サウザンド・ジョブ・オンライン ~あるみならい僧侶の話~

アヤマチ☆ユキ

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第2章 出会いの街 編

062 残された3つの”夢” <04/05(金)PM 02:27>

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 ※※※ 注意 ※※※

 ただいま [夢の洞窟] 中です。


 大量だったり、黒かったり、テカってたり…そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。

 [夢の洞窟]終了まで『目印』として、『無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこう』と思います。よろしければ参考にして下さい。

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 出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、『最初の小部屋』で宝箱を2つ、『次の小部屋』で更に2つの宝箱を発見し、『G百足』LV18の急襲を受けるも撃退し、合計4つのアイテムを入手した。
 小部屋を出て北(↑)へと進んだ先のT字路を東(→)に進んだ俺達は、その『中部屋』の中に、さらに3つもの宝箱を発見し、今回の探索の成功を予感する。
 そして宝箱の回収前に『中部屋』の中に居た、大量の『オイシイ』モンスター『Gカマド』LV16を、『条件』を満たした『狂戦士』…ケイ1人の『無双』により一掃し、ドロップを回収したのだった。


 『Gカマド』LV16のレアドロップである、『鉄のブーツ』が3つもドロップしていたため、≪1人1つずつ≫という事にして、それぞれ入手した俺達は、いよいよ”お楽しみ”の3つの宝箱を調べる事になった。
 今回もヒイラギは≪右隅の方の宝箱≫から取りかかるようだ。ケイは『中部屋』の出口の方を警戒、俺は回復の用意をしながら見守る。

「さてっと …分析:罠[トラップアナライズ]」
 ヒイラギがスキルを使用し、宝箱の上面部から下底部に向けて、お馴染みの『光る板状のモノ』がス~っと降りていく。

「罠は『スプリング』で、罠LVは30… だな」

 「………」『スプリング』、春。「スプリング・ハズ・カム」…春がやって来た。「いやぁすっかり『春』ですねぇ」 …では無く、鉄、鋼製の細い棒? を螺旋らせん状に巻いたモノ。『バネ』である、ビヨヨ~ン。

 この宝箱を開けたり、トラップの解除に失敗したりすると、バネの先に取り付けられた『岩』や『鉄球』などが、前方に向かって勢い良く飛び出してくる。ようするに『ビックリ箱』なのだが、この罠は”おまけ”で≪別のバネ≫の力によって、勢い良く『フタも開く』のである。

 通常のトラップは宝箱の『前面、前方』に対して被害を及ぼすモノが多い。
 だから「宝箱の背後にいれば安全、背後から開ければ安全」などと考えていると、バネの力によって勢い良くフタが開き、背後に居るプレイヤーにも直撃する。
 当然≪フタの軌道上≫であれば同様なので、何を考えてか知らないが、宝箱の上部を覗きこんだりしていても直撃する。

 このトラップも、≪識別していない≫場合は、『不意打ち』補正でクリティカルヒットする。≪ただのビックリ箱≫だとあなどっていると、シャレにならない事態になるので要注意だ。「スプリング≪トラップ≫・ハズ・カム」…バネの罠が(正面にも背後にも)やって来た、ビヨヨ~ン。


「楽勝だな …解除」
キンッ!
 いつもの謎の金属音(罠解除成功音)がして、宝箱の前面の錠前がポトリと地面に落ち、錠前は霞んで消滅していく。
 トラップの事を考えている間に、ヒイラギはさっさと解除してしまった。

「え~っと、ケイの番だな」
「そうか」
 ヒイラギが宝箱の前を譲り、ケイが宝箱をガバッと開ける。ケイが不満そうに取り出したのは… 『10cmほどの小さなビン』だった。一応じっと見てみつめてみると、

《名:瓶(小)(不確定名) 所有者:ケイ 〈警告〉取得すると窃盗となります》

 …とヒイラギの時と同様だ。今回は罠LV30で、確かヒイラギの時は罠LV29だったはず。つまり、「『罠LV30ぐらい』の宝箱から、『瓶(小)(不確定名)』が出れば『蟻酸』」 …かも知れない。


「また『蟻酸ぎさん』か?」
「蟻酸? ですかね? おめでとうございます」
「防具が良かった」
 う~ん、ケイは不服そうだが、『初回鑑定ボーナス経験値』の事もあるので、やはり羨ましい。まぁまだ『3部屋目』だ。なんとか俺にも1つ『蟻酸』? が出てくれると良いのだが…


「よし、どんどんいくぞ …次はあいつだ」
 ヒイラギはそう言って奥まった所にある宝箱に向かっていく。再びケイが『中部屋』の出口の方を警戒し、俺は回復の用意をしつつ見守る。

「さて …分析:罠[トラップアナライズ]」
 ヒイラギがスキルを使用し、宝箱の上面部から下底部に向けて『光る板状のモノ』がス~っと降りていく。

「罠は『警報』、で―― 罠LVは37だ」
 また『警報』 …なのは良いとして、罠LV37!? 半減してLV18だ。
 先ほどよりLVが高いから、DEX10では少々足りない。ヒイラギのDEXが11以上無ければ『運』まかせになりそうだが……

「あ~、ちょっと高いな…だが『警報』だ。≪チャンス≫ではあるが、どうする?」
 識別したヒイラギが振りかえり、ポリポリと頬をかきながら、俺達2人に相談してきた。
 確かに『警報』自体には直接的な攻撃力が無い。他のトラップのように『LV37の攻撃を食らう』訳では無い。しかし「『何』が、『何体』やって来るかわからない」…のと「『仮FA』が誰になるかわからない」…ので、やはり≪かなり危険≫な罠なのだ。


「そうだな…… 失敗しても『Gカマド』LV16と、『G百足』LV18は俺が倒す。他のはヒイラギが倒せ」
 ケイが背中の『鉄の大剣』を見ながらそう言った。
 『警報』の『解除に失敗』した際に、やって来るのは付近に出現(POP)するモンスターである。つまりこれまで見てきた『5種の内からランダム』で選ばれてやって来るため、LV15のケイが倒せない(倒したくない)…『LV14以下の3種』が来る可能性も高いのだ。(3種/5種類、つまり50%以上である)

「わかった。それじゃ装備は、『鋼の剣』に戻しとくか」
 ヒイラギは腰に差した『鋼のメイス』をインベントリに収納し、代わりに取り出した『鋼の剣』を装備して腰に差す。
 『LV14以下の3種』の内、『Gフライ』、『Gブラック』は、≪柔らかい≫が≪素早く≫回避力が高い。先に≪素早くて厄介な2種≫を片付けてから、動きが緩慢で硬い『G亀』を『鋼のメイス』で処理すれば良い …という事だろう。

「多少なら俺が倒す。回復は頼む」
 ケイは『万が一』の時には、『貯金』を使用するつもりの様だ。
 『リスク』、『代償』があって「そうホイホイ使えない」…とは言え、こういった場合に、「『奥の手』がある」というのは、パーティに≪気持ち的な余裕≫が出来るので『大きなメリット』と言えるだろう。

「わかりました。回復は任せて下さい」
 例によって≪回復しか出来ない≫俺は、せいぜい『仮FA』(第1村人発見)にならない事を祈るくらいだ。

「よしっ、それじゃいくぞ」
「あぁ」
「OKです」
 俺達(ケイ)が いつ戦闘になっても良いように、≪心構え≫が出来ている様子を確認してから、ヒイラギが『罠LV37』の『警報』の”解除”にとりかかる。


「…………解除」
キンッ!
 謎の金属音(罠解除成功音)がして、宝箱の前面の錠前がポトリと地面に落ち、錠前は霞んで消滅していく。どうやら上手く『解除』出来たようだ。
 ヒイラギも≪自信が無さそう≫だったから、『運』が良かったのだろう。

 「………」一応、『解除』には『INT』も関係している≪らしい≫のだが、普通『みならい斥候』系は『INT』に振る事は無いので、基本的には『DEX』…と『運(LUC)』頼みである。

 INTが関係している? のは、おそらくソロや『みならい斥候』系が居ない時に、『スクロール[分析:罠]』等を使用して、他職で『解除』を試みる場合の『救済』なのでは無いだろうか? まぁただ単に、「『器用さ』(と運)が一番だが、『知識』が優れていても≪解除出来そう≫」だから…とかいう理由かもしれない。

 しかし『運(LUC)』の数値はプレイヤーには分からない。
 勝手に「運(LUC)+10ぐらいはあるはず」…などと考えて、実は『0』だったりすると大惨事になるので、『無いモノ』として考えるのが常識だった。


▼▼▼▼▼ 補足、解説 ▼▼▼▼▼

 『罠LV(識別してあれば半減した値)』と、『DEX+LUC+(INT/2)+(1~100のランダムボーナス)』…を比較して、罠LVと同じか上回れば『解除成功』。罠LVの方が上であれば『解除失敗』となります。

 この解除時に「1~100のランダムボーナス」が加算される…というのはプレイヤーへの『ボーナス、救済のためでは無く』、毎回『同じLVの罠が解除出来る』と、解除を利用して『各プレイヤーの運(LUC)の数値が、≪簡単に推測出来てしまう≫』…からです。

 この「1~100のランダムボーナスが加算される」…という『正確な解除処理』が、プレイヤー側からは分からない為、「前回は解除出来たのに、今回は失敗した」という事例が数多く報告され、逆に「絶対に無理そうなのに、何回かやってたら解除出来た」という報告も多々あり、長らく混乱していました。

 しかし最終的には『みならい斥候』系スレ、攻略サイトで「確実に解除したい時は、『DEX』以外は信じるな」…と『テンプレ化』され『常識』となっていたので、主人公達『TJO経験者』は『DEX』基準で、解除の『可否』を判断している訳です。

 ここで言う「確実に解除したい時」とは、識別されたのが『高LV罠』や『危険な罠』だった時…で、『解除に失敗』したら、『即死、又はパーティが全滅』する様な場合は、信頼出来る『DEX』だけで判断しろ……という事です。
 今回の様に「即死はしない、それほど被害が無い罠」…といった場合は、たとえ『解除に失敗』しても、罠が発動せず『再挑戦』出来たり、罠が発動しても『中身のアイテム』は無事で『入手出来る事もある』…ため、多少ステータスが足りなくても「”解除”に挑戦チャレンジしてみる」…という事は珍しくありませんでした。

 ちなみに例外として、「『ウサギの足』は、『運(LUC)+1』と考慮して大丈夫」…とされていた(検証の結果)ので、『みならい斥候』系スレでも「100,000Gの価値がある」派と「無い」派、「好きにしろ、議論スレでやれ」派で、延々と議論(不毛)されていました。

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


「ふぅ~、上手くいったか」
「グッジョブです」
 無事に解除に成功し、ヒイラギは≪ほっとして≫胸を撫で下ろしている。

 「………」罠の”解除”については”謎”が多い。ガンガン解除出来ていたのに、突然失敗したり、たまに≪絶対に無理≫っぽくても”解除”出来たりする。
 しかし運営側は絶対に『詳細な処理』を公表しなかった。

 公式サイトの「解除に必要なのは『DEX』 …それと少しだけ『INT』、あとは『運』だよ」…… みたいな≪適当な説明≫が「『解除』に対する公式発表の全て」である。

 ……というか運営側は『内部的な事』は基本的に何も答えず、教えてくれなかった。まだ出ていないレア職とか、条件とか≪ヒント≫すら何も無しだった。

 それらについて雑誌インタビューで、「発見したプレイヤーの『努力』と『挑戦』、『開拓』を、我々が『台無し』にする事は出来ない」…などと回答していた。
 まぁヤマコウだからな―― (洗脳済み)。

 まぁ確かに、様々な『条件』、『制約』を自分に課して、ようやく見つけた”レア職”や、苦労して見つけた”法則”を、ある日突然『運営に発表』されたら…怒るだろう。

 「我々運営(ヤマコウ)は、そんな『ネタばらし』は『絶対にしない』…から、安心して どんどん挑戦し開拓してくれ」… という事であるのだ。

 実際、最後の年となってしまった5年目でも、≪キャラクターを削除≫しては、様々な『条件』や『制約』、『変なプレイ』を試して「解明されていないレア職を発見しよう」…としているプレイヤーは数多く居た。
 そうして新たなレア職を見つけだした者は、TJOにおいて『大いなる先駆者』であり、『名誉』であり、『ステイタス』であった。
 また≪発見したレア職≫を『秘匿(偽装公開)』していても、レア職には『狂戦士』の『仮初の不死[ワンス・イモータル][P]』の様に、『特殊なスキル』が備わっている事も多く、その『職の特性』や『スキルの詳細』がわからない者にとっては、『羨望の的』であり『脅威』だった。


「ほらっ、次はマサヨシの番だろ?」
「あ、はい」
 ヒイラギがそう言いながら宝箱の前を譲ってくれた。この宝箱の”罠LVは37”だった。『蟻酸』? は”罠LV30”ぐらいっぽいから期待薄だろう。宝箱をそっと開けると……


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LV:12(非公開)
職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)
サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)
所持金:4,961G
武器:なし
防具:布の服
所持品:13/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ


分析:罠[トラップアナライズ] 宝箱等に仕掛けられた罠の種類と罠LVを識別し、罠LVを半減させる(小数点以下切捨て)
  補足:ミミックだった場合は、そのミミックのLVも識別する、ただしミミックのLVは半減出来ない。

仮初の不死[ワンス・イモータル][P] LV50以上の時、致死ダメージを受けても、120分間に一度だけHP1で耐える。
  補足:発動後120分間はリキャストタイムとなる。継続ダメージや連続攻撃には弱い。


「ご主人さま~、INTもかんけいしている ≪らしい≫ってなに~?」
「公式サイトには『書いてあった』んだが… もし『DEXと同等の効果がある』とすると、スクロール[分析:罠]を使用した、INT極振りタイプの『みならい魔法使い』系は、『みならい斥候』系プレイヤーと『同LVの罠が解除出来る』…はず」
「ん~?」

「解除に必要なのが「DEX≪か≫INT」…だったら… 「罠LV10は、『DEX10』でも『INT10』でも、解除出来なければおかしい」…という事だ」
「おなじ~?」

「あぁ、でも実際には『INT』では≪解除に失敗≫する。だが一方で「高LV、高INTプレイヤーは、低LV罠の解除成功率が高い」。だから、INTも関係している≪らしい≫なんだ」
「ふ~ん?」
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