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最初の一撃は、ぜつだい。②
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裏の賞金首になったことすら知らないケーナが、バグラを出て小国をいくつか挟み、アヤフローラの国境まで来ていた。しかし国境検問所で足止めにあっていた。
「ちょっと、もういい加減だしてほしいのだけど。荷物の検査って言ってたけど私荷物なんて持っていないのよ。いったいいつまで待たせる気なの?」
「こちらがいいと言うまでだ。大人しく座っていろ」
「御者の人だって仕事が終わらなくて困るでしょ?」
「そいつにはもう帰ってもらった」
「はぁ!?、どうことよ。ここからカスケードまで歩けっての?」
「いいから大人しくしていろ」
長い時間取り調べ室のような部屋に監禁されている。
扉にもずっと見張りがいる状態だ。竜車も無いのに何故閉じ込められているの分からない。
「失礼します!」
「なんだ!」
「オリミラ・アルバトロス少将がご到着いたしました」
「分かった。こちらにお通ししろ」
カツン、カツン、カツン
と廊下をヒールで歩く音が近づいてくる。
カチャ
と鍵が開くと
バーン!!!!
外れてしまうのではと思うぐらい位の勢いで扉を蹴って入ってくるのは、ヒールを履いた軍服姿の女性。眼つきは怖いが綺麗な人だった。
「おい、この娘なのか?」
「はっ!例の手配書の娘だと思われます」
(手配書? またお尋ね者なの? てかアルバトロスって誰だっけ? アホウ鳥じゃなくて、ガイドブックに書いてあったような……)
「随分と若く小さいじゃないか何かの間違いじゃないのか?」
「御者に確認したところ魔王城からここまで来たと調べを取っております」
【簡易人物鑑定を使用されました。隠蔽が適用されます】
いつの間にかスキルかアビリティを使われたみたいだったが上手く隠蔽が発動している。
「ケーナ、レベルは10か。魔王の家名がないな。あの魔王も耄碌したか? それとも……。おい娘、本当に次期魔王なのか?」
まだ公式な発表はされていないはずなのに知られている。ここで次期魔王かどうかで拘束されていることに気がついた。
バグラにスパイがいてもおかしくはないが、連絡手段が限られているこの世界で情報が伝わる早さは想像以上だ。
嘘をついてものこのオリミラという人には見抜かれてしまう気がして正直に答えた。
「そうです、私が次期魔王に選ばれました」
「魔族が弱い者を認めるはずがない。何故選ばれた」
「可愛い妹を守るため」
「……言葉に嘘は無いが、隠し事はまだまだありそうだな。この娘は詳細が明らかになるまで私が面倒を見る」
「しかし、少将にそこまでしていただくわけには」
「仮に次期魔王が本当だとしたら、隙を一瞬でも見せてみろ殺されるか逃げられるぞ、責任取れるのか?」
「いいえ」
「ということだ、ついてこい娘」
「娘じゃありませんケーナです」
「ケーナか。威勢は結構、だがここでは従ってもらうぞ」
手錠や足枷がある訳でも無いが、彼女のカリスマ性のおかげなのだろうか、精神干渉されるような感覚になる。
気になるので鑑定してみると、レベル89とかなり高め、職歴に軍人のほか言霊師の経歴があった。どおりで言葉に力があるし、言葉の嘘を見抜こうとしていたわけだ。
「なんだ、こちらをじっと見つめて、調べものか?」
「いえ、なにも……」
「鑑定眼持ちは必ずそうやって一点を見つめるような仕草をとるからな。私は隠し事などしない主義だ、見られて困るようなことはない」
喋れば嘘がバレ、視線で行動がバレる。
心を読むような相手は苦手だ。
「愛想笑いもやめておけよ、私が一番嫌いなタイプだ」
(白黒ハッキリしてないとダメなのかよ!)
一緒にいると息苦しくなりそうなので逃げたいのだけど、手配書のことも知りたいのでしばらく様子を見ることにした。
連れてこられた場所は近くにある見張り台のてっぺん。
「おい、なぜここが軍人によって国境を守っているか知っているか?」
確かに疑問に思っていた。他の領地であれば、辺境伯がその地を守る事となっている。
「敵国が攻めて来ることが多いとかですか」
「敵国の兵よりも厄介な巨大化したモンスターがよく現れるからだ。その原因はあの北に広がる、ジフの樹海だ。その広さは世界最大と言われ、年々こちら側にも迫ってきている」
「まるで生きているみたいですね」
「そうだな。人族の手があまり加えられないのでモンスターの巣窟となっている。そのせいで森に魔素が多く溜まり、モンスターが他よりも巨大化している場合が多く、ウルフ1頭討伐するのも冒険者ではままならない。だから軍の力が必要になるのだ」
「木を切ったり、少し焼いてしまってはダメなのですか?」
「既に試した。しかし巨大化しているのはモンスターだけではないそこの植物も巨大化し、1本切り倒すのも時間がかかり、燃やそうにも魔素の影響なのか分からないが、燃え広がることがないのだ。だから1本づつじっくり燃やさなければならない」
「大変なんですね。でもなぜそれを私に?」
「もし本当に次期魔王であるなら。こんな樹海程度、燃やせるだろうと思ってな」
「そんな、火の魔法なんて料理の火つけ程度が精一杯ですよ」
「ものは試しだ指を出せ」
人差し指をグッと前につき出すような形で押さえられる。
「樹海を指していろ。そのまま、復唱だ。よく聞け d@(4uuk4q」
「え?」
急に古の魔人語を喋り始めるオリミラ。どこで覚えたのか気になるが、以前あった魔人のように流暢に喋る。
「ほら、真似しろ d@(4uuk4q」
「d@(4uuk4q(17の唄)」
「b@koe/e」
「b@koe/e(後の雷鳴)」
「dvsdh」
「dvsdh(死等しく)」
「af4mk^」
「af4mk^(地這う者へ)」
「3jkv」
「3jkv(天の火)」
「bbigq;」
「bbigq;(ここに来たれ)」
「なかなか上手いじゃないか、どうだ何か感じるか?」
褒めてもらい嬉しいなど喜ぶ暇もなかった。
意識が飛びかけるが耐性のおかげで辛うじて耐える。魔力が一気に0まで消費されたせいだ。
アブソーブから魔力を補充させてなんとか持ちこたえたが、気づいた時には古の魔人語で魔法の詠唱をしてしまったのだ。
空に輝く3つの点、徐々に光が大きくなり火球が降ってくるのが分かる。
「急報!!! 魔法障壁を張れ!!! 衝撃来るぞ!!!」
「はっ!」
オリミラの指示に素早く応対する兵士達。
号令の緊張感とは裏腹に、オリミラの顔は悪戯をしてワクワクしている子供のような様子だった。
アブソーブを使い火球を吸収しようとも考えたが、オリミラにアブソーブを見られる方がリスクが高いし、落下地点も樹海なのでただただ眺めるだけにしておいた。
「ちょっと、もういい加減だしてほしいのだけど。荷物の検査って言ってたけど私荷物なんて持っていないのよ。いったいいつまで待たせる気なの?」
「こちらがいいと言うまでだ。大人しく座っていろ」
「御者の人だって仕事が終わらなくて困るでしょ?」
「そいつにはもう帰ってもらった」
「はぁ!?、どうことよ。ここからカスケードまで歩けっての?」
「いいから大人しくしていろ」
長い時間取り調べ室のような部屋に監禁されている。
扉にもずっと見張りがいる状態だ。竜車も無いのに何故閉じ込められているの分からない。
「失礼します!」
「なんだ!」
「オリミラ・アルバトロス少将がご到着いたしました」
「分かった。こちらにお通ししろ」
カツン、カツン、カツン
と廊下をヒールで歩く音が近づいてくる。
カチャ
と鍵が開くと
バーン!!!!
外れてしまうのではと思うぐらい位の勢いで扉を蹴って入ってくるのは、ヒールを履いた軍服姿の女性。眼つきは怖いが綺麗な人だった。
「おい、この娘なのか?」
「はっ!例の手配書の娘だと思われます」
(手配書? またお尋ね者なの? てかアルバトロスって誰だっけ? アホウ鳥じゃなくて、ガイドブックに書いてあったような……)
「随分と若く小さいじゃないか何かの間違いじゃないのか?」
「御者に確認したところ魔王城からここまで来たと調べを取っております」
【簡易人物鑑定を使用されました。隠蔽が適用されます】
いつの間にかスキルかアビリティを使われたみたいだったが上手く隠蔽が発動している。
「ケーナ、レベルは10か。魔王の家名がないな。あの魔王も耄碌したか? それとも……。おい娘、本当に次期魔王なのか?」
まだ公式な発表はされていないはずなのに知られている。ここで次期魔王かどうかで拘束されていることに気がついた。
バグラにスパイがいてもおかしくはないが、連絡手段が限られているこの世界で情報が伝わる早さは想像以上だ。
嘘をついてものこのオリミラという人には見抜かれてしまう気がして正直に答えた。
「そうです、私が次期魔王に選ばれました」
「魔族が弱い者を認めるはずがない。何故選ばれた」
「可愛い妹を守るため」
「……言葉に嘘は無いが、隠し事はまだまだありそうだな。この娘は詳細が明らかになるまで私が面倒を見る」
「しかし、少将にそこまでしていただくわけには」
「仮に次期魔王が本当だとしたら、隙を一瞬でも見せてみろ殺されるか逃げられるぞ、責任取れるのか?」
「いいえ」
「ということだ、ついてこい娘」
「娘じゃありませんケーナです」
「ケーナか。威勢は結構、だがここでは従ってもらうぞ」
手錠や足枷がある訳でも無いが、彼女のカリスマ性のおかげなのだろうか、精神干渉されるような感覚になる。
気になるので鑑定してみると、レベル89とかなり高め、職歴に軍人のほか言霊師の経歴があった。どおりで言葉に力があるし、言葉の嘘を見抜こうとしていたわけだ。
「なんだ、こちらをじっと見つめて、調べものか?」
「いえ、なにも……」
「鑑定眼持ちは必ずそうやって一点を見つめるような仕草をとるからな。私は隠し事などしない主義だ、見られて困るようなことはない」
喋れば嘘がバレ、視線で行動がバレる。
心を読むような相手は苦手だ。
「愛想笑いもやめておけよ、私が一番嫌いなタイプだ」
(白黒ハッキリしてないとダメなのかよ!)
一緒にいると息苦しくなりそうなので逃げたいのだけど、手配書のことも知りたいのでしばらく様子を見ることにした。
連れてこられた場所は近くにある見張り台のてっぺん。
「おい、なぜここが軍人によって国境を守っているか知っているか?」
確かに疑問に思っていた。他の領地であれば、辺境伯がその地を守る事となっている。
「敵国が攻めて来ることが多いとかですか」
「敵国の兵よりも厄介な巨大化したモンスターがよく現れるからだ。その原因はあの北に広がる、ジフの樹海だ。その広さは世界最大と言われ、年々こちら側にも迫ってきている」
「まるで生きているみたいですね」
「そうだな。人族の手があまり加えられないのでモンスターの巣窟となっている。そのせいで森に魔素が多く溜まり、モンスターが他よりも巨大化している場合が多く、ウルフ1頭討伐するのも冒険者ではままならない。だから軍の力が必要になるのだ」
「木を切ったり、少し焼いてしまってはダメなのですか?」
「既に試した。しかし巨大化しているのはモンスターだけではないそこの植物も巨大化し、1本切り倒すのも時間がかかり、燃やそうにも魔素の影響なのか分からないが、燃え広がることがないのだ。だから1本づつじっくり燃やさなければならない」
「大変なんですね。でもなぜそれを私に?」
「もし本当に次期魔王であるなら。こんな樹海程度、燃やせるだろうと思ってな」
「そんな、火の魔法なんて料理の火つけ程度が精一杯ですよ」
「ものは試しだ指を出せ」
人差し指をグッと前につき出すような形で押さえられる。
「樹海を指していろ。そのまま、復唱だ。よく聞け d@(4uuk4q」
「え?」
急に古の魔人語を喋り始めるオリミラ。どこで覚えたのか気になるが、以前あった魔人のように流暢に喋る。
「ほら、真似しろ d@(4uuk4q」
「d@(4uuk4q(17の唄)」
「b@koe/e」
「b@koe/e(後の雷鳴)」
「dvsdh」
「dvsdh(死等しく)」
「af4mk^」
「af4mk^(地這う者へ)」
「3jkv」
「3jkv(天の火)」
「bbigq;」
「bbigq;(ここに来たれ)」
「なかなか上手いじゃないか、どうだ何か感じるか?」
褒めてもらい嬉しいなど喜ぶ暇もなかった。
意識が飛びかけるが耐性のおかげで辛うじて耐える。魔力が一気に0まで消費されたせいだ。
アブソーブから魔力を補充させてなんとか持ちこたえたが、気づいた時には古の魔人語で魔法の詠唱をしてしまったのだ。
空に輝く3つの点、徐々に光が大きくなり火球が降ってくるのが分かる。
「急報!!! 魔法障壁を張れ!!! 衝撃来るぞ!!!」
「はっ!」
オリミラの指示に素早く応対する兵士達。
号令の緊張感とは裏腹に、オリミラの顔は悪戯をしてワクワクしている子供のような様子だった。
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