たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

文字の大きさ
99 / 221

最初の一撃は、ぜつだい。③

しおりを挟む
 樹海に落下した火球は、地面をえぐり木々を同心円状になぎ倒していく。
 半径が数百メートルはあるクレーターのようになっていた。

 それが3つ。

 落下の後、音と衝撃波が魔法障壁を貫いて届いてきた。

 鼓膜を破るような破裂音に驚く軍人達。オリミラは目を輝かせている。

「やはり、この魔力本当の次期魔王だったか」

「これが証明する方法だったのですか?」

「発動はおまけだ。魔族とかかわりがあれば何の言葉が分かると思ったのだ。まさか本当に発動するとは思っていなかったが。因みに意味までわかるか?」

「単語の羅列だけだから意味まではちょっと……」

(はぁ、呆れた)

 おまけのせいで気を失いかけたこっちの身にもなって欲しい。

「私の祖父は、トラーゼン・アルバトロス。この国最強の勇者だからな。その祖父が魔王から教えてもらった ”天の火” の詠唱だそうだ。祖父でも発動出来なかったのにまさかケーナが使えるとはな。ついでだ、もう少し森を耕すぞ、それ! もう一発だ」

 オリミラは勇者の孫だったようだ。カリスマ性などはそのせいかもしれない。
 もう一発といわれたが、環境を無計画に破壊していくのは賛成出来ないし、魔力の消費も激しいのでこれ以上はお断りした。

「次期魔王だと証明できたいま、今後私はどうなるの?」

「こちらで保護する」

「保護ですか? 手配書がどうこういってませんでしたか」

「あの手配書は裏の奴らのものだ。善良なる国民を守るのも国の役目だ。ケーナは自分にいくらの賞金がかかっているのか知らないのだろう」

「はい、見たことないので」

「生け捕りで金貨30000枚だ。額が額だ、皆が血眼になって探しているだろうよ」

「そんなに一体だれがお金をだしたのですか?」

「それは分からない。だが、軍がケーナを保護したとなれば迂闊に手を出せないだろうし、物分かりのいい賞金稼ぎは諦めるだろうな」

 捕まって投獄されるのかと思っていたので少し安心した。

「だが、まだ保護したことを発表できない。この裏手配書の黒幕を引きずり出すまでは」

 金貨30000枚も用意する奴だ。軍が保護したからといって諦めるとは考えづらいという。
 ならばと申し出ることにした。

「私、囮になりましょうか?」

「肝が座っているな。怖くないのか?」

「怖いですけど、勝手に賞金首されることの方がムカつくので。それに私強いんで簡単には負けませんよ」

「心強い言葉だな。いいだろう、作戦に加わってもらう」

 飛び入り参加を認めてもらい、本人が囮役ということになった。

 囮役と言っても難しいことはないようで、私は木箱の中に入り寝たふりをしておくだけ。賞金稼ぎが捕獲したことにしてが裏の情報屋へ持ち込む。
 
「睡眠魔法でなんとか眠らせているので絶対に起こすな、起こしたら殺されるかもしれない」

 と念を押しておけば触ってくるやつはいないだろうと。

 そこから依頼主を分からなくさせるためだろうか運び屋のバトンリレーになり、4人目でようやく金を出す者との取引となった。

「こいつが例の娘だ。顔確認するか?」

「もちのろんなーのね」

「息はしている、強い魔法で眠らせてあるらしい。こいつを捕まえた奴は腕を失くし、仲間を1人殺されたそうだ」

 いつの間にか話が盛られている。

「見た目は可愛いのに物騒なーのね。さすが次期魔王ってことなのーね。こいつで間違いないのーね、こちらの情報とも一致するのーね」

 当然本人なので間違いない。

「じゃ、さよならなーのね」

「なっ、ぐ、わぁぁあ!」

 何かで刺されたのだろうか、運び屋が叫び、ドサッと倒れる音がする。

「モノを運んだだけで金貨をせびるなんて、なんて汚い人間なーのね。そんな奴はお掃除なのーね。それじゃぁあ僕のお嫁さん、大切に運ぶのーね」

(ん?)

 お嫁さんと聞こえ反応しそうになったがグッと堪えた。

 そこからまた運ばれ、ふかふかのベットに寝かされる。そして両手首と首に何をはめられた。
 
 まだ目を閉じて眠っているフリをしているので確認はできないがいいものではないと思う。

 予想通り脳裏に情報が流れる。

【奴隷化の効果をレジストしました】

【口封じの効果をレジストしました】

【魔力封じの効果をレジストしました】

 奴隷化は洗脳系のアビリティなので耐性でレジストした。
 口封じと魔力封じの封印系は行動制限耐性でレジストできた。
 耐性系のスキルを多く取得しておいてよかったと改めて思う。

 ただ、奴隷化や封印などのアイテムを揃えるだけでもお金がかなり必要だろう。
 金貨30000枚の手配書を依頼するぐらいだから、お金には困っていないのだろうがいい趣味とは言えない。

「これで完璧なのーね! 僕のお嫁さんは魔王なのーね!! 一人前の男になったのーね!!」

「まだ気が早いのではないのでしょうか? 一人前の男になるのは今夜ですよ」

「そう、だったのーーーね!!!」

「とりあえずは、おめでとうございます!」

「おめでとうございます」

「おめでとうございますわ」

「お喜び申し上げます」

 パチパチパチ

 と、メイドや執事たちから達から祝福の言葉を送られているが、何一つめでたくない。
 人をさらって勝手に嫁にするなんて、どんな顔なのか拝んでやろうと少し目を開けた時

「んーーーーーーーー」

 と、つき出す唇とでかい顔が目の前にあっのだ。
しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

戦国鍛冶屋のスローライフ!?

山田村
ファンタジー
延徳元年――織田信長が生まれる45年前。 神様の手違いで、俺は鹿島の佐田村、鍛冶屋の矢五郎の次男として転生した。 生まれた時から、鍛冶の神・天目一箇神の手を授かっていたらしい。 直道、6歳。 近くの道場で、剣友となる朝孝(後の塚原卜伝)と出会う。 その後、小田原へ。 北条家をはじめ、いろんな人と知り合い、 たくさんのものを作った。 仕事? したくない。 でも、趣味と食欲のためなら、 人生、悪くない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

乙女ゲームの隠れチートモブ〜誰も知らないキャラを転生者は知っていた。〜

浅木永利 アサキエイリ
ファンタジー
異世界に転生した主人公が楽しく生きる物語 その裏は、、、自分の目で見な。

処理中です...