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第3作 ドラゴン・タトゥーの少年 桜の朽木に虫の這うこと(三)
第59話 太陽と月
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「ぎひ、ディオティマさま……やはり来たようです。しかも、今度は二人で」
バニーハートの耳が、再びピクピクと揺れた。
「ミスター羽柴もいらっしゃいましたか。おそらくはミスター鷹守に邪魔が入らないため。ふふっ、ちょうどよいあんばいに、2対2となりますねえ」
スクリーンをながめながら、ディオティマはくつくつと笑った。
「どうしますか?」
「お望みのとおりにしてさしあげましょう。ウツロ・ボーイのほうも気になるところですが、しかたがありません」
「では……」
「ふむ、思うぞんぶん暴れてきなさい。好きなようにしてよいですよ?」
「ぎひひ、袋叩きにしてやります」
「ふふふ、楽しいですねえ、実に」
バニーハートは退室し、あとにはディオティマはひとりとなった。
*
しばらく経過したのち。
「ミスター羽柴」
入口に感じた気配に、ディオティマは話しかけた。
羽柴雛多、彼だ。
シェルターのような実験室の中を、ゆっくりとこちらに歩いてくる。
「龍影会のそうそうたる幹部方が、この場所を血眼になって探しています」
この場所の存在を上層部へは報告していないことを、彼は示唆した。
「おやおや、情報のシェアをしなくともよいのですか? あとで大目玉を食らうのでは?」
ソファーから立ち上がりながら、ディオティマは語りかける。
「いいじゃありませんか。とびっきりのごちそうをいただけるチャンスなんですから」
「言いますねえ。しかしその感覚、決して嫌いではありません」
ほどよい間合いに、二人は立つ。
「どうしますか、ディオティマさん?」
「受けてたつしかありますまい。しかしミスター羽柴、あなたはおよそ体験したことのない、絶望と恐怖を味わうことになるでしょう」
「いいですねえ、むしろ味あわせてくださいよ。俺は人生に刺激が多いほうが楽しいタイプなんです。幽くんほどじゃありませんが」
「ふふ、よろしい。では見せていただきましょう、あなたのとっておきを」
「了解です」
羽柴雛多は右腕を高くかざした。
「アルトラ、ビヨンド・ザ・サン……!」
太陽。
小さな太陽が、そこにカッと出現した。
バニーハートの耳が、再びピクピクと揺れた。
「ミスター羽柴もいらっしゃいましたか。おそらくはミスター鷹守に邪魔が入らないため。ふふっ、ちょうどよいあんばいに、2対2となりますねえ」
スクリーンをながめながら、ディオティマはくつくつと笑った。
「どうしますか?」
「お望みのとおりにしてさしあげましょう。ウツロ・ボーイのほうも気になるところですが、しかたがありません」
「では……」
「ふむ、思うぞんぶん暴れてきなさい。好きなようにしてよいですよ?」
「ぎひひ、袋叩きにしてやります」
「ふふふ、楽しいですねえ、実に」
バニーハートは退室し、あとにはディオティマはひとりとなった。
*
しばらく経過したのち。
「ミスター羽柴」
入口に感じた気配に、ディオティマは話しかけた。
羽柴雛多、彼だ。
シェルターのような実験室の中を、ゆっくりとこちらに歩いてくる。
「龍影会のそうそうたる幹部方が、この場所を血眼になって探しています」
この場所の存在を上層部へは報告していないことを、彼は示唆した。
「おやおや、情報のシェアをしなくともよいのですか? あとで大目玉を食らうのでは?」
ソファーから立ち上がりながら、ディオティマは語りかける。
「いいじゃありませんか。とびっきりのごちそうをいただけるチャンスなんですから」
「言いますねえ。しかしその感覚、決して嫌いではありません」
ほどよい間合いに、二人は立つ。
「どうしますか、ディオティマさん?」
「受けてたつしかありますまい。しかしミスター羽柴、あなたはおよそ体験したことのない、絶望と恐怖を味わうことになるでしょう」
「いいですねえ、むしろ味あわせてくださいよ。俺は人生に刺激が多いほうが楽しいタイプなんです。幽くんほどじゃありませんが」
「ふふ、よろしい。では見せていただきましょう、あなたのとっておきを」
「了解です」
羽柴雛多は右腕を高くかざした。
「アルトラ、ビヨンド・ザ・サン……!」
太陽。
小さな太陽が、そこにカッと出現した。
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