オメガの大公閣下の溺愛

秋月真鳥

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リオネル(攻め)視点

15.カリスの結婚後二度目のヒート

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 雪解けの季節が来て、リオネルはカリスの変化に気付いていた。
 前のヒートから三か月、カリスにヒートが来てもおかしくない時期である。
 普段から心地よく香っているカリスのフェロモンが強くなったような気がして、リオネルはカリスのヒートが来るのではないかとそわそわしていた。

 雪解けと共に夏の増水で壊れた橋の補修工事が再開される。
 現場に視察に出ているカリスは気付いていないようだが、リオネルは確かにカリスのフェロモンが強くなっていることに気付いていた。

「夏までには橋は完成しそうか?」
「間に合わせてみせます」
「頼んだぞ」

 現場監督との打ち合わせを終えて馬車に乗ったカリスとリオネル。カリスの甘い香りが馬車の中に充満していて、リオネルは自分が反応しないように気を散らしていなければいけなかった。

「そろそろリオネルの誕生日だな。何かほしいものはあるか?」
「閣下のおそばにいられればわたしはそれで十分です」
「おれのかわいい年下の番は欲がないな。甘やかさせてくれ」
「閣下の存在そのものがわたしにとっては大きな喜びなのです」

 何もいらない。
 カリスさえそばにいてくれればそれでいい。
 それ以上望むことのないリオネルに、カリスは「無欲だな」と苦笑する。

「わたしの人生に閣下が存在してくれること。これ以上の幸せがあるでしょうか」
「それはおれの台詞だぞ? おれの人生にリオネルがいてくれて、おれを選んで番になってくれた。オメガ性が弱いせいでリオネルには苦労を掛けているが、愛し合う番がいるということがオメガであるおれにとってどれだけ心安らぐことか、リオネルには分からないだろう」
「閣下も分かっていないのではないですか、閣下がいてくださることに対して、わたしがどれだけ幸せか」

 普段から喧嘩はしないのだが、こういうときにはどちらも気持ちが強いので譲れなくなってしまう。

「おれの方がリオネルを好きだ」
「いえ、閣下には申し訳ありませんが、わたしの方が閣下を好きですね」
「いや、おれは一目見たときからリオネルをかわいいと思っていた」
「わたしは出会った瞬間から、閣下に生涯お仕えしようと思っていました」

 どちらの思いが強いかで譲れなくなってしまうのも、お互いに愛し合っているからに違いなかった。
 馬車の中でカリスの膝の上に乗り上がるようにして正面から抱き締めると、カリスの香りが強くリオネルの鼻腔をくすぐる。

「閣下……ものすごくいい香りです。我慢できなくなりそうです」
「リオネル?」
「閣下は気付いていないかもしれませんが、フェロモンが強くなっていますよ」

 指摘すると、カリスは本当に気付いていなかったようで、はっとした様子で自分の額に手をやった。

「今朝から、少し熱っぽいかなとは思っていた。ヒートの前兆か」
「そうだと思います」
「リオネル、急いで屋敷に戻ろう。ヒートに入る前に済ませてしまわなければいけない執務がいくつかある」

 ヒートの間は完全にカリスもリオネルも執務から離れるので、急ぎの執務は先に終わらせておかなければいけない。馬車を走らせて屋敷に戻ると、カリスとリオネルは執務室にこもった。
 デスクを並べているカリスの方から漂ってくる香りに理性を奪われそうになるが、リオネルはなんとか我慢をして執務に向き合う。
 王都から来ている国王陛下の招集は、日を改めてもらうようにカリスが手紙を書いていた。

 夕方までみっちりと執務を終えて、夕食を無言で食べ、バスルームに入るころには、カリスの香りはものすごく濃くなっていた。濃厚な甘さに溺れるように、バスルームでカリスの体を洗いながらリオネルはカリスの長い髪をかき分けて、うなじの噛み跡に舌を這わせる。
 オメガにとってうなじは特別な場所で、弱点でもあるので、触れることを許されているのはリオネルだけだと思うと、興奮が高まる。
 軽くうなじに歯を立てると、カリスが甘い吐息を零す。
 壮絶な色気にそれだけで高ぶってカリスを抱きつぶしたくなるのを必死に堪えて、リオネルはカリスの体を流して、自分の体も手早く洗って二人でバスローブを着てバスルームを出た。

 口付けながらカリスの体をまさぐっていると、カリスが焦れたのかリオネルを軽々と抱き上げてベッドに連れて行ってしまった。少し乱暴にベッドに降ろされて、スプリングで体が弾んだところで、カリスが覆い被さるようにしてリオネルの唇を貪ってくる。噛み付くようなキスに応えて口を開けば、カリスの舌がリオネルの舌に絡まった。
 歯列を舐められて、口蓋を舐められて、リオネルの興奮が更に高まる。
 バスローブの合わせから手を挿し入れて、淡く色づく乳首に触れると、カリスが悩まし気に眉根を寄せる。その壮絶な色気に、リオネルは高まりを抑えきれなくなりそうだった。

 豊かな胸を揉んで、バスローブを脱がせながら体中に触れていくと、柔らかな胸筋も、引き締まった腹筋も、形よくくびれた腰も、滑らかな背中も、全て愛しくてたまらない。
 丸くよく鍛え上げられた大殿筋に触れながら、双丘のあわいに指を滑らせると、リオネルを受け入れてくれる場所はしっかりとぬかるんでいた。
 指を挿し入れると、普段とは比べ物にならないくらい柔らかく、リオネルの指を奥へ奥へと招くように蠢く。

「カリス様、ここ、すごい……」
「リオネル、焦らさないでくれ。リオネルがほしい」

 低く掠れた余裕のない声で耳元で囁かれて、リオネルも全く余裕がないことに気付く。
 指で丁寧に解りたかったが、もうもたないと、カリスの腰を掴んだ。カリスも協力的で、腰を持ち上げてリオネルの膝に跨って、リオネルの中心の先端を後孔に押し当てる。
 ゆっくりと腰を落としていくカリスに、リオネルは持って行かれそうになるのを必死に耐えた。
 普段は濡れないカリスの愛液にぬかるんだ中が、リオネルを締め付けながら、奥へ奥へと誘い込む。

「カリス様……あぁっ!」
「リオネル……おれのかわいい、リオネル……」
「ふっ……ダメです、出てしまう」

 ヒートの予兆ともいえる濃いフェロモンに一日中晒されていたリオネルは、もう限界に近かった。
 カリスの手がリオネルの頬を撫でて、啄むようなキスをしてくる。

「奥で、出して。リオネル、いちばん奥に、たっぷり注いで?」
「はっ……うぁっ!」

 カリスの最奥に到達した瞬間、リオネルはカリスの中に欲望を吐き出していた。一瞬快感で意識が飛びそうになるが、すぐに戻ってきたリオネルは、自分がまだ高ぶっていることに気付く。

「足りない。リオネル、もっと」
「カリス様、わたしももっとカリス様を愛したい」

 リオネルの首に腕を回して腰を動かすカリスに、リオネルも下から突き上げて、何度もカリスの中にリオネルは白濁を注ぎ込んだ。

 カリスもリオネルも体力があるので、交わりに終わりがない。
 ヒートでカリスも完全に高ぶっているし、リオネルもアルファの発情期であるラット状態になってしまって、何度も何度もカリスを求めた。

 気が付けば外は明るくなっていて、夜が明けていた。

「カリス様、お腹が空きませんか?」
「色気のない話だが、正直空腹だ」

 戦場では眠らないで戦ったこともあるし、極限状態で数日間起きていたこともあった。それ自体はつらくないのだが、平和に慣れてしまうと、空腹は耐えがたく感じる。

 バスルームに入って、互いの体を流し、リオネルがカリスの中の処理も終えると、その間に侍女がベッドを整えてくれていた。
 パジャマ姿でリオネルは侍女に食事を持って来させて、カリスと共に部屋のソファに座って食べる。

 サンドイッチやキッシュなどの軽食だけだったが、戦場では贅沢な料理は出てこなかったので、それにも慣れている。
 食べていると、カリスがリオネルの口元を指で拭った。サンドイッチに挟まれている白身魚のフライにかけられたタルタルソースがついていたようだ。

「ありがとうございます、カリス様」
「ん」

 拭った指をカリスが自然に舐めて、ちらりと見えた舌の赤さが淫靡で、リオネルは身を震わせた。
 ヒートはまだまだ続いている。
 食べ終わったリオネルは、カリスと共に再びベッドに戻った。
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