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十二章 両親の事故とわたくしが主役の物語
2.国王陛下のお子様は双子
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クリスタちゃんのお誕生日が終わって、慌ただしく学園に戻っても、ハインリヒ殿下とノルベルト殿下は学園をお休みしていた。王妃殿下の出産が近いためだろう。
学園の新学期が始まって、わたくしとミリヤムちゃんとオリヴァー殿は五年生に、クリスタちゃんとレーニちゃんは四年生に、リーゼロッテ嬢は三年生に進級した。
新学期が始まってから一週間ほどしたころに国中に報せが出た。
国王陛下と王妃殿下のお子様は双子だった。
男の子と女の子の双子である。
双子なので生まれたときは小さくて心配ではあるが、それもパウリーネ先生がそばにいて診てくださるだろう。
ユリアーナ殿下は弟と妹ができたのだ。
「ユリアーナ殿下はお喜びでしょうね」
「弟と妹が一度にできたのですからね」
双子なので標準よりも小さく生まれた皇子殿下と皇女殿下は、それでも健康でよくお乳も飲んでいるという。王妃殿下も末っ子が双子で驚かれただろう。
この世界の技術では出生前に子どもの性別を調べたり、双子かどうかを調べたりする技術はない。それだけに生まれてみるまで本当に何も分からないのだ。
生まれてきた皇子殿下にはディーデリヒ殿下、皇女殿下にはディートリンデ殿下とお名前が付いた。二人のお名前の響きが似ているのは双子なので似せたのだろう。
王妃殿下の出産も無事に終わって、ハインリヒ殿下とノルベルト殿下も学園に出てくるようになった。
お茶会ではディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下の話でもちきりになっていた。
「お二人はどのようなお子様なのですか?」
「ディーデリヒは母上に似た白金の髪に青い目で、ディートリンデは父上に似た黒髪に黒い目です」
「ノルベルト兄上、ディートリンデは私にも似ていると思いませんか?」
「ハインリヒは父上に似ているからね。似ていると思うよ」
話してくれるノルベルト殿下とハインリヒ殿下は新しく弟妹が生まれた喜びに満ちていた。
「ユリアーナ殿下はどうされていますか?」
「生まれてくるのが弟かもしれない、妹かもしれない、と悩んでいたけれど、生まれてみたらどちらともだったのでとても喜んでいますよ」
「ユリアーナは末っ子だったのでこれから先ディーデリヒとディートリンデに嫉妬するようなこともあるかもしれませんが、そんなときには兄である私がユリアーナをいつもより可愛がります」
下の子が生まれると上の子は複雑な気持ちになる場合があるのだというのは知っていた。わたくしはクリスタちゃんが養子に来たときにはもう六歳だったし、クリスタちゃんも四歳である程度分別がついて、我が儘は言わなかったし、わたくしにとても懐いてくれたので可愛がっていた。ふーちゃんが生まれたときも、まーちゃんが生まれたときも喜びしかなかった。ふーちゃんはまーちゃんが生まれる前に、お腹の大きな母の膝の上に乗りたがったりして甘えていたが、生まれてみるとまーちゃんのことを可愛がっていた。
ユリアーナ殿下も意外と大丈夫なのではないかとわたくしは思っていた。
「ハインリヒ殿下、ノルベルト殿下、本当におめでとうございます」
「ありがとうございます、オリヴァー殿」
「この年で弟妹が増えるだなんて思わなかったから、本当に嬉しいのです」
「おめでとうございます」
ノルベルト殿下もハインリヒ殿下もディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下の誕生を心から喜んでいるようだった。
ディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下がお生まれになってから、わたくしとクリスタちゃんはディッペル家に一度帰ってくるように両親から手紙をもらい、ディッペル家に帰ると、国王陛下と王妃殿下からお茶会のお誘いが来ていることを教えられた。
「王妃殿下は出産後すぐなので、大事を取って国王陛下の別荘で休まれている。そこに挨拶に来てほしいと国王陛下から招待状が来た」
双子なのですぐにはお披露目はできないので、国王陛下は生まれてきたディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下を誰かに紹介したくてたまらないのだろう。王妃殿下も産後の調子はいいようなので、国王陛下の学友で親友である父に話が回ってきたのだ。
父が行くとなると、母も、ハインリヒ殿下の婚約者であるクリスタちゃんも行くことになるので、家族全員で行こうという話になったのである。
馬車に乗って国王陛下の別荘に向かうと、ハインリヒ殿下とノルベルト殿下とユリアーナ殿下が迎えてくれた。
ユリアーナ殿下は飛び跳ねるようにしてまーちゃんに近付いてくる。
「マリア嬢、わたくし、お姉様になりました!」
「おめでとうございます、ユリアーナ殿下」
「しかも、弟と妹が一度に生まれたのです。小さいのでパウリーネ先生に毎日診ていただかないといけないけれど、二人とも元気にお乳を飲んでいます」
「素晴らしいことだと思います。ユリアーナ殿下はわたくしよりもご兄弟が多くなりましたね」
「そうですわ。わたくし、ノルベルトお兄様に、ハインリヒお兄様に、わたくしに、ディーデリヒに、ディートリンデで、五人ですね」
青い目を煌めかせて嬉しそうに話すユリアーナ殿下はまーちゃんにディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下を紹介したそうにしていた。けれど、国王陛下が紹介していないのでまだ紹介できない。
「ユストゥス、よく来てくれた。王妃が頑張ってくれて、双子を産んでくれた」
「本当におめでとうございます、ベルノルト陛下。王妃殿下のお体はいかがでしょう?」
「産んだ後心配していたのだが、パウリーネ先生のおかげで調子もいいようだ」
「本当によかったです」
国王陛下と父は学生時代の親友だったころのように親し気に話している。
王妃殿下も出てきて、子ども部屋にわたくしたちを招待してくれる。子ども部屋には二つ小さなベビーベッドが並んでいた。
「黒髪の方がディートリンデ、白金の髪の方がディーデリヒです」
「よく眠っていらっしゃいますね」
「とても可愛いです」
王妃殿下に紹介されてわたくしとクリスタちゃんはベビーベッドを覗き込む。片方のベビーベッドには薄水色の産着を着た白金の髪のディーデリヒ殿下が、もう片方のベビーベッドには薄ピンクの産着を着たディートリンデ殿下が眠っていた。
二人ともとても小さいがとても可愛い。
「エリザベートお姉様、わたくしも見たいです」
「私も」
まーちゃんとふーちゃんにはベビーベッドは少し高い位置にあったので、わたくしがふーちゃんを抱き上げて、クリスタちゃんがまーちゃんを抱き上げて見せてあげる。
「とても可愛いでしょう? わたくしの弟と妹です」
「ユリアーナ殿下、どちらがお兄様かお姉様なのですか?」
「ディーデリヒの方が先に生まれてきたと聞いています。ディーデリヒがお兄様で、ディートリンデが妹です」
まーちゃんの問いかけにユリアーナ殿下はハインリヒ殿下に抱っこしてもらってベビーベッドを覗き込みながら説明していた。
ディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下の紹介が終わると、王妃殿下は部屋で休んで、国王陛下とハインリヒ殿下とノルベルト殿下とユリアーナ殿下と、ディッペル家のわたくしたちでお茶会が始まる。
「双子で小さいから、生後半年くらいまではお披露目は待つように言われている」
「それは待ち遠しいですね」
「私としては世界中にディーデリヒとディートリンデの可愛さを見てほしいところなのだがな」
「父上、急ぐことはありません。ディーデリヒとディートリンデの可愛さはずっと続きます」
「そうだな、ハインリヒ」
ハインリヒ殿下に諫められて、国王陛下も頷いていた。
ディーデリヒ殿下も、ディートリンデ殿下も、健やかに大きくなるようにわたくしは祈らずにいられなかった。
学園の新学期が始まって、わたくしとミリヤムちゃんとオリヴァー殿は五年生に、クリスタちゃんとレーニちゃんは四年生に、リーゼロッテ嬢は三年生に進級した。
新学期が始まってから一週間ほどしたころに国中に報せが出た。
国王陛下と王妃殿下のお子様は双子だった。
男の子と女の子の双子である。
双子なので生まれたときは小さくて心配ではあるが、それもパウリーネ先生がそばにいて診てくださるだろう。
ユリアーナ殿下は弟と妹ができたのだ。
「ユリアーナ殿下はお喜びでしょうね」
「弟と妹が一度にできたのですからね」
双子なので標準よりも小さく生まれた皇子殿下と皇女殿下は、それでも健康でよくお乳も飲んでいるという。王妃殿下も末っ子が双子で驚かれただろう。
この世界の技術では出生前に子どもの性別を調べたり、双子かどうかを調べたりする技術はない。それだけに生まれてみるまで本当に何も分からないのだ。
生まれてきた皇子殿下にはディーデリヒ殿下、皇女殿下にはディートリンデ殿下とお名前が付いた。二人のお名前の響きが似ているのは双子なので似せたのだろう。
王妃殿下の出産も無事に終わって、ハインリヒ殿下とノルベルト殿下も学園に出てくるようになった。
お茶会ではディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下の話でもちきりになっていた。
「お二人はどのようなお子様なのですか?」
「ディーデリヒは母上に似た白金の髪に青い目で、ディートリンデは父上に似た黒髪に黒い目です」
「ノルベルト兄上、ディートリンデは私にも似ていると思いませんか?」
「ハインリヒは父上に似ているからね。似ていると思うよ」
話してくれるノルベルト殿下とハインリヒ殿下は新しく弟妹が生まれた喜びに満ちていた。
「ユリアーナ殿下はどうされていますか?」
「生まれてくるのが弟かもしれない、妹かもしれない、と悩んでいたけれど、生まれてみたらどちらともだったのでとても喜んでいますよ」
「ユリアーナは末っ子だったのでこれから先ディーデリヒとディートリンデに嫉妬するようなこともあるかもしれませんが、そんなときには兄である私がユリアーナをいつもより可愛がります」
下の子が生まれると上の子は複雑な気持ちになる場合があるのだというのは知っていた。わたくしはクリスタちゃんが養子に来たときにはもう六歳だったし、クリスタちゃんも四歳である程度分別がついて、我が儘は言わなかったし、わたくしにとても懐いてくれたので可愛がっていた。ふーちゃんが生まれたときも、まーちゃんが生まれたときも喜びしかなかった。ふーちゃんはまーちゃんが生まれる前に、お腹の大きな母の膝の上に乗りたがったりして甘えていたが、生まれてみるとまーちゃんのことを可愛がっていた。
ユリアーナ殿下も意外と大丈夫なのではないかとわたくしは思っていた。
「ハインリヒ殿下、ノルベルト殿下、本当におめでとうございます」
「ありがとうございます、オリヴァー殿」
「この年で弟妹が増えるだなんて思わなかったから、本当に嬉しいのです」
「おめでとうございます」
ノルベルト殿下もハインリヒ殿下もディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下の誕生を心から喜んでいるようだった。
ディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下がお生まれになってから、わたくしとクリスタちゃんはディッペル家に一度帰ってくるように両親から手紙をもらい、ディッペル家に帰ると、国王陛下と王妃殿下からお茶会のお誘いが来ていることを教えられた。
「王妃殿下は出産後すぐなので、大事を取って国王陛下の別荘で休まれている。そこに挨拶に来てほしいと国王陛下から招待状が来た」
双子なのですぐにはお披露目はできないので、国王陛下は生まれてきたディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下を誰かに紹介したくてたまらないのだろう。王妃殿下も産後の調子はいいようなので、国王陛下の学友で親友である父に話が回ってきたのだ。
父が行くとなると、母も、ハインリヒ殿下の婚約者であるクリスタちゃんも行くことになるので、家族全員で行こうという話になったのである。
馬車に乗って国王陛下の別荘に向かうと、ハインリヒ殿下とノルベルト殿下とユリアーナ殿下が迎えてくれた。
ユリアーナ殿下は飛び跳ねるようにしてまーちゃんに近付いてくる。
「マリア嬢、わたくし、お姉様になりました!」
「おめでとうございます、ユリアーナ殿下」
「しかも、弟と妹が一度に生まれたのです。小さいのでパウリーネ先生に毎日診ていただかないといけないけれど、二人とも元気にお乳を飲んでいます」
「素晴らしいことだと思います。ユリアーナ殿下はわたくしよりもご兄弟が多くなりましたね」
「そうですわ。わたくし、ノルベルトお兄様に、ハインリヒお兄様に、わたくしに、ディーデリヒに、ディートリンデで、五人ですね」
青い目を煌めかせて嬉しそうに話すユリアーナ殿下はまーちゃんにディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下を紹介したそうにしていた。けれど、国王陛下が紹介していないのでまだ紹介できない。
「ユストゥス、よく来てくれた。王妃が頑張ってくれて、双子を産んでくれた」
「本当におめでとうございます、ベルノルト陛下。王妃殿下のお体はいかがでしょう?」
「産んだ後心配していたのだが、パウリーネ先生のおかげで調子もいいようだ」
「本当によかったです」
国王陛下と父は学生時代の親友だったころのように親し気に話している。
王妃殿下も出てきて、子ども部屋にわたくしたちを招待してくれる。子ども部屋には二つ小さなベビーベッドが並んでいた。
「黒髪の方がディートリンデ、白金の髪の方がディーデリヒです」
「よく眠っていらっしゃいますね」
「とても可愛いです」
王妃殿下に紹介されてわたくしとクリスタちゃんはベビーベッドを覗き込む。片方のベビーベッドには薄水色の産着を着た白金の髪のディーデリヒ殿下が、もう片方のベビーベッドには薄ピンクの産着を着たディートリンデ殿下が眠っていた。
二人ともとても小さいがとても可愛い。
「エリザベートお姉様、わたくしも見たいです」
「私も」
まーちゃんとふーちゃんにはベビーベッドは少し高い位置にあったので、わたくしがふーちゃんを抱き上げて、クリスタちゃんがまーちゃんを抱き上げて見せてあげる。
「とても可愛いでしょう? わたくしの弟と妹です」
「ユリアーナ殿下、どちらがお兄様かお姉様なのですか?」
「ディーデリヒの方が先に生まれてきたと聞いています。ディーデリヒがお兄様で、ディートリンデが妹です」
まーちゃんの問いかけにユリアーナ殿下はハインリヒ殿下に抱っこしてもらってベビーベッドを覗き込みながら説明していた。
ディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下の紹介が終わると、王妃殿下は部屋で休んで、国王陛下とハインリヒ殿下とノルベルト殿下とユリアーナ殿下と、ディッペル家のわたくしたちでお茶会が始まる。
「双子で小さいから、生後半年くらいまではお披露目は待つように言われている」
「それは待ち遠しいですね」
「私としては世界中にディーデリヒとディートリンデの可愛さを見てほしいところなのだがな」
「父上、急ぐことはありません。ディーデリヒとディートリンデの可愛さはずっと続きます」
「そうだな、ハインリヒ」
ハインリヒ殿下に諫められて、国王陛下も頷いていた。
ディーデリヒ殿下も、ディートリンデ殿下も、健やかに大きくなるようにわたくしは祈らずにいられなかった。
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