たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

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未来の花嫁④

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「いゃーーー美味かったっぺ」

「追加した肉料理もスパイスが絶妙だったべ」

「最後の麺とスープ、おら感動したさ。注文しといて正解なんさ」

「……魔王はどうしたっぺ? まだ中にいるっぺか?」

「……おら知らねぇべ。一旦出る言ったのはンダサだべ」

「はぁ? それは言ったさ。でも魔王見張るとは言ってないっさ。だったらカッペの席が1番見張りやすい位置なんさ」

「馬鹿言えおめ、麺すするのに下向かねえですすえるわけねえっぺ。前向いてすすったら汁がぺぺぺって飛ぶっぺよ」

 店前でやんややんやと騒ぎ出したところでシュランゲが店から出てきた。

「お前さんたち、こんなところで騒いだら営業妨害だろ。魔王さんなら3人が隣の席の肉料理に気を取られていた時には帰ったぞ」

「上手く隙を突かれたべ」

「さすが魔王だっぺ」

「おらたちがマヌケなんさ」

「お前さんたちが美味いものに目がないのはわかったから、さっさと散るんだな。ここの店主は怖いぞ」

「散れ言われても行くとこなんかないんさ」

「今から空いてる宿探すのも面倒なんべ」

「野宿でもええっぺな」

「そういや、こちらの2人には自己紹介がまだだったな。シュランゲだ、よろしく頼む」

「おらはンダべ」

「カッペだっぺ、よろしくだっぺな」

「おらはンダサなんさ。おら名乗ってなかったさ」

 名前を聞いたシュランゲは過去の記憶を探すように、首を傾げ間をあける。

「……あんたら知ってるぞ、たしか勇者だろ? 20年前? いやもっと前か? 先見の勇者とか言われてたろ?」 

「よく覚えてんだっぺ」

「勝手にもてはやして勝手に失望されたんさ」

「勇者なのに魔王を倒すような力がなかったのは本当だべ」

「今はあの大富豪の金帝と組んでいるという噂は本当なのか?」

「そうだべ」

「魔王の件も金帝が絡んでいるのか?」

「まぁ、そうだが詳しくは言えないんさ」

「金帝が絡んでるなら話は別だ。さっきは悪かった、俺も一枚噛ませてもらえないか? 魔王ケーナの情報なら持ってるぜ」

「シュランゲさんは魔王を守っていたんじゃないだべか?」

「俺が魔王を守る? ハハハッ、面白いこと言うな。逆だ逆、何も知らん奴が無闇に近づくからそいつらを魔王から守ってたんだ」

「なら話が変わってくるっぺ。ちょっと待つっぺな」

 3人が顔を合わせて会議を始めるが長くはかからなかった。
 1日かけても大した情報は得られない。それならここでお金を出して解決できるならそちらの方が効率がいいからだ。

「魔王ケーナに会えるとこまで手伝ってくれたら金貨300枚、後払いでどうだべ?」

「あんたら金帝と組んで金銭感覚おかしくなってないか? 俺はそれでいいけど」

「金貨300枚ぐらい3人が花街代一回我慢すればいいだけなんさ。契約成立なんさ」

「わかった、契約成立だ!」

 かたい握手を交わし、シュランゲが魔王ケーナのところまで案内することになった。

「今後のことを決めたいし今夜の宿でも探すべ」

「なんだ、魔王のところにいかないのか?」

「今からじゃ難しいんさ」

「そだべな」
「そだっぺな」

「そんなことないぞ? ついてこい」

「どこいくんさ?」

「飯屋ならもう腹一杯だっぺ」

「酒なら入るべ」

「飲み食いじゃない。魔王ケーナの仕事ぶりを見に行くのさ」

 3人ともシュランゲの言っていることが理解できなかったが、魔王ケーナの居場所がわかるならとついて行くことにした。



 星明かりのみ夜道はほとんど真っ暗で足元すらよく見えないが、ベテランの冒険者ともなると酒を飲んでいても迷わず進む。

 ついた先は町外れにある円形の闘技場。喧嘩一武闘会などが開かれる場所だ。
 しかし、正面ではなく裏口の方にまわり途中で止まる。

 もう夜中なので辺りも静かだ。

 そこに1人、小さなランプを持った男が闘技場の壁にもたれかかっていた。

 シュランゲがその男に声をかける。

「開けてくれ」

「後ろの3人も入るのか?」

「そうだ」

「信用できるようには見えないぞ?」

「あ、彼らなら大丈夫だ。俺の仕事に関わるからな」

「そうかい、ならいいが……秘密は守れよ」

 男が壁をトントトトントンと軽くノックすると壁の一部が消えて地下への階段が現れたのだった。

「持って行け」

「借りるぞ」

 小さなランプをシュランゲが受け取ると、階段を降り始める。

「3人とも早く来い、置いてくぞ」

「今行くぺっよ」
「行くべ」
「どこさ行くんさこれ」

 まるでダンジョンのように壁に沿って続く長い螺旋階段。
 下の方は真っ暗で何も見えない。

 ランプのわずかな光を頼りに黙々と降りていく。

 しばらく経ってあたりの空気がヒンヤリと感じられるぐらいまで降りた頃、小さなランプを持った男が現れたがその顔に見覚えがある。

「さっきの男だっぺ」
「戻ってきたんべ」
「きっと双子なんさ、髪型がちっと違うんさ」

「彼は双子の兄だよ」

「当たったさ!」

「でも何でこっちにもいるんだべ」

「このランプを預かるためさ。このランプをが正規ルートを通ってきた証明になる」

「照明だけにだっぺ」

 シュランゲが何も言わずランプを男に渡すと、男は遠くに離れていく。

「何してんだっぺ?」

「確認中だ。双子の両方がアイテムボックススキルを取得すると、アイテムボックス内のアイテムを共有できることが稀にある。渡されたランプを返せば、それを入り口のもう一人が受け取るか拒否するかで正規の手順で来たかの証明になるんだ」

「それかなり便利なんさ」

「どこにでもすぐに物を運べるんだっぺな」

「そんな簡単な話じゃない。入れる物の大きさの制限が強くなる弱点があるし、ただでさえレアスキルのアイテムボックスを双子が取得することはかなり大変なことだ」

「そんな人がなんでこんな場所にいるんだべ。王宮に仕えてもおかしくないんだべな」

「きっとこの先がそれだけ凄いところさんさ」

 ランプを持った男が再び近づいてくる。

「……先に進め」

 ランプを持った男が岩の壁をトントントトトンと叩く。すると岩が消えて急に光が差し込んできた。

 岩が消えた先の洞窟の壁や天井が光を発しているのだ。

「かぁー! 眩しいっぺ」
「何だべこりゃ!」
「くっ、目がさ、目がさ!」

「ほら進め」

 シュランゲに促され、光る洞窟を目をシパシパさせながら進むと空気が変わる。
 光る洞窟の出口付近で先導していたシュランゲが振り返り、3人に忠告を言い放った。

「先にいっておくぞ、ここの住人をジロジロ見ない方がいい。あと堂々としてれば向こうからも絡まれることはない」

 この意味を知るのに時間はかからなかった。
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