君は僕の運命、僕を殺す定め

秋月真鳥

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後編 (受け視点)

7.英雄譚にはない夜

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 座っていたソファの上からアルトゥロはミヒャエルを担ぎ上げるようにして廊下を歩いて行く。階段を上って二階の自分の部屋に入ったアルトゥロに、ミヒャエルは既視感を覚えていた。
 外からしか見たことがなかったが、アルトゥロは幼い頃もこの部屋に暮らしていた。英雄譚の内容を伝えるためにミヒャエルが訪ねて行って、気付いてもらえるまで小石を投げ続けた部屋の中に、今はミヒャエルとアルトゥロがいる。
 部屋の中を見ていると、アルトゥロが少し乱暴にミヒャエルをベッドの上に落とした。ベッドのスプリングが軋んで、ミヒャエルの身体が軽く跳ねる。

「アルトゥロ、何を……」
「やっと俺の名前を呼んだ」

 ベッドの上に倒されて服を脱がされている間、ミヒャエルは間近にあるアルトゥロの顔を見ていた。英雄というだけあってやはり顔がいい。整った顔立ちを見ていると、脱がされて全裸にされてしまう。裸になった状態でさすがにミヒャエルもこの状況がおかしいことには気付いていた。

「君の相手は、僕じゃない……君の相手は、でぃ……」

 溜まっているので欲望を開放したいだけなのかもしれないが、本来のアルトゥロの相手はミヒャエルではない。ディーデリヒだ。そのことを伝えようとすると顎を掴まれて唇を塞がれる。胸を押して逃れようとするが、アルトゥロはがっしりとした体格で、ミヒャエルの細腕ではとても逃げられそうにない。
 こんなところで英雄の腕力を使うとは卑怯だ。逃げられないので必死に目を瞑って整った顔に騙されないようにしていると、息ができなくて目から涙が滲んでくる。その涙をアルトゥロは唇で掬い取る。

「兄上、傷付けたくない。大人しくしていてくれ」
「ひっ!? な、なにを!?」

 うつぶせにされてアルトゥロが服を脱いでいくのに気付いて、ミヒャエルは恐れおののいた。
 大きい。
 あまりにも規格外のサイズだ。
 ミヒャエルに男性経験はないので比較のしようがないが、ミヒャエルのものよりも遥かにアルトゥロの中心は大きかった。まだ勃ち上がり切っていない状態であれならば、勃ったときにはどうなるのだろう。あんなものが人体に入ってはいけない気がする。
 愕然としているミヒャエルの双丘を割ってアルトゥロが顔を近付ける。疑似子宮は身体に埋め込まれているが、本来性器ではないそこは、慣れれば濡れて来るのだと聞いているが、ミヒャエルは初めてで濡れるわけがない。それをアルトゥロは唾液で補おうとしているのだろう。

「ダメッ! そんなところ、汚い……!?」
「兄上に汚いところなんてない」

 後孔の周辺を舐めた後で、舌を差し込もうとするアルトゥロは頭がおかしいのではないかとミヒャエルは動転した頭の中で考えていた。こんなところは舐める場所ではないし、舌を差し込んで大事な英雄様が汚れてしまったらどうするのだ。

「ひぃっ!? あぁっ!?」

 そんなところを舐めてはだめだ。正気に戻れ、アルトゥロ!
 言いたい言葉が悲鳴になって上手く形にならない。逃げようと腰を捻ってもがっしりと掴まれていて逃げることができない。舐めただけではなく、アルトゥロはそこに指まで突っ込んでくる。
 確かにアルトゥロの腰の凶悪なブツをミヒャエルの中にどうしても納めたいというのならば、どうにかしてそこを拡げなければいけないのは分かるのだが、ミヒャエルにはそれが到底入るような気がしていなかった。

「兄上……ミヒャエル、優しくするから」
「な、なにを……言って……ひぁっ!?」

 萎えている状態でもかなりの大きさなのに、雫を垂らして勃ち上がっている中心を双丘の狭間に擦り付けられて、ミヒャエルは恐怖に身を縮めた。あんなものが入るわけがない。壊れてしまう。
 ディーデリヒは体格のいい方だから受け入れられるのかもしれないが、ミヒャエルは細身で尻も小さい。そんなものを入れられたらどうなるか分からない。体を丸めて逃げようとするミヒャエルの両手首をアルトゥロが掴んでシーツの上に繋ぎ止める。

「やぁっ!? 君の相手は、僕じゃない!? 間違っている!」
「何も間違ってない。俺の相手はミヒャエルだ」
「ひっ!? ひぁぁ!?」

 ディーデリヒとするべき行為を、アルトゥロはディーデリヒと結ばれることができなかった腹いせにミヒャエルにしているのだろうか。
 後孔に先端を引っ掛けるようにしながら腰を動かされて、ミヒャエルの奥がじんわりと濡れて来るのが分かる。受け入れるためには覚悟を決めなければいけないと、先に体の方が理解したようだ。
 高校に先端を宛がわれて白濁を放ったアルトゥロに、ミヒャエルは胎が疼いているのが分かった。疑似子宮がこの行為に反応しているのだ。

「あ、あついぃ!? ひぃん!?」

 喘ぎながらもミヒャエルの頭の中に浮かんでいるのは、「避妊」の二文字だった。疑似子宮は非常に優秀なので、体内に精が放たれれば受胎してしまう。貴族の嫡子たちが一定年齢まで貞節を守るのは、受胎の危険があるからだった。否認しなければ孕んでしまうのに、アルトゥロはあろうことか自分の放った精をミヒャエルの後孔に塗り込めていく。
 指の数が何本になったかも分からない。シーツの上にうつぶせに繋ぎ止められたまま、ミヒャエルはアルトゥロの指を受け入れて泣き出しかけていた。

「むりぃ!? もう、はいらないぃ!?」
「もう少し拡げないと、俺のは入らない」
「なんで、そんなの……うぁぁ!? うぐぅっ!」

 大きいという自覚があるのならば無理に入れようとしないで欲しい。ミヒャエルの願いも虚しく、アルトゥロは必死にミヒャエルの中を探って、悦い場所を見つけてしまった。男性ならばそこに触れられると反応せずにはいられなくて、そこを責められるたびにミヒャエルの中心から白濁が零れる。白濁を零して達したミヒャエルがシーツを噛んで喘ぎ声を殺して泣いていると、ミヒャエルがやっと指を引き抜いてくれた。耳を噛まれて、注ぎ込むように囁かれる。

「大丈夫だよ、ミヒャエル。あぁ、後ろだけで達してしまったのか」

 流石英雄といういい声ではあるが、そんな声はミヒャエルに使わないで欲しい。ディーデリヒに使って欲しいと願うのに、アルトゥロはミヒャエルのうなじを嚙みながら、更に甘い声で囁く。

「そんな場所、もう使わなくてもいいようにしてやる」

 俺の女にしてやる。
 アルトゥロの言葉にミヒャエルは、胸中で悲鳴を上げていた。腰を掴んだ手に力が入り、両手首を掴んだ手はびくともしない。後孔に切っ先が宛がわれて、ミヒャエルは声のない悲鳴を上げていた。
 無理! そんなの絶対に入らない! 自分のサイズを自覚してくれ!
 声にならない悲鳴はアルトゥロに届くはずもなく、ゆっくりと後孔にアルトゥロの中心が埋まっていく。内壁を擦り上げながら、無理やりに中を拡げるようにして侵入してくるアルトゥロの中心が全部入ったときに、ミヒャエルは短い喘ぎ声しか出すことができなかった。

「ひっ! あっ! ひぁっ! あっ!」

 嘘だろう。そんなものが入るなんて。普通絶対入らないだろう。
 呻いて泣きながらも、ミヒャエルの頭の冷静な部分が囁いてくる。あの巨大なものが入ってしまうなんて人体の神秘を感じてしまう。
 ゆっくりと腰を動かされて、ミヒャエルの胎が反応しているのが分かる。頭に浮かぶ「避妊」の単語。どうしてもそれを伝えなければいけない。

「ミヒャエルの中、気持ちいい……最高だ」
「ぬ、いて……ひっ!?」

 欲望のはけ口にされるのは仕方がないと受け入れる。
 入るはずのないものも入ってしまったのだから、もう事実を受け入れるしかない。できることならば、受け入れずに済む方法を考えたかったが、今更もう遅い。
 それならば、せめて一度抜いて避妊具を付けて欲しい。
 必死に訴えたはずなのに、アルトゥロは何を考えたかミヒャエルの最奥まで腰を進めた。それ以上入らない場所まで突かれて、ミヒャエルは悲鳴を上げる。

「ひぁぁぁぁぁっ!?」

 心とは別で身体はどうしても反応してしまって、アルトゥロに内壁を擦られるたびに快感を拾って中心から白濁が零れる。あんな大きなものが入って尚快感を拾える自分の体がミヒャエルは信じられない。
 もう無理だ。勘弁してほしい。
 遠くなる意識の中ミヒャエルは思っていた。
 目を覚ましたらアルトゥロは欲望を発散させた顔でミヒャエルに部屋から出て行けと言うのだろう。そうでなくても、使用人に手配させてミヒャエルは自分の離れの棟に連れて行かれているかもしれない。
 目が覚めたら解放される。それだけを信じてミヒャエルは意識を手放した。
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