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Ⅲ.募る想い
26.神である獣
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闇兎を追って辿り着いた先には、天を突くような巨木があった。このあたりは普段悠里が訪れない場所である。だから、初めて見た光景に、悠里は圧倒されてポカンと口を開けた。
「……龍?」
「……古龍、か?」
狼泉と同じタイミングで違う言葉を呟いていた。だが、言葉が指すものは同じだろう。
巨木に巻きつくように胴体を絡め、悠里たちを見下ろしている龍だ。穏やかで知的な光が宿る双眸が、見守るように細められている。
「グルル」
「きゅう!」
白珠と闇兎が悠里に寄り添い、頭を擦りつけてくる。穏やかな雰囲気の白珠はともかく、闇兎は「褒めて!」と言うように瞳を煌めかせていた。
悠里は口元に微かな笑みを浮かべて、二体の頭を撫でる。
「……もしかして、前に、会わせてほしいってお願いしたのを、叶えてくれたの?」
答えは聞かずとも分かっていた。
悠里が以前何気なく玻璃の瓶の作り手に会いたいとこぼした言葉を、二体は忘れていなかったのだ。
「グル」
「きゅきゅ!」
「ふふ、ありがとう」
二体と戯れる悠里の横で、狼泉は呆然と立ち尽くしているようだった。視線は龍から逸れることはなく、唇がわなないている。
悠里はその姿を不思議に思ったが、すぐに気づいた。魔獣に対して恐れる心を持たない悠里とは違い、狼泉は龍に怯えているのだ、と。
「狼泉」
そっと寄り添い、狼泉の手を握る。ピクッと震えを感じた後に、ゆっくりと視線が悠里に向けられた。
その青い瞳を覗き込むように見上げ、悠里は微笑む。
「大丈夫だよ。全然、敵意を感じないもん」
「……それは、悠里だから」
「そうかな? 狼泉に向ける眼差しも、優しいと思うけど」
首を傾げながら龍に視線を向ける。龍は目を細めて頷いた。小さな動きのはずなのに、巨体だから実際以上に圧を感じる。
「――ただ、ちょっと大きすぎて、話しにくいかも?」
正直な感想を漏らすと、狼泉が焦ったように悠里の手を引いた。
「悠里っ、そんな文句を言うのは――」
狼泉の言葉が途中で途切れる。息を呑んで固まっていた。悠里も狼泉ほどではなくとも驚く。
龍がみるみるうちに、小さくなっていったのだ。
「……それは失礼したな、幼君」
「しゃべった!? というか……え、人間!?」
悠里は混乱して思ったことをそのまま口に出していた。龍が小さくなった後、狼泉ほどの体格の男が木の根元で立っていたのだ。これで驚かずにいられるわけがない。どう見ても、龍が人間に変わったようにしか見えなかった。
「姿だけだ。我は神獣なれば、人の身をとるも容易きことよ」
「……え、そうなの?」
目を細め、悠里の混乱ぶりを楽しそうに眺める男の言葉に、悠里は疑問の声をこぼしながら狼泉を見上げる。
狼泉は目を見開いて少し腰が引けていたが、悠里の視線を察して、錆びついた音がしそうな動きで視線を動かした。そして、悠里を見つめて少し緊張を解く。
「……あぁ、神獣は獣の身と人の身を行き来する生き物だ」
「へぇ、不思議……」
悠里は呟きながら男に視線を戻す。同時に、心の中で納得していた。
以前、狼泉から天琥の族長と狼朗が想い合う関係であったと聞いた時、獣の姿の者と愛情を交わすとは、奇特な人間だなと密かに思っていたのだ。王と契約を交わしたという話から神獣が言葉で意思疎通できるのだろうと予想していたが、人間の姿をとれるとは考えもしなかった。
「――なんという種族なのですか?」
神獣に会えるとは思っていなかった悠里は、無礼かもしれないと思いつつ、好奇心に負けて話しかける。
「その者が言った通り、古龍だ」
「ということは、古龍はやっぱり魔獣じゃなくて神獣だったのか……」
独り言を呟く。人間の中では古龍が魔獣なのか神獣なのかは定かにされていないと、狼泉が前に言っていたので覚えていたのだ。その答えが思いがけずもたらされ、悠里はにこりと笑う。
「さよう。国を持たない神獣ゆえ、人間は我らについて確かなことを知らぬのだ」
「そういう神獣もいるんですね」
「ああ。たいていは、天より遊びに降りてくる」
「あ、神獣が本来は天で暮らす生き物というのも、真実ということですね」
古龍は悠里が思い浮かべた疑問に答えるように、次々と情報をもたらしてくれる。知的好奇心が満たされて、悠里はさらに笑みを深めた。
神獣とはどんな生き物なのだろうかと思っていたが、噂通り慈悲深い性質のようだ。
「――じゃあ、天琥はみんな天に帰ったというのも事実ですか?」
狼泉が息を呑む気配がした。流れに任せて尋ねてしまったが、配慮のない質問をしてしまったと、悠里は少し後悔する。
そんな二人を順繰りに眺め、古龍が口元に浮かべた笑みを深めた。
「――否」
「え……」
「っ、天琥は、まだこの世界にいらっしゃるのですか!?」
目を瞬かせて戸惑った悠里に代わり、狼泉が勢いよく身を乗り出すようにして尋ねる。その声には悲痛な響きがあった。
古龍が狼泉に視線を移し、僅かに目を細める。その目に浮かぶ感情がどのような種類のものか、悠里には判別ができなかった。
「否。純なる天琥は、今この地にいない」
「それは……どのような意味なのでしょうか……?」
狼泉の声が困惑で揺れる。悠里も古龍の言葉を理解しかねて、首を捻った。
「よいか。よく聞くがよい、愚かなる王の末裔よ」
「っ……」
古龍の呼び掛けの言葉に、狼泉が身体を震わせる。悠里は反射的に古龍を睨んだ。
どこで狼泉の出自を知ったのかは分からないが、そのことで責めるような言動を許すことはできなかった。
「……幼君。我は責めているのではない。ただ事実を口にしただけだ」
「それでも……傷つけるような言い方は、嫌です」
宥めるような眼差しと口調に、悠里は唇を尖らせて不満を告げる。会ったばかりの、畏れ多い存在であるはずの神獣に対し、馴れ馴れしい態度だと分かっている。それなのに、なぜか自然と甘えてしまっていたのだ。
「ふぅむ? 我ら神獣は、人の名を呼ばうことを避けているのだが……。よかろう。そなたのことは、これから狼と呼ぼう」
「……はい」
「それなら、いいですけど。……僕をヨウクンと呼ぶのも、名前を呼ばないためですか?」
これまで聞き流していた呼び名について尋ねると、古龍は目を細めた。
「いまだ目覚めぬ者の名は、それ以外に呼びようがなかろうよ」
「どういう意味ですか?」
謎な言葉に悠里は困惑し、尋ね返す。だが、古龍は意味深な笑みを口元に浮かべ、黙り込んでしまった。
「……龍?」
「……古龍、か?」
狼泉と同じタイミングで違う言葉を呟いていた。だが、言葉が指すものは同じだろう。
巨木に巻きつくように胴体を絡め、悠里たちを見下ろしている龍だ。穏やかで知的な光が宿る双眸が、見守るように細められている。
「グルル」
「きゅう!」
白珠と闇兎が悠里に寄り添い、頭を擦りつけてくる。穏やかな雰囲気の白珠はともかく、闇兎は「褒めて!」と言うように瞳を煌めかせていた。
悠里は口元に微かな笑みを浮かべて、二体の頭を撫でる。
「……もしかして、前に、会わせてほしいってお願いしたのを、叶えてくれたの?」
答えは聞かずとも分かっていた。
悠里が以前何気なく玻璃の瓶の作り手に会いたいとこぼした言葉を、二体は忘れていなかったのだ。
「グル」
「きゅきゅ!」
「ふふ、ありがとう」
二体と戯れる悠里の横で、狼泉は呆然と立ち尽くしているようだった。視線は龍から逸れることはなく、唇がわなないている。
悠里はその姿を不思議に思ったが、すぐに気づいた。魔獣に対して恐れる心を持たない悠里とは違い、狼泉は龍に怯えているのだ、と。
「狼泉」
そっと寄り添い、狼泉の手を握る。ピクッと震えを感じた後に、ゆっくりと視線が悠里に向けられた。
その青い瞳を覗き込むように見上げ、悠里は微笑む。
「大丈夫だよ。全然、敵意を感じないもん」
「……それは、悠里だから」
「そうかな? 狼泉に向ける眼差しも、優しいと思うけど」
首を傾げながら龍に視線を向ける。龍は目を細めて頷いた。小さな動きのはずなのに、巨体だから実際以上に圧を感じる。
「――ただ、ちょっと大きすぎて、話しにくいかも?」
正直な感想を漏らすと、狼泉が焦ったように悠里の手を引いた。
「悠里っ、そんな文句を言うのは――」
狼泉の言葉が途中で途切れる。息を呑んで固まっていた。悠里も狼泉ほどではなくとも驚く。
龍がみるみるうちに、小さくなっていったのだ。
「……それは失礼したな、幼君」
「しゃべった!? というか……え、人間!?」
悠里は混乱して思ったことをそのまま口に出していた。龍が小さくなった後、狼泉ほどの体格の男が木の根元で立っていたのだ。これで驚かずにいられるわけがない。どう見ても、龍が人間に変わったようにしか見えなかった。
「姿だけだ。我は神獣なれば、人の身をとるも容易きことよ」
「……え、そうなの?」
目を細め、悠里の混乱ぶりを楽しそうに眺める男の言葉に、悠里は疑問の声をこぼしながら狼泉を見上げる。
狼泉は目を見開いて少し腰が引けていたが、悠里の視線を察して、錆びついた音がしそうな動きで視線を動かした。そして、悠里を見つめて少し緊張を解く。
「……あぁ、神獣は獣の身と人の身を行き来する生き物だ」
「へぇ、不思議……」
悠里は呟きながら男に視線を戻す。同時に、心の中で納得していた。
以前、狼泉から天琥の族長と狼朗が想い合う関係であったと聞いた時、獣の姿の者と愛情を交わすとは、奇特な人間だなと密かに思っていたのだ。王と契約を交わしたという話から神獣が言葉で意思疎通できるのだろうと予想していたが、人間の姿をとれるとは考えもしなかった。
「――なんという種族なのですか?」
神獣に会えるとは思っていなかった悠里は、無礼かもしれないと思いつつ、好奇心に負けて話しかける。
「その者が言った通り、古龍だ」
「ということは、古龍はやっぱり魔獣じゃなくて神獣だったのか……」
独り言を呟く。人間の中では古龍が魔獣なのか神獣なのかは定かにされていないと、狼泉が前に言っていたので覚えていたのだ。その答えが思いがけずもたらされ、悠里はにこりと笑う。
「さよう。国を持たない神獣ゆえ、人間は我らについて確かなことを知らぬのだ」
「そういう神獣もいるんですね」
「ああ。たいていは、天より遊びに降りてくる」
「あ、神獣が本来は天で暮らす生き物というのも、真実ということですね」
古龍は悠里が思い浮かべた疑問に答えるように、次々と情報をもたらしてくれる。知的好奇心が満たされて、悠里はさらに笑みを深めた。
神獣とはどんな生き物なのだろうかと思っていたが、噂通り慈悲深い性質のようだ。
「――じゃあ、天琥はみんな天に帰ったというのも事実ですか?」
狼泉が息を呑む気配がした。流れに任せて尋ねてしまったが、配慮のない質問をしてしまったと、悠里は少し後悔する。
そんな二人を順繰りに眺め、古龍が口元に浮かべた笑みを深めた。
「――否」
「え……」
「っ、天琥は、まだこの世界にいらっしゃるのですか!?」
目を瞬かせて戸惑った悠里に代わり、狼泉が勢いよく身を乗り出すようにして尋ねる。その声には悲痛な響きがあった。
古龍が狼泉に視線を移し、僅かに目を細める。その目に浮かぶ感情がどのような種類のものか、悠里には判別ができなかった。
「否。純なる天琥は、今この地にいない」
「それは……どのような意味なのでしょうか……?」
狼泉の声が困惑で揺れる。悠里も古龍の言葉を理解しかねて、首を捻った。
「よいか。よく聞くがよい、愚かなる王の末裔よ」
「っ……」
古龍の呼び掛けの言葉に、狼泉が身体を震わせる。悠里は反射的に古龍を睨んだ。
どこで狼泉の出自を知ったのかは分からないが、そのことで責めるような言動を許すことはできなかった。
「……幼君。我は責めているのではない。ただ事実を口にしただけだ」
「それでも……傷つけるような言い方は、嫌です」
宥めるような眼差しと口調に、悠里は唇を尖らせて不満を告げる。会ったばかりの、畏れ多い存在であるはずの神獣に対し、馴れ馴れしい態度だと分かっている。それなのに、なぜか自然と甘えてしまっていたのだ。
「ふぅむ? 我ら神獣は、人の名を呼ばうことを避けているのだが……。よかろう。そなたのことは、これから狼と呼ぼう」
「……はい」
「それなら、いいですけど。……僕をヨウクンと呼ぶのも、名前を呼ばないためですか?」
これまで聞き流していた呼び名について尋ねると、古龍は目を細めた。
「いまだ目覚めぬ者の名は、それ以外に呼びようがなかろうよ」
「どういう意味ですか?」
謎な言葉に悠里は困惑し、尋ね返す。だが、古龍は意味深な笑みを口元に浮かべ、黙り込んでしまった。
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