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才色兼備で一枚上手①
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カスケードの町復興は少しづつではあったが徐々に戻っては来ていた。
色々調査はされていたが、黒幕を絞るまでは至っていなかった。
建物などの被害に比べて住民の怪我や亡くなった割合は過去に例を見ないほど低く、アヤフローラ様の御加護のおかけであると噂されていた。
それでも被害が0ではないので、今後も平和を維持するために町民達からなる地域ごとの自警団が発足され自分達の町を自分で守る考えも広まっていった。
自分達で作る平和な町。
そのおかげなのか、カスケードギルドも非常に平和な日常となっていた。
依頼も常設のものぐらいで、こんな時は冒険者たちもわざわざ常設依頼を受けにきたりはしない。ギルドのロビーもガラガラだった。
そんな中、ギルド本部の封蝋がされている1通の手紙がギルマスのヘッケンの元に速達で届いた。
「コン、コン、ギルマスー。本部から速達の手紙ですよー!」
「んあぁあ。そこ置いといて」
「あー、今寝てましたね?」
「今はお昼寝時間なのぉ」
「マナさんがいないといつもこーなんだから。いつ帰ってくるかわかりませんよー」
「二日酔いで頭が痛いんだ、もちょっと寝かせてくれー」
「もーーー」
秘書兼ヘッケンの奥さんでもあるマナは出張中だ。
鬼の居ぬ間に洗濯とでも言うのであろうか、受付嬢は諦めてギルマスの机に手紙を置き部屋を出ていく。
静かになった部屋は外のぽかぽか陽気も相まって昼寝にはもってこいの環境となり、睡魔はヘッケンの意識を睡眠の沼へ引きずり込んでいった。
受付嬢がカウンター戻ると
「あのーお届け物でーす。サインくださーい」
「はーい」
「全部で木箱が16箱。全部カジノ、ブルースカイさんからギルド宛てでーす」
「16!そんなにたくさん。一体なんでしょうか?」
「それが中身は貴重品と聞いてますが、かなり重いですよ」
「えっと、そうですか、置く場所どうしようかな?取りあえず入口付近に積んでおいてください」
「わっかりましたー」
1箱の大きさはそんなに大きくないのにも関わらず1箱の重さが相当なのだろう。積み上げられるたびに床が軋んで悲鳴を上げている。
「これで全部になります。あざまーす」
「ご苦労様でーす」
重いものはあまり持ちたくない受付嬢はギルド宛てだし、誰かが処理してくれるだろうと、とりあえず荷物はそのままにして自分の仕事へと戻っていった。
ギルドのロビーは非常時でなければ誰でも出入り自由だ。
より高額な依頼を求めて他の町や他の国からでも、日銭稼ぎに訪れる者も多い。
他の町から来た2人組の冒険者ヤナトとウリトも、ここの依頼の少なさに悩まされていた。
「ウリト、この町もダメだ。目ぼしい依頼が一個もねーな」
「兄貴どーしますぅ? 薬草行きますぅ?」
「ばかやろう、そーゆーのはぺーパーの仕事だ。白銀目前の俺らが新人の仕事奪ってどうする?」
「兄貴やさお」
「だろぉ!」
「でも、どーしますぅ?」
「んーしゃーない。森にいって狩るぞ」
「そうっすね。その前に飯屋行きましょ」
「そうだな」
依頼受注を諦め、振り返りざまに積みあがっている木箱にヤナトがつまづいてしまう。
「いってーな。誰だよ荷物おっきぱなしな奴。ギルドのロビーは共有だぞ、こんなに置きやがって」
「兄貴の足が怪我したらどーすんだよ、もう!!」
ガゴン!
そういってウリトが木箱を蹴ったのだが重さでほとんどズレることはなかった。
「痛っ! 何入ってんだこれ。これめっちゃ重いっすよ」
「おい、もう一回蹴ってみろ」
「え、嫌っすよ。痛いっすもん」
「いいから蹴れ。じゃないとてめぇを蹴るぞ」
「わかったっすよ。乱暴なんだからー」
ガゴン!
「んーー。いったん出る。来い」
「もー何だったんすか。足痛いっす」
外に出ると足早に裏路地へと入っていく。
「兄貴速いっす。どこ行くんすか」
「ここらでいいか、おい、さっきの木箱蹴った時どうだった?」
「足痛かったっす」
「そうじゃない音はどうだった?」
「音っすか。ガゴンって」
「それだけか?」
「それだけっす。兄貴はどう聞こえたんすか?」
「微かだが金貨の音が混じってやかった」
「え!!あの箱!!!金貨!!!入ってたんすか!!!」
「てめぇ、声がでけええ」
「すまねぇっす」
「……いいか、あの場所は共有の場所だ。とするならばあそこに置いてある物も共有していいってことだよな」
「そーっすね!!」
「おい、例の袋あとどれくらい空いてる」
取り出した大袋は、一見普通の皮製の袋見えるが、そこに腕を肩まで思いっきり突っ込むんでもまだまだ入りそうなぐらい底が深い。
レア級の魔道具、空間拡張革袋だ。
「あの箱なら3、4箱は余裕でいけそうっすね」
「良し。もう一度ギルドに行くぞ」
ギルドに戻ってきた2人は、あたかも依頼をどうするか出入口付近の掲示板で相談しているかのように振る舞う。
「受付嬢は1人しかいないな。暇で好都合だ。袋準備しとけ」
「おうっす」
カウンターから受付嬢が離れたのを確認して
「今だ。入れろ」
「重ッ」
「ほら早くしろ」
「やってますって」
静かに、速く、確実に。
こそこそと作業が進んでいく。
「3箱は無理かもしれないっす重すぎっす」
「なら2箱でいい、出るぞ」
袋を担いでそそくさとギルドを後にしたのだった。
色々調査はされていたが、黒幕を絞るまでは至っていなかった。
建物などの被害に比べて住民の怪我や亡くなった割合は過去に例を見ないほど低く、アヤフローラ様の御加護のおかけであると噂されていた。
それでも被害が0ではないので、今後も平和を維持するために町民達からなる地域ごとの自警団が発足され自分達の町を自分で守る考えも広まっていった。
自分達で作る平和な町。
そのおかげなのか、カスケードギルドも非常に平和な日常となっていた。
依頼も常設のものぐらいで、こんな時は冒険者たちもわざわざ常設依頼を受けにきたりはしない。ギルドのロビーもガラガラだった。
そんな中、ギルド本部の封蝋がされている1通の手紙がギルマスのヘッケンの元に速達で届いた。
「コン、コン、ギルマスー。本部から速達の手紙ですよー!」
「んあぁあ。そこ置いといて」
「あー、今寝てましたね?」
「今はお昼寝時間なのぉ」
「マナさんがいないといつもこーなんだから。いつ帰ってくるかわかりませんよー」
「二日酔いで頭が痛いんだ、もちょっと寝かせてくれー」
「もーーー」
秘書兼ヘッケンの奥さんでもあるマナは出張中だ。
鬼の居ぬ間に洗濯とでも言うのであろうか、受付嬢は諦めてギルマスの机に手紙を置き部屋を出ていく。
静かになった部屋は外のぽかぽか陽気も相まって昼寝にはもってこいの環境となり、睡魔はヘッケンの意識を睡眠の沼へ引きずり込んでいった。
受付嬢がカウンター戻ると
「あのーお届け物でーす。サインくださーい」
「はーい」
「全部で木箱が16箱。全部カジノ、ブルースカイさんからギルド宛てでーす」
「16!そんなにたくさん。一体なんでしょうか?」
「それが中身は貴重品と聞いてますが、かなり重いですよ」
「えっと、そうですか、置く場所どうしようかな?取りあえず入口付近に積んでおいてください」
「わっかりましたー」
1箱の大きさはそんなに大きくないのにも関わらず1箱の重さが相当なのだろう。積み上げられるたびに床が軋んで悲鳴を上げている。
「これで全部になります。あざまーす」
「ご苦労様でーす」
重いものはあまり持ちたくない受付嬢はギルド宛てだし、誰かが処理してくれるだろうと、とりあえず荷物はそのままにして自分の仕事へと戻っていった。
ギルドのロビーは非常時でなければ誰でも出入り自由だ。
より高額な依頼を求めて他の町や他の国からでも、日銭稼ぎに訪れる者も多い。
他の町から来た2人組の冒険者ヤナトとウリトも、ここの依頼の少なさに悩まされていた。
「ウリト、この町もダメだ。目ぼしい依頼が一個もねーな」
「兄貴どーしますぅ? 薬草行きますぅ?」
「ばかやろう、そーゆーのはぺーパーの仕事だ。白銀目前の俺らが新人の仕事奪ってどうする?」
「兄貴やさお」
「だろぉ!」
「でも、どーしますぅ?」
「んーしゃーない。森にいって狩るぞ」
「そうっすね。その前に飯屋行きましょ」
「そうだな」
依頼受注を諦め、振り返りざまに積みあがっている木箱にヤナトがつまづいてしまう。
「いってーな。誰だよ荷物おっきぱなしな奴。ギルドのロビーは共有だぞ、こんなに置きやがって」
「兄貴の足が怪我したらどーすんだよ、もう!!」
ガゴン!
そういってウリトが木箱を蹴ったのだが重さでほとんどズレることはなかった。
「痛っ! 何入ってんだこれ。これめっちゃ重いっすよ」
「おい、もう一回蹴ってみろ」
「え、嫌っすよ。痛いっすもん」
「いいから蹴れ。じゃないとてめぇを蹴るぞ」
「わかったっすよ。乱暴なんだからー」
ガゴン!
「んーー。いったん出る。来い」
「もー何だったんすか。足痛いっす」
外に出ると足早に裏路地へと入っていく。
「兄貴速いっす。どこ行くんすか」
「ここらでいいか、おい、さっきの木箱蹴った時どうだった?」
「足痛かったっす」
「そうじゃない音はどうだった?」
「音っすか。ガゴンって」
「それだけか?」
「それだけっす。兄貴はどう聞こえたんすか?」
「微かだが金貨の音が混じってやかった」
「え!!あの箱!!!金貨!!!入ってたんすか!!!」
「てめぇ、声がでけええ」
「すまねぇっす」
「……いいか、あの場所は共有の場所だ。とするならばあそこに置いてある物も共有していいってことだよな」
「そーっすね!!」
「おい、例の袋あとどれくらい空いてる」
取り出した大袋は、一見普通の皮製の袋見えるが、そこに腕を肩まで思いっきり突っ込むんでもまだまだ入りそうなぐらい底が深い。
レア級の魔道具、空間拡張革袋だ。
「あの箱なら3、4箱は余裕でいけそうっすね」
「良し。もう一度ギルドに行くぞ」
ギルドに戻ってきた2人は、あたかも依頼をどうするか出入口付近の掲示板で相談しているかのように振る舞う。
「受付嬢は1人しかいないな。暇で好都合だ。袋準備しとけ」
「おうっす」
カウンターから受付嬢が離れたのを確認して
「今だ。入れろ」
「重ッ」
「ほら早くしろ」
「やってますって」
静かに、速く、確実に。
こそこそと作業が進んでいく。
「3箱は無理かもしれないっす重すぎっす」
「なら2箱でいい、出るぞ」
袋を担いでそそくさとギルドを後にしたのだった。
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