たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

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開演前①

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 一夜明け、今日始まるクレア降臨について考えをまとめていた。

 とにかく派手に。目立ち、度肝を抜く。
 
 今回の演出は注目を集めることにある。
 
 出し惜しみはなし。使える物はなんでも使う。

 そこへハクレイがギルドから国の動きについて新しい情報を仕入れて来てくれる。

 12カ国からなる連合国は一致団結を狙ったのか『連合聖騎士軍』と名乗りを上げていた。
 聖騎士を名乗ることで、神の名の下で戦う正義感的なものを狙ったものらしい。
 
 こちらとしてはあまり関係のないことではあるがそこにフランが割って入ってきた。 

「連合聖騎士軍、なかなかいいの。余らも何か名乗らねば格好がつかんの!」
 
「私たちにも『クレア降臨』があるでしょ」

「それは作戦名じゃ。余らの名ではない」

「わかった。わかった。キャットテールいいでしょ?」

「ちょっとメンバーが違うのじゃ! 余は新しい名を所望するのじゃ」

「なら自分で考えなよ」

「余が考えたら絶対に使うんじゃぞ」

「ちゃーんと考えてよね?」

「ケーナが魔王じゃろ、クレアも魔王じゃろ、余は夜の女王じゃったからな。キングでもいいが、やっぱりクイーンの方がしっくりくるかの?」

「夜の女王?」

「そんな呼ばれ方をされてた頃もあったんじゃ」

「それならクイーン何とか、にするの?」

「焦るでない、美しいおなごが3人もおるからの」

「〇〇三姉妹とか、美しすぎる〇〇とか?」

 良くわからないものより、ありきたりでいい。

「いや、クレアと余とケーナで……プンパイアーじゃ!」

「ん? プンパ? イヤ?」

「プン、パイア、ーじゃ。プンは怒りのプンプンから取ったのじゃ。キュートじゃろ? 本気でクレアがプンプンしたらまずいんじゃがな」

「で、パイアはヴァンパイアから取ったのね」

「余に関係する種族じゃからの!」

「それぞれの特徴を、って私は?」

「『ー』が入っておる!」

「ちょっと待ちなさいよ。何の特徴なのよ」

「ケーナは人族じゃし、良い二つ名もないからの、逆に教えて欲しいのじゃ」

「そうね、可憐なとか優美なとか」

「それを名乗るのは、ちょっと余が恥ずかしいのじゃ」

「なによそれ!?」

「それならばじゃ! ケーナは魔法が凄いからの、マジックプンパイアはどうじゃ?」

「だったらマジカルの方が呼びやすいかな」

「マジカルプンパイアかの? マジカルプンパイア!」

「わっちも気に入ったでありんす」
 
 部屋からリビングへやってきたクレアが、できたばかりのチーム名に1票投じてくる。

 寝巻き姿で頭には寝癖が付いていたので、しっかり睡眠が取れたようで嬉しかった。
 
 空き部屋に案内したときは
「わっちは睡眠など不要でありんす」
と豪語していたが、カスケードで1番の家具屋に作らせた特製のベット一式に、前世の記憶をマインドプロンプトに読み込ませ、シルクを完全再現させ織った寝巻きで奏でる『おやすみセット』の前ではたとえ魔王でも抗えないことを証明できた。

「余もマジカルプンパイアで気に入ったのじゃ」

「マジカルプンパイアか、改めて呼んでみると懐かしい響きのような、気恥ずかしくなるような。まっ、いいか」

 と言うことでフワッと決まった私たち3人の呼び名だった。

◇◇◇
 
 
「売れたぞ!」
 
 ノックもせず、扉を開け家に突入してくるグランジは、興奮し嬉しそうに報告する。

「で、新しい情報ないの?」

 とクールに返すと

「……新しい情報はない」

 褒めて欲しかったのか残念そうだ。

「ハクレイがギルドで情報収集してくれてるから、それ以外で何かあれば教えてね」

「いよいよ憤怒の魔王復活の情報が広まるんだぞ! 冷静すぎないか?」

「これだけで戦争が止まれば1番楽なんだけどね」

「他に情報はないのか? 脅威になるようなことなら尚更いいと思うぞ」

「できれば真実だけを広めたいな。誇張されちゃうかもしれないけど。ねぇクレア、何かない?」

「うーーん……ケーナ、今も人族の信仰対象はアヤフローラでありんすか?」

「ん? 今? 今もアヤフローラだよ」

「変わってないでありんすね」

「実は知り合いだとか? やめてよね」

「知り合い? アハハッ、今の子らは知らんのかや? わっちの娘のアヤでありんす。ちょっと前の人族なら皆知ってたでありんすよ」

私「は?」
フラン「え?」
グランジ「ん?」

 長寿族の悪い癖が出た。
 ちょっと前のことを数百年前を指す事がよくある。
 この件はフランも知らなかったとなると600年以上前の話なのかもしれない。

「おい! 本当なのか? 本当に本当なのか?」

「待ってグランジ。私だってわからないよ」

「余もまだ知らぬ事があるとは……。どちらにせよこの話ここだけにした方が良いと思うのじゃ」

「教会の上層部からも出てこなかった情報よ。もし知っているするなら教皇だけね」

「わっちのことを良く知る者も少なくなったでありんすな」

 冗談のように出てきた情報。
 もしかしたら、クレアが冗談を言ってる可能性もあるので、マインドプロンプトを使い女神アヤフローラと憤怒の魔王クレア・シエヴィスとの関係性を問いただしてみた。

《血縁の親子関係です。母親クレア・シエヴィス 子 四女アヤ・フローラ、旧アヤ・シエヴィス》

(マジかぁ、神様苗字変えてたのか)

 冗談ではなかった。
 
 結局このことは広めないことにした。
 広めようにも証拠がない。仕方ないがお蔵入りの情報となった。

 ただ何も新情報がないのは寂しいので、『憤怒の魔王も睡魔に負ける』と言う、刺激が少なめなことを広めてもらおうということになった。
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