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ミステリアスガール⑤
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「まぁ難しい顔をするな、余と信頼を結びたいなら拘束などせず、時と対話を重ねればいいのじゃ。せっかくここに招いてもらったのだから、しばらく居てやらんでもないぞ」
滞在を希望するフラン。
フランを助けたのは私なのでいいのだけど。
「ここはキャットテールのメンバーもいるし、騒がしい妖精も3匹いるからゆっくりできないかもしれないけど、私の言葉も信じてもらいたいし。気のすむまでいてもらってもいいよ」
「多少賑やかなぐらい余は構わんのじゃ。それに前住んでた家はボロボロの館だったからの、しばらく暮らしてみて良ければココにずっといるのもやぶさかでない」
「いやいや、それはちょっと」
「余より先に死ぬであろう。後の事は任せてよいのじゃぞ」
「そんなすぐには死にません。バンパイアの尺度で言わないで」
寿命が長い魔族たちとでさえズレが大きいのに、不死との時間の感覚は共有できない。
いつまでも私の部屋にいられても困るので、空き部屋にベットや日用品を急遽用意。窓はもちろん塞いで一切光の入らない暗室を作った。
陽に当たっても大丈夫だけど気づく迄は待つしかない。
「日が沈んだら起こしてほしいのじゃ。もう一眠りするのでの」
「あ、はいはい」
その後、家の皆を集めフランの事を話した。
本人は気づいていないが、太陽に当たっても平気なヴァンパイアである事を伝えるとバジェットの顔が青ざめていた。
「ケーナそれは良くないと思いますよ」
「なんで、可哀想じゃん。陽の光に当たっただけで灰になるなんて」
「ヴァンパイアは夜王や闇帝などの二つ名を持つ者です。夜という条件下であれば間違いなく最上位クラスの魔族でしょう。逆に陽の光が最大の弱点だったということです。人族でも対抗できる手段があったのに、それを消してしまうなんて……」
「だったら問題ないわよ。私勝てるし」
「ケーナはヴァンパイアを甘く見過ぎています。巨大な芋虫とは格が違うのですよ。それにヴァンパイアは不死と聞きますので心臓や頭を狙ったところで――」
「バジェットが心配性なのはよーーくわかった。だけどフランは私が助けたし、助けたからには私が責任を持つよ。もし敵意を向けてくる事があれば皆を全力で守るから」
「はぁ。ケーナはわがままですね。仕方ありません。そうなったときは僕もケーナを守ります」
「ハクレイもです」
「2人ともお人好しよね」
後にヴァンパイアの存在は人族にとってかなり危険だということを、バジェットにくどくどと教えられ「ちゃんと面倒見るのですよ」と念を押されてしまった。
妖精たちにとってヴァンパイアは特に興味のない存在らしく、いてもいなくても変わらないのだそうだ。そもそも滅多に会うことのない存在だからだそうだ。
昼間はギルドに向かい、情報収集。
いつもよりザワザワしていたので、ついに白銀たちの失態が表に出たかなと思いワクワクしながら聞き耳を立てる。
だが冒険者どもの内容は期待していた話と違っていた。
「なぁなぁ、ベケスドが常闇の森で捕縛したヴァンパイア、脱走したらしいぞ」
「あー、それ俺も聞いた。ただ、水牢鎖縛を付けた状態で逃げ出せるとは思えん。だからヴァンパイアを盗んだ奴がいるって話だ」
「ありえるなぁ。変態貴族どもが高値で買いそうだしなぁ」
「あーやだやだ、遅かれ早かれ仕返しを受ける事になるんだから」
「あー、ヴァンパイア死なねぇもんな」
「どうせ殺られるなら、おら可愛いヴァンパイアがいいなぁ」
「ムリムリ、おめーなんか相手にもされねーから」
「あー、どうせヴァンパイアは昼間活動できないし、夜は家にいれば入ってこれないし」
「そうだなぁ。災害級モンスターとはいえ夜に戦う場合に限られるからなぁ。逃げるだけならどうにでもなるなぁ」
さすがにガッツリ穴を開けフランを連れ出せば、アビリティがあったとしてもその痕跡は消せないのだろう。
異変に気づいてギルドメンバーが探していたのが噂になったのかもしれない。
人族にとってヴァンパイアは脅威なので一気に広まったのか、もしくはあえて広めたのかもしれない。ギルドに捜索要請をしないのはミスを隠すのと、脅威とは言えまだ昼という時間だからなのか。
ベケスドだけで何とかしようとしたとこで 「そのヴァンパイアなら、家のベットで寝てるよ」 状態なので思惑通りにはいかないのが可哀そうだった。
「そもそも、ヴァンパイアなんて捕まえてくるなよって話だけどな。森の中にいてもらった方がいくらか安全だ」
「指名依頼だろうなぁ。白銀の奴らは高額依頼しかうけねぇからなぁ」
「あー、まじでそれな。金になるならヴァンパイアにも飛びつくぐらいだからな」
「やれやれ、町を守るはずの白銀様が町を脅威に晒してちゃ世話ねーぜ」
狙いはちょっとズレたかもしれないけど、周りの冒険者達からの評価が更に下がっているようなので一応は効果があったのかもしれない。
あとはギルドからの信用が落ちるのを待つだけとなったので一旦家に戻ることにした。
その途中、グランジがちょうど私の家に向かっていたところだったらしくバッタリと会う。
すぐ訊きたいことがあるとのことで歩きながら話をすることとなった。
「あのな、単刀直入に訊くが、ヴァンパイア盗んでないよな?」
滞在を希望するフラン。
フランを助けたのは私なのでいいのだけど。
「ここはキャットテールのメンバーもいるし、騒がしい妖精も3匹いるからゆっくりできないかもしれないけど、私の言葉も信じてもらいたいし。気のすむまでいてもらってもいいよ」
「多少賑やかなぐらい余は構わんのじゃ。それに前住んでた家はボロボロの館だったからの、しばらく暮らしてみて良ければココにずっといるのもやぶさかでない」
「いやいや、それはちょっと」
「余より先に死ぬであろう。後の事は任せてよいのじゃぞ」
「そんなすぐには死にません。バンパイアの尺度で言わないで」
寿命が長い魔族たちとでさえズレが大きいのに、不死との時間の感覚は共有できない。
いつまでも私の部屋にいられても困るので、空き部屋にベットや日用品を急遽用意。窓はもちろん塞いで一切光の入らない暗室を作った。
陽に当たっても大丈夫だけど気づく迄は待つしかない。
「日が沈んだら起こしてほしいのじゃ。もう一眠りするのでの」
「あ、はいはい」
その後、家の皆を集めフランの事を話した。
本人は気づいていないが、太陽に当たっても平気なヴァンパイアである事を伝えるとバジェットの顔が青ざめていた。
「ケーナそれは良くないと思いますよ」
「なんで、可哀想じゃん。陽の光に当たっただけで灰になるなんて」
「ヴァンパイアは夜王や闇帝などの二つ名を持つ者です。夜という条件下であれば間違いなく最上位クラスの魔族でしょう。逆に陽の光が最大の弱点だったということです。人族でも対抗できる手段があったのに、それを消してしまうなんて……」
「だったら問題ないわよ。私勝てるし」
「ケーナはヴァンパイアを甘く見過ぎています。巨大な芋虫とは格が違うのですよ。それにヴァンパイアは不死と聞きますので心臓や頭を狙ったところで――」
「バジェットが心配性なのはよーーくわかった。だけどフランは私が助けたし、助けたからには私が責任を持つよ。もし敵意を向けてくる事があれば皆を全力で守るから」
「はぁ。ケーナはわがままですね。仕方ありません。そうなったときは僕もケーナを守ります」
「ハクレイもです」
「2人ともお人好しよね」
後にヴァンパイアの存在は人族にとってかなり危険だということを、バジェットにくどくどと教えられ「ちゃんと面倒見るのですよ」と念を押されてしまった。
妖精たちにとってヴァンパイアは特に興味のない存在らしく、いてもいなくても変わらないのだそうだ。そもそも滅多に会うことのない存在だからだそうだ。
昼間はギルドに向かい、情報収集。
いつもよりザワザワしていたので、ついに白銀たちの失態が表に出たかなと思いワクワクしながら聞き耳を立てる。
だが冒険者どもの内容は期待していた話と違っていた。
「なぁなぁ、ベケスドが常闇の森で捕縛したヴァンパイア、脱走したらしいぞ」
「あー、それ俺も聞いた。ただ、水牢鎖縛を付けた状態で逃げ出せるとは思えん。だからヴァンパイアを盗んだ奴がいるって話だ」
「ありえるなぁ。変態貴族どもが高値で買いそうだしなぁ」
「あーやだやだ、遅かれ早かれ仕返しを受ける事になるんだから」
「あー、ヴァンパイア死なねぇもんな」
「どうせ殺られるなら、おら可愛いヴァンパイアがいいなぁ」
「ムリムリ、おめーなんか相手にもされねーから」
「あー、どうせヴァンパイアは昼間活動できないし、夜は家にいれば入ってこれないし」
「そうだなぁ。災害級モンスターとはいえ夜に戦う場合に限られるからなぁ。逃げるだけならどうにでもなるなぁ」
さすがにガッツリ穴を開けフランを連れ出せば、アビリティがあったとしてもその痕跡は消せないのだろう。
異変に気づいてギルドメンバーが探していたのが噂になったのかもしれない。
人族にとってヴァンパイアは脅威なので一気に広まったのか、もしくはあえて広めたのかもしれない。ギルドに捜索要請をしないのはミスを隠すのと、脅威とは言えまだ昼という時間だからなのか。
ベケスドだけで何とかしようとしたとこで 「そのヴァンパイアなら、家のベットで寝てるよ」 状態なので思惑通りにはいかないのが可哀そうだった。
「そもそも、ヴァンパイアなんて捕まえてくるなよって話だけどな。森の中にいてもらった方がいくらか安全だ」
「指名依頼だろうなぁ。白銀の奴らは高額依頼しかうけねぇからなぁ」
「あー、まじでそれな。金になるならヴァンパイアにも飛びつくぐらいだからな」
「やれやれ、町を守るはずの白銀様が町を脅威に晒してちゃ世話ねーぜ」
狙いはちょっとズレたかもしれないけど、周りの冒険者達からの評価が更に下がっているようなので一応は効果があったのかもしれない。
あとはギルドからの信用が落ちるのを待つだけとなったので一旦家に戻ることにした。
その途中、グランジがちょうど私の家に向かっていたところだったらしくバッタリと会う。
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