たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

文字の大きさ
106 / 221

魔の誕生日②

しおりを挟む
 私は身につけるものをドレスは勿論、小物や靴も黒色で統一した。レースアイマスクで顔をなるべく隠し、大きめの帽子で髪を隠すようにした。まるで喪に服しているかのような格好だ。
 対称的にハクレイは、シンプルで真っ白なドレスを着てもらい目立たせた。白い髪、白い肌もハクレイを際立たせるのにここでは役に立つ。

 狙い通り、他の参加しいる貴族たちは男も女も神秘的なハクレイに釘づけだった。

 ササッと挨拶を済ませてしまおうと父の元へと歩みを進める

「初めまして、カスケード卿。ケーナでございます。本日はご招待いただき誠にありがとうございます。こちらお嬢様へのお祝いの贈り物になりますのでお渡しいたします」

 だが父親のベンドラだけはこちらにガッツり喰いついてくる。

「これは、これはよく来てくださった。次期魔王ケーナ殿」

 敢えてなのか声を大きくして答えている。
 そのせいでじろじろと視線が集まってしまった。

 メインの椅子に座っていたエーナもこちらに気づき。何で来たんだと言いたそうな視線を送ってくる。

「よく顔を見せては貰えないだろうか?」

 顔を隠している女性に人の注目が集まるところで顔を見せろなんて、失礼なのを知っていてもお願いしてくるあたり、何かを確かめたいという魂胆が見えすぎている。
 だが、ここまで来てしまったのだから仕方ないと諦めてハクレイにレースアイマスクの紐を解いてもらい、帽子を預けた。

「お、おぉぉぉぉ」

 言葉を失うベンドラ。後ろにいた執事やメイドたちも目を丸くしている。
 離れた場所にいた母親、そしてやっぱり里帰りしていた双子の姉までこちらのザワつきに気づき寄ってくる。


 母親は顔を見るなり

「エーナ! こちらにいらっしゃい。いいからはやくいらっしゃい」

 とエーナを呼びつけ

「「なんでエーナがもう1人いるの?」」

 双子の姉たちは不思議そうに顔を近づけてきた。

「あなた、これはいったいどうゆうことですの?」

 まるで隠し子でも見つけたかのよう父に迫る母。

「似ているとは聞いていたがここまでとは思っていなかったぞ」

 こちらにきたエーナの横に立たされ。他の人達にも顔が見えるようになってしまい、びっくり人間ショーのような状態だ。

 驚く声が上がる中、隣のコピーエーナがため息をついてる。

「本日こちらにいる方は、次期魔王と言われているケーナ殿だ。本日は特別に参加していただいた。娘の顔と似ている噂は耳にしていたが、まさかここまでとは正直思ってもみなかった」

 本日一番のサプライズ。赤の他人と瓜二つ。あり得ないわけではないが、珍しいことではある。

 本当は複製なのだが、誰も考えもつかないだろう。

(帰りたい)

 と思っているとユーナ姉様にグイッと腕を引っ張られる。リーナ姉様はエーナを引っ張る。

「私はエーナの姉のリーナ。ちょっと一緒にお喋りいたしましょうよ」

 まだ双子の姉たちは入れ替えを継続しているらしく、名前が逆だった。

 連れていかれたテーブルに着席するやいなや質問攻めにあう。
 出身や親の名前、年齢、好きな色や、好きな本、好きな男性のタイプなどなど。
 適当な作り話でのらりくらりとかわしていった。

「ねぇ、エーナも何か聞きたいことないの?」

「そんな、いいよ……」

「顔が同じだからって、なに恥ずかしがってるのよ」

「姉様たちは慣れてるかもしれないけど、初めてだから……」

 変に会話をしてボロが出るより、話さない方がいい。
 それをコピーエーナも分かっているようだった。

「私から1つよろしいでしょうか?」

 その声の主はコピーエーナの後ろに立っているラルンテからだった。

「「いいわよ! 何でもきいちゃいなさいよ」」 

「ありがとうございます」

 そういって、お辞儀をすると真っ直ぐ目を見つめてきた。

「私はエーナお嬢様の専属メイドのラルンテと申します。エーナ様が生まれた時から一緒でした。なのでエーナお嬢様が大切で特別です。ですが、ケーナ様を見ているとエーナお嬢様と同様に特別な感情が湧いてきてしまいます。これはただ顔が似ているからだけなのでしょうか?」

 ラルンテの本能だけは私とコピーエーナが同一人物だと言うことを見抜いているのだろうか。だとしたら恐ろしい。
 ただ本能ではそれを分かっていても理性と常識が否定をしているのだろう。

「そうでしたか、私もラルンテさんとは初めてあった気がしません。きっと前世で繋がりがあったのかもしれませんね」

「そうですか、突拍子もない質問で申し訳ありませんでした」

「そんなことないわよラルンテ。私も本当の妹だと思いそうですもの」

「私はもう本当の妹だと思っていますわ」

「実は私だって思っていましたのよ」

 姉様たちの謎のマウントの取り合いに苦笑いしつつ、この誕生会が早く終わることを祈ってしまっていた。


 そのテーブルから解放された後も、なぜか貴族たちが順番に挨拶に来ていた。
 今日の主役を蔑ろにしてまで次期魔王との繋がりでも持ちたいのだろうか。
 どこどこのだれだと言われても分かるはずない、それに覚えられるわけもない。

 しかし、1人だけ記憶に残ったのは白いハットを被ったダンディな紳士だ。
 少し距離を詰めると、2人にしか聞こえないような小さな声で

「あなたは、誰ですか?」

 と質問してきたのだ

(いきなり、そんなことを何で聞いてくるんだ?)

 と、困った表情をしていると。

「また会いましょう」

 とだけいい去っていった。あっけに取られて何も返せずじまいだった。
 あまりに意味深な言葉だっただけに追いかけようとしたが、次の貴族が来てしまい後回しにしたのだ。
 しかし、後からそのダンディな紳士を探したが見つけることができなかった。
しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

イジメられっ子世に憚る。

satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた

アイイロモンペ
ファンタジー
 2020.9.6.完結いたしました。  2020.9.28. 追補を入れました。  2021.4. 2. 追補を追加しました。  人が精霊と袂を分かった世界。  魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。  幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。  ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。  人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。  そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。  オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!

よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

処理中です...