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第2章 出会いの街 編
063 ”夢”が… <04/05(金)PM 02:33>
しおりを挟む※※※ 注意 ※※※
ただいま [夢の洞窟] 中です。
大量だったり、黒かったり、テカってたり…そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。
[夢の洞窟]終了まで『目印』として、『無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこう』と思います。よろしければ参考にして下さい。
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出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、『最初の小部屋』で宝箱を2つ、『次の小部屋』で更に2つの宝箱を発見し、『G百足』LV18の急襲を受けるも撃退し、合計4つのアイテムを入手した。
続く3つ目の『中部屋』で、さらに3つもの宝箱を発見し、まず周囲の大量の『オイシイ』モンスター『G竈』LV16を、『条件』を満たした『狂戦士』…ケイ1人の『無双』により一掃し、ドロップも回収する。
そしていよいよ『お楽しみの宝箱』の回収に取りかかっていたのだった。
「ほらっ、次はマサヨシの番だろ?」
「あ、はい」
ヒイラギがそう言いながら罠(トラップ)を『解除』した宝箱の前を譲ってくれた。
この宝箱の”罠LVは37”だった。『蟻酸』? は”罠LV30ぐらい”っぽいから期待薄だろう。宝箱をそっと開けると……
「んん? …『棒』?」
宝箱から取り出したモノを、じっとみつめてみると、
《名:棒(不確定名) 所有者:マサヨシ 》
「ほぅ… 『棒』か」
「おぉ”棒”じゃねぇか、良かったな」
「ありがとうございます」
「………」『棒』とは… 長柄武器、棹状武器、ポールウェポンなどと呼ばれる『棒状の武器』である。槍、矛、薙刀、棍、長柄斧…などがこのカテゴリーに入る。
有名どころでは、ハルバード、パルチザン、方天画戟、青龍偃月刀、トライデント…等々、挙げればキリが無い。
その『長いリーチ』が最大の『長所』であり『欠点』。
特にTJOでは『同士討ち、FF』によって、事故PKなどをしてしまうと罰則が非常に重いため、≪間合いが広い≫武器は慎重に取り扱う必要がある。
また狭いダンジョン内などでは、更に取り扱いが難しくなり、『長い』という事は『重い』わけで、全体的に『高いSTRを要求される』モノが多く、使いこなすのは大変だ。
しかし『長いリーチ』は、それら『欠点』を補って余りある『長所』だ。
俺が『盗ゾック(斧)』LV8との苦行中、至近距離の危険な『斧』攻撃を食らわない位置で、安全? な『ショルダータックル』だけを誘っていた様に、相手の≪得意攻撃が出来ない≫距離から、隙の少ない『突き』などで着実にダメージを稼ぐ、『壁役』の後ろから≪ちょっとした隙≫に『攻撃をねじ込んでいく』といったチクチク戦法。
またソロであれば『同士討ち』など考えなくて良いので、思いきり振りまわして叩きつける、叩き斬る。集団に囲まれた時などは、ブンブンと振り回して『全方位に対応する』…といった事も出来る。
弱点として、≪先端部分≫以外は『木製』のモノも多く、『耐久値』が≪あまり高く無い≫モノも多い。また『切断』属性のモノが多いので、硬くて堅固な相手に弱い。
ただし、多くのモノに『刺突』属性もあるので、『突き』攻撃を繰り出せば、完全に防がれない限り、いくらかクリティカルヒットする可能性がある。
『切断』 =威力高。防御や、堅固な相手にとても弱い。クリーンヒット時クリティカル率がとても高い。
『刺突』 =威力中。防御や、堅固な相手に弱い。ただし『無効化』されない限り、クリティカル率中。
『打撃、衝撃』 =威力は低め。『防御貫通効果』が高い。クリティカル率が極めて低い。
『長所』と『短所』がはっきりしているため、
・ソロ行動時や、フィールドでは、これら『長柄武器』を使い、
・パーティ行動時や、ダンジョンでは、『剣』と『盾』などを使う。
…などと使い分けているプレイヤーも多かった。つまりは『人気武器』の一つであり、需要があり高く売れる事が期待出来る武器種だ。
…ともかく2つ目の”宝箱アイテム”ゲットである。期待の『棒(不確定名)』をそっと『インベントリ』に収納した。
「それじゃ最後はアイツだな」
ヒイラギが『鋼の剣』を外して『インベントリ』に収納し、『鋼のメイス』を取り出して装備しながら、残った最後の宝箱に向かっていく。他の2つの宝箱はとっくに消滅していた。
ケイは引き続き出口付近を警戒し、俺は回復の用意をして見守る。
「…分析:罠[トラップアナライズ]」
ヒイラギがスキルを使用し、宝箱の上面部から下底部に向けて『光る板状のモノ』がス~っと降りていく。
「罠は『ガス爆弾』、…で罠LVは27だな」
「………」『ガス爆弾』。『爆弾』と名が付いてはいるものの、『ガスを周囲に一気に撒き散らすため』の起爆剤に過ぎず、実際には「ガスの中身、成分によって被害を与える」事を目的とした罠(トラップ)である。
この宝箱を開けたり、トラップの解除に失敗したりすると、小さな爆発によって宝箱の周囲に煙状のガスが一気に蔓延する。
”催涙弾”とか”発煙筒”、”スモークグレネード”、”〇ルサン”の強力版みたいな感じだ。
この罠(トラップの)一番の問題は『ガスの成分が不明』である点である。
”疫病”、”毒、猛毒”、”痺れ、麻痺”、”眠り、昏睡”…… 更には高LVの『ガス爆弾』だと、『石化』や『腐蝕』など、『極めて危険な効果』である事もある。
この『腐蝕』、少し前に話した『スライム』の攻撃によって受ける症状と同じで、結末も同じである。「こんなのアタシの知ってるスライム君じゃないっ」…と、女装して泣き叫びたくなる『凶悪さ、悲惨さ』だという事だ。
むしろ『これを食らった者の末路』が『スライム』であるのかも知れない。
そんな訳で基本的に『パーティ全体』に、『何かわからない状態異常』を与えるトラップだ。そしてその性質上、このトラップも『罠LVの半減』にあまり意味が無く、解除に失敗した『爆心地の本人』も同等の被害(状態異常)を受ける。
「これは余裕だな …解除」
キンッ!
ヒイラギはさっさと解除にかかり、楽々『解除』に成功した。
まぁ罠LVは半減して13だしな。謎の金属音(罠解除成功音)がして、前面の錠前がポトリと地面に落ち、霞んで消滅していく。
「また俺の番か?」
「はい」
「あぁ、さっさと開けろ」
俺達の返事を聞いて、ヒイラギが宝箱をガバッと開ける。
「………」ここまで説明していなかったのだが、『取り出してから順番に渡す』という風にすると、レアアイテムなどが出た時に、『順番の者に渡さず≪自分の物≫にしようとする』…不届き者が居る(居た)。
その場合『取り出した者』が『正当な所有者』になってしまっているので、渡してもらえなければ『泣き寝入り』するしか無かったのだ。
だからTJOでは「解除したら『順番の者に交代』して、『順番の者』が開けて取り出す」 …という暗黙の了解が自然と出来上がった。
もし他のプレイヤーが入手したアイテムが欲しいなら、その後あらためて『入手したプレイヤー』に、『交換』や『売買』を持ち掛ける…という事になる。
探索終了時に『端数(あまり)』が出た場合は『ダンジョンを出た後でジャンケン』などになるが、そこで『持ち逃げ』される場合もあった。このため最初の『宝箱取得の順番決め』で、ゴネたり揉めたりするプレイヤーも多かった。
まぁ俺はそれらの経験から『自分の番(最後)以外の宝箱(アイテム)は無いモノ』…と思って、関わらない(ジャンケンなども参加しない)事にしている。
ジャンケンに勝って妬まれたりしても面倒だし、第一そうやってゴネたり、ガメたり、持ち逃げ…なんかの『醜い争いを演じて』まで入手して、いざ鑑定してみたら「-5でした」とか≪馬鹿馬鹿しい≫にも程がある。
『G』を稼ぐ方法はいくらでもあるが、失った信用は戻って来ないのだ。
その時居たプレイヤーは、二度と一緒に冒険や探索などしてくれないだろう。『ブラックリストに登録』されてしまえば会話すら出来ない。(相手側では表示されないため)
…ついでに余談であるが、『ブラックリストに登録』された場合、『キャラクターを削除』してやり直しても、(悪事情報として引き継がれて)そのキャラクターは『最初から相手のブラックリストに入っている』。
「知らなかったのか? ヤマコウからは逃げられない」
これはTJOスレでの常套句で、時折『ヤマコウ初心者』が不平や不満をぶつけては、『訓練されたスレ住人』に軽くあしらわれていたものだ。
ヒイラギが宝箱の中から取り出したのは…先ほどの俺の『棒』より≪短め≫の『棒』だ。じ~っと みつめてみると、
《名:長杖(不確定名) 所有者:ヒイラギ 〈警告〉取得すると窃盗となります》
「………」『長杖』とは、長い杖である。
『杖』とは、片手で楽々扱える様な『短めのモノ』で、ワンド、バトンなどとも呼ばれる。 ツカサさんが装備していたのは『樫の杖』で、こちらの『杖』に分類される。
よく魔法少女や、魔女っ子が振り回している『先端がハート型の、ピンク色の片手杖』をイメージしてもらえれば良いだろう。
そしてこの『長杖』とは、ロッド、スタッフなどとも呼ばれる『長めの杖』だ。”身の丈”かそれ以上あり、片手でも扱えるが、両手で持って取り扱う事が多い。
TJOでは『みならい魔法使い』系のプレイヤーは、この『杖』か『長杖』を装備する事になる。例によって? 長いほど『必要な原料』と『加工の手間』が増えるため、『長杖』の方が高価である。
そして『杖』と違い『長杖』は、『ガード、防御』に使用する事も出来る。…ただし『耐久値』が減少するので、緊急避難用に止めておく方が無難だ。(逆に『杖(片手杖)』を扱う場合、護身用に『小盾(バックラー)』などを用意するプレイヤーも居た)
ともかく≪ほぼ2択≫である事と、TJOでは『みならい魔法使い』系の『初期選択率が30%も居る』…という『人気職』である事もあり、高値で売れる事は間違い無いだろう。(もちろん全ての(不確定名)アイテムに当てはまる事だが、+品であればの話だ)
「『長杖』ですか、おめでとうございます」
「おぅサンキュー」
「杖はいらんな」
ケイは防具以外に≪興味が無さすぎ≫では無かろうか?
確かに『鋼の鎧+1』などが出れば、ケイにとっては≪かなり楽になる≫のだろうが…
まぁ使えない武器や道具は、『(高く)売れる相手を探して』、『売って』、『(安く)欲しい防具を売っている店(プレイヤーショップ)か、プレイヤーを探して』、『防具を買う』…と無駄な手間が掛かるわけだから、分からないでも無い…か。
(※TJOではNPCは基本的に『ノーマル品』しか扱っていません)
ヒイラギはニコニコと『長杖(不確定名)』を『インベントリ』に放り込んでいる。
これでこの『中部屋』の3つの宝箱も回収したわけだが、『蟻酸』?、『棒』、『長杖』と中々の収穫だった。
しかも『≪まだ≫3部屋目』…なのである。うはー 夢が広がりんぐ。
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LV:12(非公開)
職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)
サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)
所持金:4,961G
武器:なし
防具:布の服
所持品:14/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ、棒(不確定名)
「?? どうした?」
「えへへ~、ご主人さまが ずっと”しょうき”だよ~♪」
「? …あぁ、俺は”ずっと正気”だ」
「ぜんぜん”しょうき”じゃなかったよ~」
「うん? まぁミケネコも『バリ好きー分』が不足すると”正気”じゃ無くなるからなぁ―― 本人は”気付かない”ものなのかも知れんな…」
「しょうきだよ~?」
「…まぁいい。探索は順調だ、正気を失ってる場合じゃねえっ!」
「そのいきやよし~」
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