土地神様に守られて 〜転生したらまた魔女の男子だった件〜

秋月真鳥

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転生したらまた魔女の男子だった件

167.三度の結婚式

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 初夏が来てリヒ様がこの土地に渡って来た。
 僕とリラは十八歳になる。
 僕とリラの十八歳のお誕生日はセイラン様とレイリ様にとっても特別な日だった。
 僕はセイラン様と、リラはレイリ様と結婚するのだ。

 仕立てた衣装は僕の羽織が白地に刺繍の入ったもので、セイラン様の羽織が青のグラデーションのものだ。羽織の裏にも刺繍をしっかりとしている。
 レイリ様は大陸風の襟高の衣装に刺繍を施して、リラも大陸風の襟高のドレスに刺繍をしっかりと施している。

 僕とリラが付けている水引とタッセルのピアスは母が僕に教えてくれて僕が作ったものだった。

「水引は難しくないわ。タッセルも糸を巻けば作れるわよ」
「僕が作れるの!?」
「作ってみない? 折角衣装も全部手作りなのだから」

 水引は編むのが難しかったけれど、なんとか編んで針金で留めた。タッセルは糸を一定の長さで巻いて、纏めて、長さを合わせて切って作った。
 タッセルと水引のピアスの金具を母がつけてくれて、ピアスは出来上がった。

 結婚式の朝はセイラン様が僕の髪を丁寧に梳いて結んでくれて、僕もセイラン様の髪を丁寧に梳いて結んだ。
 リラはレイリ様に三つ編みにしてもらっていた。

「レイリ様は結婚式のためにマオお姉ちゃんに習って、三つ編みを覚えてくれたのよ。今では編み込みもできるのよ」

 前髪を編み込みにしてもらってリラはとても嬉しそうだった。

 衣装を着て社の庭に出ると、土地のひとたちが集まっているのが分かる。
 アナ姉さんは大忙しで料理を作っている。
 アンナマリ姉さんもアマンダ姉さんと旦那さんも、母とお父さんとスリーズちゃんとフレーズちゃんもお祝いに駆け付けてくれていた。

「魔法使いの街から土地神様にお祝いを。土地神様の力が長く続きますように」
「ありがとう、アマリエ」
「ありがとうございます。僕たちからも魔法使いの街、そして、この土地に祝福を」
「私たちの幸福があるのは土地の幸福あってのこと。土地の豊かな実りのためにこれからも努力していく」

 堂々と挨拶するセイラン様とレイリ様が格好よくて僕は見惚れてしまった。
 次々と土地のひとたちがセイラン様とレイリ様に挨拶をしていく中、フウガくんがそこに混じって一生懸命順番を待っている。フウガくんの番になると、フウガくんは凛と顔を上げてセイラン様とレイリ様に挨拶した。

「土地神様ご成婚誠におめでとうございます」
「ありがとう」
「隣りのフウガくんですね。ラーイとは仲良しのようで」
「俺はマオさんと結婚したいんです。どうかお許しください」
「マオの結婚はマオの意思だ」
「マオがいいと言うのならば、結婚を認めましょう」

 土地神様であるセイラン様とレイリ様から許可が出てフウガくんは大喜びでマオさんのところに走って行った。

「マオさん、結婚してくれ!」
「し、仕方ないですね。こんな年上の女、後悔しますよ?」
「後悔しない。俺、結婚して社に婿に入る」
「え!?」
「マオさんは巫女をやめるわけにはいかないだろう? 家の跡継ぎにはコウガがなるから、俺は社に婿入りするよ」

 そこまで真剣にフウガくんはマオさんとの結婚を考えていたようだ。社に婿入りする話を聞いてセイラン様もレイリ様も頷いている。

「マオが出て行かないのならば安心だな」
「これから僕たちの子どもも生まれるかもしれませんからね」
「ラーイとリラを育てたときにマオには本当に助けてもらった」
「マオの子どもが生まれたら、今度は僕たちが助けましょうね」

 フウガくんの婿入りは決まったようだ。
 マオさんとフウガくんの結婚式はもう少し後になるとして、僕はセイラン様の隣りに立って挨拶に来る土地のひとたちに頭を下げ続けて、へとへとになってしまった。

 その夜は初夜なのに僕は疲れ切っていて、セイラン様とお風呂に入るときにはもう眠くて眠くて堪らなくて、ベッドに倒れ込むとすぐに眠ってしまった。
 リラもそうだったのだろう、次の朝さっぱりした顔で起きてきたが、若干悔しそうだった。

 土地でのお披露目が終わったので、次は白虎の村でのお披露目だ。

 白虎の村に昨日と同じ結婚式の衣装で飛ぶと、セイラン様とレイリ様のご両親が人間の姿で迎えてくれた。
 セイラン様とレイリ様のご両親の人間の姿を見るのは初めてだったけれど、セイラン様がお母上に似ていて、レイリ様はお父上に似ている気がする。

「よく来ましたね、ラーイ、リラ」
「ついにセイランとレイリも結婚したのだな」
「おめでとうございます」
「素晴らしい衣装を着ている。その刺繍は白虎族のものではないか?」

 衣装を褒められて僕は嬉しくなってしまう。
 セイラン様の羽織の裏側に施した刺繍も、僕の羽織に施した刺繍も、リラとレイリ様の衣装に施した刺繍も、全部白虎族の伝統のものだった。
 昨日の結婚式は土地のひとたちへのお披露目であって、僕は大量のひとに挨拶をして疲れただけだったけれど、今日は違う。
 セイラン様とレイリ様のご両親と小規模に結婚式をできるのだ。

 セイラン様とレイリ様のご両親に招かれて家に入ると、絨毯の上に大量のご馳走が用意されている。昨日は土地のひとたちの対応に追われて何かを食べる暇もなかったけれど、今日はゆっくりと食べられそうだ。
 魚の唐揚げに、もち米で炊いた炊き込みご飯、焼いた肉、野菜と焼いた肉を薄いパンで巻いたもの、スープなどセイラン様とレイリ様のご両親が取り分けてくれる料理を味わう。
 スパイスが僕とリラの育った土地とは違うけれど、とても美味しくて食べるのが止まらない。

「ラーイは今日をずっと楽しみにしておったのだよな」
「そうです。セイラン様とレイリ様のお父上とお母上に祝って欲しかったのです」
「土地での結婚式は慌ただしすぎましたね」
「私、全然お料理が食べられなかったのよ。アナお姉ちゃんが作ってくれたのに」

 リラも土地での結婚式は落ち着かなくて不満があったようだった。
 家族だけで小規模に祝われるのは本当に嬉しい。

「そんなに不満だったなら、土地に帰ったら、アマリエとエイゼンと家族だけで結婚式のやり直しをするか?」
「いいのですか?」
「ラーイの満足のいく結婚式を挙げてやりたい。一生に一度のことだからな」

 一生に一度のこと。
 それはセイラン様が僕と添い遂げてくださると言っているのだと理解できる。
 セイラン様は僕が死ぬときには寿命を分け合っているから一緒に死ぬのだし、セイラン様が死ぬときには僕も一緒に死ぬのだ。

 これだけ強い結びつきを持てるということが僕は泣けてくるくらい嬉しかった。

「セイラン様、愛しています」
「私もだ、ラーイ」

 生まれてから十八年、ここに来るまで長かった。
 セイラン様の水色の目を見上げて愛を告げれば、セイラン様も真摯に返してくれた。

 土地に帰ってから、セイラン様とレイリ様はもう一度結婚式を挙げてくれた。
 三度目の結婚式になるが、本当に僕がしたかった結婚式はこれなので、僕は期待して母や姉を招待した。

「マオの結婚式も一緒にしよう」
「そうですね、マオさんの結婚式もどうせなら一緒にしてしまいましょう」

 マオさんとフウガくんにも結婚式の衣装を着てもらって一緒に結婚式に出てもらった。

 参列したのはフウガくんのご家族と、マオさんの弟夫婦と妹夫婦と、母とお父さんとスリーズちゃんとフレーズちゃん、それにアマンダ姉さんと旦那さんと娘さんたち、アンナマリ姉さんと娘さんたち、アナ姉さんと娘さんだった。
 アナ姉さんのご馳走は今回はきっちりと全員に行き渡った。

「セイラン様、僕がしたかったのはこんな結婚式だったのです」
「ラーイの満足する結婚式を挙げられてよかった」

 僕とセイラン様が話している横でリラもレイリ様と話している。

「これこそ理想の結婚式よね」
「リラの思う結婚式ができたならよかったです」
「レイリ様、大好きよ」

 リラの腕がレイリ様に絡み付く。抱き付かれてレイリ様は軽々とリラを抱き上げていた。
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