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漆黒の龍の背に乗って②
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「で、今日の用事は?」
「今日は魔王継承の日取りを決めてもらいに来ましたわ。ああ、これで正式にケーナ姉さまが魔王になりますの! とてもとても嬉しゅうございます。わたしが魔王妃になるのもそう遠くありませんね」
「なに? なんの話?」
「正式に魔王になる日でございますわ」
「いやだって、お父さんまだ生きてるでしょ」
「はい、お父様はお元気ですけど」
「だったら、私が魔王になれるわけ――」
「大丈夫ですわ! だってお父様は ”そろそろかな……魔王はもう……” とボヤいていたと世話役の者が聞いておりましたの」
「それってただの愚痴じゃない? 確認はちゃんとしたの?」
「確認不要! たとえ愚痴でも言って良いこと、悪いことがございますわ」
「それくらい言わせてあげて」
「いいえダメです。後にお姉さまが閊えている状況なのにそんな戯言許しません」
「私全然急かしてなんてないのだけど」
法の拡大解釈は聞いたことがあるが、ぽろっとこぼれた愚痴をここまで拡大解釈されては、小言など言ったらどうなるか分かったものではない。
「ヨシエさんはなんて?」
「ヨシエは “メイド達へ噂を回しておきます” とやる気満々でしたわ」
「なにそれ。止めなかったの!?」
「生前魔王継承の話をあちこちに流して、いつの間にか辞めざるを得ない状況を作り出そうとしてますわ」
こちらの味方になってくれそうなヨシエさんがもう無理だとなれば、あちら側では話が着々とすすんでいるのかもしれない。
「誰か反対する人はいないの?」
「何のための次期魔王ですの? 飾りじゃありませんのよ」
「いや、まぁ、そうなんだけど」
でも飾りだと思っていたわけで、私が生きている間に魔王になることはないと思っていた。
でも、実際に魔王になったとしても不安しかない。
「内政とか外交とかどうするつもり? 私に任せるの?」
「それには優秀な専門の家臣がいらっしゃいますから、ケーナ姉様は丸投げしてしまえばいいのですわ」
「じゃ、私が魔王になる意味ないじゃない」
「いいえ、ケーナ姉様の強さが必要ですわ。あの立ち眩みしそうな魔力量を見せつけられて逆らう者がいましょうか」
「そんな、こっちだってせっかく家を持って、仲間集めて、色々考えてたのに……。もう少し待ってもらえないの?」
「わたしが待ちきれませんわ!!」
本音がこぼれた。
こんなややこしい事にしようとしてるは、またテッテの我儘が発動したせいだろう。
しかしヨシエさんの噂話がどれほどの影響があるのか未知数なので油断はできないが、魔王と話して続ける意志を示してもらえればテッテの悪知恵を打破出来るかもしれない。
「ケーナ姉様、ドラゴンの背に乗せてあげますからすぐ向かいましょう!」
「もう分かった。行くよ。行く。空間転移するから、ほら私に捕まって」
「そ、それでは、空の旅を楽しめませんことよ」
すぐ向かうと言っておいて空間転移は拒む。空の旅がしたいのかもしれないが今は後回しにしておく。
「いいから、早くつかまって」
「で、では失礼しますわ」
ガッチリとハグをキメるテッテ。
「ハクレイ付いてきてもらえる?」
「わかりました。手を失礼します」
ギュと手を繋ぐハクレイ。
「フラン、ちょっとこのお姫様を魔王城に戻してくるから留守番よろしくね」
「任せるのじゃ」
フランの返事を聞くと同時に、空間転移魔法を発動させて魔王城の裏門付近に転移したのだった。
「いつものことですが、ケーナの魔力操作は驚異的ですね。3人分の長距離空間転移魔法を無詠唱、魔法陣無しで行うのですから」
「これくらいケーナ姉様ならスライムを倒すより簡単ですわ」
ハクレイのベタ褒めに対して、ドヤ顔をキメるテッテ。
「転移は済んでるのだから、テッテは早く離れなさい」
「わたしは構いませんことよ」
「歩きづらいから、ほらっ、離れて」
と言ってもベッタリなテッテ。
どうしてここまで悪化してしまったのだろうかと頭をかかえた。
「今日は魔王継承の日取りを決めてもらいに来ましたわ。ああ、これで正式にケーナ姉さまが魔王になりますの! とてもとても嬉しゅうございます。わたしが魔王妃になるのもそう遠くありませんね」
「なに? なんの話?」
「正式に魔王になる日でございますわ」
「いやだって、お父さんまだ生きてるでしょ」
「はい、お父様はお元気ですけど」
「だったら、私が魔王になれるわけ――」
「大丈夫ですわ! だってお父様は ”そろそろかな……魔王はもう……” とボヤいていたと世話役の者が聞いておりましたの」
「それってただの愚痴じゃない? 確認はちゃんとしたの?」
「確認不要! たとえ愚痴でも言って良いこと、悪いことがございますわ」
「それくらい言わせてあげて」
「いいえダメです。後にお姉さまが閊えている状況なのにそんな戯言許しません」
「私全然急かしてなんてないのだけど」
法の拡大解釈は聞いたことがあるが、ぽろっとこぼれた愚痴をここまで拡大解釈されては、小言など言ったらどうなるか分かったものではない。
「ヨシエさんはなんて?」
「ヨシエは “メイド達へ噂を回しておきます” とやる気満々でしたわ」
「なにそれ。止めなかったの!?」
「生前魔王継承の話をあちこちに流して、いつの間にか辞めざるを得ない状況を作り出そうとしてますわ」
こちらの味方になってくれそうなヨシエさんがもう無理だとなれば、あちら側では話が着々とすすんでいるのかもしれない。
「誰か反対する人はいないの?」
「何のための次期魔王ですの? 飾りじゃありませんのよ」
「いや、まぁ、そうなんだけど」
でも飾りだと思っていたわけで、私が生きている間に魔王になることはないと思っていた。
でも、実際に魔王になったとしても不安しかない。
「内政とか外交とかどうするつもり? 私に任せるの?」
「それには優秀な専門の家臣がいらっしゃいますから、ケーナ姉様は丸投げしてしまえばいいのですわ」
「じゃ、私が魔王になる意味ないじゃない」
「いいえ、ケーナ姉様の強さが必要ですわ。あの立ち眩みしそうな魔力量を見せつけられて逆らう者がいましょうか」
「そんな、こっちだってせっかく家を持って、仲間集めて、色々考えてたのに……。もう少し待ってもらえないの?」
「わたしが待ちきれませんわ!!」
本音がこぼれた。
こんなややこしい事にしようとしてるは、またテッテの我儘が発動したせいだろう。
しかしヨシエさんの噂話がどれほどの影響があるのか未知数なので油断はできないが、魔王と話して続ける意志を示してもらえればテッテの悪知恵を打破出来るかもしれない。
「ケーナ姉様、ドラゴンの背に乗せてあげますからすぐ向かいましょう!」
「もう分かった。行くよ。行く。空間転移するから、ほら私に捕まって」
「そ、それでは、空の旅を楽しめませんことよ」
すぐ向かうと言っておいて空間転移は拒む。空の旅がしたいのかもしれないが今は後回しにしておく。
「いいから、早くつかまって」
「で、では失礼しますわ」
ガッチリとハグをキメるテッテ。
「ハクレイ付いてきてもらえる?」
「わかりました。手を失礼します」
ギュと手を繋ぐハクレイ。
「フラン、ちょっとこのお姫様を魔王城に戻してくるから留守番よろしくね」
「任せるのじゃ」
フランの返事を聞くと同時に、空間転移魔法を発動させて魔王城の裏門付近に転移したのだった。
「いつものことですが、ケーナの魔力操作は驚異的ですね。3人分の長距離空間転移魔法を無詠唱、魔法陣無しで行うのですから」
「これくらいケーナ姉様ならスライムを倒すより簡単ですわ」
ハクレイのベタ褒めに対して、ドヤ顔をキメるテッテ。
「転移は済んでるのだから、テッテは早く離れなさい」
「わたしは構いませんことよ」
「歩きづらいから、ほらっ、離れて」
と言ってもベッタリなテッテ。
どうしてここまで悪化してしまったのだろうかと頭をかかえた。
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