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未来の花嫁⑤
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洞窟から出ると地下とは思えない大きな空間。壮大な大地と言った方がいい。
光る洞窟のようにとてつもなく高い天井が輝いている。
「おら初めて見たんだべ」
「地面の下にこんな場所があるなんて知らんさ」
「地上は夜なのにここは昼間みたいでたまげたっぺ」
「ここは地底の国ウップウップだ。地上とは色々違うから注意しとけ」
「カスケードじゃここは常識なんだべか?」
「いや極秘だ。領主も全てを把握してるか怪しいぐらいの極秘扱いだ」
「なんでそれをおらたちに教えてたんさ?」
「あんたら一応勇者だしな、勇者になら教えても罪にはならんだろ」
「そんなの屁理屈だっぺ」
「勇者って肩書きは想像以上に便利なもんだぞ、貴族も王族も教会さえ容易に手出しできない存在だからな」
「勇者を害して一銀の得無しってのは、まぁ本当なんだべ」
「魔王に襲われたら勇者に頼らざるを得ないからな。英雄や黒銀の冒険者じゃ無理なこともある」
進む先には地上にあった闘技場と同じような建物が見える。
人のような影も見えるが、遠くからでもその影がでかいのがわかる。
「あいつらは魔人だ。それも上位の魔人だぞ」
「魔力の圧がそこらの魔族とは桁違いなんさ」
「レベル測ってみっペか?」
冗談にしても、笑えない冗談にシュランゲが止めに入る。
「やめとけ! あいつらの強さはギルドが言うところの特級以上になる。そんなことしたら感づかれて殺されても文句は言えないぞ!」
「と、特級!? 冗談だっぺ、冗談!」
「特級モンスターがそこらへんうろうろしてるべか。まるで未開の地だべ」
特級の強さは、討伐に白銀冒険者パーティーが3組以上で対応することをギルドが推奨する強さになっている。
「この先あんなのばっかりなんさ?」
「そうだ。だとしても堂々としてればいい。ここを統治してるのが人族の魔王ケーナである限り、ここの魔人たちはあちらからは手出しできない。それだけ強い契約が効いているからな」
「ここを統治だべか?」
「どうやってここ統治したんさ」
「簡単な話だ。ここの前魔王を倒したんだ」
「魔王が魔王を倒すんだべか?」
「魔王ケーナ強いんさ? それとも前の魔王が弱いんさ?」
「魔王ケーナは平和アピールの飾りだっぺ? 違うんだっぺか?」
「おまえさんたち噂しか知らないんだな。直接見てもらうのが1番いい」
そう言って闘技場の方にどんどん進んでいく。
魔王ケーナの秘密を知ることができると思い、3人はワクワクしていた。
そんな好奇心も闘技場に近づくにつれて薄れることになる。
ズバン!!! ズバン!!! ズドン!!!
と破裂音のような音が聞こえてくる。
ズバン!!! ズドン!!!
それがコロシアムから聞こえてくると分かると、だんだん口数が少なくなっていく。
入り口まで着くとその音は体の芯まで届き、耳を塞ぎたくなるほどになっていた。
「4人だ」
シュランゲがコロシアムの入り口に立つ魔人に声をかける。
何も言わず入り口を譲る魔人。
「入っていいってよ」
「「「お、おう」」」
堂々としてろと言われても、上位の魔人に睨まれれば勇者とは言え慣れてないのでたじろいでしまう。
中に入ってみた光景は、闘技場の中央でシチューを頬張っていた女の子が、自分より何倍も大きい魔族を一方的にビンタをしているだけだった。
外まで聞こえてきていた ズバン!!! という破裂音はビンタをする音。
そして、ビンタを受けよろめき倒れ込みそうなところを蹴り上げる音が ズドン!!! のほうだった。
「あーあ、相変わらず嫌な戦い方してるね。いや、戦いにすらなってないね」
魔人がボロ切れのようになっていくさまを静かに見守る。
今回挑んだ魔人の意識が完全に飛んだところでこの戦いは終わった。
決闘ではあるがケーナは息の根を止めるまではしなかった。
「終わったべか?」
「終わったっぺ」
「終わったんさ」
「魔人に同情しそうになったべ」
「ビンタの音、エグすぎなんさ」
「あの魔人、もう動かねぇっぺ」
「一応これ魔王の座を賭けた決闘だからな。魔人だって人族に魔王の座を奪われて黙っていられるわけない、あーやってときどき魔王ケーナに挑んでるわけだ」
「今まで何人もの魔人と闘ってるんだべか?」
「俺が知っているだけで7回。今日で8回目か」
「そんなに挑まれたら流石の魔王ケーナでも辛いんさ」
「挑む魔人も厳選はしているだろうな。もし魔王ケーナに勝てたらここの魔王になるわけだが、これで引き続きここの統治は魔王ケーナがすることになるな」
「ビンタと蹴りだけで魔人を倒すなんさ、普通でねぇさ」
「ただのお飾りじゃねえんだべ。ありゃ正真正銘の魔王なんだべ」
「見た目の可愛いさに騙されるところだったっぺ」
「お前たちが猫目亭でそそうをしてたら、あのビンタを受けてたかもしれないんだぞ」
「近づかせない意味が分かったんさ」
「でもこれを見ないと理解できないっぺ」
知らずに命拾いをしていたことに安堵する3人。シュランゲがいなければあの魔人のようになっていた可能性を考えると背筋が凍る。
「さてどうすっぺ? トラントさんはこれでも大丈夫だっぺか?」
「一応魔王の運命を見てみるべか? もしかしたら仲良くなれるかもしれねぇべ?」
「そだな嫁にするかどうかはトラントさんが決めればええさ。スキルはそろそろ使えるんさ」
「ここだと分かりにくいが、地上は夜明け前ぐらいだっぺな。胃袋が朝食を欲してるっぺ」
「なら、せーので見るべ」
「わかったさ」
「「「せーの」」」
【運命の先読みの効果を無効化されました】
3人の脳裏によぎったのは、魔王ケーナの未来の運命ではなく、効果の無効化のお知らせだった。
光る洞窟のようにとてつもなく高い天井が輝いている。
「おら初めて見たんだべ」
「地面の下にこんな場所があるなんて知らんさ」
「地上は夜なのにここは昼間みたいでたまげたっぺ」
「ここは地底の国ウップウップだ。地上とは色々違うから注意しとけ」
「カスケードじゃここは常識なんだべか?」
「いや極秘だ。領主も全てを把握してるか怪しいぐらいの極秘扱いだ」
「なんでそれをおらたちに教えてたんさ?」
「あんたら一応勇者だしな、勇者になら教えても罪にはならんだろ」
「そんなの屁理屈だっぺ」
「勇者って肩書きは想像以上に便利なもんだぞ、貴族も王族も教会さえ容易に手出しできない存在だからな」
「勇者を害して一銀の得無しってのは、まぁ本当なんだべ」
「魔王に襲われたら勇者に頼らざるを得ないからな。英雄や黒銀の冒険者じゃ無理なこともある」
進む先には地上にあった闘技場と同じような建物が見える。
人のような影も見えるが、遠くからでもその影がでかいのがわかる。
「あいつらは魔人だ。それも上位の魔人だぞ」
「魔力の圧がそこらの魔族とは桁違いなんさ」
「レベル測ってみっペか?」
冗談にしても、笑えない冗談にシュランゲが止めに入る。
「やめとけ! あいつらの強さはギルドが言うところの特級以上になる。そんなことしたら感づかれて殺されても文句は言えないぞ!」
「と、特級!? 冗談だっぺ、冗談!」
「特級モンスターがそこらへんうろうろしてるべか。まるで未開の地だべ」
特級の強さは、討伐に白銀冒険者パーティーが3組以上で対応することをギルドが推奨する強さになっている。
「この先あんなのばっかりなんさ?」
「そうだ。だとしても堂々としてればいい。ここを統治してるのが人族の魔王ケーナである限り、ここの魔人たちはあちらからは手出しできない。それだけ強い契約が効いているからな」
「ここを統治だべか?」
「どうやってここ統治したんさ」
「簡単な話だ。ここの前魔王を倒したんだ」
「魔王が魔王を倒すんだべか?」
「魔王ケーナ強いんさ? それとも前の魔王が弱いんさ?」
「魔王ケーナは平和アピールの飾りだっぺ? 違うんだっぺか?」
「おまえさんたち噂しか知らないんだな。直接見てもらうのが1番いい」
そう言って闘技場の方にどんどん進んでいく。
魔王ケーナの秘密を知ることができると思い、3人はワクワクしていた。
そんな好奇心も闘技場に近づくにつれて薄れることになる。
ズバン!!! ズバン!!! ズドン!!!
と破裂音のような音が聞こえてくる。
ズバン!!! ズドン!!!
それがコロシアムから聞こえてくると分かると、だんだん口数が少なくなっていく。
入り口まで着くとその音は体の芯まで届き、耳を塞ぎたくなるほどになっていた。
「4人だ」
シュランゲがコロシアムの入り口に立つ魔人に声をかける。
何も言わず入り口を譲る魔人。
「入っていいってよ」
「「「お、おう」」」
堂々としてろと言われても、上位の魔人に睨まれれば勇者とは言え慣れてないのでたじろいでしまう。
中に入ってみた光景は、闘技場の中央でシチューを頬張っていた女の子が、自分より何倍も大きい魔族を一方的にビンタをしているだけだった。
外まで聞こえてきていた ズバン!!! という破裂音はビンタをする音。
そして、ビンタを受けよろめき倒れ込みそうなところを蹴り上げる音が ズドン!!! のほうだった。
「あーあ、相変わらず嫌な戦い方してるね。いや、戦いにすらなってないね」
魔人がボロ切れのようになっていくさまを静かに見守る。
今回挑んだ魔人の意識が完全に飛んだところでこの戦いは終わった。
決闘ではあるがケーナは息の根を止めるまではしなかった。
「終わったべか?」
「終わったっぺ」
「終わったんさ」
「魔人に同情しそうになったべ」
「ビンタの音、エグすぎなんさ」
「あの魔人、もう動かねぇっぺ」
「一応これ魔王の座を賭けた決闘だからな。魔人だって人族に魔王の座を奪われて黙っていられるわけない、あーやってときどき魔王ケーナに挑んでるわけだ」
「今まで何人もの魔人と闘ってるんだべか?」
「俺が知っているだけで7回。今日で8回目か」
「そんなに挑まれたら流石の魔王ケーナでも辛いんさ」
「挑む魔人も厳選はしているだろうな。もし魔王ケーナに勝てたらここの魔王になるわけだが、これで引き続きここの統治は魔王ケーナがすることになるな」
「ビンタと蹴りだけで魔人を倒すなんさ、普通でねぇさ」
「ただのお飾りじゃねえんだべ。ありゃ正真正銘の魔王なんだべ」
「見た目の可愛いさに騙されるところだったっぺ」
「お前たちが猫目亭でそそうをしてたら、あのビンタを受けてたかもしれないんだぞ」
「近づかせない意味が分かったんさ」
「でもこれを見ないと理解できないっぺ」
知らずに命拾いをしていたことに安堵する3人。シュランゲがいなければあの魔人のようになっていた可能性を考えると背筋が凍る。
「さてどうすっぺ? トラントさんはこれでも大丈夫だっぺか?」
「一応魔王の運命を見てみるべか? もしかしたら仲良くなれるかもしれねぇべ?」
「そだな嫁にするかどうかはトラントさんが決めればええさ。スキルはそろそろ使えるんさ」
「ここだと分かりにくいが、地上は夜明け前ぐらいだっぺな。胃袋が朝食を欲してるっぺ」
「なら、せーので見るべ」
「わかったさ」
「「「せーの」」」
【運命の先読みの効果を無効化されました】
3人の脳裏によぎったのは、魔王ケーナの未来の運命ではなく、効果の無効化のお知らせだった。
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