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一章
bカップ!?
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前書き──
ここまで、読んでいただきありがとうございます。今作品は、なろうに投稿しているものを投稿しています。
これより先、毎日ストック分を投稿していくのでブクマなど、してくれたらこのジル・ド・レー最高のry
───――――――──────────
「まさか、ドラゴンオブナイツの装備が実際に手に入るなんて思っても無かったよ。そーや、君は名前あるのか?」
いそいそと服を着替えながら辰巳が問いかけると相変わらずな短調返事が返ってきた。
「まあ。『はい』か『いえ』で返答されるとは思っていたが……」
「マスター、私に名前を付けて欲しい」
「名前か」
名前が無ければ流石に呼びにくい。『君』だとか『貴女』だとかは偉そうで言いたくもあまり無かった辰巳が名前について考える準備に入ると少女は頷いた。
しかし、ペットを飼ったことも無ければ何かの名付け親になった事も辰巳は無い。ゲームだとしても、名前をつけるとすれば自分の名前ぐらいだ。
簡単に付けて良い事もない。名とは個々が一生背負っていくものなのだ。故に感じる重たいプレッシャーに、思わず眉を顰めて黙考した。
だが、沈黙を許さないかのように、少女は袖を引っ張り辰巳の意識を手繰り寄せる。
吸い込まれてしまいそうな大きい瞳で辰巳を写してから口を開いた。
「そう。ほかの所に行けないぐらい、マスターで一杯にして」
顔を赤らめない少女とは裏腹に、跳ね上がった心拍数に正常な呼吸が苛まれた辰巳は、頬を赤く染め上げてから否定をした。
「いやだから! 勘違いを呼びかねないから! 危ないから! 俺まだ十八だから!」
「私は、まだ三歳。マスターの体しかしらない」
「おいこら、ばば馬鹿じゃねぇの?! 確かに新規契約して三年目だけど、人の体で言われたら警察沙汰だから! 評論家とか呼んじゃうレベルだから! 『近頃の男は、幼い少女に抑情でにずに欲情を──』とか、言われちゃうから」と、辺りを見渡し、気にしながらも大きい声で恥ずかしさを覆い隠した。辰巳の必死であり無罪を主張するためにあたって必至の弁解に少女は初めて瞼を細める。
「マスター」
初めて崩した表情に、不意をつかれつつも人間らしい反応に変な感覚を覚え、声を吃らせる。
「な、なんだよ」
「煩いですよ」
「お前のせいだろーいがぁぁい!」
「はあはあ」と、全てを出し切った後に吸い込む空気は美味しくあり、そのせいもあってか良くも悪くも頭の回転が良い。
辰巳は、ポンと高い音を短く鳴らすと少女を見つめた。
「君の名前は、シシリだな」
悩むのをやめて、この場から逃げる為にポンッと出た名前。
なんてことは無い、スマホに備わっている人工知能の名前を少しほんの少しアレンジを加えただけだった。
だが、思いの外ちょっとは可愛い名前だと辰巳は、眉を寝かせて満足気な表情を浮かべる。
「分かりました。私の名前をダウンロード。名前、シ・シリ」
「おい、変な所で伽るなよ。外国人ぽい名前なっただろーがよ。と言うか、聞き方次第ではタダの変態だろーが」
「ふむ?」
シシリは、瞬きを一切せずに頬に手をあてがいながら首を傾げる。
彼女が唯一、目立つ仕草をするとすれば首を傾げる事ぐらいなのだろうか。等と疑問に抱きながらも装備をした事により出来た心のゆとりが辰巳の緊張感を解した。
「まあ、いい。と言うか、ここが何処かとかは分からないのか??」
シシリは、携帯だ。ならば、地形の把握が出来るやもしれない。もしくは、この世界にも携帯等が需給しており、電波的な何かをジャックして云々。
「分からない。私のデータにはこの世界の事を理解出来る物が何一つ入っていない」
「ですよねー。分かってました。分かってながらも、聞いた部分があるのを認めましょう」
浅はかだった期待に零れるのは溜息だった。
まだ、日はてっぺんを指しては居ないが、時間がわからない今、此処でタダ呆然と時間を潰すのは余りに危険。
それに、早く宿屋などで体を休めたい気持ちが何よりも大きかった。
「だけど、この辺りを検索する事は可能」
「何だって!?」
シシリの言葉に一筋の光を見た辰巳は、眉を見開き驚きを顕にした。
「はい。私には、マスターが扱っていた時のデータを具現化する力があるようです」
「マジか!」
「……マジです」
「マジかよ!」
「──ちっ」
シシリは、天に手を翳す。たった一瞬ではあるが、そのたった一瞬で二人を中心に天候は激変した。
龍が蜷局を巻くが如く渦巻いた灰色く出来た分厚い雲に紫色の雷が這っている。
木を裂き割る様な耳に残る嫌な音が天で鳴り始めたかと思えば、風は生暖かく嫌な感じだ。闇に身を落とした一部の大地の中でシシリは悠然と立ちつすく。
シシリから感じる異様なまでの覇気を、五感全てで感じだ辰巳は固唾を飲み込み黒い双眸で恐怖を写した。
だらしなく開いた口は、本来の役目を忘れ乾いてゆく。
「──天に仇なす闇の理は天を制する祖への冒涜。故に、祖に代わり天誅を降そう。雲を割り、地を焼く灼熱の一閃……。迸る灼熱の雷──」
ユックリと綴らる詠唱。だが、辰巳は違和感を拭えなかった。
「ま、まて!! 迸る灼熱の雷撃を使うな! つか、さっきサラッと舌打ちしたよな?」とシシリとの前に両手を隔てて静止した辰巳には聞き覚え、いや見覚えがある詠唱。
思い出すのも恥ずかしい数年前、自分で書作をしていた小説で用いた呪文だったのだ。
自分が書いた小説の技が具象化した興奮も然る事乍ら、何の変哲もなく扱えるシシリには驚いた。
シシリは、辰巳の言葉に応じて天に翳した手をそっと下ろした。と同時に怒りを現した様な天候は収まり青々とした空の下《もと》で静けさを取り戻す。
「何故?」
シシリが不思議そうに問いかける。
「何故って、この呪文は魔王の幹部を一撃で塵にするほどの破壊力をもってるんだぞ? もし、何もない所で使ったりしたらどうなることやら」
(まあ、もし設定通りの力を持っていたとしたら、の話だがな……)
「私には良くわかりません。知っている事はデータのみで、実際どうなるのか……までは想像がつかないのです」
辰巳は、シシリの言葉を納得した。と言うのも、人工知能は学習する知識はあっても最初から万能な知恵を持ち合わせてはいない。例え、人智を超える知能があったとしても発揮されるのキッカケが必要な筈。
つまりは、赤子も当然なのだ。ならば、とやはり先導するのは自分か居ないと理解をしてシシリの細い肩にそっと手を置いた。
「気にするな。これから、呪文の発動等は俺が指揮をする。そこで、一つ質問をいいか?」
「はい、胸のサイズはBカップです。因みに柔らかさはマスター好みかと」
「おい! 誰も言ってねぇよそんなこと! ちげぇよ! 呪文は何でも使えるのか? って事を聞きたいんだよ」
「そうなんですか。それは、失礼いたしました。呪文は、マスターが取り込んだデータ内でなら使う事は可能だとお──」
「だ、誰か助けてくれ!! 死霊《アンデッド》だぁあ!!」
二人の会話を割いた、畏れを乗せた男性の切羽詰まった声。
辰巳はシシリと眼を合わせたまま頷く。
自信があったのだ、シシリの力は紛れも無く本物。負ける気がしなかった。
「行くぞ、シシリ」
「はい、マス……せーんぱい! お昼ですよー! 私、先輩の為にご飯作ったんですー!」
シシリの声じゃない元気で明るい声が響いた。
踏み出した一歩を元の定位置に戻し再びシシリを見つめる。
「あの、その聞き覚えがある台詞はなんですか」
「分かりません。ですが、どうやらマスターが私の体内に仕込んでいたようですね」
「ああ、知ってる。間違いなく俺のアラームだ、つーことは今日本時間で十二時って事か。と言うか! その言い方をやめろよ……」
(警備員として、働いていた時の唯一疲れを癒してくれる声が異性に聞かれるとここまで恥ずかしいものなのか)
「訂正。マスターが弄って教え込んだようです」
「はあ……。まぁいい。取り敢えず助けに行こう。街への手掛かりも得られるやもしれん」
こうして、二人は男性の元へと忍び足で進む。
然程遠くはない距離だからこそ慎重に進む中で辰巳の心は間違いなく踊っていたのだった。
ここまで、読んでいただきありがとうございます。今作品は、なろうに投稿しているものを投稿しています。
これより先、毎日ストック分を投稿していくのでブクマなど、してくれたらこのジル・ド・レー最高のry
───――――――──────────
「まさか、ドラゴンオブナイツの装備が実際に手に入るなんて思っても無かったよ。そーや、君は名前あるのか?」
いそいそと服を着替えながら辰巳が問いかけると相変わらずな短調返事が返ってきた。
「まあ。『はい』か『いえ』で返答されるとは思っていたが……」
「マスター、私に名前を付けて欲しい」
「名前か」
名前が無ければ流石に呼びにくい。『君』だとか『貴女』だとかは偉そうで言いたくもあまり無かった辰巳が名前について考える準備に入ると少女は頷いた。
しかし、ペットを飼ったことも無ければ何かの名付け親になった事も辰巳は無い。ゲームだとしても、名前をつけるとすれば自分の名前ぐらいだ。
簡単に付けて良い事もない。名とは個々が一生背負っていくものなのだ。故に感じる重たいプレッシャーに、思わず眉を顰めて黙考した。
だが、沈黙を許さないかのように、少女は袖を引っ張り辰巳の意識を手繰り寄せる。
吸い込まれてしまいそうな大きい瞳で辰巳を写してから口を開いた。
「そう。ほかの所に行けないぐらい、マスターで一杯にして」
顔を赤らめない少女とは裏腹に、跳ね上がった心拍数に正常な呼吸が苛まれた辰巳は、頬を赤く染め上げてから否定をした。
「いやだから! 勘違いを呼びかねないから! 危ないから! 俺まだ十八だから!」
「私は、まだ三歳。マスターの体しかしらない」
「おいこら、ばば馬鹿じゃねぇの?! 確かに新規契約して三年目だけど、人の体で言われたら警察沙汰だから! 評論家とか呼んじゃうレベルだから! 『近頃の男は、幼い少女に抑情でにずに欲情を──』とか、言われちゃうから」と、辺りを見渡し、気にしながらも大きい声で恥ずかしさを覆い隠した。辰巳の必死であり無罪を主張するためにあたって必至の弁解に少女は初めて瞼を細める。
「マスター」
初めて崩した表情に、不意をつかれつつも人間らしい反応に変な感覚を覚え、声を吃らせる。
「な、なんだよ」
「煩いですよ」
「お前のせいだろーいがぁぁい!」
「はあはあ」と、全てを出し切った後に吸い込む空気は美味しくあり、そのせいもあってか良くも悪くも頭の回転が良い。
辰巳は、ポンと高い音を短く鳴らすと少女を見つめた。
「君の名前は、シシリだな」
悩むのをやめて、この場から逃げる為にポンッと出た名前。
なんてことは無い、スマホに備わっている人工知能の名前を少しほんの少しアレンジを加えただけだった。
だが、思いの外ちょっとは可愛い名前だと辰巳は、眉を寝かせて満足気な表情を浮かべる。
「分かりました。私の名前をダウンロード。名前、シ・シリ」
「おい、変な所で伽るなよ。外国人ぽい名前なっただろーがよ。と言うか、聞き方次第ではタダの変態だろーが」
「ふむ?」
シシリは、瞬きを一切せずに頬に手をあてがいながら首を傾げる。
彼女が唯一、目立つ仕草をするとすれば首を傾げる事ぐらいなのだろうか。等と疑問に抱きながらも装備をした事により出来た心のゆとりが辰巳の緊張感を解した。
「まあ、いい。と言うか、ここが何処かとかは分からないのか??」
シシリは、携帯だ。ならば、地形の把握が出来るやもしれない。もしくは、この世界にも携帯等が需給しており、電波的な何かをジャックして云々。
「分からない。私のデータにはこの世界の事を理解出来る物が何一つ入っていない」
「ですよねー。分かってました。分かってながらも、聞いた部分があるのを認めましょう」
浅はかだった期待に零れるのは溜息だった。
まだ、日はてっぺんを指しては居ないが、時間がわからない今、此処でタダ呆然と時間を潰すのは余りに危険。
それに、早く宿屋などで体を休めたい気持ちが何よりも大きかった。
「だけど、この辺りを検索する事は可能」
「何だって!?」
シシリの言葉に一筋の光を見た辰巳は、眉を見開き驚きを顕にした。
「はい。私には、マスターが扱っていた時のデータを具現化する力があるようです」
「マジか!」
「……マジです」
「マジかよ!」
「──ちっ」
シシリは、天に手を翳す。たった一瞬ではあるが、そのたった一瞬で二人を中心に天候は激変した。
龍が蜷局を巻くが如く渦巻いた灰色く出来た分厚い雲に紫色の雷が這っている。
木を裂き割る様な耳に残る嫌な音が天で鳴り始めたかと思えば、風は生暖かく嫌な感じだ。闇に身を落とした一部の大地の中でシシリは悠然と立ちつすく。
シシリから感じる異様なまでの覇気を、五感全てで感じだ辰巳は固唾を飲み込み黒い双眸で恐怖を写した。
だらしなく開いた口は、本来の役目を忘れ乾いてゆく。
「──天に仇なす闇の理は天を制する祖への冒涜。故に、祖に代わり天誅を降そう。雲を割り、地を焼く灼熱の一閃……。迸る灼熱の雷──」
ユックリと綴らる詠唱。だが、辰巳は違和感を拭えなかった。
「ま、まて!! 迸る灼熱の雷撃を使うな! つか、さっきサラッと舌打ちしたよな?」とシシリとの前に両手を隔てて静止した辰巳には聞き覚え、いや見覚えがある詠唱。
思い出すのも恥ずかしい数年前、自分で書作をしていた小説で用いた呪文だったのだ。
自分が書いた小説の技が具象化した興奮も然る事乍ら、何の変哲もなく扱えるシシリには驚いた。
シシリは、辰巳の言葉に応じて天に翳した手をそっと下ろした。と同時に怒りを現した様な天候は収まり青々とした空の下《もと》で静けさを取り戻す。
「何故?」
シシリが不思議そうに問いかける。
「何故って、この呪文は魔王の幹部を一撃で塵にするほどの破壊力をもってるんだぞ? もし、何もない所で使ったりしたらどうなることやら」
(まあ、もし設定通りの力を持っていたとしたら、の話だがな……)
「私には良くわかりません。知っている事はデータのみで、実際どうなるのか……までは想像がつかないのです」
辰巳は、シシリの言葉を納得した。と言うのも、人工知能は学習する知識はあっても最初から万能な知恵を持ち合わせてはいない。例え、人智を超える知能があったとしても発揮されるのキッカケが必要な筈。
つまりは、赤子も当然なのだ。ならば、とやはり先導するのは自分か居ないと理解をしてシシリの細い肩にそっと手を置いた。
「気にするな。これから、呪文の発動等は俺が指揮をする。そこで、一つ質問をいいか?」
「はい、胸のサイズはBカップです。因みに柔らかさはマスター好みかと」
「おい! 誰も言ってねぇよそんなこと! ちげぇよ! 呪文は何でも使えるのか? って事を聞きたいんだよ」
「そうなんですか。それは、失礼いたしました。呪文は、マスターが取り込んだデータ内でなら使う事は可能だとお──」
「だ、誰か助けてくれ!! 死霊《アンデッド》だぁあ!!」
二人の会話を割いた、畏れを乗せた男性の切羽詰まった声。
辰巳はシシリと眼を合わせたまま頷く。
自信があったのだ、シシリの力は紛れも無く本物。負ける気がしなかった。
「行くぞ、シシリ」
「はい、マス……せーんぱい! お昼ですよー! 私、先輩の為にご飯作ったんですー!」
シシリの声じゃない元気で明るい声が響いた。
踏み出した一歩を元の定位置に戻し再びシシリを見つめる。
「あの、その聞き覚えがある台詞はなんですか」
「分かりません。ですが、どうやらマスターが私の体内に仕込んでいたようですね」
「ああ、知ってる。間違いなく俺のアラームだ、つーことは今日本時間で十二時って事か。と言うか! その言い方をやめろよ……」
(警備員として、働いていた時の唯一疲れを癒してくれる声が異性に聞かれるとここまで恥ずかしいものなのか)
「訂正。マスターが弄って教え込んだようです」
「はあ……。まぁいい。取り敢えず助けに行こう。街への手掛かりも得られるやもしれん」
こうして、二人は男性の元へと忍び足で進む。
然程遠くはない距離だからこそ慎重に進む中で辰巳の心は間違いなく踊っていたのだった。
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