たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

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薬草売りの少女⑥

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 グランジは弱くない。冒険者としてのレートはまだ低く、ギルドカードも鉄製だけど、レベルは72。初めて会ったときから強いだろうなと警戒していたので、わざわざアイテムを使いこっそり簡易鑑定したのだ。

 そのグランジがまさか戦闘で苦戦していることの方が驚きだった。

(もし死んじゃっても死にたてほやほやなら、死神に気づかれる前に生き返らせてあげるからね)

 お守りの中にある魔石の魔力を頼りに、空間転移魔法の転移先を指定する。あの魔石は私の魔力を元に作った魔石なので、魔石のある場所が知らない場所でも正確に転移ができる。

 転移した先にいたのは暗い裏路地で倒れているグランジ。
 外傷がひどく左上半身の広い範囲が火傷のようにただれていた。周囲には強い刺激臭が漂っている。

「グランジ! グランジ!!」
 
 ぺしぺしと顔を叩く。

「……うっ……」

「この酷い傷で良く生きてたね。すぐ治してあげるからね」

 回復魔法フルケアを発動。外傷もHPも全て回復する。

「…………ケ、ケーナか?」

「気が付いた」

「……もうダメかと……」

「お守り持っておいて良かったでしょ」

「……ああ、最高のお守りだ」

「どう動ける?」

 のそっと起き上がるグランジ。

「ん……問題なさそうだ。かなりの怪我をしたはずなんだがな」

「結構すごかったよ。骨も溶けたようになってたし」

「初めて見る魔法で対処ができなかった。次は気をつける」

「誰と戦ってたの?」

「例の包みをブレドニロンに渡しに来た奴だ。ただの運び屋かと思って尾行していたが違ったらしい」

「運び屋じゃないとなると?」

「おおかたあれを作った本人だろう。運び屋は基本戦闘などしない、見つかっても逃げる事に命をかけるからな。だから俺も油断していた」

「まだ遠くには行ってないんだね」

「そうだな。この路地の先には町の外に出るための道がある。その付近にいるかもしれないな」

 探索スキルを発動する。
 多くの対象を捕捉するが、その中でもレベルを70以上と絞り込むと1人だけになった。予想通り町の外方面へと移動中。

「見つけた、ここからは私がやるから」

 グランジの返事よりも先に駆け出し、通りへと出る。そして対象まで一気に距離を詰めた。
  
 相手は全身黒の服装で、フードも深くかぶっている。
 夜で光のない場所なら見つけるのも難しいかもしれない。

 こちらに気づかれる前に鑑定眼を使い調べる。
 
――――――――――

ハルオミ・ヤマダ 男 24歳 人族 錬金術師 Lv98 ……

――――――――――

 どこか懐かしさを感じさせる名前。そして所持スキル欄にある “異世界言語A” 更に “錬金術の心得A” や “体術の心得A” 3つも持っている。人族の場合勇者や英雄ならばなんとか到達できるとされるスキルレベルAだ。

 元々この世界の者であれば異世界言語というスキルの取得は必要ない。このスキルは世界の外からくる場合に必須のスキルになる。
 もし転生者であれば他の特典である空間収納や鑑定眼などスキルがあるはず。それらを持っていないとすると、もしかしたら異世界ガイドブックに書いてあった転移コースの転移者の可能性がある。

「ちょっと待って」

「くそっ、もう追いつかれたか」

 路地へ逃げようとするので、魔法で足を凍らせた。
 自由に動かない足に戸惑いつつも、1度両手を合わせてからこちらへ攻撃してくる。

 弱い水魔法のような攻撃だったが、鑑定眼で見るとその液体は高濃度の硫酸。魔法防御や水流耐性に自信がある者は手で弾こうとするかもしれない。その行動を逆手に取った攻撃だ。
 ただ私に硫酸は届かずアブソーブが全て吸収する。それでも諦めずに、攻撃を続けてくるが全て吸収してやった。

「いったい、なんなんだこのガキは!!」

「この場所だと人目につくかもしれないから移動するよ」

 同意を得る前に空間収納に取り込み、私も中へ入った。


 中の時間はお昼。場所は草原のど真ん中。隠れるところも無く、明るい場所では黒い服は目立つ。

「ようこそいらっしゃい、ハルオミ君。それともヤマダの方がいいかな」

「お、おい、それをどこで……」

 普段は偽名を名乗っているのか、本名を呼ばれたことで気が動転している。

「まぁまぁ」

「おいなんなんだてめぇは、なんでオレの名をしっている、ここは……結界の中か?」

 景色が変わってキョロキョロと見渡している。

「私はケーナ。魔王をやってますのでよろしくね。あなたの名前を知っているのは内緒。ここは私の庭みたいな場所だから気を使わなくていいからね」

「舐めやがって!! こんなガキが魔王だと!? ふざけるなよ!」

 最近は顔を覚えられてきた方だと思っていたが、こいつは引き篭もりなのかもしれない。

 追い詰められた状況に焦っているのか、ヤマダは凍り付いた足を無理やり動かし、飛び蹴りしてくる。

 渾身の力を込めた一撃ではあるがギリギリ届かない。その後も連続で殴ったり蹴ったり、動かない私に対して容赦なく攻撃を続けるが全てアブソーブが衝撃を吸収し何1つ届かなかった。

「なんで効かねぇんだよ。マジで魔王かよ……こんなところで使うつもりはなかったが」

 ヤマダは笛のような魔道具を取り出すと、魔力を込めて吹き始めた。
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