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九章 クリスタちゃんの婚約と学園入学
24.ノエル殿下と同室で
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その日は客間でゆっくりとして過ごし、起きて来たふーちゃんとまーちゃんとお茶をして、ふーちゃんとまーちゃんが遊ぶのを見ながらクリスタちゃんと読書をしたり、詩集を読んだりして過ごして、夕食をエクムント様とカサンドラ様と食べた。
「普段は二人きりですから、賑やかになって嬉しいです」
「エクムントと私では、仕事の話くらいしかしないからな」
エクムント様とカサンドラ様が言い合っているのを聞きながら、顔が赤くならないコツはないのかと考えるわたくしだった。
客間は二部屋用意してあって、わたくしとクリスタちゃんの部屋と、両親とふーちゃんとまーちゃんの部屋があったが、眠るギリギリまでわたくしとクリスタちゃんは両親とふーちゃんとまーちゃんと過ごして、眠るときに別室に移った。
翌日は早朝にふーちゃんとまーちゃんが起きて、わたくしとクリスタちゃんを起こしに部屋に来た。
わたくしもクリスタちゃんも洗面をして身支度を整えると、ふーちゃんとまーちゃんから手を引っ張られた。
「おさんぽにいきましょう?」
「このおやしきのおにわがみたいの」
庭に散歩に出ることは賛成だったが、それには準備がいる。
わたくしとクリスタちゃんとふーちゃんとまーちゃんは日除けのカーディガンを羽織って、帽子を被った。
ふーちゃんとまーちゃんの帽子には飛ばないように顎紐が付いていて、それがまた可愛らしい。
庭に出ると早朝なのでまだ日差しはそんなに強くなかった。木々を渡る風も涼しく、心地よい。
噴水の前に来ると飛沫が若干飛んでくるようで更に涼しさを増していた。
「エリザベートおねえさま、せみがないています」
「ディッペル領の蝉とは少し違う鳴き方ですね」
「クリスタおねえさま、ちょうちょ!」
「捕まえるときには気を付けてくださいね」
庭を元気に駆け回るふーちゃんとまーちゃんは楽しそうである。二人を追い駆けながらわたくしとクリスタちゃんも庭を駆け回っていた。
ブーゲンビリアやハイビスカス、アラマンダやプルメリアが庭には植えてあって、それらが色鮮やかに咲いて、南国の情緒を醸し出している。
地面に落ちたブーゲンビリアの花を拾って遊ぶふーちゃんとまーちゃんをわたくしは見守っていた。
部屋に戻ると汗をかいていて、ふーちゃんとまーちゃんは帽子を脱ぐと髪の毛が濡れてくしゃくしゃになっていた。
朝食の前にヘルマンさんとレギーナがシャワーを浴びさせてくれる。わたくしとクリスタちゃんも汗を流すためにシャワーを浴びた。
朝食は食堂でエクムント様とカサンドラ様とご一緒だった。
「今日は午後からハインリヒ殿下とノルベルト殿下とノエル殿下がいらっしゃいます。私も午後から時間を作るので、以前に行った湖にいきませんか?」
去年行った湖のことはよく覚えている。
美しい湖で、淡いブルーの水が透明度高く水底まで見えるようだった。
周囲の林も木々が茂っていて、散策するのにぴったりの場所だった。
「あの湖はとても美しかったです。ハインリヒ殿下にも見ていただきたいですわ。もちろん、ノルベルト殿下とノエル殿下にも」
水色の目を輝かせるクリスタちゃんに、カサンドラ様が目を細めている。
「クリスタ嬢は本当にハインリヒ殿下がお好きなのですね」
「わたくし、小さい頃ハインリヒ殿下に意地悪をされました。髪飾りを取られたのです。あのときは男の子なんて大嫌いだと思いましたが、ハインリヒ殿下が反省して謝りに来てくださって、それから交流を続けるうちに気持ちが変わって来ました。ハインリヒ殿下はわたくしに誠実に接してくださったのです」
「小さい男の子は好意の示し方が分からずに意地悪をしてしまうことがありますが、ハインリヒ殿下もそうだったのですね」
「意地悪が好意だなんていうのは、わたくし信じたくないですが、反省してその後挽回してくださったから今があるのです」
ディッペル家に来る前のことはほとんど覚えていないというクリスタちゃんだったが、ディッペル家に来てすぐのハインリヒ殿下から髪飾りを奪われて、投げ返されたところを元ノメンゼン子爵の妾が拾って大騒動になったことは覚えているようだ。
あのとき、クリスタちゃんを庇ってわたくしが叩かれたことを、わたくしは今でもしっかりと覚えている。元ノメンゼン子爵の妾は許せないが、クリスタちゃんを庇ったことに関してわたくしは自分を誇らしく思っていた。
「お姉様が取り上げられた髪飾りを取り換えしてくださったんでしたかしら? わたくし、ものすごく怒っていたから、あの後のことはあまり覚えていなくて」
「そうなのですね。忘れていていいですよ、クリスタ」
元ノメンゼン子爵の妾に叩かれそうになったことなど覚えていなくていい。わたくしはクリスタちゃんに優しく声をかけていた。
「ハインリヒ殿下はその頃皇太子になられていなかったけれど、国王陛下の子息ということで、取り返すのは勇気が必要だったでしょう?」
「ハインリヒ殿下は髪飾りをクリスタに投げ返したのです。わたくしはそれを拾っただけです」
カサンドラ様はわたくしの勇気を褒めてくださるが、そういうものではなかったのだとわたくしは話をする。
その当時ディッペル家で仕えていたエクムント様は事の仔細を知っているはずなのだが、わたくしに合わせて何も言わないでいてくれた。クリスタちゃんが元ノメンゼン子爵とその妾と異母妹のことを忘れているのならば、わたくしはわざわざそれを思い出させなくていいと思っていたのだ。
朝食を終えると一度部屋に戻る。
ハインリヒ殿下とノルベルト殿下とノエル殿下が来るので、わたくしとクリスタちゃんは一番お気に入りのワンピースに着替えておいた。ドレスを着るまでもないが、一番お気に入りのワンピースを着るくらいのことはしておきたい。
クリスタちゃんは辺境伯領に来るために買ってもらった、リボンのついたサンダルを履いて、わたくしも花の飾りのついたサンダルを履いていた。
ふーちゃんはシャツとショートパンツで、まーちゃんは可愛いワンピースにまだ完全に取れていないオムツが見えないようにカボチャパンツをはいている。
ハインリヒ殿下とノルベルト殿下とノエル殿下の到着を待っていると、到着が知らされる。
「ハインリヒ殿下、ノルベルト殿下、ノエル殿下、御到着です」
昼食の時間にもなっていたし、わたくしとクリスタちゃんとふーちゃんとまーちゃんと両親で玄関のホールに降りていくと、大きなトランクを護衛に持たせたハインリヒ殿下とノルベルト殿下とノエル殿下がいらっしゃっていた。
「エリザベート嬢、クリスタ嬢、わたくしも同じ部屋でもいいですか?」
「ノエル殿下、よろしいのですか?」
「わたくしは構いませんが、ノエル殿下がそれでいいのでしたら」
トランクを運び込む護衛に部屋を指示するノエル殿下に、わたくしは驚いてしまう。
ノエル殿下は隣国の王女でレーニちゃんとは全く立場が違う。レーニちゃんとは泊まるときには同じ部屋で一緒に眠っていたが、ノエル殿下も同じ部屋になりたがるとは思わなかった。
「わたくしもエリザベート嬢とクリスタ嬢と仲良くなりたいのです。秘密の呼び方で呼び合う仲でしょう?」
片目を瞑って悪戯っぽく笑うノエル殿下に、わたくしもクリスタちゃんも、何も言えることがなくなってしまう。ノエル殿下と交流を深めるのは名誉なことであるし、嫌なはずはなかった。
「クリスタ嬢、お会いしたかったです。エクムント殿、カサンドラ殿、滞在期間中お世話になります」
「ハインリヒ、クリスタ嬢への挨拶が一番に出るのは、どうかと思うよ」
「すみません、つい」
「ディッペル家の皆様もよろしくお願いします」
ハインリヒ殿下とノルベルト殿下が挨拶をしてくださる。わたくしもクリスタちゃんも頭を下げて挨拶をした。
「昼食を用意させています。楽な格好に着替えて食堂へおいでください」
エクムント様に促されて、ハインリヒ殿下とノルベルト殿下とノエル殿下は一度客間に行く。
着替えて戻って来たハインリヒ殿下とノルベルト殿下とノエル殿下と一緒に、わたくしたちは食卓に着いた。
「普段は二人きりですから、賑やかになって嬉しいです」
「エクムントと私では、仕事の話くらいしかしないからな」
エクムント様とカサンドラ様が言い合っているのを聞きながら、顔が赤くならないコツはないのかと考えるわたくしだった。
客間は二部屋用意してあって、わたくしとクリスタちゃんの部屋と、両親とふーちゃんとまーちゃんの部屋があったが、眠るギリギリまでわたくしとクリスタちゃんは両親とふーちゃんとまーちゃんと過ごして、眠るときに別室に移った。
翌日は早朝にふーちゃんとまーちゃんが起きて、わたくしとクリスタちゃんを起こしに部屋に来た。
わたくしもクリスタちゃんも洗面をして身支度を整えると、ふーちゃんとまーちゃんから手を引っ張られた。
「おさんぽにいきましょう?」
「このおやしきのおにわがみたいの」
庭に散歩に出ることは賛成だったが、それには準備がいる。
わたくしとクリスタちゃんとふーちゃんとまーちゃんは日除けのカーディガンを羽織って、帽子を被った。
ふーちゃんとまーちゃんの帽子には飛ばないように顎紐が付いていて、それがまた可愛らしい。
庭に出ると早朝なのでまだ日差しはそんなに強くなかった。木々を渡る風も涼しく、心地よい。
噴水の前に来ると飛沫が若干飛んでくるようで更に涼しさを増していた。
「エリザベートおねえさま、せみがないています」
「ディッペル領の蝉とは少し違う鳴き方ですね」
「クリスタおねえさま、ちょうちょ!」
「捕まえるときには気を付けてくださいね」
庭を元気に駆け回るふーちゃんとまーちゃんは楽しそうである。二人を追い駆けながらわたくしとクリスタちゃんも庭を駆け回っていた。
ブーゲンビリアやハイビスカス、アラマンダやプルメリアが庭には植えてあって、それらが色鮮やかに咲いて、南国の情緒を醸し出している。
地面に落ちたブーゲンビリアの花を拾って遊ぶふーちゃんとまーちゃんをわたくしは見守っていた。
部屋に戻ると汗をかいていて、ふーちゃんとまーちゃんは帽子を脱ぐと髪の毛が濡れてくしゃくしゃになっていた。
朝食の前にヘルマンさんとレギーナがシャワーを浴びさせてくれる。わたくしとクリスタちゃんも汗を流すためにシャワーを浴びた。
朝食は食堂でエクムント様とカサンドラ様とご一緒だった。
「今日は午後からハインリヒ殿下とノルベルト殿下とノエル殿下がいらっしゃいます。私も午後から時間を作るので、以前に行った湖にいきませんか?」
去年行った湖のことはよく覚えている。
美しい湖で、淡いブルーの水が透明度高く水底まで見えるようだった。
周囲の林も木々が茂っていて、散策するのにぴったりの場所だった。
「あの湖はとても美しかったです。ハインリヒ殿下にも見ていただきたいですわ。もちろん、ノルベルト殿下とノエル殿下にも」
水色の目を輝かせるクリスタちゃんに、カサンドラ様が目を細めている。
「クリスタ嬢は本当にハインリヒ殿下がお好きなのですね」
「わたくし、小さい頃ハインリヒ殿下に意地悪をされました。髪飾りを取られたのです。あのときは男の子なんて大嫌いだと思いましたが、ハインリヒ殿下が反省して謝りに来てくださって、それから交流を続けるうちに気持ちが変わって来ました。ハインリヒ殿下はわたくしに誠実に接してくださったのです」
「小さい男の子は好意の示し方が分からずに意地悪をしてしまうことがありますが、ハインリヒ殿下もそうだったのですね」
「意地悪が好意だなんていうのは、わたくし信じたくないですが、反省してその後挽回してくださったから今があるのです」
ディッペル家に来る前のことはほとんど覚えていないというクリスタちゃんだったが、ディッペル家に来てすぐのハインリヒ殿下から髪飾りを奪われて、投げ返されたところを元ノメンゼン子爵の妾が拾って大騒動になったことは覚えているようだ。
あのとき、クリスタちゃんを庇ってわたくしが叩かれたことを、わたくしは今でもしっかりと覚えている。元ノメンゼン子爵の妾は許せないが、クリスタちゃんを庇ったことに関してわたくしは自分を誇らしく思っていた。
「お姉様が取り上げられた髪飾りを取り換えしてくださったんでしたかしら? わたくし、ものすごく怒っていたから、あの後のことはあまり覚えていなくて」
「そうなのですね。忘れていていいですよ、クリスタ」
元ノメンゼン子爵の妾に叩かれそうになったことなど覚えていなくていい。わたくしはクリスタちゃんに優しく声をかけていた。
「ハインリヒ殿下はその頃皇太子になられていなかったけれど、国王陛下の子息ということで、取り返すのは勇気が必要だったでしょう?」
「ハインリヒ殿下は髪飾りをクリスタに投げ返したのです。わたくしはそれを拾っただけです」
カサンドラ様はわたくしの勇気を褒めてくださるが、そういうものではなかったのだとわたくしは話をする。
その当時ディッペル家で仕えていたエクムント様は事の仔細を知っているはずなのだが、わたくしに合わせて何も言わないでいてくれた。クリスタちゃんが元ノメンゼン子爵とその妾と異母妹のことを忘れているのならば、わたくしはわざわざそれを思い出させなくていいと思っていたのだ。
朝食を終えると一度部屋に戻る。
ハインリヒ殿下とノルベルト殿下とノエル殿下が来るので、わたくしとクリスタちゃんは一番お気に入りのワンピースに着替えておいた。ドレスを着るまでもないが、一番お気に入りのワンピースを着るくらいのことはしておきたい。
クリスタちゃんは辺境伯領に来るために買ってもらった、リボンのついたサンダルを履いて、わたくしも花の飾りのついたサンダルを履いていた。
ふーちゃんはシャツとショートパンツで、まーちゃんは可愛いワンピースにまだ完全に取れていないオムツが見えないようにカボチャパンツをはいている。
ハインリヒ殿下とノルベルト殿下とノエル殿下の到着を待っていると、到着が知らされる。
「ハインリヒ殿下、ノルベルト殿下、ノエル殿下、御到着です」
昼食の時間にもなっていたし、わたくしとクリスタちゃんとふーちゃんとまーちゃんと両親で玄関のホールに降りていくと、大きなトランクを護衛に持たせたハインリヒ殿下とノルベルト殿下とノエル殿下がいらっしゃっていた。
「エリザベート嬢、クリスタ嬢、わたくしも同じ部屋でもいいですか?」
「ノエル殿下、よろしいのですか?」
「わたくしは構いませんが、ノエル殿下がそれでいいのでしたら」
トランクを運び込む護衛に部屋を指示するノエル殿下に、わたくしは驚いてしまう。
ノエル殿下は隣国の王女でレーニちゃんとは全く立場が違う。レーニちゃんとは泊まるときには同じ部屋で一緒に眠っていたが、ノエル殿下も同じ部屋になりたがるとは思わなかった。
「わたくしもエリザベート嬢とクリスタ嬢と仲良くなりたいのです。秘密の呼び方で呼び合う仲でしょう?」
片目を瞑って悪戯っぽく笑うノエル殿下に、わたくしもクリスタちゃんも、何も言えることがなくなってしまう。ノエル殿下と交流を深めるのは名誉なことであるし、嫌なはずはなかった。
「クリスタ嬢、お会いしたかったです。エクムント殿、カサンドラ殿、滞在期間中お世話になります」
「ハインリヒ、クリスタ嬢への挨拶が一番に出るのは、どうかと思うよ」
「すみません、つい」
「ディッペル家の皆様もよろしくお願いします」
ハインリヒ殿下とノルベルト殿下が挨拶をしてくださる。わたくしもクリスタちゃんも頭を下げて挨拶をした。
「昼食を用意させています。楽な格好に着替えて食堂へおいでください」
エクムント様に促されて、ハインリヒ殿下とノルベルト殿下とノエル殿下は一度客間に行く。
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