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生存確率99.9%⑧
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「スミナさん、大丈夫でしたか?」
明確に殺意を向けられ、命の危機を感じ取っていたのだろう体が震えているようだった。
「はい、なんとか大丈夫です。しかしながら、わたくしのような冒険者では命がいくつあっても足りないようですわね。興味本位でダンジョンに来てしまったことを少々悔やんでおります」
このダンジョンに来たのも、お嬢様のわがままだったのだろう。
ここのダンジョンが安全だから、そのわがままも通ったのかもしれないが、逆に利用されてしまったように思う。
「それでもたった1つの命を大事にしていくんだよ。ただこいつらみたいに人の命を軽くみている奴には、同じぐらいにしか扱ってあげないけどね」
インサートの死体とアコーとベゼルは拘束代わりに収納して時を止めておく。
一応全部ギルドに報告し、対応はギルドに任せることでスミナとも話し合った。
たまたま起きた事件ではなく、綿密に計画が組まれた事と言ってもいいと思う。
それに貴族の問題に、これ以上平民が首をツッコむわけにいかないのでに丸投げするしかないのだ。
ダンジョンを出ると外はもう朝だった。
その足でホーネットのギルドに向かい、受付嬢に事情を説明。ギルド長が徹夜をしていたらしく、そのままギルド長の部屋へと案内された。
ここではスミナが、自らスミルナ・スターリングと名乗り、事情説明をしてくれた。
その名を聞いた途端、ギルド長の顔から緊張の糸が切れたように力が抜けるのが分かった。
おおかたスミナの件が徹夜の原因でもあったのだろう。
事情説明などが一通り終わった後、最後にインサートの死体とアコーとベゼルを引き渡し、取りあえずできることはここまでかなとギルドを出た。
睡眠時間が短かったせいかやたら眠い。本能からくる眠気は耐性があってもあまり意味が無い。そのため仮眠をするため宿を取ることに。
その道中でバジェットが何気なく聞いてきた。
「ケーナはどうして、あの巨大キャタピラーを討伐と言わず発見として報告したのですか?」
功績を上げたいなら当然かもしれない。
「芋虫凍らしたぐらいでドヤ顔したくないから、発見でいいの」
「簡単に倒せるようなモンスターでなかったと思います」
「気にしない気にしない」
宿の部屋に入るなり、ベットにダイブして
「少し寝るねー」
と言いそのまま爆睡した。
◆◆◆
「ハクレイ、ちょっといいですか?」
「なんでしょうか」
「ここだとケーナを起こしてしまうかもしれないので、近くで軽食でも取りながら」
「はい、わかりました」
バジェットがハクレイと2人きりで行動するのは珍しい。
近くの屋台で食事を取りながらバジェットが切り出るす。
「今回の件でケーナの力を垣間見ましたが、正直そこらの白銀級冒険者より断然強いと思いました。今ケーナのレートはアイアンですが、わざとそこで止めてるのでしょうね。ハクレイは何か感じませんでしたか?」
「強さに関してはゼン師匠が ”あいつの強さは非常識だからな。おらじゃ多分勝てねぇな” と言っていたのであまり驚きません。なのでそれを証明してくれたように思います」
「確かに非常識ですね。僕の常識が通用しない方が多いですから」
「ハクレイの使命はケーナと一緒にいることです。それが一番ですからそれ以外のケーナの力や肩書などには気にしません。それでも、ケーナが力を見せびらかすことをしてくる姿は子供らしさがあって可愛く思います」
「常識を超えた力をかわいいですか。ハクレイは既にケーナ側に行ってしまっているのですね。いちいち驚いている僕はまだまだなのかもしれません」
「精進してください」
「そうですね。今回は戦いにおいて僕は心配されてしまいましたから、心配させないぐらいの強さにはなりたいですね」
「ならバジェットも師匠に特訓を頼めばいいじゃないですか。己の弱さを嫌というほど知ることができますよ」
「初めて聞いた時はスライムと特訓することに疑問を持っていましたが、ハクレイの成長ぶりをみるとお願いしたくなります」
「ハクレイからも師匠に頼んでみますよ」
ケーナの強さを知りたくて話をしたバジェットだったが、結局はよくわからなかった。
まずはゼンとの強さの差を確認することから始めるのだが、それによってケーナの強さがますます分からなくなるとはこの時は思いもしなかった。
◆◆◆
この日を境にキャタピラーダンジョンは立ち入り禁止となった。
スミナ捜索部隊は、未到達領域と巨大キャタピラーの調査へと目的を変えダンジョンに入ることとなった。
それとホダン国でのスターリング家の権力はかなりのものだったらしく、後に今回の事件はスミルナ嬢暗殺未遂事件として大々的に公表された。
首謀者としてバーショレイ家の頭首の名前。
実行犯としてパーティー名アンダーグラウンドの全メンバーの名前が上がっていた。
ベテランの冒険者パーティーとして名もそこそこ知れ渡っていたので、他の冒険者達に与えたショックは大きい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
スターリング家次女 スミルナ嬢暗殺未遂
首謀者
ジャジャ・バーショレイ(投獄中)
実行犯 アンダーグラウンドメンバー
リーダー:グリーン (逃亡中)
魔法使い:モネモ (投獄:死刑確定)
シーフ :アコー (死亡)
剣士 :ベゼン (死亡)
薬師 :インサート(死亡)
逃亡中の者に関しては
生死を問わず金貨300枚の賞金首とする
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そこそこいい額が付けられてしまったので、バウンティハンター達が動くだろう。安心して眠ることもできない生活がこの先一生続くことになる。
彼らの計画は上手く行っていた。むしろ完了していたといってもいい。本来なら今頃いつも通りに過ごしていたかもしれない。
ただほんのわずかなの可能性により全てが崩され失敗し、命を落とすこととなった。ベテランの培ってきた経験により常識に囚われ過ぎて、非常識な事を考えられなかったことにあるのかもしれない。
明確に殺意を向けられ、命の危機を感じ取っていたのだろう体が震えているようだった。
「はい、なんとか大丈夫です。しかしながら、わたくしのような冒険者では命がいくつあっても足りないようですわね。興味本位でダンジョンに来てしまったことを少々悔やんでおります」
このダンジョンに来たのも、お嬢様のわがままだったのだろう。
ここのダンジョンが安全だから、そのわがままも通ったのかもしれないが、逆に利用されてしまったように思う。
「それでもたった1つの命を大事にしていくんだよ。ただこいつらみたいに人の命を軽くみている奴には、同じぐらいにしか扱ってあげないけどね」
インサートの死体とアコーとベゼルは拘束代わりに収納して時を止めておく。
一応全部ギルドに報告し、対応はギルドに任せることでスミナとも話し合った。
たまたま起きた事件ではなく、綿密に計画が組まれた事と言ってもいいと思う。
それに貴族の問題に、これ以上平民が首をツッコむわけにいかないのでに丸投げするしかないのだ。
ダンジョンを出ると外はもう朝だった。
その足でホーネットのギルドに向かい、受付嬢に事情を説明。ギルド長が徹夜をしていたらしく、そのままギルド長の部屋へと案内された。
ここではスミナが、自らスミルナ・スターリングと名乗り、事情説明をしてくれた。
その名を聞いた途端、ギルド長の顔から緊張の糸が切れたように力が抜けるのが分かった。
おおかたスミナの件が徹夜の原因でもあったのだろう。
事情説明などが一通り終わった後、最後にインサートの死体とアコーとベゼルを引き渡し、取りあえずできることはここまでかなとギルドを出た。
睡眠時間が短かったせいかやたら眠い。本能からくる眠気は耐性があってもあまり意味が無い。そのため仮眠をするため宿を取ることに。
その道中でバジェットが何気なく聞いてきた。
「ケーナはどうして、あの巨大キャタピラーを討伐と言わず発見として報告したのですか?」
功績を上げたいなら当然かもしれない。
「芋虫凍らしたぐらいでドヤ顔したくないから、発見でいいの」
「簡単に倒せるようなモンスターでなかったと思います」
「気にしない気にしない」
宿の部屋に入るなり、ベットにダイブして
「少し寝るねー」
と言いそのまま爆睡した。
◆◆◆
「ハクレイ、ちょっといいですか?」
「なんでしょうか」
「ここだとケーナを起こしてしまうかもしれないので、近くで軽食でも取りながら」
「はい、わかりました」
バジェットがハクレイと2人きりで行動するのは珍しい。
近くの屋台で食事を取りながらバジェットが切り出るす。
「今回の件でケーナの力を垣間見ましたが、正直そこらの白銀級冒険者より断然強いと思いました。今ケーナのレートはアイアンですが、わざとそこで止めてるのでしょうね。ハクレイは何か感じませんでしたか?」
「強さに関してはゼン師匠が ”あいつの強さは非常識だからな。おらじゃ多分勝てねぇな” と言っていたのであまり驚きません。なのでそれを証明してくれたように思います」
「確かに非常識ですね。僕の常識が通用しない方が多いですから」
「ハクレイの使命はケーナと一緒にいることです。それが一番ですからそれ以外のケーナの力や肩書などには気にしません。それでも、ケーナが力を見せびらかすことをしてくる姿は子供らしさがあって可愛く思います」
「常識を超えた力をかわいいですか。ハクレイは既にケーナ側に行ってしまっているのですね。いちいち驚いている僕はまだまだなのかもしれません」
「精進してください」
「そうですね。今回は戦いにおいて僕は心配されてしまいましたから、心配させないぐらいの強さにはなりたいですね」
「ならバジェットも師匠に特訓を頼めばいいじゃないですか。己の弱さを嫌というほど知ることができますよ」
「初めて聞いた時はスライムと特訓することに疑問を持っていましたが、ハクレイの成長ぶりをみるとお願いしたくなります」
「ハクレイからも師匠に頼んでみますよ」
ケーナの強さを知りたくて話をしたバジェットだったが、結局はよくわからなかった。
まずはゼンとの強さの差を確認することから始めるのだが、それによってケーナの強さがますます分からなくなるとはこの時は思いもしなかった。
◆◆◆
この日を境にキャタピラーダンジョンは立ち入り禁止となった。
スミナ捜索部隊は、未到達領域と巨大キャタピラーの調査へと目的を変えダンジョンに入ることとなった。
それとホダン国でのスターリング家の権力はかなりのものだったらしく、後に今回の事件はスミルナ嬢暗殺未遂事件として大々的に公表された。
首謀者としてバーショレイ家の頭首の名前。
実行犯としてパーティー名アンダーグラウンドの全メンバーの名前が上がっていた。
ベテランの冒険者パーティーとして名もそこそこ知れ渡っていたので、他の冒険者達に与えたショックは大きい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
スターリング家次女 スミルナ嬢暗殺未遂
首謀者
ジャジャ・バーショレイ(投獄中)
実行犯 アンダーグラウンドメンバー
リーダー:グリーン (逃亡中)
魔法使い:モネモ (投獄:死刑確定)
シーフ :アコー (死亡)
剣士 :ベゼン (死亡)
薬師 :インサート(死亡)
逃亡中の者に関しては
生死を問わず金貨300枚の賞金首とする
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そこそこいい額が付けられてしまったので、バウンティハンター達が動くだろう。安心して眠ることもできない生活がこの先一生続くことになる。
彼らの計画は上手く行っていた。むしろ完了していたといってもいい。本来なら今頃いつも通りに過ごしていたかもしれない。
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