55 / 221
才色兼備で一枚上手⑤
しおりを挟む
浮島と呼ばれる伝説の島。
子供たちが知るおとぎ話ではロンバルディアと呼ばれ、そこには神が住み、神が人悪を見つけると天罰を下すという物語。
古い文献ではアデバルディアと呼ばれ、魔石と魔術で作られたその浮島は、過去の大戦で使用され国を一夜で焦土にする火力と、あらゆる攻撃に耐える空中要塞として恐れられた。
今では浮島に関する詳細は全て失われ、古いは文献やおとぎ話の中にしか存在しないはずだった。
その浮島がカスケードの上空に存在している。日蝕のように辺りは薄暗くなり、それに気づいた町に住む者は皆空を見上げ眺めている。
「ってか浮島実在したんっすね。てっきり作り話かと思ってったす」
「本物だとしても、島を相手にしたことなんかねーよ。アレやばい。逃げるぞ」
どこまで逃げればいいのかも分からないが、それしかできない。
遠くでは魔術師なのか、浮島めがけファイヤーボールを放つ者も見えたが全然届くはずもなかった。
浮島があまりに巨大なため遠近の感覚がおかしくなってしまい、ずっと空高くにあるはずなのに弓で届くような距離に感じてしまっていたからだ。
ギルドでも対応に追われヘッケンやマナが対策を練っているが、情報が少なすぎてただただ焦っていた。
「今ある情報を整理しするわ、ブラックベヒーモスもあの浮島も召喚魔法結晶で呼び出された可能性は十分あるとみていいわね?」
「そうだな、突然現れたとしか考えられない」
「ブラックベヒーモスは倒されたという話の確認は取れたの?」
「まだだ。でもそろそろ戻ってくるから分かると思う」
「被害の報告はある?」
「死者は今のところ発見されてないようだが……。建物は数十件は倒壊した、けが人は10人程度」
「はぁー。ミシクル級なんてただ高価なだけだと思っていたのに、どこかのバカはこんなものをいくつも隠し持っているの?」
マナの愚痴が止まらない。
「かなり高価な物であることは確かだ。取引材料になるにはなるが実際に使うやつがいるとは……。召喚魔法と違って一度召喚させると戻せないっていうからな」
そこに息を荒げたギルドの職員が駆けつける。
「報告! ギルマス! 確認しました。ブラックベヒーモスは2体とも討伐を確認しました!」
「よし!」
「あとは上に浮いてるデカブツだけか……」
ペガサス騎士団に要請しよう。
ワイバーンをテイムしているテイマーを集めよう。
魔術師協会に応援を要請しよう。
など、考えては見たものの窓から見える浮島と比較すると全て幼稚に感じてしまい行き詰ってしまった。
いくら考えても解決策など出るわけもなく、時間だけが過ぎていく。
そんな時、窓から見える浮島が光始める。
今まで薄暗さと逆光のせいで気づけなかったが、浮島のそこには巨大な魔石が数多くも敷き詰められており、それが今光始めたのだ。
魔石が光ると言うことは、魔力が流れているということ。
魔力の流れは底の中心部に集まるように、まるで脈を打つように光が流れていた。
底の中心部は魔力が徐々に集まり輝きを増してきている。
ここまで来ると多くの者がアレが敵であること理解し始める。逃げ惑うものも多く町中がパニックに陥った。
魔力の輝きが太陽を越え、熱が地上まで届いてくる。
そして、魔力の流れが止まり、中心部の輝きが最高潮に達すると、浮島の底から魔力の塊が切り離されように落ちてくる。
ゆっくり落ちてくる輝きは神秘的でもあった。
もうヘッケンもマナも身を寄せ合いただただ祈るしかなかった。
誰もが諦めたであろうその瞬間に、魔力の塊めがけ一直線に超音速を超えて飛んでいく物体。
この町のガキ大将、もふもふ猫君2号だった。
上空で交差すると煌々と輝いていた魔力の塊は徐々に小さくなっていき、最終的には消滅した。
そして浮島も一瞬で消えてしまったのだった。
浮島が消えた後も、直ぐには喜べなかった。またどこかに現れるのではないかと不安が拭えなかったからだ。
死を覚悟したヘッケンは生き延びれたことに安堵し、本当に神の奇跡として疑わなかった。
「まだ神は見放してはいなかった。そうだろう?」
「この際、神でも誰でもいいわ、助けてくれたのだから感謝しかないわよ」
一体何が起こったのか。誰も真相を知ることができず。また神のご加護だと噂が流れた。
実は実家のコピーエーナも一連の事態を最初から把握していたが、黒幕を探すためもふもふ猫君1号を出動させ頑張ってあちこち探索スキルで調べていた。
ダミーが多く重要人物と繋がりを持ってそうな奴は結局捕まえる事ができずじまい。
ブラックベヒーモスが暴れ始めた時は倒しに行こうか迷ったが、近くに高レベルの冒険者がいたので任せておいた。
しかし、浮島が現れて黒幕探しどころではなくなってしまい、魔力の塊が降ってきたのでもふもふ猫君2号をスキル投擲強化SSS+を使って落下地点まで投げ飛ばしアブソーブで全て吸収したのだった。
浮島も破壊してしまおうと思ったが、破片ですら巨大になるのでそれが落ちてきたときの被害を考えると収納するしかなかったのだ。
「あー、あんなデカいのしまったら、ケーナに怒られるかな……」
空間収納の中で何かしているのは知っていたけど、まだちゃんと確認していなかったので、邪魔してしまったのでわないかと少しだけ心配したのだった。
子供たちが知るおとぎ話ではロンバルディアと呼ばれ、そこには神が住み、神が人悪を見つけると天罰を下すという物語。
古い文献ではアデバルディアと呼ばれ、魔石と魔術で作られたその浮島は、過去の大戦で使用され国を一夜で焦土にする火力と、あらゆる攻撃に耐える空中要塞として恐れられた。
今では浮島に関する詳細は全て失われ、古いは文献やおとぎ話の中にしか存在しないはずだった。
その浮島がカスケードの上空に存在している。日蝕のように辺りは薄暗くなり、それに気づいた町に住む者は皆空を見上げ眺めている。
「ってか浮島実在したんっすね。てっきり作り話かと思ってったす」
「本物だとしても、島を相手にしたことなんかねーよ。アレやばい。逃げるぞ」
どこまで逃げればいいのかも分からないが、それしかできない。
遠くでは魔術師なのか、浮島めがけファイヤーボールを放つ者も見えたが全然届くはずもなかった。
浮島があまりに巨大なため遠近の感覚がおかしくなってしまい、ずっと空高くにあるはずなのに弓で届くような距離に感じてしまっていたからだ。
ギルドでも対応に追われヘッケンやマナが対策を練っているが、情報が少なすぎてただただ焦っていた。
「今ある情報を整理しするわ、ブラックベヒーモスもあの浮島も召喚魔法結晶で呼び出された可能性は十分あるとみていいわね?」
「そうだな、突然現れたとしか考えられない」
「ブラックベヒーモスは倒されたという話の確認は取れたの?」
「まだだ。でもそろそろ戻ってくるから分かると思う」
「被害の報告はある?」
「死者は今のところ発見されてないようだが……。建物は数十件は倒壊した、けが人は10人程度」
「はぁー。ミシクル級なんてただ高価なだけだと思っていたのに、どこかのバカはこんなものをいくつも隠し持っているの?」
マナの愚痴が止まらない。
「かなり高価な物であることは確かだ。取引材料になるにはなるが実際に使うやつがいるとは……。召喚魔法と違って一度召喚させると戻せないっていうからな」
そこに息を荒げたギルドの職員が駆けつける。
「報告! ギルマス! 確認しました。ブラックベヒーモスは2体とも討伐を確認しました!」
「よし!」
「あとは上に浮いてるデカブツだけか……」
ペガサス騎士団に要請しよう。
ワイバーンをテイムしているテイマーを集めよう。
魔術師協会に応援を要請しよう。
など、考えては見たものの窓から見える浮島と比較すると全て幼稚に感じてしまい行き詰ってしまった。
いくら考えても解決策など出るわけもなく、時間だけが過ぎていく。
そんな時、窓から見える浮島が光始める。
今まで薄暗さと逆光のせいで気づけなかったが、浮島のそこには巨大な魔石が数多くも敷き詰められており、それが今光始めたのだ。
魔石が光ると言うことは、魔力が流れているということ。
魔力の流れは底の中心部に集まるように、まるで脈を打つように光が流れていた。
底の中心部は魔力が徐々に集まり輝きを増してきている。
ここまで来ると多くの者がアレが敵であること理解し始める。逃げ惑うものも多く町中がパニックに陥った。
魔力の輝きが太陽を越え、熱が地上まで届いてくる。
そして、魔力の流れが止まり、中心部の輝きが最高潮に達すると、浮島の底から魔力の塊が切り離されように落ちてくる。
ゆっくり落ちてくる輝きは神秘的でもあった。
もうヘッケンもマナも身を寄せ合いただただ祈るしかなかった。
誰もが諦めたであろうその瞬間に、魔力の塊めがけ一直線に超音速を超えて飛んでいく物体。
この町のガキ大将、もふもふ猫君2号だった。
上空で交差すると煌々と輝いていた魔力の塊は徐々に小さくなっていき、最終的には消滅した。
そして浮島も一瞬で消えてしまったのだった。
浮島が消えた後も、直ぐには喜べなかった。またどこかに現れるのではないかと不安が拭えなかったからだ。
死を覚悟したヘッケンは生き延びれたことに安堵し、本当に神の奇跡として疑わなかった。
「まだ神は見放してはいなかった。そうだろう?」
「この際、神でも誰でもいいわ、助けてくれたのだから感謝しかないわよ」
一体何が起こったのか。誰も真相を知ることができず。また神のご加護だと噂が流れた。
実は実家のコピーエーナも一連の事態を最初から把握していたが、黒幕を探すためもふもふ猫君1号を出動させ頑張ってあちこち探索スキルで調べていた。
ダミーが多く重要人物と繋がりを持ってそうな奴は結局捕まえる事ができずじまい。
ブラックベヒーモスが暴れ始めた時は倒しに行こうか迷ったが、近くに高レベルの冒険者がいたので任せておいた。
しかし、浮島が現れて黒幕探しどころではなくなってしまい、魔力の塊が降ってきたのでもふもふ猫君2号をスキル投擲強化SSS+を使って落下地点まで投げ飛ばしアブソーブで全て吸収したのだった。
浮島も破壊してしまおうと思ったが、破片ですら巨大になるのでそれが落ちてきたときの被害を考えると収納するしかなかったのだ。
「あー、あんなデカいのしまったら、ケーナに怒られるかな……」
空間収納の中で何かしているのは知っていたけど、まだちゃんと確認していなかったので、邪魔してしまったのでわないかと少しだけ心配したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う
シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。
当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。
そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。
その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。
勘当された少年と不思議な少女
レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。
理由は外れスキルを持ってるから…
眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。
そんな2人が出会って…
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
戦国鍛冶屋のスローライフ!?
山田村
ファンタジー
延徳元年――織田信長が生まれる45年前。
神様の手違いで、俺は鹿島の佐田村、鍛冶屋の矢五郎の次男として転生した。
生まれた時から、鍛冶の神・天目一箇神の手を授かっていたらしい。
直道、6歳。
近くの道場で、剣友となる朝孝(後の塚原卜伝)と出会う。
その後、小田原へ。
北条家をはじめ、いろんな人と知り合い、
たくさんのものを作った。
仕事? したくない。
でも、趣味と食欲のためなら、
人生、悪くない。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる