たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

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ミストの帰還

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「オババ、オババはいるの?」

 インテルシアの魔導学院。学院長前の廊下に響くミストの声。
 ノックをしても返事の無いドアに向かって失礼をぶつける。

「ミスト様、学院長に向かってなんてことを」

「私はいいの。モモギは黙ってて」

「ノマギでございます」

 ドアの前にいる2人に気づいたエクレールが駆け寄ってくる

「学院長に何か用かしら?ミスト・キャティ魔導士」

「あなたはエクレール?」

「そうよ。覚えててくれたのね」

「学院長はどこかしら。報告に来たのだけれど」

「今は魔導士局に呼ばれて外出中よ。でもすぐ戻ってくるから中で待つ?」

「待つ」

「お茶を淹れるわ、よかったら仕事の話でも聞かせてくれないかしら」

「お茶よりジュースよ」

「わかったわ」

 エクレールとはそこまで親しい間柄ではなかったものの、ミストは向かった先のカスケードの町で出会った人、お祭りの事などがよほど楽しかったのかウキウキと話をした。

 子供が何かを自慢しているようで、エクレールはミストにも子供っぽい一面があることに安心したが、まだ子供なのに六大魔導士である責任を負わせるのは酷なことだとも感じてしまった。

「賑やかな声がすると思ったらミストちゃんもう帰ってきてたのね」

「ただいま、オババ」

「どうだったかしら調査の方は?」

「空間の歪みを調べたけれど、全くもって痕跡がなかったわ。ミストの実力が不足してるかもしれないけれど一生懸命やったわ」

「同行したノマギです。捕捉させていただきますと、魔法局で計測された歪みが魔法によるものであれば、それなりに魔力残滓が残ると考えていたのですがそれもありませんでした。となるとスキルによる空間操作系によるものだと考えています」

 学院長は片手を頬にあて少し考えると

「ミストちゃんでもわからない。魔力の残滓もない。となるとあたしが出向いても結果は一緒でしょうね。わかりました、遠くまで調査ごくろうさまでした」

「全然大したことはなかったの、むしろ楽しかったわ」

「そう、いい経験が積めたね」

「そうだわ。オババに見せたい物があるの。これを見て」

 取り出したのは小さな猫の人形だ。

「あら、可愛らしいお人形ね」

「これ、もう一つ有れば遠くにいてもお話できる」

 その言葉に興味を持った学院長が、すぐに魔法陣解析をする。

「ミストちゃんこれをどこで買ってきたの?」

「買ったんじゃない、お友達のねこたんに貰ったものよ」

 解析結果としては自分の知らない魔法陣が綿密に重なり合って小さな魔石に直接刻まれていたのだ。
 魔石に直接魔法陣を刻む事ができ、なおかつ発動もできるとなればいくらでも応用が利く。軍事転用などを考えたら汎用性が恐ろしい。

「あたしは今まで魔法も魔道具もこの国が一番進んでいると思っていたわ、でも実際は見えないところで追い越されていたのね」

「凄いでしょ」

「そうね、凄いわね。こんな凄いものをあげる余裕があるのだから、真似されない自信があるのね」

「オババでもこれと同じの作れないってこと?」

「まぁ頑張っても1年は必要ね」

「それは残念ね。もしまた会えたらオババの分も貰っておくわ」

「フフフッ、それは楽しみね」

 ミストは学院長に友達から貰ったものを自慢できたことが嬉しかった。

「報告はこれくらいかしら。そしたらあたしのお話を聞いていって欲しいのだけど」

 魔導士局に呼ばれた経緯だ。
 それはまた大きな空間の歪みを計測したことであり、また測定不能を計測したので不具合かどうかの確認のため学院長が呼ばれたのだった。

 計測結果は間違っておらず同時刻に学院長も前回の歪みが比にならないほどの空間の歪みをアヤフローラのかなり上空から感じ取り、床に崩れ落ちるほどの頭痛に襲われたのだ。

 運悪くミストたちがこちらに帰国する間に起こった出来事の様で観測などはできていない。

 さらにミストがアヤフローラ国に行った事が、戦争だと誤解している国があることも言われてしまったそうだ。

 一個師団クラスの戦力を持つ1人なのだからマークされていてもおかしくはない。

 無事に帰ってきてくれただけでも良かったと言える。

「この歪もカスケード領が中心となっているのは間違いないわ。アヤフローラが何かを隠しているのか分からないけど引き続き調査が必要になってくるわね」

「わかったミストがまた行く」

「もう調査班は決まっているの。ごめんなさいね。でもミストには他の仕事を思いついたから任せてもいいかしら」

「任せて」

「この猫型魔道具を作ったお友達をここに遊びに来てもらえないかお願いして欲しいのだけど」

「そんなことでいいの?」

「そんなことではじゃないわ、これは重要な任務よ」

「わかったわ。友達連れてくる」

 魔道具のレベルを底上げするには、優秀な魔道具を作った者から教えを乞うしかない。
 その魔道具が凄ければ凄いほどいくら金貨を積んでも惜しくないものへとなる。

 その魔道具によってこの先の未来が良くなることが分かっているならなおさらだ。

 ミストのノリを見ると連れてくるのが容易と判断した学院長は、猫型魔道具の製法を買い取るための金策を考えなければと思っていた。

「エクレール先生」

「はい」

「あの魔道具、魔石に直接魔法陣がいくつも重なって刻まれているのだけれど、その技術いくらで買い取れそうかしら」

「え、えーーーーっと、ちょっと私には検討もつきません」

「そうよね、今まで不可能だと思っていたことを普通にやられちゃね。それと市場調査も必要ね。この間道具がアヤフローラでどれだけ流通しているものなのか調べないと」

「そうですね。でもこれって国家機密級の物ではないですかね?」

「そうかもしれないわね。そうだとしたらミストのおかげともいえるわ。持ち帰れただけでも凄いことだもの。あたしの勘なのだけど聖魔大金貨を用意しておく必要はありそうね」

 それを聞いていたエクレールとノマギは、ミストに持たせていたらどうなるか分からないと思いで必至に取り上げようとしたのだった。
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