サウザンド・ジョブ・オンライン ~あるみならい僧侶の話~

アヤマチ☆ユキ

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第2章 出会いの街 編

079 おざなり&なおざり <04/05(金)PM 07:48>

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 前回のあらすじ
 
 なんか知らんが異常にLVUPした。俺はすこぶる恐怖した。


 俺は出会いの街[ヘアルツ]『南口1前の広場』の隅のベンチに座り、先ほどの大幅LVUPについて考えていた。

「……実は、何か変(高LV、レア)…なモンスターが?」
 そう考え”情報”、”モンスター情報”と念じると、目の前にズラ~っと遭遇したモンスターの情報が表示される。下の方や上の方を意識すれば自在に閲覧出来る、マウスのホイールスクロールをする感じ…か。

《盗ゾック(斧):LV008:ヘアルツ周辺 :?G:通常:???:レア:???:激レア:??? 》

《Gフライ :LV010:ヘアルツ[夢の洞窟]、周辺:?G:通常:???:レア:???:激レア:??? 》
《G亀 :LV012:ヘアルツ[夢の洞窟]、周辺:?G:通常:???:レア:???:激レア:??? 》
《Gブラック :LV014:ヘアルツ[夢の洞窟]、周辺:?G:通常:???:レア:???:激レア:??? 》
《G竈 :LV016:ヘアルツ[夢の洞窟] :?G:通常:???:レア:???:激レア:??? 》
《G百足 :LV018:ヘアルツ[夢の洞窟] :?G:通常:???:レア:???:激レア:??? 》

《ミミック :LV???:宝箱 :?G:通常:???:レア:???:激レア:??? 》
《スライム :LV???:??? :?G:通常:???:レア:???:激レア:??? 》

 ヘアルツ『南口2』から[夢の洞窟]までは、モンスターとの接触を避けて移動していたので『盗ゾック(斧)』先輩以降の新規モンスターは無し。
 『ミミック』、『スライム』は、やはりと言うか…ほとんど”?”で、経験値はゼロだろう。隙間があるのはその間にまだ未発見、未遭遇のモンスターが入るという事だ。
 『ミミック』等の『特殊なモンスター』は、一覧の一番最後の方だったはずだから今後はこの間にどんどん追加されていく… と、まぁそんな事はともかく、やはりこれといって変なモンスターは見当たらない。


「……鑑定ボーナスも『蟻酸』くらい…だしなぁ」
 う~ん、予想以上のLVUPの原因がわからない。頭を悩ませていると、ふいっ、ふいっと目の前で”何か”が揺れている。

「………………」
 ふいっ、ふいっ、ふいっ…、目の前で まだらなひも… いや、”棒状の物”が自動車のワイパーの様に揺れ続けている。

「…………ええいっ、鬱陶うっとうしいっ」
 いつの間にか肩から頭の上に登り、俺の顔の前で≪尻尾≫を揺らし続けていたミケネコを、両手で掴んでバッと持ち上げる。

「ひま~」
 ミケネコは目の前で俺に持ち上げられ、だれ~ん、と両手両足をぶら下げた格好のまま、≪尻尾≫を揺らし続けている。

「”たからばこ”さがして、ごはん~」
 そう言われて、視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)PM 07:56>と表示されていた。…思った以上に長考していた様だ。”おあずけ”をさせ続けていた形になる。
 というか昼は[夢の洞窟]の前で『干し肉』を齧っただけだった。その時ミケネコは『ギルドカード』の中だったので≪昼飯抜き≫な訳で、”バリスキー分”が不足してテンションが低下しているのかもしれない。

「あ~…… すまん。そうだな、そうしよう」
 ミケネコを足元におろしてから、その狭いひたいを少しコリコリと掻く。とりあえず考えるのは後回しにして、やる事を終わらせて晩飯だ。
 そう、晩飯食った後の俺が考えてくれる!(はず)、頑張れ未来の俺!(丸投げ)

(ところで映画、小説などで、「現代の医学では治療出来ないから冷凍保存して未来で治療に期待~」…とかって、気持ちはわからないでも無いけど、未来の人にはいい迷惑だよな。例えばエイズ(HIV)感染者って4000万人くらいらしいけど、4000万人のエイズ感染者を押し付けられる未来の俺達の気持ちを考えろってキレるよ多分。
 それにエボラの人だけ冷凍保存してエイズの人は放置…みたいに不公平? なのもどうかと思うし、それじゃ平等に『全患者を冷凍保存』しちゃったりすると、未来の人は何億という病人を押し付けられて高齢化問題どころじゃない大問題確実だろうし… 何が言いたいのか分からなくなってきたな。まぁいいや、問題の先送り(・A・)イクナイ!!(キリリ)


 「………」ともかく忘れない内にLVUP後のボーナスptポイントを振り分けておこう。「pt振り分け」と念じる。

《ボーナスポイントを振りわけます。残り 4pt》
《STR DEX INT VIT+12 MAG <今は振らない>》

 …やはり『4pt』ある。まぁ4LV上がったから当たり前なのだが。
 まだ少し腑に落ちないところがあるが、ありがたくVITに4pt振る。これでVITは16となり、LVUP時の基礎MAXHP上昇と合わせて、≪LV12だった≫先ほどまでと比べてかなりMAXHPが増えたはず。
 LV12では厳しそうだったが、LV16であれば一部のモンスターに気を付ければ『南口2方面』でも『宝箱、素材収集』が可能だろう。

 南口2には『非アクティブモンスター』である、『発芽はつがねずみ』LV5、『ナゴヤシュダガヤ』LV7の2体。それから『アクティブモンスター』である、『盗ゾック(斧)』LV8、『盗ゾック(ナイフ)』LV9のコンビ。そして『孤独のウルフ』LV13の計5体がいる。

 この『南口2方面』は『戦闘』が前提であれば3体(盗ゾックコンビ+ウルフ)と戦いになる場面が多いのだが、『逃げ腰』であれば『ウルフ』の追撃に注意すれば、『盗ゾック』達は動きが緩慢な為、囲まれて袋叩きに遭う確率は低い。
 『ウルフ』もLV13とは言え攻撃力は『盗ゾック(斧)』LV8先輩と同じぐらいだから、VIT16となった今、50%以上のダメージは喰らわない…と思う。つまり逃走時に追撃を受け、運悪く『クリティカル』を喰らっても、即死せず逃げられる… はず。





 そんなわけ? で『南口1方面』を時計回りに進み、川に沿って『南口2方面』へ通じる地点へやって来たのだ。そう、昨晩『†カムイ†』さんがやって来た所だ。ちなみにここまで宝箱も目ぼしい素材も無かった。
 このまま北に見える壁に沿って戻れば≪これまで通り≫だが、『南口1方面』は、≪これまで宝箱がゼロ≫なので、やはりリスクを背負ってでも『南口2方面』へと挑戦するべきだろう。(むしろ南口1方面はリターンが悪いので、もう回らないでいいかも知れない。まぁ貧乏性なので回ると思うけど)

 丁度フィールドの”境目”辺りまで進み周囲を見渡す。
 午後8時を過ぎ、かなり暗くなってきていて視認性はあまり良くない。とはいえ昼に[夢の洞窟]へ行ったおかげで『フィールドMAP』は結構埋まっている。
 主要なポイント([夢の洞窟]、西口1方面へ繋がる壁の切れ目、南口2門等)も判明しているので、最悪一目散に南口2門へ(西口1方面の切れ目を避けて)逃げればいいだろう。「全く未知のエリアでは無い」…というだけでも かなり気が楽だ。

 「………」ところでゲーム時代は『画面範囲が20m』、そしてこの川は『幅30mほど』である。そのため川にギリギリまで近付いても、「川の向こうの様子は見えなかった」のである… が、今は川の向こうの様子が見えているので「なんだかなぁ」な感じがする。

 川の向こうには川に沿う様に『道』があり、その道を東(→)の亀裂の辺りまで進めば「なんと村がある」のだが、それもモロバレなのだ。
 もちろん? 『その村』はその先の滝の裏側のダンジョン[虹の洞窟]攻略用(宿泊やアイテムの補充等)なのだが、TJO初心者の人には壮絶なネタバレ感が…まぁ俺は知ってるから”どうでも良い”のだが…「なんだかなぁ」
(本来はこの川に沿って西(←)に行くと『橋』があり、向こう岸には「道がある!」、「何処まで続いているんだ?」と道なりに進んでみると「こんな所に村が!」そこで村人の話を聞いて「滝の裏側には[虹の洞窟]があるらしい!」…という流れなのだ。しかしこれでは「川の向こうに村が見える、行ってみよう」となってしまう、このグダグダ感)


「ご主人さま?」
「あぁ、え~北(↑)に進むと壁に沿って『南口2の門』へ向かう事になるので、このまま川に沿って西(←)へと進む事にする。せっかくだから『橋』を見物して、そこから北(↑)の『岩山』の方へ行き、東(→)へ進んで『南口2の門』から帰ろう」
「けんぶつ~」

 一応ソロでは初挑戦となるフィールドだし、夜間で視界も悪い。気を引き締めて素材収集に臨むとしよう。


-------------------------------------------------------------------------
LV:16(非公開)
職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)
サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)
所持金:49,061G
武器:なし
防具:布の服
所持品:16/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、鉄のブーツ、鋼の弓-2、白銀の槍-1、リボルバー(44)-2、蟻酸


「ご主人さま~、この”さぶたいとる”と”あらすじ”は~?」
「あぁ…今回は最初から内容が無い様だったから、もうそこから≪おざなり≫らしい」
「おざなり~」

「…劇的な展開を期待していた人には申し訳無い。「どうせ大した事じゃ無いんでしょ?」な人にも、それどころか≪問題先送り≫で申し訳無い… といったところだ」
「なおざり~」
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