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三章 甥の誕生と六年目まで
27.六度目の結婚記念日
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龍王とヨシュアの結婚記念日は龍王の誕生日のすぐ後にある。
龍王は二十五歳の誕生日を迎えてすぐのころに結婚したのだ。
初めて会ったときからヨシュアの美しさには目を奪われていたが、最初は酷い言葉をかけたり、ヨシュアが普通に接してくるのに抵抗したりしていた。
それが過ぎるとヨシュアに愛を乞うて拒まれて、つらい思いもした。
結婚六周年の記念日はヨシュアと静かに過ごすつもりだったが、三歳の俊宇がヨシュアと龍王にお願いしに来ていた。
「もうすぐシンおじうえとヨーおじうえのおいわいがあるってきいたの。ジェレミーとレベッカはきてくれないのかな?」
龍王の生誕祭のときにジェレミーが連れて来られたので俊宇は期待していたようだった。
「残念ながらジェレミーは来ないよ。志龍王国に国を挙げて結婚記念日を祝うような風習がないし」
志龍王国は結婚記念日を祝う風習がない。
これから作っていってもいいのだろうが、それよりも龍王はヨシュアと二人で静かに過ごすことを望んでいた。
しょんぼりとして護衛と侍従に連れられて赤栄殿に帰ろうとする俊宇にヨシュアが声を掛ける。
「俊宇殿下、ドラゴンに会って行かれますか?」
「ドラゴン! わたし、あいたい!」
ぱっと表情を明るくした俊宇を抱きかかえてヨシュアはドラゴンのいる厩舎まで連れて行った。ドラゴンは青毛の馬と鹿毛の馬に並んだ馬房で大人しくジャックに世話をされていた。
ヨシュアを見ると「ぴいぴい」と鳴いて近付いてくる。
ドラゴンの大きさは既に大人の馬くらいになっていた。
まだ幼体の丸みを持っているが、それもそのうちドラゴンらしい細長い体型に変わるだろう。
「いらっしゃいませ、龍王陛下、王配陛下、俊宇殿下」
「ドラゴンの様子はどうかな?」
「最近飛ぶ練習をなさっています。少し飛べるようになってきました」
ジャックから話を聞いて俊宇が目を輝かせる。
「とべるの? みたい!」
「ドラゴン様を外に出してもよろしいでしょうか?」
青陵殿はヨシュアが厳重に結界を張っているのでドラゴンが飛んでも出られないようにはなっている。
ヨシュアの腕に抱かれて龍王に許可を求めてくる俊宇の視線に、龍王は許可を出した。
ドラゴンは庭に出されて大きくなった羽で羽ばたいて低空飛行をしている。低い位置だが飛んでいるドラゴンに、俊宇はヨシュアに降ろしてもらって拍手を送っていた。
「ドラゴン様の鞍を作ってくださったら、大人一人くらいは乗れるかもしれません」
「ドラゴンの鞍か。考えてみよう」
「まだ体は大きくなりそうなので、急がなくてもよろしいかとは思いますが」
ドラゴンに乗りたそうな俊宇の顔を見てジャックが鞍を提案してくるが、小さな俊宇を乗せるにはまだ危険なので鞍はもう少し先になりそうだ。
ドラゴンと触れ合うと俊宇も満足して赤栄殿に帰って行った。
ヨシュアと二人きりになって、龍王は青陵殿のヨシュアの部屋で寛ぐ。特に大きなお祝いはしていなかったが、この日はヨシュアと過ごすために休みを入れるのが毎年恒例となっていた。
結婚して玉を捧げるまではヨシュアとの間に距離を感じていたが、玉を受け取ってくれてからヨシュアとは距離が縮まって、抱き合うようになって結婚一周年はヨシュアが指輪を用意してくれて指輪を交換した。ラバン王国の結婚の風習らしいが、そのとき交換した指輪は肌身離さず身に着けている。
それ以外にヨシュアは左手の小指に印章の指輪をはめていて、それがヨシュアの正式な文章に捺されるものとなっている。龍王も印章の指輪は即位するまでは持っていたが、今は玉璽を使っているので印章の指輪は外している。
玉璽は王の用いる印章で、四千年の歴史の中で何度か作り直されているが、形は全く同じで龍を模した持ち手に四角い押印面がついていて、それは翡翠を彫って作られている。
代々受け継いできた玉璽は龍王しか開くことのできない小箱に入れられて、その小箱自体が柱に埋め込まれているので、龍王以外が取り出すことは不可能だ。
水の加護に反応して開く柱に埋め込まれた小箱の中身を出すときは、龍王がよほど重大な決議の書類に印を捺すときだけである。
ヨシュアの印章はヨシュアの名前が刻み込まれた金属でできているのだが、龍王とヨシュアの指輪の裏にもイニシャルといって龍王とヨシュアの名前を短縮したものが内側に刻まれているとヨシュアは言っていた。それが龍王にはあまりよく読み取れないのだが、古代のラバン王国語なのかもしれない。
「ヨシュア、結婚してくれてありがとうございます」
「改めて言われると不思議な感じだな。おれも星宇と結婚できて嬉しいよ」
二人きりになってヨシュアの左手の薬指にはまっている指輪を撫でていると、ヨシュアが龍王の手を取って左手の薬指、指輪の上に口付けてくれる。くすぐったいような、胸がいっぱいになるような口付けに微笑んでいると、ヨシュアが摘まんだ砂糖菓子を龍王の口に入れた。
甘い味が口の中に広がって龍王は微笑みを深くする。
お茶の用意をしたネイサンが卓の上に白花豆の蜜煮を置いて、花の咲いたように開く菊茶を入れてくれた。硝子の器の中で開いていく菊茶は花が丸ごと入れてあって、とても美しい。
「白花豆の蜜煮は龍王陛下がお好きだと聞きました。厨房からお祝いに今日出すように言われています」
「わたしは小さなころからこれが大好きで、ヨシュアにも食べてほしかったのです」
白花豆の蜜煮は甘いが菓子ほどではなく、食事に料理の一品として出されることはあってもお茶請けとして出されることはあまりない。
これは大好きだったので、龍王は小さなころから白花豆の蜜煮をお茶請けに出してくれるように頼んでいた。
「星宇が好きだというにしては、これまで出てこなかったな」
ヨシュアが嫁いできてくれてから六年、一度も食べたことのない白花豆の蜜煮に、龍王が苦く笑う。
「そうでしょうね。叔父夫婦が毒を盛ったのはこれだったので」
白花豆の蜜煮は豆が一個ずつ煮られている。毒見薬が食べない下の方の豆の中に毒は仕込まれていた。その関係もあって、龍王は毒を盛られて苦しんで以降白花豆の蜜煮を遠ざけていた。
「そんなものを食べるのはつらくないのか?」
「ヨシュアと一緒なら平気だと分かっています。わたしも毒を感知する魔術が使えるようになりました。もう何も怖がらずに好物を食べられます」
箸で摘まんで一つ食べると、甘く煮られた豆がほろりと崩れて口の中に広がる。よく咀嚼して飲み込むと、ヨシュアも箸で摘まんで一つ食べていた。
「これは美味しい」
「そうでしょう? わたしの好きなものをヨシュアと共有できて幸せです」
菊茶で口の中の甘みを洗い流しながら二つ目を摘まんだら、ヨシュアも箸を伸ばしている。
ヨシュアのおかげで龍王はケーキや焼き菓子などラバン王国の甘味を知ったが、今度は龍王がヨシュアに志龍王国の美味しいものを伝えていく番なのかもしれない。
「秋にはイチジクの蜜煮、冬には林檎の蜜煮も食べましょう」
「蜜煮は色んなものに応用できるのか?」
「そうなのです。イチジクの蜜煮も、林檎の蜜煮も美味しいのですよ」
それを聞くとヨシュアが「秋と冬にも楽しみができた」と微笑んでくれる。
顔立ちは美しいがヨシュアは決して女性的ではない。体付きも立派だし、表情もいかにも男性的だ。そういうところを龍王は愛したので、ヨシュアの男らしい微笑みを見ると頬が熱くなる。
ヨシュアの膝の上に跨るようにして乗って、唇を奪うと、蜜の甘い味がする。
「ヨシュアは甘いです」
「蜜煮を食べたからだろう」
「わたしにとっては、ヨシュアは全部甘くてたまらなくなります」
胸に触れるとヨシュアがそっと龍王の手を外した。まだ室内にはネイサンがいる。
「お邪魔でしたか?」
下がりましょうかと気を利かせるネイサンに、ヨシュアは龍王を膝の間に抱き直し、問いかけた。
「デボラが出産したと聞いたが、本当か?」
「お伝えしようと思っておりましたが、今日は大事なお二人の記念日でしたので後でもよいかと」
「めでたいことは聞きたい。生まれたのか?」
「はい。今日の早朝に生まれたと聞いています。まだ会いに行けていないのですが、元気な男の子だそうです」
「おれに構っている場合ではないではないか。早く会いに行ってやれ」
「いいえ、わたくしは仕事があります。龍王陛下と王配陛下の湯あみまでお手伝いしたら、帰ろうと思います」
「今日はいい。星宇もいいよな。おれが全部してあげるから。ネイサン、これは命令だ。早く帰るんだ」
命令とまで言われてネイサンは帰らざるを得なくなった様子だった。
「龍王陛下と王配陛下の結婚記念日に生まれてきた我が子に、近々名前を付けてやってください」
「おれが名付け親になっていいのか?」
「デボラもそれを望むでしょう」
帰る前に乳兄弟の気安さでヨシュアにお願いするネイサンに「早く帰ってやれ」と言いつつ、ヨシュアは名前を付けることを決めたようだった。
「どんな名前がいいだろう。志龍王国でずっと暮らす子どもだ」
「ラバン王国の名前がいいのではないですか。両親はラバン王国の出身なのですから」
相談してくるヨシュアに答えてから、龍王は改めてヨシュアに向き直り、唇を重ねた。
龍王は二十五歳の誕生日を迎えてすぐのころに結婚したのだ。
初めて会ったときからヨシュアの美しさには目を奪われていたが、最初は酷い言葉をかけたり、ヨシュアが普通に接してくるのに抵抗したりしていた。
それが過ぎるとヨシュアに愛を乞うて拒まれて、つらい思いもした。
結婚六周年の記念日はヨシュアと静かに過ごすつもりだったが、三歳の俊宇がヨシュアと龍王にお願いしに来ていた。
「もうすぐシンおじうえとヨーおじうえのおいわいがあるってきいたの。ジェレミーとレベッカはきてくれないのかな?」
龍王の生誕祭のときにジェレミーが連れて来られたので俊宇は期待していたようだった。
「残念ながらジェレミーは来ないよ。志龍王国に国を挙げて結婚記念日を祝うような風習がないし」
志龍王国は結婚記念日を祝う風習がない。
これから作っていってもいいのだろうが、それよりも龍王はヨシュアと二人で静かに過ごすことを望んでいた。
しょんぼりとして護衛と侍従に連れられて赤栄殿に帰ろうとする俊宇にヨシュアが声を掛ける。
「俊宇殿下、ドラゴンに会って行かれますか?」
「ドラゴン! わたし、あいたい!」
ぱっと表情を明るくした俊宇を抱きかかえてヨシュアはドラゴンのいる厩舎まで連れて行った。ドラゴンは青毛の馬と鹿毛の馬に並んだ馬房で大人しくジャックに世話をされていた。
ヨシュアを見ると「ぴいぴい」と鳴いて近付いてくる。
ドラゴンの大きさは既に大人の馬くらいになっていた。
まだ幼体の丸みを持っているが、それもそのうちドラゴンらしい細長い体型に変わるだろう。
「いらっしゃいませ、龍王陛下、王配陛下、俊宇殿下」
「ドラゴンの様子はどうかな?」
「最近飛ぶ練習をなさっています。少し飛べるようになってきました」
ジャックから話を聞いて俊宇が目を輝かせる。
「とべるの? みたい!」
「ドラゴン様を外に出してもよろしいでしょうか?」
青陵殿はヨシュアが厳重に結界を張っているのでドラゴンが飛んでも出られないようにはなっている。
ヨシュアの腕に抱かれて龍王に許可を求めてくる俊宇の視線に、龍王は許可を出した。
ドラゴンは庭に出されて大きくなった羽で羽ばたいて低空飛行をしている。低い位置だが飛んでいるドラゴンに、俊宇はヨシュアに降ろしてもらって拍手を送っていた。
「ドラゴン様の鞍を作ってくださったら、大人一人くらいは乗れるかもしれません」
「ドラゴンの鞍か。考えてみよう」
「まだ体は大きくなりそうなので、急がなくてもよろしいかとは思いますが」
ドラゴンに乗りたそうな俊宇の顔を見てジャックが鞍を提案してくるが、小さな俊宇を乗せるにはまだ危険なので鞍はもう少し先になりそうだ。
ドラゴンと触れ合うと俊宇も満足して赤栄殿に帰って行った。
ヨシュアと二人きりになって、龍王は青陵殿のヨシュアの部屋で寛ぐ。特に大きなお祝いはしていなかったが、この日はヨシュアと過ごすために休みを入れるのが毎年恒例となっていた。
結婚して玉を捧げるまではヨシュアとの間に距離を感じていたが、玉を受け取ってくれてからヨシュアとは距離が縮まって、抱き合うようになって結婚一周年はヨシュアが指輪を用意してくれて指輪を交換した。ラバン王国の結婚の風習らしいが、そのとき交換した指輪は肌身離さず身に着けている。
それ以外にヨシュアは左手の小指に印章の指輪をはめていて、それがヨシュアの正式な文章に捺されるものとなっている。龍王も印章の指輪は即位するまでは持っていたが、今は玉璽を使っているので印章の指輪は外している。
玉璽は王の用いる印章で、四千年の歴史の中で何度か作り直されているが、形は全く同じで龍を模した持ち手に四角い押印面がついていて、それは翡翠を彫って作られている。
代々受け継いできた玉璽は龍王しか開くことのできない小箱に入れられて、その小箱自体が柱に埋め込まれているので、龍王以外が取り出すことは不可能だ。
水の加護に反応して開く柱に埋め込まれた小箱の中身を出すときは、龍王がよほど重大な決議の書類に印を捺すときだけである。
ヨシュアの印章はヨシュアの名前が刻み込まれた金属でできているのだが、龍王とヨシュアの指輪の裏にもイニシャルといって龍王とヨシュアの名前を短縮したものが内側に刻まれているとヨシュアは言っていた。それが龍王にはあまりよく読み取れないのだが、古代のラバン王国語なのかもしれない。
「ヨシュア、結婚してくれてありがとうございます」
「改めて言われると不思議な感じだな。おれも星宇と結婚できて嬉しいよ」
二人きりになってヨシュアの左手の薬指にはまっている指輪を撫でていると、ヨシュアが龍王の手を取って左手の薬指、指輪の上に口付けてくれる。くすぐったいような、胸がいっぱいになるような口付けに微笑んでいると、ヨシュアが摘まんだ砂糖菓子を龍王の口に入れた。
甘い味が口の中に広がって龍王は微笑みを深くする。
お茶の用意をしたネイサンが卓の上に白花豆の蜜煮を置いて、花の咲いたように開く菊茶を入れてくれた。硝子の器の中で開いていく菊茶は花が丸ごと入れてあって、とても美しい。
「白花豆の蜜煮は龍王陛下がお好きだと聞きました。厨房からお祝いに今日出すように言われています」
「わたしは小さなころからこれが大好きで、ヨシュアにも食べてほしかったのです」
白花豆の蜜煮は甘いが菓子ほどではなく、食事に料理の一品として出されることはあってもお茶請けとして出されることはあまりない。
これは大好きだったので、龍王は小さなころから白花豆の蜜煮をお茶請けに出してくれるように頼んでいた。
「星宇が好きだというにしては、これまで出てこなかったな」
ヨシュアが嫁いできてくれてから六年、一度も食べたことのない白花豆の蜜煮に、龍王が苦く笑う。
「そうでしょうね。叔父夫婦が毒を盛ったのはこれだったので」
白花豆の蜜煮は豆が一個ずつ煮られている。毒見薬が食べない下の方の豆の中に毒は仕込まれていた。その関係もあって、龍王は毒を盛られて苦しんで以降白花豆の蜜煮を遠ざけていた。
「そんなものを食べるのはつらくないのか?」
「ヨシュアと一緒なら平気だと分かっています。わたしも毒を感知する魔術が使えるようになりました。もう何も怖がらずに好物を食べられます」
箸で摘まんで一つ食べると、甘く煮られた豆がほろりと崩れて口の中に広がる。よく咀嚼して飲み込むと、ヨシュアも箸で摘まんで一つ食べていた。
「これは美味しい」
「そうでしょう? わたしの好きなものをヨシュアと共有できて幸せです」
菊茶で口の中の甘みを洗い流しながら二つ目を摘まんだら、ヨシュアも箸を伸ばしている。
ヨシュアのおかげで龍王はケーキや焼き菓子などラバン王国の甘味を知ったが、今度は龍王がヨシュアに志龍王国の美味しいものを伝えていく番なのかもしれない。
「秋にはイチジクの蜜煮、冬には林檎の蜜煮も食べましょう」
「蜜煮は色んなものに応用できるのか?」
「そうなのです。イチジクの蜜煮も、林檎の蜜煮も美味しいのですよ」
それを聞くとヨシュアが「秋と冬にも楽しみができた」と微笑んでくれる。
顔立ちは美しいがヨシュアは決して女性的ではない。体付きも立派だし、表情もいかにも男性的だ。そういうところを龍王は愛したので、ヨシュアの男らしい微笑みを見ると頬が熱くなる。
ヨシュアの膝の上に跨るようにして乗って、唇を奪うと、蜜の甘い味がする。
「ヨシュアは甘いです」
「蜜煮を食べたからだろう」
「わたしにとっては、ヨシュアは全部甘くてたまらなくなります」
胸に触れるとヨシュアがそっと龍王の手を外した。まだ室内にはネイサンがいる。
「お邪魔でしたか?」
下がりましょうかと気を利かせるネイサンに、ヨシュアは龍王を膝の間に抱き直し、問いかけた。
「デボラが出産したと聞いたが、本当か?」
「お伝えしようと思っておりましたが、今日は大事なお二人の記念日でしたので後でもよいかと」
「めでたいことは聞きたい。生まれたのか?」
「はい。今日の早朝に生まれたと聞いています。まだ会いに行けていないのですが、元気な男の子だそうです」
「おれに構っている場合ではないではないか。早く会いに行ってやれ」
「いいえ、わたくしは仕事があります。龍王陛下と王配陛下の湯あみまでお手伝いしたら、帰ろうと思います」
「今日はいい。星宇もいいよな。おれが全部してあげるから。ネイサン、これは命令だ。早く帰るんだ」
命令とまで言われてネイサンは帰らざるを得なくなった様子だった。
「龍王陛下と王配陛下の結婚記念日に生まれてきた我が子に、近々名前を付けてやってください」
「おれが名付け親になっていいのか?」
「デボラもそれを望むでしょう」
帰る前に乳兄弟の気安さでヨシュアにお願いするネイサンに「早く帰ってやれ」と言いつつ、ヨシュアは名前を付けることを決めたようだった。
「どんな名前がいいだろう。志龍王国でずっと暮らす子どもだ」
「ラバン王国の名前がいいのではないですか。両親はラバン王国の出身なのですから」
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