75 / 221
女神はギャンブルへ、教徒はせっせと布教活動①
しおりを挟む
ケーナがオオイマキニドでひと稼ぎしてくるとのことで別れた後、カスケードでフローラ教の布教活動をしているブハッサ達。
もともとフローラ教徒の多い土地なので新規の入信者はそんなに多くはなかった。
それでも布教活動をする理由は、非公認ではあるが神と会った聖人であると知ってもらうため。
そしてその証拠にと、とある聖水を持ち歩いていた。
この聖水はケーナと別れる間際に
「女神様からなにか施しが欲しい」
と頼んだら、
「ちょっと失敗しちゃったポーションの瓶だから、これならいいよ」
と1瓶貰ったものだ。
これはブハッサ達が女神様からいただいた聖水片手に布教活動してたきの話。
◇◇◇
「おい、爺さん聖人になりたいからってポーションを見せてもダメだぜ」
最初の頃は同じ教徒からも冷ややかな目で見られる事が多かった。
自称聖人は詐欺師がほとんどで、フローラ教の教皇から認められなければ正式な聖人と名乗れないからである。
ただ教皇が認めなくても本当に女神と会ったとされれば聖人になれるので、詐欺師がよく使う手口の1つになるってるのだ。周りからちやほやされ、もちろんお金も集まるので詐欺師の温床になりやすいのである。
それでもケーナを本当の女神様として信じ切っているブハッサ達は諦めなかった。
そんな思いが通じたわけでは無いのだが、ポーションが本領を発揮したことで聖水と噂され、ブハッサ達は本当に聖人ではないかと言われ始めていた。
ケーナがあげた瓶の中身は”万能ポーション”と呼ばれる完全回復薬よりやや劣るポーション。それでもエピック級の回復アイテムになる。
完全回復薬との違いはMPが回復しないことや逆に病気や状態異常を治すことができることにある。MPを欲しがるゼンちゃんに使えないので失敗作となったのだ。
まず普通のポーションではないと最初に疑ったのは部下のベアロだった。
興味本位で瓶の蓋を開け臭いを嗅ごうとしたとき、瓶の蓋についていたポーションが滴って指先についてしまっただ。
臭い自体は無臭だったのでそのまま蓋を閉め、濡れたはずの指も直ぐ乾いたので気にしていなかった。
その夜、いつものように体の汗を拭くために服を脱いだ時、異変に気づいたのだ。兵士時代の古傷がすべて消えていたのである。腕にも足にもいくつかの切り傷や打撲の跡が残っていたはずなのに1つも無かった。
もしかしたらと直ぐにブハッサに報告。瓶を勝手に開けた事は物凄く怒られたが、新しい発見が役に立つかも知り、ブハッサ自身も一滴だけ手の甲につけてみたのだ。
結果は古傷はみるみる消えていき、ずっと悩んでいた痔も治った。
1滴でも十分な効果が得られる。ひと瓶で多くの病気や怪我を治せるのではないか。
これはまさしく奇跡の水、聖水だと信じ翌日から町にいる重症の病人や怪我人を治しに回ったのだ。
最初に出会ったのは両目失明をした老人だった。
「医者がもう無理だと言ったんだ、もうほっといてくれ。それにおれはフローラ教など、どうでもいい」
「お願いだ。この聖水を一滴、触れるだけで良い、それでダメだったら私たちも、もう何も望まない。フローラ教にも入らなくてもいい」
「はぁ、しつこいな、触るだけだぞ、そしたら帰れよ。金なんか無いからな。何をしても1メルクも払わないぞ」
「お金はいりません。それでは手のひらを出してください。そこに聖水を一滴だけのせます」
瓶から一滴だけたらすと、みるみる手のひらから体内に浸み込んでいく。
すると、老人は目を両手で覆い
「うわぁ、何をした、眩しい! なんだこれは眩しい!!」
もしかしたら目が治っているかと思い。
「ゆっくりと目を開けてください」
恐る恐る目を開ける老人は周りを見渡し、見えることが不思議でならなった。
「見える……見えるぞ……おまえら、一体何をしたんだ?」
「聖水を一滴手のひらにのせただけです。これが女神アヤフローラ様の力です」
「お、おう。でも信じられねぇ。目が見えるのは数年ぶりだ。もう二度とこんな風にみることなんできねぇと、思って、たからよ……ありがとよ……」
自分の目が元に戻ったことでが嬉しくて老人は涙を流し、ずっと窓の外を見ていた。
次に会ったのは病人では無かったが町でも有名な片足の鍛冶師だ。
以前働いていた鍛冶場で、仕事中にドロドロに溶けた鉄が右足にかかってしまい大火傷。
治すのは不可能とされ切断を余儀なくされたとのこと。今でも幻肢痛に悩まされている。
この聖水ならその悩みを解決できると思い協力を願ったのだ。
最初はもちろん
「怪しすぎる」
とされ門前払いをされていたが、最終的には、
「金を払うから治させてくれ」
となけなしの銀貨10枚を差し出した。
そこでやっと
「わかったよ」
許しを得たのだ。
前回同様まずは一滴。直ぐに浸み込んでいったが、変化はなかった。更にもう一滴。
「右足が暖かい」
無いはずの右足を見ながら呟く鍛冶師。
すると、足の切断付近が溶けたようになり、そこから一気に足先まで再生されたのだ。
鍛冶師の目は点に、
「なにしたんだ!! おい!! 足が生えたぞ」
「私は何もしていません。女神様からいただいたこの聖水のおかげです」
「動く、歩ける!! すげぇな聖水ってのは、疑って申し訳なかった」
また以前のように働けると歓喜し、お礼をされ、逆にお金をいただいてしまったのだ。
もともとフローラ教徒の多い土地なので新規の入信者はそんなに多くはなかった。
それでも布教活動をする理由は、非公認ではあるが神と会った聖人であると知ってもらうため。
そしてその証拠にと、とある聖水を持ち歩いていた。
この聖水はケーナと別れる間際に
「女神様からなにか施しが欲しい」
と頼んだら、
「ちょっと失敗しちゃったポーションの瓶だから、これならいいよ」
と1瓶貰ったものだ。
これはブハッサ達が女神様からいただいた聖水片手に布教活動してたきの話。
◇◇◇
「おい、爺さん聖人になりたいからってポーションを見せてもダメだぜ」
最初の頃は同じ教徒からも冷ややかな目で見られる事が多かった。
自称聖人は詐欺師がほとんどで、フローラ教の教皇から認められなければ正式な聖人と名乗れないからである。
ただ教皇が認めなくても本当に女神と会ったとされれば聖人になれるので、詐欺師がよく使う手口の1つになるってるのだ。周りからちやほやされ、もちろんお金も集まるので詐欺師の温床になりやすいのである。
それでもケーナを本当の女神様として信じ切っているブハッサ達は諦めなかった。
そんな思いが通じたわけでは無いのだが、ポーションが本領を発揮したことで聖水と噂され、ブハッサ達は本当に聖人ではないかと言われ始めていた。
ケーナがあげた瓶の中身は”万能ポーション”と呼ばれる完全回復薬よりやや劣るポーション。それでもエピック級の回復アイテムになる。
完全回復薬との違いはMPが回復しないことや逆に病気や状態異常を治すことができることにある。MPを欲しがるゼンちゃんに使えないので失敗作となったのだ。
まず普通のポーションではないと最初に疑ったのは部下のベアロだった。
興味本位で瓶の蓋を開け臭いを嗅ごうとしたとき、瓶の蓋についていたポーションが滴って指先についてしまっただ。
臭い自体は無臭だったのでそのまま蓋を閉め、濡れたはずの指も直ぐ乾いたので気にしていなかった。
その夜、いつものように体の汗を拭くために服を脱いだ時、異変に気づいたのだ。兵士時代の古傷がすべて消えていたのである。腕にも足にもいくつかの切り傷や打撲の跡が残っていたはずなのに1つも無かった。
もしかしたらと直ぐにブハッサに報告。瓶を勝手に開けた事は物凄く怒られたが、新しい発見が役に立つかも知り、ブハッサ自身も一滴だけ手の甲につけてみたのだ。
結果は古傷はみるみる消えていき、ずっと悩んでいた痔も治った。
1滴でも十分な効果が得られる。ひと瓶で多くの病気や怪我を治せるのではないか。
これはまさしく奇跡の水、聖水だと信じ翌日から町にいる重症の病人や怪我人を治しに回ったのだ。
最初に出会ったのは両目失明をした老人だった。
「医者がもう無理だと言ったんだ、もうほっといてくれ。それにおれはフローラ教など、どうでもいい」
「お願いだ。この聖水を一滴、触れるだけで良い、それでダメだったら私たちも、もう何も望まない。フローラ教にも入らなくてもいい」
「はぁ、しつこいな、触るだけだぞ、そしたら帰れよ。金なんか無いからな。何をしても1メルクも払わないぞ」
「お金はいりません。それでは手のひらを出してください。そこに聖水を一滴だけのせます」
瓶から一滴だけたらすと、みるみる手のひらから体内に浸み込んでいく。
すると、老人は目を両手で覆い
「うわぁ、何をした、眩しい! なんだこれは眩しい!!」
もしかしたら目が治っているかと思い。
「ゆっくりと目を開けてください」
恐る恐る目を開ける老人は周りを見渡し、見えることが不思議でならなった。
「見える……見えるぞ……おまえら、一体何をしたんだ?」
「聖水を一滴手のひらにのせただけです。これが女神アヤフローラ様の力です」
「お、おう。でも信じられねぇ。目が見えるのは数年ぶりだ。もう二度とこんな風にみることなんできねぇと、思って、たからよ……ありがとよ……」
自分の目が元に戻ったことでが嬉しくて老人は涙を流し、ずっと窓の外を見ていた。
次に会ったのは病人では無かったが町でも有名な片足の鍛冶師だ。
以前働いていた鍛冶場で、仕事中にドロドロに溶けた鉄が右足にかかってしまい大火傷。
治すのは不可能とされ切断を余儀なくされたとのこと。今でも幻肢痛に悩まされている。
この聖水ならその悩みを解決できると思い協力を願ったのだ。
最初はもちろん
「怪しすぎる」
とされ門前払いをされていたが、最終的には、
「金を払うから治させてくれ」
となけなしの銀貨10枚を差し出した。
そこでやっと
「わかったよ」
許しを得たのだ。
前回同様まずは一滴。直ぐに浸み込んでいったが、変化はなかった。更にもう一滴。
「右足が暖かい」
無いはずの右足を見ながら呟く鍛冶師。
すると、足の切断付近が溶けたようになり、そこから一気に足先まで再生されたのだ。
鍛冶師の目は点に、
「なにしたんだ!! おい!! 足が生えたぞ」
「私は何もしていません。女神様からいただいたこの聖水のおかげです」
「動く、歩ける!! すげぇな聖水ってのは、疑って申し訳なかった」
また以前のように働けると歓喜し、お礼をされ、逆にお金をいただいてしまったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
キモおじさんの正体は…
クラッベ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生し、ヒロインとなったナディア。
彼女はゲーム通りにいかない悪役令嬢のビビアンに濡れ衣を着せ、断罪イベントの発生を成功させる。
その後の悪役令嬢の末路は、ゲーム通りでは気持ち悪いおっさんに売られていくのを知っているナディアは、ざまぁみろと心の中で嘲笑っていた。
だけどこの時、この幸せが終わりを迎えることになるとは、ナディアは思っても見なかったのだ。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた
アイイロモンペ
ファンタジー
2020.9.6.完結いたしました。
2020.9.28. 追補を入れました。
2021.4. 2. 追補を追加しました。
人が精霊と袂を分かった世界。
魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。
幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。
ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。
人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。
そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。
オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!
よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる