215 / 221
未来の花嫁⑨
しおりを挟む
◇◇◇
ゴールドラドへの出発当日、家の庭に豪華に飾られた極楽鳥が3頭降りてきていた。極楽鳥が持つ籠まで豪華仕様になっている。
3頭いるのは客室用、荷物用、護衛用と用途別になっているのと財力を見せつけるためだろう。
「薔薇姫さんとそのお連れさんも遠慮せず乗るんさ」
ンダサに案内され、極楽鳥には私に続いてハクレイ、フラン、クレアが乗り込む。
このときに結婚のことを心配してるのはハクレイぐらいで、フランとクレアは旅行気分になっていた。
乗り込むとすぐに飛び立ち、あっという間にカスケードの町が小さくなっていく。
極楽鳥による空の旅と言えば聞こえはいいが、あまり変わり映えのしない景色に思わず漏れる本音。
「ゆったり空の移動も最初はいいけど、飽きるね」
「余はゆったりの方が好きなのじゃ。ケーナの空間転移は便利ではあるが、旅行の移動があっという間じゃ味気ないじゃろ?」
「旅行じゃないんだけどね」
「何事も楽しむことがいいのじゃ」
「それはそうだけど……ハクレイ、膝枕して」
「はい! どうぞ」
「なんじゃ、寝る気か?」
「着いたら起こしてぇ」
「はい、かしこまりました」
ハクレイの膝に頭を乗せ目を閉じると、安心感と抱擁力のせいで本気で寝てしまう。
トントンと肩を叩かれてハクレイに声をかけてもらった時には豪邸の前に来ていた。
聞くところによるとここはゲストハウスでトラントは住んでないらしい。
「今日はここで休んで欲しいんさ。家中の物は自由に使って構わないんさ。気に入ったら持ち帰ってもいいんさ。もし足りない物があればメイドに言えばいいんさ」
「トラントさんには今日会えないの?」
「んーこのまま会いに行くんさ?」
仮にも結婚するかも知れない相手なんだから身綺麗にしろってことだろう。冒険者の装いのままは流石に失礼かもしれない。
「やっぱり明日でいいよ」
「おらもそれがいいと思うんさ」
設備はどれも羨むほどの贅沢で豪華。
皆んなで入った風呂は前世の記憶のスーパー銭湯を呼び起こすほどで、ここに住みたくなる気持ちが湧いてきてしまった。
「金持ち凄い……」
カスケード家も貴族なので一般的な家と比べると豪華ではある。
ただ金が湯水のようにあるわけではないので敷地内にカジノ施設があったり、豪邸のゲストハウスがあるわけではない。
「大浴場といったでありんすか? わっちは気に入ったでありんす」
「余もいいと思うのじゃ。ケーナか結婚したら余も一緒に住むから旦那に善きにはからえと伝えておくのじゃ」
「ちょっと何で結婚することになってるのよ」
「なんじゃ、気に入らんのか? 皆で風呂に入るなどここでしかできんのじゃ」
「ここは気に入ったけど、それとこれとはちがうじゃない」
「ハクレイはどう思っておるのじゃ? 皆で風呂に入るのは嫌か?」
「い、いえ、そのようには思ってません。ハクレイは嬉しいです……」
恥ずかしいのか、のぼせているのかわからないが肩まで肌がピンク色になっている。
「だそうじゃ! ケーナ、今回の戦いは負けても良い。余たちは負けて失うものがないのじゃ」
「私は結婚ちゃうんだけど!」
「もうクレアとしとるじゃろ。ちょっと増えるくらい騒ぐことではないじゃろうに」
「まだ正式な返事はもらってないでありんす」
「クレアみたいにいいなと思ったら即結婚申し込みと違って人族の結婚は簡単じゃないんだよ。ね、ハクレイからも言ってやって!」
「そうですね、人族の結婚は契約に近いかもしれません」
「そう! 縛りみたいのがあるんだよ」
「ハクレイもクレアと同じ縛りのない結婚でいいのでケーナと結婚したいです」
「へぁ? ちょっと! 急に! さきに上がるね」
ザバッと立ち上がり、顔を見られないように出ていく。
「ふー熱いのぉ。余も上がるかのぉ」
「そうでありんすね、わっちも出るでありんす」
「ハクレイは……もうちょっと温まります……」
翌朝はメイドたちだけが忙しくはしりまわっている。
「前にも似たことがあった気が……」
私によってたかってドレスを選び、髪を結って、化粧をし、いつもの冒険者スタイルとは違い、まるでどこかのお姫様だ。
今回は私だけじゃなくて、フランやハクレイもおめかし対象だ。クレアだけは魔法で自前の真っ赤なドレスで着飾り済ませてしまっている。
「お召し替えさせていただき、ありがとうございました。眼福でございました」
「この仕事をしていて久しぶりに昂りました」
「是非、奥方様になられましたらまた担当させてください」
お礼をするのはこちらなのに、メイドたちが感謝を伝え部屋を出ていく。
入れ違いになるように勇者のンダサが部屋へきてトラントへの案内をしてくれる。
「いやー驚いたんさ。ケーナ様はもちろんのこと、お連れの方々もお綺麗なんさ」
「何を今さらじゃ。余たちは生まれつき美しいのじゃ」
「ささっ、外に竜車を待たせてるんさ。本邸までお連れするんさ」
煌びやかな竜車に揺られて進むと窓から真っ白な城が見えてくるが正面の門には人だかりができていた。
人だかりを探索スキルで調べると、ほとんどが平民の方々。「結婚反対!」「成金帝は結婚詐欺師」などなど、まだ決まってもない結婚に対する批判活動が起こっていた。
もし貴族や王族相手に批判活動などした場合、その場で打首でも文句は言えないがトラントには爵位がない。
ここで騒いだところで捕まりはしても、殺されはしないと分かっているのだろう。
城をぐるりと回って裏門から入ることとなり、平謝りされた。
ゴールドラドへの出発当日、家の庭に豪華に飾られた極楽鳥が3頭降りてきていた。極楽鳥が持つ籠まで豪華仕様になっている。
3頭いるのは客室用、荷物用、護衛用と用途別になっているのと財力を見せつけるためだろう。
「薔薇姫さんとそのお連れさんも遠慮せず乗るんさ」
ンダサに案内され、極楽鳥には私に続いてハクレイ、フラン、クレアが乗り込む。
このときに結婚のことを心配してるのはハクレイぐらいで、フランとクレアは旅行気分になっていた。
乗り込むとすぐに飛び立ち、あっという間にカスケードの町が小さくなっていく。
極楽鳥による空の旅と言えば聞こえはいいが、あまり変わり映えのしない景色に思わず漏れる本音。
「ゆったり空の移動も最初はいいけど、飽きるね」
「余はゆったりの方が好きなのじゃ。ケーナの空間転移は便利ではあるが、旅行の移動があっという間じゃ味気ないじゃろ?」
「旅行じゃないんだけどね」
「何事も楽しむことがいいのじゃ」
「それはそうだけど……ハクレイ、膝枕して」
「はい! どうぞ」
「なんじゃ、寝る気か?」
「着いたら起こしてぇ」
「はい、かしこまりました」
ハクレイの膝に頭を乗せ目を閉じると、安心感と抱擁力のせいで本気で寝てしまう。
トントンと肩を叩かれてハクレイに声をかけてもらった時には豪邸の前に来ていた。
聞くところによるとここはゲストハウスでトラントは住んでないらしい。
「今日はここで休んで欲しいんさ。家中の物は自由に使って構わないんさ。気に入ったら持ち帰ってもいいんさ。もし足りない物があればメイドに言えばいいんさ」
「トラントさんには今日会えないの?」
「んーこのまま会いに行くんさ?」
仮にも結婚するかも知れない相手なんだから身綺麗にしろってことだろう。冒険者の装いのままは流石に失礼かもしれない。
「やっぱり明日でいいよ」
「おらもそれがいいと思うんさ」
設備はどれも羨むほどの贅沢で豪華。
皆んなで入った風呂は前世の記憶のスーパー銭湯を呼び起こすほどで、ここに住みたくなる気持ちが湧いてきてしまった。
「金持ち凄い……」
カスケード家も貴族なので一般的な家と比べると豪華ではある。
ただ金が湯水のようにあるわけではないので敷地内にカジノ施設があったり、豪邸のゲストハウスがあるわけではない。
「大浴場といったでありんすか? わっちは気に入ったでありんす」
「余もいいと思うのじゃ。ケーナか結婚したら余も一緒に住むから旦那に善きにはからえと伝えておくのじゃ」
「ちょっと何で結婚することになってるのよ」
「なんじゃ、気に入らんのか? 皆で風呂に入るなどここでしかできんのじゃ」
「ここは気に入ったけど、それとこれとはちがうじゃない」
「ハクレイはどう思っておるのじゃ? 皆で風呂に入るのは嫌か?」
「い、いえ、そのようには思ってません。ハクレイは嬉しいです……」
恥ずかしいのか、のぼせているのかわからないが肩まで肌がピンク色になっている。
「だそうじゃ! ケーナ、今回の戦いは負けても良い。余たちは負けて失うものがないのじゃ」
「私は結婚ちゃうんだけど!」
「もうクレアとしとるじゃろ。ちょっと増えるくらい騒ぐことではないじゃろうに」
「まだ正式な返事はもらってないでありんす」
「クレアみたいにいいなと思ったら即結婚申し込みと違って人族の結婚は簡単じゃないんだよ。ね、ハクレイからも言ってやって!」
「そうですね、人族の結婚は契約に近いかもしれません」
「そう! 縛りみたいのがあるんだよ」
「ハクレイもクレアと同じ縛りのない結婚でいいのでケーナと結婚したいです」
「へぁ? ちょっと! 急に! さきに上がるね」
ザバッと立ち上がり、顔を見られないように出ていく。
「ふー熱いのぉ。余も上がるかのぉ」
「そうでありんすね、わっちも出るでありんす」
「ハクレイは……もうちょっと温まります……」
翌朝はメイドたちだけが忙しくはしりまわっている。
「前にも似たことがあった気が……」
私によってたかってドレスを選び、髪を結って、化粧をし、いつもの冒険者スタイルとは違い、まるでどこかのお姫様だ。
今回は私だけじゃなくて、フランやハクレイもおめかし対象だ。クレアだけは魔法で自前の真っ赤なドレスで着飾り済ませてしまっている。
「お召し替えさせていただき、ありがとうございました。眼福でございました」
「この仕事をしていて久しぶりに昂りました」
「是非、奥方様になられましたらまた担当させてください」
お礼をするのはこちらなのに、メイドたちが感謝を伝え部屋を出ていく。
入れ違いになるように勇者のンダサが部屋へきてトラントへの案内をしてくれる。
「いやー驚いたんさ。ケーナ様はもちろんのこと、お連れの方々もお綺麗なんさ」
「何を今さらじゃ。余たちは生まれつき美しいのじゃ」
「ささっ、外に竜車を待たせてるんさ。本邸までお連れするんさ」
煌びやかな竜車に揺られて進むと窓から真っ白な城が見えてくるが正面の門には人だかりができていた。
人だかりを探索スキルで調べると、ほとんどが平民の方々。「結婚反対!」「成金帝は結婚詐欺師」などなど、まだ決まってもない結婚に対する批判活動が起こっていた。
もし貴族や王族相手に批判活動などした場合、その場で打首でも文句は言えないがトラントには爵位がない。
ここで騒いだところで捕まりはしても、殺されはしないと分かっているのだろう。
城をぐるりと回って裏門から入ることとなり、平謝りされた。
21
あなたにおすすめの小説
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
イジメられっ子世に憚る。
satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた
アイイロモンペ
ファンタジー
2020.9.6.完結いたしました。
2020.9.28. 追補を入れました。
2021.4. 2. 追補を追加しました。
人が精霊と袂を分かった世界。
魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。
幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。
ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。
人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。
そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。
オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!
よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる