たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

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才色兼備で一枚上手④

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 盗んだもう1箱をウキウキで開けようとしていた2人組の冒険者も外の状況に気づき、部屋の窓から自分たちの方に向かってくるブラックベヒーモスを注視していのだった。

「あんなのが、どうして町中にいるんだ?」

「やべっすね、町がぐちゃぐちゃだ」

「ここも安全じゃないな、早く逃げろって猫娘に言って来い」

「兄貴はどうするんです?」

「ちょっと試し切りだ」

「あいつ倒したら昇格できるっすかね?」

「分からんが、高くは売れそうだな」

「そうっすね!」

 ウリトは避難を呼びかけ、ヤナトは窓から飛び出しブラックベヒーモスに立ち向かっていった。

「試し切りには持って来いだ。20万メルクした刀の切れ味存分に味わわせてやる」

 建物の屋根をつたい、ブラックベヒーモスに近づいていく。
 あと数メートルで間合いといったところで、ブラックベヒーモスの鋭い爪のが振りかぶってきた。
 それを受け流し、肉質のやわらかい部位へ一太刀。
 が、ブラックベヒーモスも察したのか太刀筋をズラされ浅くなってしまう。

「はーやってくれるな。その腕切り落とすつもりで切ったが、でかい図体な割には器用じゃねーか。次行くぞぉ」

 先ほどより速い踏み込み。ブラックベヒーモスは男を完全に見失い背後を取られていた。

【身体強化・脚力強化・心眼】

「剣技・霞返し」

 一太刀の間に2つの斬撃を重ね合わせる高等剣技。時間魔法を使用せず剣技のみで限定された空間内の時間を遅らせ太刀の威力と剣速を上げている。

 ブラックベヒーモスが気づいて、振り向こうとした時は既に刀は鞘の中。
 真横真っ二つに切られた上部胴体だけがズルリと反転し後ろを向くが、もう半分は前を向いたまま。
 激しい唸り声も切れ切れになり、

 ズドオオオオン!!

 と真っ二つになった体は轟音を上げて倒れ、息絶えたのだった。

 それを見ていた住人たちから歓声があがり、もう一体も倒してくれとの声も上がる。

「やってやりたいのはやまやまなんだが……」

 もう一体がこっちに向かってくるのが分かり、構えてはみたものの、刀が既に限界に達していた。
 高等剣技に耐えることのできる刀でなければ一太刀で刃がこぼれ、使い物にならなくなってしまう。

「あーーーにーーーきーーー!!」

「おう! 一体は終わった」

「あっちもやっちゃうすかー?」

「もう刀がボロボロだ時間稼ぎもできない」

「俺がいっくす、多分大丈夫っす」

 そういうとウリトも屋根の上まで飛び上がり、ブラックベヒーモスと対峙する。

「おーー凄い勢いっすねーー」

「意外と賢いぞ。先手を取れ」

「了解っす!」

【エネルギー変換、身体強化、鉄拳、剛腕、金剛体】

「っしゃ!」

 気合を入れると全身から蒸気が湧き出て肌が赤くなり体温が上がっている。

 襲い掛かるブラックベヒーモスの懐に潜り、振り下ろされた腕をかわして膝に拳をねじり込む。鈍く破壊される音が響き、片足が崩れ一瞬怯んだ。
 その隙を逃すはずもなく脇腹めがけ気の入った拳を入れる。
 破裂音と共にくの字に曲がった胴体。一振りでブラックベヒーモスが浮くほどの威力だ。
 さらに体勢は崩れ四つん這い状態。
 頭が垂れ、ご丁寧にも角を突き出してくれていたので、両手でつかみ首からねじ切った。
 体は完全に崩れ、ちぎれた頭を掲げると

「とったどーーーーー!!!」

 噴出した鮮血を浴びながらの勝どきをあけたのだが、あまりの返り血で、半分は歓声が半分は悲鳴が沸き起こった。

「おい、他の奴が来る前に角と牙と目は取っておけ」

「おうっす!!」

 とりあえず決着を付けたところに、ギルドの回し者がやってきたのだ。

「君たちが倒したのか!?」

「まぁそうだが」

「2人で!?」

「正確には1対1づつだが」

「見事なもんだな白銀、いやそれ以上か!?」

「そんなんじゃねーよ。串刺しだ」

「これってよ。昇格の評価に入るっすか?」

「特級モンスターを2体、被害の拡大を防いだ十分な評価だと思うぞ。よくやってくれた。俺は報告ため一旦戻るが、後できちんと報告してくれ」

「期待してよさそうだな」

「やったっすね兄貴」

 そんな勝利の余韻にずっと浸っていたいと思うタイミングで、辺りが急に暗くなる。
 太陽そして空を覆い尽くす巨大な影が浮いていた。

「兄貴、あれは無理っす」

「バカいえ、俺に刀が有っても無理だわ」
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