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導師同士であいつどうする?①
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大国には光と影の二面性がある。光側として王や誰もが知る大貴族がいる。
影側には限られた者達だけが知る組織があり、特別な名称が無いせいで影と呼ばれるようになった。そのトップは導師と呼ばれる。
導師はバグラ以外の大国に各1人ずつ全部で4人いる。
国と国との揉め事で、表では上手く行かない事も、各国の導師を通して話をつけることもある。
大国同士で戦争が起きてしまうと周辺の小国を巻き込み多くの犠牲が出てしまう事が大きな理由だ。場合によっては戦争をした両国が疲弊し、その隙を狙って第三国に全てを持っていかれる可能性も無いとは言い切れない。
影は本来、大国同士が戦争をしないための交渉役なのだか、国によっては王よりも導師が権力を握っていることもあり、本来の役割を逸脱している場合が多々ある。
この日はアヤフローラの導師を除く3人の導師が集まっていた。
「事前にある程度情報は伝わっていると思うが、今日集まってもらったのは特異者の出現についてにいてだ」
と話を切り出したのは、オオイマキニドの導師だ。
「次期魔王に選ばれたケーナという人物について話したい」
「わしから1ついいかな?」
最初の質問は導師の中で最長老のドボックス帝国の導師。
「この場にケーナとやらの話を持ってきたということは、誰の首輪もついておらんのだろう?」
「さよう。アヤフローラの導師を呼ばなかったのもそれが理由だ。あいつは自分の思い通りならないことを気にするからの。しかしながら、首輪をつけたところで大人しくなるような者ではないかもしれん。噂では狂戦士オリミラがたいそう気に入っているらしいが飼いならしているわけではなさそうだ」
ひときわ眉間にシワを寄せているインテルシアの導師も口をひらく。
「話によれば龍人族に個の強さで引けを取らぬ人族なのだろう? 実に厄介な者を次期魔王としたなあやつは。おとなしく娘を魔王にしておればよいもの」
「魔族の国だけは導師がおらんからの、根回しが難しくてかなわん」
「現在明確な強さは不明だが、分かっているだけで基本的な強さは龍人並み、魔力は西の魔女達にも引けを取らず、冒険者として広範囲の探索系スキルを持つ。怪我らしい怪我をしたところを見て無いとも聞いているので、稀な防御系のスキルも持っていると十分考えられる。極めつけはアデバルディアの保有か」
「ただの娘っ子なんて思っていたら大火傷になりかねん。まさに魔王の器にってことか」
「こやつ1人で国落しも可能とみる。どこかの馬鹿な貴族の嫁には手に余るじゃろ」
「しかし情報が大雑把すぎやしないか、もっと詳しく集められんかったかの」
「本来なら、鑑定系のスキルで詳しく調べたいところだが、ここまでの者だ。鑑定系のスキルを使うと気づかれる可能性があるので目視のみで観察するしかないと」
「近くに潜伏させたのか?」
「いや、常に広範囲の探索系スキルを使用しているようでその効果の範囲外、町の外からの観察のみになるそうだ」
「で、今後どうする」
「泳がせるしかあるまい。こちらから仕掛けるなら勇者以上の戦力をあてがわないなと力試しにもならんぞ」
「代償が大きすぎるな」
「報告だと好戦的ではないようだがそれでも冒険者だ。戦うことに躊躇はせんだろうよ。神話級のモンスターでもあやつの目の前に現れてくれたら丁度いいのだがな」
「はははっ、違いないのぉ」
「召喚魔法結晶を使えばいいのではないか?」
「神話級ともなると限りがある。おいそれと使えるものではない」
「それならこちらでどうにかしようかの」
そういって口元でだけ笑っているのはドボックスの導師。
「最近国の中でちょっとした揉め事があっての。しばらくすれば片が付くでの。便乗して騒いでいた者たちにも見せしめとしてどこかを潰す予定なのでな。そこからレア物の召喚魔法結晶が出てくれば使ってみようかの」
「くわばらくわばら、ドボックスの導師は相変わらず過激ですな」
「この程度、子供をあやすのとさほど変わらんよ」
小国は大国からしたらいつでも潰せるということなのだろう。小国が束になれば手を出せなくなるのはあくまで机上の空論ということで、小国が誰と手を繋ぎたいのかじっくり見定められているだけなのかもしれない。
この日から数日後。最近独立宣言をしたアルクアンシア国は崩れることとなる。
最初の出来事は軍の配置編成という名で、アルクアンシア国に大量のドボックス軍が流れ込む。ドボックス側からすれば独立を認めたわけではないので、自国内での軍の移動と表明した。
しかし裏では独立に関わったとされる人物達を抹消し、臨時的に軍による統治をおこなったのだ。
早期鎮圧の為に投入された兵士の数は10万人。多くの人員を悟られずに動かすこの戦術は、後に他国に向け大きな抑止力の1つとなる。
この作戦は独立宣言直後から実行されており、秘密裏に集められていたのだ。
圧倒的な戦力差で、アルクアンシア国の中枢の崩壊と軍の解体をおこなった。
軍に対してはドボックスに戻る意思のある者を、罪には問わず無条件での受け入れとし、殆どの者がそれに従った。
それでも抵抗した者もいたようだが、記録にすら残らないほどの小事とされた。
影側には限られた者達だけが知る組織があり、特別な名称が無いせいで影と呼ばれるようになった。そのトップは導師と呼ばれる。
導師はバグラ以外の大国に各1人ずつ全部で4人いる。
国と国との揉め事で、表では上手く行かない事も、各国の導師を通して話をつけることもある。
大国同士で戦争が起きてしまうと周辺の小国を巻き込み多くの犠牲が出てしまう事が大きな理由だ。場合によっては戦争をした両国が疲弊し、その隙を狙って第三国に全てを持っていかれる可能性も無いとは言い切れない。
影は本来、大国同士が戦争をしないための交渉役なのだか、国によっては王よりも導師が権力を握っていることもあり、本来の役割を逸脱している場合が多々ある。
この日はアヤフローラの導師を除く3人の導師が集まっていた。
「事前にある程度情報は伝わっていると思うが、今日集まってもらったのは特異者の出現についてにいてだ」
と話を切り出したのは、オオイマキニドの導師だ。
「次期魔王に選ばれたケーナという人物について話したい」
「わしから1ついいかな?」
最初の質問は導師の中で最長老のドボックス帝国の導師。
「この場にケーナとやらの話を持ってきたということは、誰の首輪もついておらんのだろう?」
「さよう。アヤフローラの導師を呼ばなかったのもそれが理由だ。あいつは自分の思い通りならないことを気にするからの。しかしながら、首輪をつけたところで大人しくなるような者ではないかもしれん。噂では狂戦士オリミラがたいそう気に入っているらしいが飼いならしているわけではなさそうだ」
ひときわ眉間にシワを寄せているインテルシアの導師も口をひらく。
「話によれば龍人族に個の強さで引けを取らぬ人族なのだろう? 実に厄介な者を次期魔王としたなあやつは。おとなしく娘を魔王にしておればよいもの」
「魔族の国だけは導師がおらんからの、根回しが難しくてかなわん」
「現在明確な強さは不明だが、分かっているだけで基本的な強さは龍人並み、魔力は西の魔女達にも引けを取らず、冒険者として広範囲の探索系スキルを持つ。怪我らしい怪我をしたところを見て無いとも聞いているので、稀な防御系のスキルも持っていると十分考えられる。極めつけはアデバルディアの保有か」
「ただの娘っ子なんて思っていたら大火傷になりかねん。まさに魔王の器にってことか」
「こやつ1人で国落しも可能とみる。どこかの馬鹿な貴族の嫁には手に余るじゃろ」
「しかし情報が大雑把すぎやしないか、もっと詳しく集められんかったかの」
「本来なら、鑑定系のスキルで詳しく調べたいところだが、ここまでの者だ。鑑定系のスキルを使うと気づかれる可能性があるので目視のみで観察するしかないと」
「近くに潜伏させたのか?」
「いや、常に広範囲の探索系スキルを使用しているようでその効果の範囲外、町の外からの観察のみになるそうだ」
「で、今後どうする」
「泳がせるしかあるまい。こちらから仕掛けるなら勇者以上の戦力をあてがわないなと力試しにもならんぞ」
「代償が大きすぎるな」
「報告だと好戦的ではないようだがそれでも冒険者だ。戦うことに躊躇はせんだろうよ。神話級のモンスターでもあやつの目の前に現れてくれたら丁度いいのだがな」
「はははっ、違いないのぉ」
「召喚魔法結晶を使えばいいのではないか?」
「神話級ともなると限りがある。おいそれと使えるものではない」
「それならこちらでどうにかしようかの」
そういって口元でだけ笑っているのはドボックスの導師。
「最近国の中でちょっとした揉め事があっての。しばらくすれば片が付くでの。便乗して騒いでいた者たちにも見せしめとしてどこかを潰す予定なのでな。そこからレア物の召喚魔法結晶が出てくれば使ってみようかの」
「くわばらくわばら、ドボックスの導師は相変わらず過激ですな」
「この程度、子供をあやすのとさほど変わらんよ」
小国は大国からしたらいつでも潰せるということなのだろう。小国が束になれば手を出せなくなるのはあくまで机上の空論ということで、小国が誰と手を繋ぎたいのかじっくり見定められているだけなのかもしれない。
この日から数日後。最近独立宣言をしたアルクアンシア国は崩れることとなる。
最初の出来事は軍の配置編成という名で、アルクアンシア国に大量のドボックス軍が流れ込む。ドボックス側からすれば独立を認めたわけではないので、自国内での軍の移動と表明した。
しかし裏では独立に関わったとされる人物達を抹消し、臨時的に軍による統治をおこなったのだ。
早期鎮圧の為に投入された兵士の数は10万人。多くの人員を悟られずに動かすこの戦術は、後に他国に向け大きな抑止力の1つとなる。
この作戦は独立宣言直後から実行されており、秘密裏に集められていたのだ。
圧倒的な戦力差で、アルクアンシア国の中枢の崩壊と軍の解体をおこなった。
軍に対してはドボックスに戻る意思のある者を、罪には問わず無条件での受け入れとし、殆どの者がそれに従った。
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