「……『みならい斥候』。よろしく」
他の2人とも自己紹介を交わす。『みならい戦士』LV7、『みならい魔法使い』LV7、『みならい斥候』LV6、そして俺『みならい僧侶』LV6で、ちょうど『基本4職が揃った』かたちだ。
TJOではこういう場合は『自分の職業』と、特殊な職の場合は簡単に『出来る事』を紹介する事が多い。最初はそうでも無いが「1000職ある」という≪触れ込み≫なので、後半はしばしば「相手が”何を出来る職なのか?」…わからなくなるからだ。また俺の様に普段は『偽装』している場合もある。…まぁ本当の職も『みならい僧侶』なのだが。
ちなみに俺達の『プレイヤー表示』はどうなってるかというと…
『LV7 ユウコ みならい戦士』、『LV7 ツカサ みならい魔法使い』、『LV6 シノブ みならい斥候』、そして俺が『マサヨシ みならい僧侶』、…という感じだ。
3人ともおそらく『初期状態』なのだろう。
「それで言い忘れていたのですが、宝箱のアイテムは最初3個は、そちらで分けてもらって、4個目は俺で、また次の3個はそちら…という形でどうですか?
『宝箱が計3個だと俺は無し』で、『計7個見つかると、そちらが6個で俺は1つ』になりますね…そちらに損は無いかと思いますが」
「え? いいんですか?」
「え~、なんかぁ、逆に怪し~」
「……変」
3人の反応は色々だ。
「あくまで[山の洞窟]の見学が目的なので、基本俺は経験値を稼がせてもらえれば」
「えっと、そちらの条件をまとめると……『パーティは組まない』、『回復するだけ』、『ドロップは全ていらない』、『宝箱は4個目ごと』…」
「えぇ、勝手に『辻ヒーラー』が付いてきてる…ぐらいの感覚で」
「こちらは願ってもないですが…マドちゃん、シノちゃん、どうする?」
「ん~? まぁ損はしないし~、いいよ~」
「……いい」
どうやら交渉は成立したようだ。視界の右下の方へ意識を向けると<04/03(水)AM 09:08>と表示されていた。
「………」さて実の所、俺が無謀な北の森の探索を続けていたのは、『挑戦による経験値獲得』の他にも理由がある。はじまりの街[スパデズ]周辺で、『イルカモネ山猫』LV5(レアPOPの『トシマ山猫』LV8を除く)が、唯一の『アクティブモンスター』という事は、逆に言うと攻撃を仕掛けない限り、『イルカモネ山猫』以外とは戦闘にならないのだ。
俺はパーティを組む気も、攻撃を仕掛けるつもりも無いので、その俺が「攻撃を受けてみる」には、その唯一の『アクティブモンスター』である、『イルカモネ山猫に襲いかかってきてもらう』必要があったのだ。…ただ、それで昨日は危うく死ぬところだった様なのだが。
『トシマ山猫』LV8は、『レアPOP』で『経験値も高く』、『ドロップも割高で売れる』…ので、普通はパーティを組んだ者達に集中的に狙われていて、なんとなく森付近をうろついて、お目にかかれる様な相手では無いのだが…
(まぁお目にかかってはないけど…どこに居たのだろう?)
ともかく3人についていく事でリスクは分散され、初挑戦の[山の洞窟]で、モンスターとの初遭遇ボーナスも期待でき、初ダメージを食らってみる事も期待? できる。回復で経験値と治癒回数稼ぎも出来るだろう。良い事づくめだ。
――それにだ。俺は戦闘しないので、倒した敵のドロップの権利を主張するのも「なんだかなぁ」だし、宝箱にしても『こちらが最悪になるパターン』を示してみただけで、4つ出たら4個、つまり『1人1個ずつ』だ。それで端数の宝箱は通常ジャンケン等になるのだが、俺は面倒なのでいつもパスしていた。
ようするに『この条件』で、俺にも損など全く無かったのである。
---------------------------------------------------------------------------
LV:6(非公開)
職業:みならい僧侶(偽装公開)(みならい僧侶)
サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)
所持金:525G
武器:なし
防具:布の服
所持品:8/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×9、バリ好きー(お得用)75%、鉄の長剣、樽(中)100%、コップ(木)、サクランボ×1、青銅の長剣
〔※1〕初期選択率が、戦士40%、魔法使い30%、斥候20%、僧侶10%と偏っているTJOにおいて、回復の出来る僧侶系の需要と供給はつりあっていない。
「自分ではやりたくない」、だが「パーティには回復役がほしい」。普段のちょっとした回復なら、聖騎士やアイテム等でカバーできるが、難敵やダンジョン等に挑むには辛い。
そのため僧侶系はそういった場合には『臨時の回復役』として誘われ、それなりに信用されたヒーラーは何度もお呼びがかかる。
〔※2〕TJOにおいて、ささやき、耳打ち、ウィス(WIS)、ウィスパー(whisper)とは、1対1での会話である。ただしこれは他人には聞こえない『秘密チャット』で、周囲からは何もしていないように見える。念話を想像してみてもらえるとイメージしやすいだろう。
ささやき、耳打ちとはいうものの『距離は無限』で、ログインしている相手ならどこに居ても会話出来る。
ちなみにパーティチャットなども、そのメンバー内でしか聞こえない一種の秘密チャットである。こちらも距離は無限で、ログインしている相手ならどこに居ても会話出来る。秘密チャットであるので陰口にもなりかねなず、また聞こえない者には疎外感を抱かせるので、第三者が居る状態で使用する場合は、その点にも配慮した方が良い。
補足として、これらは相手にブラックリスト(迷惑プレイヤー)登録されていると出来ない。
「ご主人さま、うはうは~?」
「いや、『ノンハーレム』らしいぞ」
「のんはーれむ~?」
「誠に遺憾であります」
「ん~? 泣いてる~?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる