【NTR】奥手なエロゲー主人公の代わりにヒロイン全員攻略してみた

悠木仁

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第0話 雛守凛袮②

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「ここが雛守に使ってもらう部屋だ」

 家に上がった凛袮を、凪の部屋の隣にある客室に案内する。クローゼットを開けると、中には客人用の布団が1組用意されていた。

「布団はこれを使ってくれ。着替えは唯の服……は着れないよな」
「……どこ見てんのよ」

 どうやら無意識のうちに目線が彼女の胸元に寄ってしまったらしい。凪は慌てて目線をずらした。幼馴染とはいえ、いやだからこそ、凪にとって彼女の成長は目に毒だった。幼い頃からの付き合いで、家族同然でもある彼女をそういう目・・・・・で見るのははばかられたが、年頃の男子高校生に意識するなという方が無茶だろう。

「俺の服でもよければ貸すけど……」
「えぇー……」

 露骨に嫌そうな顔をする凛袮。

「私が脱いだ後に変なことに使う気じゃ……」
「使わないから! お、お前でそんなことするわけないだろ!?」
「は? なにそれどういう意味?」
「なぜそこで怒る……」

 今度は不機嫌になる凛袮。一体どうすれば良いのだろうか。

「はぁ……まぁ、いいわ」
「え?」
「だーかーらー、あんたの服を着てあげるって言ってるの」
「なんだよその言い方……」
「悪い?」

 偉そうな態度をとる凛袮。本来であれば立場が逆な気がしないでもないが、ここはグッと堪える。

「相変わらずだな、お前は」
「……っ! あ、あんたに相変わらずとか言われたくないし……」
「別にいいだろ。小さい頃からずっと一緒なんだから」
「……!」

 凛袮が急に黙り込む。

「雛守?」

横から覗き込むと、彼女の顔が真っ赤に染まっているのが見えた。

「そういうの、ずるい……」
「……?」

 訳がわからない、とでも言いたげな凪を、凛袮はジロリと睨みつける。

「……鈍感」
「えっ、俺!?」
「他に誰がいるのよ。……あと、凛袮でいいから」
「いや、でもさっきは名前で呼ぶなって……」
「学校で呼ばれるのが恥ずかしかっただけ。2人だけの時は、名前でいいから」

 自分では特に意識したことはなかったが、高校生にもなると異性を名前を呼ぶのは恥ずかしいことなのだろうか。ずっと彼女を名前で呼び続けていたので、よくわからない。

「わかった」
「……うん。ところで、シャワーを貸りたいんだけど」
「シャワー?」
「今日体育があったでしょ?汗でびしょびしょなの」
「びしょびしょ……」

 ワイシャツの胸元を摘む凛袮を観察する凪。よく見ると、確かに汗で体が濡れているようだ。おかげで濡れてしまったワイシャツに黒色のブラが透けてしまっていた。模様までしっかり確認しようとしたところでなんとか目線を外す。これ以上見続けるのはあまりよろしくない。主に体の一部分にとって。

「そ、それじゃあ着替えは俺が用意しておくから。先に風呂場に行っててくれ!」
「わかった。それじゃ、お言葉に甘えて」

 そう言って部屋を出て行く凛袮を見送り、ほっと胸を撫で下ろす凪であった。


***   ***   ***


「うーん……まずいことになったな」

 凪はリビングで1人、深くため息を吐いた。
 凛袮がシャワーを浴びている間、彼女を家に泊めることを唯に報告しようとスマホを取り出したところ、彼女の方からメールが届いたのだ。その内容は、

『拝啓、お兄ちゃん。今日はクラスの友達の家に泊まります。今日の夕食と明日の朝食は冷蔵庫の中にあるおかずを好きに食べてください』

(なんで敬語なんだ……?)

 彼女が自分から家を空けると言い出すのは珍しいことだ。なにせ、修学旅行の時でさえ「お兄ちゃんが心配だから」と欠席しようとしたくらいだ。
 もしかすると、今朝のことを気にしているのかもしれない。そう考えると、メールの内容が堅苦しいのも頷ける。あんなことがあったのだ。顔を合わせづらいのだろう。

「気にしないって言えば嘘になるけど、わざわざここまでしなくても……」

 大袈裟かもしれないが、兄として一度彼女と話し合う必要があるだろう。いつまでもこのままでは日常生活に支障が出てしまう。唯にかぎって、そんなことはないと思いたいが。

(とりあえず帰ってくるまでにフォローの仕方を考えておくか……ん?)

 よく見ると、最後の方にも何かが書いてある。

『PS.シャンプーが切れていたので詰め替えておいてください。詰め替え用は物置にあります』

「シャンプーか。後でやっておこう……ん?」

 そこまで考えて、ふと凛袮のことを思い出す。彼女は今シャワーを浴びている。ということは、シャンプーがなくなっていて困っているはずだ。

「今すぐ渡しに行くか」

 リビングの隣にある物置から詰め替え用のシャンプーを取り出し、洗面所へと向かう。扉の外から耳を澄ませると、中からシャワーの音が聞こえてきた。ここの扉の先に洗面所がある。風呂場はさらにその奥にあるので、今なら入っても出くわすなんてことはないはずだ。
 凪は洗面所の扉を横にスライドさせた。

「へっ?」
「えっ」

 そこにあったのは風呂場の扉ではなく、少女の裸体だった。うっすらと日に焼けた肌はユニフォームを型取り、普段は結ばれている髪が腰のあたりまで伸ばされていた。そしてブラという枷から外れた二対の巨峰。その中央には可愛らしい桃色の種が埋まり、先から少しずつ、水がポタポタと滴っていた。

「「…………」」

 凍りつく空気の中、驚愕の出来事に思わず目を丸くする凛袮に対して、凪の目はひたすらに彼女の胸を捉えていた。

「い――」
「……!」

 凛袮の様子が変わり、ハッと意識を取り戻す凪だったが、時すでに遅し。

「いやぁぁぁぁぁぁあ!!」
「ぐほぉぉ!」

 放たれた凛袮の拳は、見事に彼の腹部に炸裂した。


***   ***   ***


「……ごちそうさまでした」

 静かな、しかし確かな怒りを込めたその言葉と共に、凛袮はピシャリと音を鳴らしながら箸を置いた。その音に反応した凪がビクッと体を震わせる。先ほどのアクシデントの後、凪は必死に事情を説明したが、それから凛袮の機嫌が直ることはなかった。唯が帰ってこないことを話した時に見せたあの顔は、おそらく一生忘れることはないだろう。文字通り、ゴミを見るような目をしていた。
 凛袮は自分が使った食器を片付けると、さっさと客室へ戻ってしまう。「食器は自分が片付ける」と言おうとした凪だったが、彼女の「話しかけるな」というオーラがそれをさせなかった。
 食事を終え、自分の食器を片付ける。風呂を洗って、洗濯機を回し、家中の戸締りを確認。その後、自分の部屋へ戻ろうとする。だが、どうしても凛袮の様子が気になってしまった。やはり、ここはもう一度謝るべきだろう。せっかく戻り始めた仲を、こんな形で壊すのは望ましくない。
 意を決した凪は、客室の扉をコンコンとノックした。いきなり扉を開ければ、さっきのようなことになるのは目に見えている。すると、中からドンッと鈍い音が響いた。耳を澄ませると、布が擦れるような音と共に、バタバタとこちらへ駆けてくるのがわかる。そして、ガチャリと扉が開いた。

「はぁ……はぁ……な、なに……?」
「いや、さっきの件を謝ろうと――って、なんだその汗!?」

 息を切らしながら出迎えた凛袮の体は、運動をした直後かのように汗だくだった。髪はボサボサで、服も乱れている。一体何があったのだろうか。

「き、気にしないで……はぁ……要件は……それだけ……?」
「そうだけど……大丈夫か? 息も荒いし、顔も真っ赤だぞ?」
「本当に……大丈夫だから! むしろ今来られると悪化するというか……あっ」
「お、おい!」

 突然体勢を崩す凛袮を支えるように肩を抑える。すると、何故かその体がビクンッと大きく震えた。

「んん~~っ!!」

 高い声を上げると、凛袮はぺたりとその場に座り込んでしまう。慌てて介抱しようとする凪だったが、凛袮は手を前に出してそれを拒んだ。

「お願い……今夜はそっとしておいて……ふぅ……ふぅ……」
「よくわからないけど……わかった。何かあったらすぐに呼んでくれ」

 凛袮のことを気にかけながらも、凪は自分の部屋へと戻った。


***   ***   ***


「お兄ちゃん!!」

 凛袮が風見家に泊まった翌日の朝、風見家の扉が勢いよく開かれた。入って来たのはこの家の本来の住人、風見唯。一晩寝て昨日のことをすっかり忘れたのか、兄のことが心配になった彼女は、朝食も食べずに大急ぎで帰って来たのだ。

「ごめんね! 突然1人にしちゃって……もうどこにも行ったりしないか……ら?」
「お、おはよう、唯ちゃん。……お邪魔してます」

 しかし出迎えたのは兄ではなく、隣の家にいるはずの幼馴染だった。何やら気まずそうにこちらを見ている。

「り、凛袮お姉ちゃん? あれ、私家を間違えて……」
「お帰り、唯。お泊まり会は楽しかったか?」
「うん、楽しかったよ――ってそうじゃなくて!」

 兄の姿を確認し、やはりここが自分の家であることを再確認する唯。自分の留守中に女性を連れ込んでいることについて問い正そうとするが、そんな彼女の頭を凪が優しく撫で始める。あまりの気持ち良さに、唯は思わず猫撫で声を出してしまう。

「ふにゃあ……」
「唯、お兄ちゃんはお前がどんな性癖を持っていようと、ずっとお前の味方だからな」
「にゃ~ん…………は? えっ?」
「ちょうど朝食の準備ができたところなんだ。これから3人で食べよう」
「ちょっと、お兄ちゃん? それってどういう意味? お兄ちゃん、お兄ちゃーん!!」

 唯を無視して凛袮と共にリビングへと向かってしまう凪。玄関には彼女の声だけが虚しく鳴り響いた。


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