たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

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妃の条件⑤

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 久々の熟睡ができ心地よい朝を迎える。

「よく寝た……」

 自然と目が覚めた朝は頭がスッキリしている。

(さて、どうしたものか)

 さっそくだがネイトレスを納得してもらうように頭を働かせる。

 要は綺麗なネイトレスを見た者が、邪まな心を持つ者のだとややこしくなるというわけだ。
 王に迷惑がかかってしまう事を懸念しているわけだし。
 だったらその邪まな心を取り払ってしまえばいい。

 ガイドブックを取り出しなにかお手軽で、すぐできそうな事がないかペラペラと探してみる。後ろの方に載っている洗脳に近い精神干渉系アビリティから目ぼしい物を発見。

「“エンジェルラダー:見た者の心を浄化させる。アンデット系には効果大”か、これは攻撃的な感じの威圧とは違うけど、これでいいかな」

 アビリティなのでアイテムにある能力。早速ナナスキルのアイテム制作を使い、シンプルなデザインでネイトレスに似合うような耳飾り型のアイテムを作ってみた。
 おまけ効果もできるだけ盛ってみる。

「うん! なかなか、いいんじゃないか。アイテム作りも面白いかも」

 “エンジェルイヤリング” 
 アイテムランク:レジェンド
 使用者制限:ネイトレス
 アビリティ:エンジェルラダー
 追加効果:毒耐性アップ/麻痺耐性アップ/混乱耐性アップ/魅了耐性アップ/洗脳耐性アップ    

 ナナスキルあれこれ頼りすぎるのはあまり良くないのだけど、今回は一応お詫びも兼ねているといことで私自身を納得させた。

 綺麗になって、可愛くなったのにお詫びするのも変な話だけど、ネイトレスにとっては古傷でさえも勲章のようなものだったのかもしれない。

「ケーーーーーナねぇーーーーーさまーーーーー!!」

 遠くから響くテッテの声。
 ちょうどいいタイミグで2人が来てくれたようだ。
 勢いよく扉があき、先にテッテが飛んできた。

「おはようございますですわ!」

「おはよう」

「悪いなケーナ、朝から。そいつがじっとしてなくてな」

 後から入ってきたネイトレスだったが、恰好はインナーのみ。

「服を着てよ。まさかここまでそれで歩いてきたの」

 どうぞ襲ってくださいと言わんばかりのボディーライン見せつけている。

「と言われてもだな、今まで使っていた寝間着がきつくてな。それに普段は甲冑でいることがほとんどだから式典用の服ぐらいしか持っていない」

「男たちが気にならないの?」

「ああ、今日は皆元気に挨拶していたぞ」

 誰のせいで元気になっているのか考えてほしい。
 そういうところはかなり鈍感なのかな。

「で、昨晩のことについてなのだが……」

「ちゃんと用意しましたよ! 万事解決ってわけにはいかないかもしれないけど。はい、これあげる」

 差し出された耳飾りをまじまじと見て

「か、かわいい! これで解決するのか?」

「つけると印象が良くなるアビリティが付いてるのよ。これで誰も舐めるような態度をとることはないはず」

「まぁ効果がどれ程かは分からないが、折角だからこのかわいい物は貰っておくぞ」
 
 意外に食いつきがいい。アクセサリーに結構興味があるのかもしれない。

「実はな、私も一晩冷静になって考えたのだ。傷が消えたけど私自身が変わったわけではない。昨日は気が動転し昂ったせいもあり強くケーナに当たってしまったなと。騎士としてのあるべき姿ではなかった」

「じゃあ許してくれるの」

「もちろんだ。むしろ悪かったとも思っている。昨晩あの子にも言われたよ。本当に傷痕が大切なものだったのかと」

「テッテに?」

「そうだ、さとされた気分だ。……昔の私はな戦争孤児だったんだ。全てを失い残ったのはこの体ぐらいだ。暫くは教会で世話になっていたのだが、そこに訪れた当時少年のハイド様に騎士の素質があるといわれ城に招かれた」

(昔から見破るスキルを使ってたのかな)

「ここに来てからは認めてもらえるよう必死だった。私は何も持っていなかったからな、体の傷痕でさえも手放したくないと意固地になっていたのかもしれない」

「そうなんだ……」

「私の傷痕が消えた程度騒ぐことではなかった。王に対しての忠誠が変わるわけでも王からの信頼が変わるわけでもない」

「大丈夫だよ、近衛騎士なんだから。それに厄介な視線はそのイヤリングがどうにかしてくれる。とっておきだから大切にしてよね」

「ああ! もちろんだ、一生大切にする」

 一晩でここまで心境の変化があるとは思っていなかったので、思わずテッテの魅了を使って操っているのかと疑ってしまった。

「何かしたの?」

「いいえ、使っていませんわ。ちょっと身の上話をしたぐらいですわ」

 テッテがいい仕事をしてくれたみたいだった。

 ネイトレスが今の姿で勘弁してくれたようで安心した。耳飾りに納得せずに迫られたらときの次の手を考えてなかったから、その時は記憶でもいじるしかないと思っていた。

「ちょっとすまぬが、これはどうやって付ければよいのだろうか?」

「え、イヤリング付けたことないの?」

「何分お洒落には疎いものでな」

「そっか。左耳つけてあげるから、右は自分でつけてみて。力任せにつけちゃダメだからね」

「わ、わかっている」

 イヤリングは挟むタイプの物だから扱いは簡単だ。オシャレとは無縁そうだからこれを機に少しは覚えてもいいと思う。
 なにせ素質はかなり高いのだから。

「うん、うん、似合ってるね似合ってるね」

「ちょっと気恥ずかしいな。いったん外そう」

「ダメ! 折角付けたんだから外しちゃダメ!!」

「わたしですらケーナ姉様から、これといったものは頂いていないのですから、外すのであればわたしが頂きますわ」

「ならば、ずっと付けておこう」

 そう言ったネイトレスが、鏡の前でちょっとニヤついていたのを見逃さなかった。
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