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本編
30.結婚式、そして
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「結婚式がしたい」
リシャールが突然に言ったのは、アリスターと出会って一年が経過しようとするころだった。
リシャールとアリスターはストーカー事件の捜査で出会って、それから距離を縮めて、リシャールがフランスに一か月出張しなければいけないときに勇気を出してアリスターを誘って、それにアリスターが応えてくれて、フランスで気持ちを確かめ合って、アリスターがリシャールに指輪をくれてプロポーズ、リシャールがアリスターにクレイムを申し込んで、婚姻届けとクレイムの契約書を役所に届けて一緒に暮らしている。
世界的に有名なモデルであるリシャールの周囲にはリシャールに好意を持つものも、ストーカーになってしまったものもいたが、そういう相手には全く目もくれず、リシャールはアリスターだけを愛していた。
去年はフランスに行ったせいでアリスターはもう長期休暇は取れなかったのだが、今年に入ってアリスターの有休も復活して、長期休暇が取れるようになっているはずだった。
リシャールはこの時を待っていた。
「結婚式って言っても、呼ぶ相手がいるのか?」
「いないけど、二人きりで教会で誓いを述べて、アリスターとの結婚記念の写真を撮ってパネルにして家に飾りたい」
自分の写真は見るのも嫌なリシャールだが、隣りにアリスターが写っているとなると全く変わってくる。
我が儘を言うリシャールにアリスターはそれを受け入れてくれた。
「誰も来ない結婚式っていうのは寂しいから、チームリーダーのロドルフォに来てもらおう。リシャールはマネージャーのマクシムさんに来てもらえばいい」
「それはいいかも」
結婚式で自分たちを放っておいた両親を呼ぶ気は全くなかったが、アリスターの上司のロドルフォとリシャールのマネージャーのマクシムを呼ぶのにはリシャールも異存はなかった。
タキシードを誂えてもらって、教会を予約して、写真館も予約して、リシャールはマクシムに、アリスターはロドルフォに招待状を書いて、お互い結婚式を含めて二週間の休暇をもらった。
教会でタキシードを着て神父の前で誓いの言葉を述べるリシャールとアリスターを、マクシムとロドルフォが見守っていてくれる。
「汝、アリスター・ソウルは、リシャール・モンタニエを夫とし、健やかなるときも病めるときも愛し、生涯共に生きることを誓いますか?」
「誓います」
「汝、リシャール・モンタニエは、アリスター・ソウルを夫とし、健やかなるときも病めるときも愛し、生涯共に生きることを誓いますか?」
「誓います」
「神により祝福された新しい夫夫がここに誕生しました。拍手で歓迎してください」
ロドルフォとマクシムの拍手を受けてリシャールとアリスターは誓いの口付けを交わし、結婚式を終えた。
結婚式の後には写真館での撮影が待っている。
リシャールは撮影のためにリシャールを一番綺麗に撮ってくれるプロのカメラマンを用意していた。
写真館でリシャールとアリスターが入ってくるところから、カメラマンが写真におさめていく。
腕を組んでポーズをとったり、口付けたり、抱き締め合ったりする写真を何枚も撮ってもらった。
「この写真は写真集にして渡すよ。パネルにしたい写真はその中から選んでくれ」
カメラマンに言われて、リシャールは「ありがとう」と心からお礼を言った。
家に帰ってから、リシャールとアリスターは着替えて二人で料理を作った。結婚式なので特別にアイスクリームケーキもホールで買ってある。
食事を終えると、アイスクリームケーキを切って、スプーンで掬って、お互いに食べさせあった。
「ファーストバイトなんていうらしいよ」
「一生あなたを食べるのに困らせませんって意味を込めて食べさせるんだって」
「リシャールなら間違いないな」
「アリスターもだよ」
笑いながら食べさせあって、ワンホールのアイスクリームケーキを二人で全部食べてしまった。
食事の後はバスルームで一緒にシャワーを浴びてベッドに雪崩れ込む。
「二週間あるから、今日だけは僕の体に跡を付けてもいいよ?」
誘うリシャールにアリスターが我慢できないかのように覆い被さってくるのもリシャールを興奮させた。
二週間、食べている以外はベッドで過ごして、リシャールとアリスターはたっぷりと蜜月を楽しんだ。
二週間の途中でカメラマン特製の写真集も出来上がってきていたし、それを見ながらどれをパネルにするかも二人で話し合った。
「誓いのキスをしてるのがいいと思うんだけど」
「毎日自分たちのキスシーンを見るのか?」
「嫌? それなら、こっちの額をくっつけて笑い合ってるのは?」
「これは俺も好きだな」
パネルにする写真を決めてカメラマンには注文を入れておいた。
リシャール・モンタニエが結婚したというニュースが流れた後はしばらくリシャールの周囲は騒がしかったが、このころにはすっかりと落ち着いていた。
記者会見で釘を刺しただけあって、リシャールの相手や住居を詮索するような輩も出てきていない。
もしいても、リシャールは確固とした態度で応戦するのみだ。
アリスターとの幸せで平和な暮らしを守るためならば、リシャールは何でもする。
結婚してからリシャールの評価に少し変化があった。
リシャール・モンタニエは、以前よりも色気が出てきたと言われるようになったのだ。
それまでも格好いいとか、綺麗だとかはさんざん言われていたが、色気のあるモデルかどうかはリシャールは自分ではよく分からなかった。それが滴るような色香のあるモデルと言われて悪い気はしない。
今年のフランスでのコレクションで、マダムはリシャールに減量を言い付けなかった。
「結婚して変わったのね、いい方に。さすが私の美の女神だわ。今年は今のままのあなたでデザインがわいてきているわ」
結婚式でアリスターは長期休暇を使い切ってしまっていたので、フランスまで同行することはなかったが、リシャールはアリスターがいなくても立派に仕事ができる自信があった。アリスターがいなければ欲求不満になるのは確かだが、帰ったらたっぷりとアリスターがリシャールを満たしてくれると分かっているから耐えられた。
アリスターの方も欲求不満ではあったようだが、抑制剤を飲むほどではなかったようだ。
フランスからかける国際電話で、リシャールはアリスターにコマンドを囁いた。
「僕の手が触れてると思って? アリスター、僕の『名前を呼んで』、『キスをして』?」
『リシャール……その声、ずるい……』
「愛してる。アリスターが今どんな格好をしてるか『教えて』?」
通話でコマンドを使って、アリスターを満たしてあげることができてリシャールはよかったと思っているのだが、アリスターの方は不満があるようだ。
『リシャールの本物に触れたい』
「もしかして、僕の写真で慰めてないよね!?」
『……』
「アリスター!?」
これは帰ったらお仕置きだなと珍しくリシャールの中にDomらしい気持ちが芽生えてしまったのはアリスターには言えない。
一か月の出張を終えて、アリスターの元に帰ると、リシャールはアリスターを問い詰めた。
「僕の写真で何かしてないよね?」
「本人がいないんだからしょうがないだろう! 俺はリシャールにしか反応しないんだから!」
「もう、『悪い子』! どの写真、映像で何をしたか、全部、僕の前で『見せて』よね!」
自分の写真にこれだけ嫉妬するか、リシャールも初めての体験だった。
リシャールの写真集を持ってきて渋々白状したアリスターを、リシャールはベッドに押し倒してたっぷりとお仕置きしてあげた。
お仕置きの後にはアフターケアが必要になる。
膝の上にアリスターを抱き上げて、真っすぐなさらさらの金髪を撫でて、リシャールは低く甘い声で囁く。
「『上手』にできたね。とても『いい子』だったよ」
「リシャール……」
「愛してる。アリスター、髪を洗ってあげようね」
翻弄されて拗ねたように肩口に顔を埋めていたアリスターも、バスルームでリシャールが髪を洗ってあげたら機嫌が直った。
リシャールとアリスターの甘い日々は続く。
リシャールが突然に言ったのは、アリスターと出会って一年が経過しようとするころだった。
リシャールとアリスターはストーカー事件の捜査で出会って、それから距離を縮めて、リシャールがフランスに一か月出張しなければいけないときに勇気を出してアリスターを誘って、それにアリスターが応えてくれて、フランスで気持ちを確かめ合って、アリスターがリシャールに指輪をくれてプロポーズ、リシャールがアリスターにクレイムを申し込んで、婚姻届けとクレイムの契約書を役所に届けて一緒に暮らしている。
世界的に有名なモデルであるリシャールの周囲にはリシャールに好意を持つものも、ストーカーになってしまったものもいたが、そういう相手には全く目もくれず、リシャールはアリスターだけを愛していた。
去年はフランスに行ったせいでアリスターはもう長期休暇は取れなかったのだが、今年に入ってアリスターの有休も復活して、長期休暇が取れるようになっているはずだった。
リシャールはこの時を待っていた。
「結婚式って言っても、呼ぶ相手がいるのか?」
「いないけど、二人きりで教会で誓いを述べて、アリスターとの結婚記念の写真を撮ってパネルにして家に飾りたい」
自分の写真は見るのも嫌なリシャールだが、隣りにアリスターが写っているとなると全く変わってくる。
我が儘を言うリシャールにアリスターはそれを受け入れてくれた。
「誰も来ない結婚式っていうのは寂しいから、チームリーダーのロドルフォに来てもらおう。リシャールはマネージャーのマクシムさんに来てもらえばいい」
「それはいいかも」
結婚式で自分たちを放っておいた両親を呼ぶ気は全くなかったが、アリスターの上司のロドルフォとリシャールのマネージャーのマクシムを呼ぶのにはリシャールも異存はなかった。
タキシードを誂えてもらって、教会を予約して、写真館も予約して、リシャールはマクシムに、アリスターはロドルフォに招待状を書いて、お互い結婚式を含めて二週間の休暇をもらった。
教会でタキシードを着て神父の前で誓いの言葉を述べるリシャールとアリスターを、マクシムとロドルフォが見守っていてくれる。
「汝、アリスター・ソウルは、リシャール・モンタニエを夫とし、健やかなるときも病めるときも愛し、生涯共に生きることを誓いますか?」
「誓います」
「汝、リシャール・モンタニエは、アリスター・ソウルを夫とし、健やかなるときも病めるときも愛し、生涯共に生きることを誓いますか?」
「誓います」
「神により祝福された新しい夫夫がここに誕生しました。拍手で歓迎してください」
ロドルフォとマクシムの拍手を受けてリシャールとアリスターは誓いの口付けを交わし、結婚式を終えた。
結婚式の後には写真館での撮影が待っている。
リシャールは撮影のためにリシャールを一番綺麗に撮ってくれるプロのカメラマンを用意していた。
写真館でリシャールとアリスターが入ってくるところから、カメラマンが写真におさめていく。
腕を組んでポーズをとったり、口付けたり、抱き締め合ったりする写真を何枚も撮ってもらった。
「この写真は写真集にして渡すよ。パネルにしたい写真はその中から選んでくれ」
カメラマンに言われて、リシャールは「ありがとう」と心からお礼を言った。
家に帰ってから、リシャールとアリスターは着替えて二人で料理を作った。結婚式なので特別にアイスクリームケーキもホールで買ってある。
食事を終えると、アイスクリームケーキを切って、スプーンで掬って、お互いに食べさせあった。
「ファーストバイトなんていうらしいよ」
「一生あなたを食べるのに困らせませんって意味を込めて食べさせるんだって」
「リシャールなら間違いないな」
「アリスターもだよ」
笑いながら食べさせあって、ワンホールのアイスクリームケーキを二人で全部食べてしまった。
食事の後はバスルームで一緒にシャワーを浴びてベッドに雪崩れ込む。
「二週間あるから、今日だけは僕の体に跡を付けてもいいよ?」
誘うリシャールにアリスターが我慢できないかのように覆い被さってくるのもリシャールを興奮させた。
二週間、食べている以外はベッドで過ごして、リシャールとアリスターはたっぷりと蜜月を楽しんだ。
二週間の途中でカメラマン特製の写真集も出来上がってきていたし、それを見ながらどれをパネルにするかも二人で話し合った。
「誓いのキスをしてるのがいいと思うんだけど」
「毎日自分たちのキスシーンを見るのか?」
「嫌? それなら、こっちの額をくっつけて笑い合ってるのは?」
「これは俺も好きだな」
パネルにする写真を決めてカメラマンには注文を入れておいた。
リシャール・モンタニエが結婚したというニュースが流れた後はしばらくリシャールの周囲は騒がしかったが、このころにはすっかりと落ち着いていた。
記者会見で釘を刺しただけあって、リシャールの相手や住居を詮索するような輩も出てきていない。
もしいても、リシャールは確固とした態度で応戦するのみだ。
アリスターとの幸せで平和な暮らしを守るためならば、リシャールは何でもする。
結婚してからリシャールの評価に少し変化があった。
リシャール・モンタニエは、以前よりも色気が出てきたと言われるようになったのだ。
それまでも格好いいとか、綺麗だとかはさんざん言われていたが、色気のあるモデルかどうかはリシャールは自分ではよく分からなかった。それが滴るような色香のあるモデルと言われて悪い気はしない。
今年のフランスでのコレクションで、マダムはリシャールに減量を言い付けなかった。
「結婚して変わったのね、いい方に。さすが私の美の女神だわ。今年は今のままのあなたでデザインがわいてきているわ」
結婚式でアリスターは長期休暇を使い切ってしまっていたので、フランスまで同行することはなかったが、リシャールはアリスターがいなくても立派に仕事ができる自信があった。アリスターがいなければ欲求不満になるのは確かだが、帰ったらたっぷりとアリスターがリシャールを満たしてくれると分かっているから耐えられた。
アリスターの方も欲求不満ではあったようだが、抑制剤を飲むほどではなかったようだ。
フランスからかける国際電話で、リシャールはアリスターにコマンドを囁いた。
「僕の手が触れてると思って? アリスター、僕の『名前を呼んで』、『キスをして』?」
『リシャール……その声、ずるい……』
「愛してる。アリスターが今どんな格好をしてるか『教えて』?」
通話でコマンドを使って、アリスターを満たしてあげることができてリシャールはよかったと思っているのだが、アリスターの方は不満があるようだ。
『リシャールの本物に触れたい』
「もしかして、僕の写真で慰めてないよね!?」
『……』
「アリスター!?」
これは帰ったらお仕置きだなと珍しくリシャールの中にDomらしい気持ちが芽生えてしまったのはアリスターには言えない。
一か月の出張を終えて、アリスターの元に帰ると、リシャールはアリスターを問い詰めた。
「僕の写真で何かしてないよね?」
「本人がいないんだからしょうがないだろう! 俺はリシャールにしか反応しないんだから!」
「もう、『悪い子』! どの写真、映像で何をしたか、全部、僕の前で『見せて』よね!」
自分の写真にこれだけ嫉妬するか、リシャールも初めての体験だった。
リシャールの写真集を持ってきて渋々白状したアリスターを、リシャールはベッドに押し倒してたっぷりとお仕置きしてあげた。
お仕置きの後にはアフターケアが必要になる。
膝の上にアリスターを抱き上げて、真っすぐなさらさらの金髪を撫でて、リシャールは低く甘い声で囁く。
「『上手』にできたね。とても『いい子』だったよ」
「リシャール……」
「愛してる。アリスター、髪を洗ってあげようね」
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