たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

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魔王⑦

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「最後に確認しておきたいことがあるんだけど」

 一通り話が終わって、そろそろ元の場所に帰れると安堵している表情には申し訳ないが、はっきりさせておきたかったことが1つ。
 
「勇者見習いはまだ子供なんでしょ。町を破壊した責任は誰がとるの? ギルド? 国? まさか本人に償わせるの?」

 2人とも困った顔をしている。
 どちらもなかなか口を開かないのは追及されたくないからだろうか。

 これまでは責任を追及されても、黙っていたり嘘をついたりして、のらりくらりとしていれば良かったのかもしれない。
 
 でも今だけは違う。
 
 ここには貴族だけが優遇されるような法も、相手を委縮させるような権力も届かない ”エーナの世界” 。天気すら私の思いのままのこの世界では神のお目こぼしもない。

 やっと口を開いたと思えば「まぁまぁ」とか「そんなことより」など言えるのは鈍感な人族の特徴ともいえるかも。

「あなた達の気持ちはよーくわかった。どうしても早く帰りたいみたいね。2人にはそれぞれの役目もあるみたいだし、ここにずっといるわけにもいかないだろうし」

 ここぞとばかりに2人が大きく頷く。

「取りあえず身の安全を保証するのは約束だからね」

 何とか乗り切ったぞと言いたそうなご様子なのは放っておき、私はマインドプロンプトに指示を出す。

《何をなさいますか?》

(あの2人の魂を抜ける?)

《たぶん、可能です》

(そしたらその空っぽの体に人工的に作った魂入れてほしい)

《エーナのコピー内にいれた魂と同様のものにしますか?》

(いやいや、私に似ていても困るし……。抜いた魂をベースに、虫すら殺せないほどに悪意を減らして、鉄拾いする人をほっとけないぐらいの善人にできるかな?)

《可能ですが、もはや別人かと思われます》

(大丈夫、見た目が変わってなければ同一人物として扱ってくれるよ。それは私が一番よく知ってる)

《かしこまりした実行いたします》

(出来ればなんだけど、抜いた魂を結晶化することできるかな)

《可能です。石のようになります》

(その石と会話はできる?)

《念話スキルを使用すれば可能です》

(わかった。念話取得するよ)

《それでは実行いたします》

 ぽんっ!!! 
 ぽんっ!!!

 まるで賞状筒のフタを思いっきり引き抜いたような音が2回。
 そしてコロンと転がる小さな青い石と灰色の石。
 
 一瞬白目をむいた顔に意識が宿る。

「2人とも記憶はちゃんと読み取れてる?」

「「問題ありません」」

 と、言うことで答え合わせだ。

 これまで話していた内容に嘘が無いか本人に確認するのが一番いい。 

 それと誰に責任があるのかもちゃんと聞いておきたいので改めて質問してみる。

「それは私の責任です、ケーナ魔王様」

 深々と頭を下げるのはスパッツァの方だった。
 魔王対策の話が囮で本当は国の力と自分の地位の強化が目的だった。 
 
 詳細はレドロスの方が話してくれた。そして嘘がボロボロと出てくる。突然の拉致にもかかわらず2人して見事にファインプレーしてくれていたわけだ。

「最初から隠し事せずにちゃんと話してくれれば、こんな石ころには成らなかったのにね。何か言いたいことはある?」

 魂だけになってもこの状況は見えてる。念話スキルを取得し石ころに話しかけると、さすがに置かれた状況が良くないことに気づいてきたのだろう態度も変わってきた。

⦅私が悪かった、金ならいくらでも払う。私ができる限りの望みを全て叶えてやってもいい。元に戻してくれ。頼む!!⦆

⦅私も謝罪する、そしてギルドを最大限利用できるよう融通を効かせる。アヤフローラだけじゃない他国でも同様にだ⦆

 小さい石ころが必死になって訴えてはいるが

「今言ったこと、入れ替わった2人に頼めば二つ返事でやってくれるけど、他に利点はないの?」

 なかなか案が出てこないのは考えているのか、何もないのか、石からは表情が見えないので分かりづらい。

 入れ替わった2人に出来ないことをあえて言うのであれば、私利私欲にまみれた考えぐらいだろう。

「きっちり反省したら元に戻れるかもよ」

⦅下手に出れば調子にのりおって――⦆
 ⦅魔王は人族の敵でしかない必――⦆

 最後まで話を聞く気は無いので念話スキルを停止した。

 入れ替わった2人なら、勇者見習いの扱いも今よりは良くなるだろう。


「どうするのだ、その魂は?」

 人化して戻ってきたエンドに聞かれる。

「使い道が無いわけじゃないんだけど、すぐには必要ないかも」

「食いたいのだが」

「え゛っ、これ食べるの?」

「それは純粋なエネルギーの固体化であろう。吾の魔力にしてもいいぞ」

 念話は使っていなくても2人の悲鳴が聞こえてくる。

「純粋? 真っ黒だよ。こんなの食べたら絶対お腹壊すよ。やめよやめよ。こんなのより、タイムが美味しい料理作ってくれるからそっちを食べてよ」

「ダメか、わかった。だが捨てるぐらいなら吾がいただくからな」

 可哀想というわけではない、ただエンドに悪影響がでないか心配になっただけだ。


 私と入れ替わった2人を空間収納から出して元の場所に戻り、その後の様子をしばらく窺う。

 城内の者ともなかなか上手くやってくれているようで、簡単には気づかれないだろう。

 あとは、今後勇者見習いの出番が永遠に無いように、逃げた可能性がある昔の魔王のことを知る必要がある。

 魔王の事は長年魔王をしていたトットに聞くのが一番いいかな思い再びバクラへと移動した。
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