たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

文字の大きさ
71 / 221

妃の条件⑥

しおりを挟む
 出発前に今回の報酬を頂くのと、勇者親子の件がある。

 マトンは「一体どこから連れて来た」としつこく聞いてきたが、はぐらかしてハイドのもとに向かったのだ。

「ケーナが合わせたいというから、何か事情があるとは思っていたが、これは想定外だぞ」

 会った瞬間に、親子に対して見破るを使ったのだろう。
 こちらが伝える前に察してくれたようだ。話が早くて助かる。

「セバステ、この母親をここで働かせろ。お前の管轄だ、ちゃんと見てやれ。そして子供は騎士見習いとし騎士団で預かる事とする」

 いくらなんでも勇者とはいえまだ子供、低レベルなのに騎士見習いはキツイと思う。
 
 ちょっと心配になり改めてノルクのステータスを見ると、剣術の心得スキルを習得させレベルが10も成長していた。

 ---------------

 ノルク・ステビア 男 6歳 幸運の勇者

 LV16 HP24 MP15
 STR 29 VIT 20 MND 8
 SPD 12 DEX 6 INT 9
 LUK 999

 スキル
 福音の恩寵A+ 起死回生A+ 剣術の心得F

 ---------------

 このわずかな期間で仕上げてきている。

 空間収納から出る前にゼンちゃんから面倒を見ると言ってくれたので取りあえず任せてみたのだ。

 とは言っても所詮はスライム相手の修行なので期待は全然してなかったのだけど予想以上の成果を上げてきた。

「ありがとうございます。王様!」

「は! は! は! まだ気が早いぞ小僧。まだ正式な王ではない」

 勇者の保護はこれで大丈夫だ。ハイドならノルクに近づく者を見極められるし、騎士団の中にいればいざという時も守ってもらえる。そして自分自身が成長できる環境があれば自然と強くなるだろう。
 流石幸運の勇者だ。

⦅ぼうずに渡してほしいもんがあるんけんど、たのめっか?⦆

 ゼンちゃんからの念話。
 アイテム一覧に新しいものが増えている。ノルクへのプレゼントだろうか。

⦅それおよ。師匠からだってことで渡してくれぇ⦆

 コソッと取り出し、取りあえず鑑定。

 ”プラチナリング エピック”
 アビリティ:ステータスコンシール
 追加効果:物理耐性アップ/魔法耐性アップ/

 細い腕輪型のアイテム。素材はもちろんプラチナスライム製だ。自分の体を素材にしてアイテム生成できるとは知らなかった。
 短い付き合いでも師弟関係を結んでいたのだろう。弟子思いのアイテムだ。
 しかし誰に似たのか、高価な物をほいほいとあげてしまっていいのだろうか。

 まぁ、ノルクがこれを売ることはないだろうと信じて渡すことにした。

「はい、コレ、師匠からの贈り物だよ」

「え、師匠が! ありがとうございます! すごく嬉しいです!」

(いい子だなぁ)

 魔物にも好かれるなんてほんと幸運。
 このまま真っ直ぐ育っていってほしい。


 最後は多くの人に見送られ王宮を出ていくことになった。
 表向きには「婚約破棄」ということになっている。
 どこかの悪役令嬢にでもなった気分だ。
 ハイドには素敵なお嫁さんが見つかることを祈っている。

 どうせなら姉さん女房になりそうなネイトレスがいいと思う。
 着飾って喋らなければ誰も騎士だとは気づけないぐらいの見た目をしてるし、なにより真っ直ぐ正直者で嘘とかつけないタイプだ。

「あいつら、くっついちゃえばいいのに」

 なんて戯言をいってみた。


◇◇◇


「ハイド坊ちゃま。ケーナ様ご一行はルクセンブルク領を出ていかれました。予定通り追跡はそこまでとなります」

「ご苦労。セバステ2つ質問がある」

「なんなりと」

「まず1つ目だがセバステはケーナを殺せるか?」

「それは命令でしょうか?」

「違う、仮に敵対した場合の話だ」

「そうですね……。ナインドールを使い、1対10に持ち込めたとして時間稼ぎになるかどうか。できる限り敵対しない方法を考えます」

「それでいい、勘は鈍ってないようだな」

「ありがとうございます」

「ケーナの髪飾りに化けていた、未知のスライムでLv393。さらにテッテと呼ばれていたあの娘、半人半魔の小娘でありながら7大スキルの一つである色欲持ち。7大スキルは世界に7人しか所持できないとされているからな。テッテ・ベルクス、魔王トット・ベルクスの娘で間違いないだろう。その者達と普通に接している者がただの小娘なわけはない。見破らずともそれくらいは分かる」

「異様な気配は髪飾りからでしたか。しかしLv393のスライムなど聞いたことがありません。種族によるレベル上限をゆうに超えております」

「特殊個体であるのは確かだろうが、それでも疑問が残るな」

「ケーナ様の前に、スライムにも勝てぬかもしれません」

「昔は武神と豪語していたセバステがスライム相手に弱音とは、これは面白いぞ」

「おやめください、坊ちゃま。それは100年も前の話ですよ」

「とはいえ偶然ではあったが、ケーナと関わりを持てたし勇者を預かることで借りも作れた。悪くないと思うぞ」

「あの勇者様、ゆくゆくは国の戦力になりますね」

「ああそうだ。おまけに魔王の娘が簡単に王宮内に侵入できることも分かった。あの小娘が本気で色欲を使えば防ぐ手段はない。この国程度簡単に乗っ取られていたかもな。は! は! は!」

 セバステの苦笑い、ハイドの高笑いで一区切りとなる。

「それともう1つ俺の見破るスキルが効いているのかどうなのか、わからぬ者がいた」

「ケーナ様に続き3人目ですか」

「スキルを使用しても言動と本心とが一致しすぎていてな、何かしら偽装系のスキルでも使っているのかと思っている」

「その者は最近見たのでしょうか?」

「近衛騎士の格好をしていたぞ」

「近衛騎士でしたら全員顔を存じてます。特徴を言っていただければ」

「女だ」

「それでしたら、ネイトレスしかおりません」

「ネイトレスは知っておる。あいつは俺がここに連れてきたのだからな。だが以前とは顔つきや体つきが変わっているような気がするのだ。それどころか、そのネイトレスを見ていると心が落ち着くというか何というか……いったいなんなんだあいつは、以前のネイトレスとは別人のようだぞ」

「侵入者の情報は入ってきておりませんが、ネイトレスに何者かがなりすましている可能性も捨てきれません」

「もしネイトレスがやられたとなれば大変なことだぞ」

「わかっております。某とネイトレスの2人しか知らない話がござます。慎重に探りを入れてみましょう」

「任せた」

◇◇◇


 ここから数年後、とある吟遊詩人がとある国の王とその王を守る女騎士が恋に落ちた詩を歌っていたそうだが、現実離れしすぎた内容であまり人気がでなかったらしい。
 逆に人気がでたのは、とある王族が婚約者破棄した年増の貴族令嬢に命を狙われるスリリングな詩だそうだ。
しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

イジメられっ子世に憚る。

satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた

アイイロモンペ
ファンタジー
 2020.9.6.完結いたしました。  2020.9.28. 追補を入れました。  2021.4. 2. 追補を追加しました。  人が精霊と袂を分かった世界。  魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。  幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。  ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。  人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。  そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。  オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!

よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

処理中です...