たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

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女神はギャンブルへ、教徒はせっせと布教活動②

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 最初の老人の目を治したときとは、もともと見えていた。などと言われ信憑性に欠けてしまい、悪い方に噂されてしまった。

 2人目の欠損部位を治した話は、最初は誰もが疑うが、片足の鍛冶師のことを知っている人は多かったので、両足で歩いている姿を見れば、真偽を容易に確かめるられたのがよかった。

 このあたりからブハッサ、ベロア、ブックは、女神様から聖水を渡された3聖と呼ばれるようになり、ちょっとした有名人になっていた。

 3人は町中にいる難病、重病、怪我、欠損、古傷で困っている人を募集して、声がかかれば聖水でどんどん治していった。
 その上お金の要求は一切しない。
 あえていうなればフローラ教の教えを説かれるぐらいだ。

 奇跡の聖水の噂はじわじわと広まりカスケード領には留まらす、隣国まで届いていた。

 敬虔なフローラ教徒は3聖を見る為だけにカスケードの町まで巡礼と称して訪れる者も多かった。

 遠方から訪れる者は教徒だけでない、奇跡の聖水に頼るために病人や怪我人もわざわざ足をはこんでいたのだ。

 だが量にも限りがある。残りが10分の1もないぐらいまで減ってしまったので使用する対象を未来ある子供に絞っていた。
 それでも諦めきれない人には、また聖水が施された場合、優先的治療をする約束をして宥めるしかなかった。


 そして浮島の話になる。
 この日も何人かの子供に聖水を施していたときだった。

 突然浮島が現れた時は町の人々は混乱し、不安が広がっていった。
 そんな中でもブハッサは取り乱すことなくじっと祈りを捧げ続けていた。

 光輝く魔力の塊が落ちてきて絶望的な状況でも

「ああ女神様。町の者たちを助けてくだされ」

 と呟き、祈っていたのだった。

 そして祈りが届いたかのように、魔力の塊と浮島は消え去ったのだ。

 この時、浮島はコピーエーナの猫君によって魔力の塊も浮島も対処されただけだが、大きな物を空間収納するさいに感じる空間の歪を間近で感じたブハッサは、以前自身が収納された時と同じ感覚がしたので、女神アヤフローラ(ケーナ)がしたものだと思い込んでいた。

 じっと祈る姿を傍から見ていた教徒達は、まるでブハッサが神に守られているように映り、やはり本物の聖人だともてはやしたのだった。

 しかし、これを良しとしなかったのがフローラ教発祥の都フォーリアにあるフローラ教総本山である。

 巡礼もカスケードの町にばかりでフォーリアに訪れる人が減ったのだ。人が減るとお布施が減り、お布施で私腹を肥やしていた者は苦しくなる。
 だからこそ勝手に聖人などと名のってもらっては困ってしまうのである。

 3人の聖人ばかりに注目が集まってしまい。教皇や枢機卿は面白くなかった。

「一度に3人も聖人を名乗るなどいくら何でもやり過ぎとは思いませぬか?」

「そうですな。詐欺師達のやる事は本当に理解に苦しむ。嘘のメッキほど剥がれ安いものはないといのに。いいようにフローラ教を利用し、ルマーブ教皇も胸を痛めておいででしょう」

「私はそんな彼らに神の粛清を与えるのが妥当だと思いますが、皆の者いかがかな?」

「それでしたら、見せしめも兼ね公開尋問を行うのがよろしいかと。二度とこのような悪しき者が現れないようにするためにも」

「それでしたら、尋問官を私がやりましょうぞ」

「リーフ猊下《げいか》自ら裁くのですか!? 相手が可哀想だ」

 笑い声が混ざる枢機卿達の雑談の中で3人の粛清が決まったのである。

 後日、カスケードの町に教会直属の聖騎士団が現れ、中心人物とされるブハッサを神への冒涜と詐欺の容疑で拘束し、フォーリアまで連行することとなった。

 その時集まっていた教徒達が必死に無罪を主張していたが、聖騎士がそんなことを聞き入れることなどはない。
 ブハッサは

「女神様は見ておられる。あちらで無罪を証明すればいいだけのこと。あとの事はベロアとブックに任せますね」

 と言い残し、大人しく聖騎士に従っていた。



 ブハッサは連行される馬車の中でも、祈りを捧げ教本を読むだけ。

 聖騎士たちも勿論フローラ教徒だ。ブハッサを見る限り敬虔な教徒でしかない。何故中央の教会が拘束を命じたのか疑問しか浮かんでこなかった。
 そんなもやもやを抱えていた聖騎士の1人が思わず聞いてしまう

「爺さん、あんた一体なにをしたんだ?」

 他の聖騎士たちも興味があり耳を傾けた。

「私は何もしておりません。女神様から聖水を頂き、その聖水をつかって病める者、傷のある者を治していただけです。私の力ではございません。全て聖水のお力です」

「その聖水ってのは今あるのか?」

「はい、私の内ポケットに瓶がありますので取っていただければ」

 拘束されて手が動かせないブハッサに代わり、瓶を取り出す聖騎士

「これただのポーションじゃねーのか?」

「いいえ違います。瓶はポーションの物と酷似しておりますが中身は別物になります」

「もうほとんど入ってねーようだが」

「多くの方を助けるため、一滴一滴大切に使っております。あと少しかありませんが、それでもあと7、8人ぐらいは治せるかもしれません」

 真っ直ぐ、目を見て話すブハッサを聖騎士は嘘を言っているようには見えなかった。
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