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Ⅱ-ⅲ.あなたに満たされる
2−32.熱に溺れる
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思考力が溶けてなくなったような感じだ。
ふと目覚めて、体内に番の熱がないことを感じると、ひどい悲しみに襲われた。
「ジルさまっ……ジルさま、っ」
「フラン、俺はここにいる」
重い目蓋を開ける労力を惜しんで、必死に声を上げる。掠れた声は決して聞き心地が良くないだろうと分かっているのに、それを恥じる余裕さえなかった。
すぐさま返ってきた声に手を伸ばす。
しっかりと握り返されたことで、少しだけ安心した。でも、まだ足りない。もっと熱で満たして。
ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
それを拭うように触れる唇に、『そこじゃない』と思いながら顔を動かした。笑いを含んだ吐息が唇に触れ、しっとりと口付けられる。気持ちいい。
「ん、ぅ」
「……また熱くなってきているな」
間近で低く囁くような声がした。
自分の身体がどんどん熱を増していくのはわかってる。それをどうしたらいいのかも。
「ジルさまっ」
離れようとする熱を追って、手を伸ばした。ジル様の首に腕を巻き付け、抱き寄せる。
もっとキスをして。たくさんの愛をちょうだい。
「フラン、まずは食事をしよう」
「やっ……ジルさま、ね。おねがいっ」
膝上に抱き上げられたけど、今はそんな穏やかな触れ合いよりも、もっと激しいものがほしい。
ジル様の熱く硬いものに、はしたなくも身体を擦り寄せ、再び中に埋めてもらえるよう願った。早く満たしてほしいのだ。
「っ……くそっ」
ジル様らしくない口調で罵る先は、おそらくジル様自身。
理性の箍をなんとか保とうとしている抵抗に気づきながらも、僕はそれを壊すために耳元で囁く。
「ジルさま、だいすき。もっと、ちょうだい。たくさん、そそいで。ね、ここ、いっぱいに――」
ジル様の手を取り下腹部に押し当てる。
なんだか前にもした気がする。これでジル様が動いてくれるんだって、もうわかってるんだ。
「……フラン、あのな。発情期に入って、もう一日以上経ってる」
呻くような声は滾る欲望を必死に抑えつけているようだ。
そんな僅かに残った冷静さが憎らしい。僕はジル様に溺れていたいんだ。現実なんて思い出させないで。
「ジルさま、おねがいっ」
「ぐっ……こんなのは、卑怯だ……」
既にジル様の形にあわせて緩んだ中を、熱く硬い塊が埋めた。
その充溢感に身体が震える。あぁ、と感じ入った声が、意識から遠く離れたところで聞こえた。
「――一度だけ、したら、食事をとる。フラン、約束しよう」
「ん、ぅん、うごいて」
熱に浮かされるあまり、何を言われているかあまり理解できなかったけど、早くジル様の欲をたっぷり味わわせてもらいたくて、ひとまず頷いた。
「はぁ……俺は、アルファ失格だ……」
ジル様は反省するように呟きながらも、僕が求めるままに身体を揺さぶってくれる。
最奥を突かれる度に、頭の中が真っ白になるような心地がした。
幸せだ。このまま死んでもいい。
そんな思考が喘ぎ声に紛れてこぼれ落ちてしまったらしく、ジル様がピタリと止まった。
「やぁ、あ、もっと、っ」
「死なせるつもりはないぞ」
「うんっ、わかってる、だから、はやく、ちょうだい」
「本当に分かってるのか?」
咎めるように鼻先を噛まれて、薄く目を開けた。
熱の滲んだ薄青の瞳を見つめて、なんとか微笑む。
「ん……ずっと、いっしょ……」
「……ああ。ずっと一緒だ。俺の運命、愛しい番。俺を置いていかないでくれ」
「ぁ、っ!」
身体ごと押し上げるようにして、熱が最奥に叩きつけられた。
声さえ出せないまま、背をのけぞらせて身体を震わせる。ガツガツと突かれ、揺さぶられ、身体はつらいのに、心は幸せでいっぱいだった。
この時間が永遠に続けばいいのに。
蕩ける思考の端でそんなことを願いながら、目を伏せてひたすらに快感を追った。
ふと目覚めて、体内に番の熱がないことを感じると、ひどい悲しみに襲われた。
「ジルさまっ……ジルさま、っ」
「フラン、俺はここにいる」
重い目蓋を開ける労力を惜しんで、必死に声を上げる。掠れた声は決して聞き心地が良くないだろうと分かっているのに、それを恥じる余裕さえなかった。
すぐさま返ってきた声に手を伸ばす。
しっかりと握り返されたことで、少しだけ安心した。でも、まだ足りない。もっと熱で満たして。
ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
それを拭うように触れる唇に、『そこじゃない』と思いながら顔を動かした。笑いを含んだ吐息が唇に触れ、しっとりと口付けられる。気持ちいい。
「ん、ぅ」
「……また熱くなってきているな」
間近で低く囁くような声がした。
自分の身体がどんどん熱を増していくのはわかってる。それをどうしたらいいのかも。
「ジルさまっ」
離れようとする熱を追って、手を伸ばした。ジル様の首に腕を巻き付け、抱き寄せる。
もっとキスをして。たくさんの愛をちょうだい。
「フラン、まずは食事をしよう」
「やっ……ジルさま、ね。おねがいっ」
膝上に抱き上げられたけど、今はそんな穏やかな触れ合いよりも、もっと激しいものがほしい。
ジル様の熱く硬いものに、はしたなくも身体を擦り寄せ、再び中に埋めてもらえるよう願った。早く満たしてほしいのだ。
「っ……くそっ」
ジル様らしくない口調で罵る先は、おそらくジル様自身。
理性の箍をなんとか保とうとしている抵抗に気づきながらも、僕はそれを壊すために耳元で囁く。
「ジルさま、だいすき。もっと、ちょうだい。たくさん、そそいで。ね、ここ、いっぱいに――」
ジル様の手を取り下腹部に押し当てる。
なんだか前にもした気がする。これでジル様が動いてくれるんだって、もうわかってるんだ。
「……フラン、あのな。発情期に入って、もう一日以上経ってる」
呻くような声は滾る欲望を必死に抑えつけているようだ。
そんな僅かに残った冷静さが憎らしい。僕はジル様に溺れていたいんだ。現実なんて思い出させないで。
「ジルさま、おねがいっ」
「ぐっ……こんなのは、卑怯だ……」
既にジル様の形にあわせて緩んだ中を、熱く硬い塊が埋めた。
その充溢感に身体が震える。あぁ、と感じ入った声が、意識から遠く離れたところで聞こえた。
「――一度だけ、したら、食事をとる。フラン、約束しよう」
「ん、ぅん、うごいて」
熱に浮かされるあまり、何を言われているかあまり理解できなかったけど、早くジル様の欲をたっぷり味わわせてもらいたくて、ひとまず頷いた。
「はぁ……俺は、アルファ失格だ……」
ジル様は反省するように呟きながらも、僕が求めるままに身体を揺さぶってくれる。
最奥を突かれる度に、頭の中が真っ白になるような心地がした。
幸せだ。このまま死んでもいい。
そんな思考が喘ぎ声に紛れてこぼれ落ちてしまったらしく、ジル様がピタリと止まった。
「やぁ、あ、もっと、っ」
「死なせるつもりはないぞ」
「うんっ、わかってる、だから、はやく、ちょうだい」
「本当に分かってるのか?」
咎めるように鼻先を噛まれて、薄く目を開けた。
熱の滲んだ薄青の瞳を見つめて、なんとか微笑む。
「ん……ずっと、いっしょ……」
「……ああ。ずっと一緒だ。俺の運命、愛しい番。俺を置いていかないでくれ」
「ぁ、っ!」
身体ごと押し上げるようにして、熱が最奥に叩きつけられた。
声さえ出せないまま、背をのけぞらせて身体を震わせる。ガツガツと突かれ、揺さぶられ、身体はつらいのに、心は幸せでいっぱいだった。
この時間が永遠に続けばいいのに。
蕩ける思考の端でそんなことを願いながら、目を伏せてひたすらに快感を追った。
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