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転生したらまた魔女の男子だった件
83.制服の採寸
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年明けに小学校で一部の生徒だけが集められて試験が行われた。
事前に説明されていたので、僕もリラもその試験の意味を知っていた。
高等学校に入学する子どもたちの学力試験なのだ。
この試験で高等学校に入学するだけの学力がないと判断されると高等学校には入学できない。毎年行われているが、高等学校の進学を望む生徒にとっては、難しくない試験で、不合格になるものはほぼいないということだったので、僕は安心していた。
授業はその日は早く終わって、放課後に教室に集められた生徒の中にはナンシーちゃんもいた。
「ナンシーちゃん、高等学校に進むの?」
「そうなのよ。お母さんもお父さんも、小学校を卒業してすぐに働くのは早すぎるし、もっと勉強した方がいいって言ってくれたの。ラーイくんとリラちゃんも高等学校に進学するのね」
「セイラン様とレイリ様が話し合って決めてくださったんだ」
「ナンシーちゃんも一緒で嬉しいわ」
話をしているとカルロッタ先生が席につくように促す。
席について僕もリラもナンシーちゃんも試験を受けた。
「試験の結果は明日にでも出ます。基本的に不合格者は出ないので安心してください」
カルロッタ先生に言われて、僕もリラもナンシーちゃんも安心して教室から出た。廊下にはアナ姉さんが待っていてくれる。
スリーズちゃんが生まれてから小学校の送り迎えはアナ姉さんが請け負ってくれていた。
「高等学校になったら自分たちで歩いて行かなきゃいけなくなるね」
「お兄ちゃんのことは私が守ってあげる」
「リラは強いもんな」
話しているとアナ姉さんが心配そうな顔になる。
「ラーイとリラだけで平気かしら?」
「高等学校になるんだから平気だよ」
「私、強いのよ」
「高等学校の生徒になると言っても、ラーイとリラはまだ十歳でしょう?」
そうだった。
僕とリラは二年飛び級して小学校に入学しているので、他の子たちよりも年齢が低いのだった。まだ十歳の僕とリラを二人きりで行かせることに関して、アナ姉さんは不安に思っているようだった。
帰りに僕とリラは毎日スリーズちゃんの様子を見ていく。
魔女の森の入口にある母の仕立て屋を通らなければ帰れないというのもあるのだが、可愛い妹のスリーズちゃんの姿を見たい気持ちも強かった。
「にぃ! ねぇ!」
僕とリラの姿を見付けると、庭のウッドデッキで敷物の上で遊んでいたスリーズちゃんが目を輝かせて手を挙げる。僕もリラも駆け寄ってスリーズちゃんを順番に抱っこする。
「今日もいい子にしてた?」
「スリーズちゃん、元気だった?」
話しかけてもスリーズちゃんは返事ができないので、代わりに母が返事をしてくれる。
「元気すぎて大変よ。午前睡をしなかったし、お昼ご飯はおっぱいは嫌がるのに離乳食は大量に食べるし、食べ終わったら座ったまま寝ちゃうし」
笑いながら言う母は、大変でも楽しそうだった。
「スリーズ、ラーイとリラに聞かせてあげなさい」
「うー?」
「ほら、言えるようになったでしょ? 『ママ』よ、『ママ』」
「にぃ!」
「違うってば」
「ねぇ!」
「言えたのに!」
悔しがっている母は、赤ちゃんが自分の思い通りにならないのは分かっているので、それ以上無理強いはしなかった。
「お母さん、高等学校の制服の採寸に行かなきゃいけないんだけど、セイラン様と行っていい?」
「私も、レイリ様と行っていい?」
高等学校の方からお知らせが来ていたが、この件に関してはセイラン様もレイリ様も母に話すように言っていた。母は仕事が仕事だし、僕とリラの採寸には行きたがるかもしれないと思っているのだ。
「ラーイは土地神様と行っていいと思うけど、リラは私がいた方がいいかもしれないわ」
「なんでお兄ちゃんだけ!?」
「リラは女の子だから、女子の採寸の場所には女性しか入れないかもしれないのよ」
そうか、そういうことも考えられるのか。
十二歳にもなると男子と女子で体の作りが大きく変わってくる。僕とリラは十歳だけれどその中にいるのだから、周囲のルールに合わせなければいけない。男子と女子で採寸の場所が違うのならば、それは高等学校のルールに合わせなければいけないだろう。
「ラーイは高等学校で初めての男の子になるはずだから、高等学校側も配慮してくれると思うのよね。女子とは多分別の採寸場所が用意されるわ」
「それなら、仕方ないよね、リラ」
「そうね。お兄ちゃんだけずるいけど」
「狡いも何も、リラは女の子で僕は男の子なんだから仕方ないよ」
唇を尖らせているリラはちょっと納得できない様子だが、母が一緒に来てくれることに異議は唱えていなかった。
「その日はスリーズをアナに預けていいかしら?」
「いいわよ。母さんが出かけてる間、留守番してるわ」
「ありがとう、アナ」
高等学校の制服の採寸の日には、スリーズちゃんをアナ姉さんに預かってもらうことで母とアナ姉さんも合意していた。
高等学校の学力試験の結果は、問題なく全員が合格だった。僕は成績優秀者として学費免除をもらえる成績を出せていたし、リラも中間以上の成績を出せていた。
試験の結果をセイラン様に見せると髪を撫でて褒めてくれる。
「ラーイは頭がいいのだな。誇らしいぞ」
「ありがとうございます」
リラもレイリ様に試験の結果を見せている。
「リラ、頑張ったではありませんか」
「お兄ちゃんには敵わないけど」
「リラは二年も早く小学校を卒業して高等学校に入るのです。それでこの成績はすごいですよ」
「本当?」
「もちろんです」
レイリ様に褒められてリラも誇らしげな顔になっていた。
高等学校の制服の採寸の日には、僕は初めて魔女の森の高等学校に行った。
入学するのは女子生徒ばかりで、僕だけが男子生徒だ。
制服を採寸する場所は、母の言った通り、男女で別れていた。
僕とセイラン様の二人だけが男子の採寸場所に入る。
下着姿になって採寸してもらって、服を着直していると、一応と前置きして聞かれる。
「制服はスラックスとスカートと選べますが、どうしますか?」
「スラックスで」
女子生徒にも聞いていることを僕に聞かないのはおかしいと思ったのだろうが、僕はスカートをはく趣味はない。答えると採寸してくれた魔女は採寸の紙のスラックスの欄に丸をつけていた。
リラも採寸を終えて講堂に集まる。
「お母さんがいいって言ったから、私、スカートとスラックス、どっちも注文しちゃった」
「リラはどっちも似合うと思うよ」
「制服ってみんな同じでつまらないけど、髪型は好きにしていいみたいだから、マオお姉ちゃんに編み込んでもらって、薔薇の飾りをつけていくわ」
制服は灰色のチェックの上着に白いシャツ、黒いスラックスかスカートなのだが、みんな同じでリラの言う通りつまらない。
どうしてみんな同じなのだろう。
「制服はどうしてみんな同じなの?」
母に聞いてみると、声を僅かに潜められる。
「服装で貧富の差が見えないようにしているのよ。制服は無償で提供されるから、誰でも着られるでしょう」
そうか、誰でも綺麗な服を毎日着られるわけではない。
僕は母が仕立て屋の魔女で、セイラン様とレイリ様という土地神様に育てられているから、貧しさとは無縁の生活だった。高等学校に入学してくる生徒の中には、裕福ではない家の子どももいるのだ。
それを考えると、無償で提供される制服というのはとても有意義だと思える。
「つまらないなんて思って悪かったな」
「私も反省するわ」
僕もリラも富める者の視点しかなかったと、反省したのだった。
制服は少し大きめのものを注文していた。
僕もリラもまだまだ育ち盛りで大きくなることが予測できるからだ。
「お母さん、私の胸はいつ頃膨らんでくるの?」
じっと母の大きな胸を見詰めながら、リラが自分の胸を押さえて問いかける。リラは小さい頃から胸が大きくなりたがっていた。
「私は十二歳くらいから胸が大きくなり始めて、十六歳くらいでこの大きさになったかな」
「まだ六年もあるのー!?」
悲鳴を上げるリラに、母がころころと笑っている。
「リラは私に似てるから、重くて邪魔なくらい大きくなるよ」
「早く大きくなりたいわ」
その頃にはリラも母によく似た女性に育っているのだろうか。リラは母の複写なので、姿も髪の色も目の色もそっくりだった。
事前に説明されていたので、僕もリラもその試験の意味を知っていた。
高等学校に入学する子どもたちの学力試験なのだ。
この試験で高等学校に入学するだけの学力がないと判断されると高等学校には入学できない。毎年行われているが、高等学校の進学を望む生徒にとっては、難しくない試験で、不合格になるものはほぼいないということだったので、僕は安心していた。
授業はその日は早く終わって、放課後に教室に集められた生徒の中にはナンシーちゃんもいた。
「ナンシーちゃん、高等学校に進むの?」
「そうなのよ。お母さんもお父さんも、小学校を卒業してすぐに働くのは早すぎるし、もっと勉強した方がいいって言ってくれたの。ラーイくんとリラちゃんも高等学校に進学するのね」
「セイラン様とレイリ様が話し合って決めてくださったんだ」
「ナンシーちゃんも一緒で嬉しいわ」
話をしているとカルロッタ先生が席につくように促す。
席について僕もリラもナンシーちゃんも試験を受けた。
「試験の結果は明日にでも出ます。基本的に不合格者は出ないので安心してください」
カルロッタ先生に言われて、僕もリラもナンシーちゃんも安心して教室から出た。廊下にはアナ姉さんが待っていてくれる。
スリーズちゃんが生まれてから小学校の送り迎えはアナ姉さんが請け負ってくれていた。
「高等学校になったら自分たちで歩いて行かなきゃいけなくなるね」
「お兄ちゃんのことは私が守ってあげる」
「リラは強いもんな」
話しているとアナ姉さんが心配そうな顔になる。
「ラーイとリラだけで平気かしら?」
「高等学校になるんだから平気だよ」
「私、強いのよ」
「高等学校の生徒になると言っても、ラーイとリラはまだ十歳でしょう?」
そうだった。
僕とリラは二年飛び級して小学校に入学しているので、他の子たちよりも年齢が低いのだった。まだ十歳の僕とリラを二人きりで行かせることに関して、アナ姉さんは不安に思っているようだった。
帰りに僕とリラは毎日スリーズちゃんの様子を見ていく。
魔女の森の入口にある母の仕立て屋を通らなければ帰れないというのもあるのだが、可愛い妹のスリーズちゃんの姿を見たい気持ちも強かった。
「にぃ! ねぇ!」
僕とリラの姿を見付けると、庭のウッドデッキで敷物の上で遊んでいたスリーズちゃんが目を輝かせて手を挙げる。僕もリラも駆け寄ってスリーズちゃんを順番に抱っこする。
「今日もいい子にしてた?」
「スリーズちゃん、元気だった?」
話しかけてもスリーズちゃんは返事ができないので、代わりに母が返事をしてくれる。
「元気すぎて大変よ。午前睡をしなかったし、お昼ご飯はおっぱいは嫌がるのに離乳食は大量に食べるし、食べ終わったら座ったまま寝ちゃうし」
笑いながら言う母は、大変でも楽しそうだった。
「スリーズ、ラーイとリラに聞かせてあげなさい」
「うー?」
「ほら、言えるようになったでしょ? 『ママ』よ、『ママ』」
「にぃ!」
「違うってば」
「ねぇ!」
「言えたのに!」
悔しがっている母は、赤ちゃんが自分の思い通りにならないのは分かっているので、それ以上無理強いはしなかった。
「お母さん、高等学校の制服の採寸に行かなきゃいけないんだけど、セイラン様と行っていい?」
「私も、レイリ様と行っていい?」
高等学校の方からお知らせが来ていたが、この件に関してはセイラン様もレイリ様も母に話すように言っていた。母は仕事が仕事だし、僕とリラの採寸には行きたがるかもしれないと思っているのだ。
「ラーイは土地神様と行っていいと思うけど、リラは私がいた方がいいかもしれないわ」
「なんでお兄ちゃんだけ!?」
「リラは女の子だから、女子の採寸の場所には女性しか入れないかもしれないのよ」
そうか、そういうことも考えられるのか。
十二歳にもなると男子と女子で体の作りが大きく変わってくる。僕とリラは十歳だけれどその中にいるのだから、周囲のルールに合わせなければいけない。男子と女子で採寸の場所が違うのならば、それは高等学校のルールに合わせなければいけないだろう。
「ラーイは高等学校で初めての男の子になるはずだから、高等学校側も配慮してくれると思うのよね。女子とは多分別の採寸場所が用意されるわ」
「それなら、仕方ないよね、リラ」
「そうね。お兄ちゃんだけずるいけど」
「狡いも何も、リラは女の子で僕は男の子なんだから仕方ないよ」
唇を尖らせているリラはちょっと納得できない様子だが、母が一緒に来てくれることに異議は唱えていなかった。
「その日はスリーズをアナに預けていいかしら?」
「いいわよ。母さんが出かけてる間、留守番してるわ」
「ありがとう、アナ」
高等学校の制服の採寸の日には、スリーズちゃんをアナ姉さんに預かってもらうことで母とアナ姉さんも合意していた。
高等学校の学力試験の結果は、問題なく全員が合格だった。僕は成績優秀者として学費免除をもらえる成績を出せていたし、リラも中間以上の成績を出せていた。
試験の結果をセイラン様に見せると髪を撫でて褒めてくれる。
「ラーイは頭がいいのだな。誇らしいぞ」
「ありがとうございます」
リラもレイリ様に試験の結果を見せている。
「リラ、頑張ったではありませんか」
「お兄ちゃんには敵わないけど」
「リラは二年も早く小学校を卒業して高等学校に入るのです。それでこの成績はすごいですよ」
「本当?」
「もちろんです」
レイリ様に褒められてリラも誇らしげな顔になっていた。
高等学校の制服の採寸の日には、僕は初めて魔女の森の高等学校に行った。
入学するのは女子生徒ばかりで、僕だけが男子生徒だ。
制服を採寸する場所は、母の言った通り、男女で別れていた。
僕とセイラン様の二人だけが男子の採寸場所に入る。
下着姿になって採寸してもらって、服を着直していると、一応と前置きして聞かれる。
「制服はスラックスとスカートと選べますが、どうしますか?」
「スラックスで」
女子生徒にも聞いていることを僕に聞かないのはおかしいと思ったのだろうが、僕はスカートをはく趣味はない。答えると採寸してくれた魔女は採寸の紙のスラックスの欄に丸をつけていた。
リラも採寸を終えて講堂に集まる。
「お母さんがいいって言ったから、私、スカートとスラックス、どっちも注文しちゃった」
「リラはどっちも似合うと思うよ」
「制服ってみんな同じでつまらないけど、髪型は好きにしていいみたいだから、マオお姉ちゃんに編み込んでもらって、薔薇の飾りをつけていくわ」
制服は灰色のチェックの上着に白いシャツ、黒いスラックスかスカートなのだが、みんな同じでリラの言う通りつまらない。
どうしてみんな同じなのだろう。
「制服はどうしてみんな同じなの?」
母に聞いてみると、声を僅かに潜められる。
「服装で貧富の差が見えないようにしているのよ。制服は無償で提供されるから、誰でも着られるでしょう」
そうか、誰でも綺麗な服を毎日着られるわけではない。
僕は母が仕立て屋の魔女で、セイラン様とレイリ様という土地神様に育てられているから、貧しさとは無縁の生活だった。高等学校に入学してくる生徒の中には、裕福ではない家の子どももいるのだ。
それを考えると、無償で提供される制服というのはとても有意義だと思える。
「つまらないなんて思って悪かったな」
「私も反省するわ」
僕もリラも富める者の視点しかなかったと、反省したのだった。
制服は少し大きめのものを注文していた。
僕もリラもまだまだ育ち盛りで大きくなることが予測できるからだ。
「お母さん、私の胸はいつ頃膨らんでくるの?」
じっと母の大きな胸を見詰めながら、リラが自分の胸を押さえて問いかける。リラは小さい頃から胸が大きくなりたがっていた。
「私は十二歳くらいから胸が大きくなり始めて、十六歳くらいでこの大きさになったかな」
「まだ六年もあるのー!?」
悲鳴を上げるリラに、母がころころと笑っている。
「リラは私に似てるから、重くて邪魔なくらい大きくなるよ」
「早く大きくなりたいわ」
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