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未来の花嫁⑬
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◇
「一瞬じゃの!」
「少しでも目を離したらわからんでありんすな」
「空間転移魔法にこんな使い方があるなんて知らなかったです」
感心する面々をよそにケーナは汗でビッショリになっていた。
「はぁーー危なかった! なんでわかるのよ! 魔女の不在証明スキルで完全に気配消してたのに」
「ケーナをここまで追い込むとは、専属メイドとやらは相当な実力の持ち主じゃの」
「何? ラルンテのこと知ってるの? ラルンテはスキルも魔法も持っていないわよ」
「それはそれで興味深いでありんすな。スキルや魔法の類と違うのかもしれないでありんすね」
「そんなことはいいから、どうだった勝てた? エーナが記憶の共有拒んで教えてくれなかったから」
「エーナお嬢様の勝ちですよ。ハクレイはほっとしてます……」
「やるじゃない! 作戦通りね」
「魂を変えて因果を曲げたのでありんすな」
「まっ、そゆこと」
「運命を曲げる方法とは怖いものじゃ」
「純粋に勝負すればいいのに余計な事するからよ」
「純粋に勝負しても勝てんから余計な事したのじゃろうよ」
後から勝負の一部始終をハクレイから教えてもらい、指輪のことも教えてもらった。
「ところで、エーナとはどういう関係なのじゃ?」
「んーーー、今となって考えてみるとお互いに命の恩人ってかんじかな」
「それと、容姿が同じなのは関係あるのでありんすか?」
(まぁ3人になら話してもいいか)
「えっとね、エーナの体が死んでエーナの体に私の魂が入ったんだけど、エーナの魂が抜ける前に体を完全蘇生させたんだよね。その結果エーナの体に私とエーナの魂が一緒にいる状態になったんだけど、エーナの複製体をスキルで作ったときにエーナの魂がその複製体に移ったんだよ。その時は私はまだエーナの魂の存在に気付いてなかったんだけどね。それでなんやかんやあって今って感じ」
「詳しく聞かせてほしいところはところところあるのじゃが、大体わかったのじゃ」
「容姿が同じなのは複製体ってことだったでありんすな」
「そゆこと」
「ハクレイもケーナに教えてほいしいことがあります」
ハクレイが視線を逸らさず私をまっすぐ見つめてくる。
「何?急に改まって」
「ケーナの魂が男ということはどのようなことなのでしょうか?」
「エーナが最後に言っておったのじゃ」
「意味深でありんしたね」
記憶の共有をしなかった理由はこれのためか。
「あのーね、それは、そのままの意味かな。あ、でも女としての自覚もあるからね。私も詳しくは知らないからね」
「間違いではないと言うことですか?」
「前世の記憶みたいなものだよ」
「前世?」
「んー魂がまだ違う体にいた時の記憶っていえばわかるかな? 前は男の体にいたからそのなごりなのかもね」
「それは、ケーナは女性を好きになるということもあるのでしょうか?」
今日のハクレイは質問攻めをしてくる。
「それは……ある」
「お風呂でした結婚の話、ケーナのお返事がききたいです」
やっぱりはあれはぐらかせないかぁ。
薄々そうじゃないかなぁーとは思ってたけど。
「結婚、したい?」
「したいです!」
「いいの? 魔王って呼ばれてるし……」
「関係ありません。ケーナと結婚したいです。残りの人生はケーナと一緒にいたいです。結婚してないとケーナはハクレイのこと遠ざけそうです」
ここまで読まれるってことは、それくらい私のこと考えてるってことかな。
私を追い詰めるのはいつも味方しかいない。
「わかった。今すぐにってわけにはいかないけど、結婚するにしろ候補者は何人かいるし、1人1人結婚式あげるわけにもいかないから合同でやろうよ」
「候補者達の同意後ですね」
「そうなるね」
「分かりました! ハクレイは嬉しいです!!」
涙目になるほどの事じゃないだろうに、そんなに嬉しいとこっちまでつられちゃうよ。
「よかったのぉハクレイ、よしよししてやるのじゃ」
「わっちもよしよししてやるでありんす」
「ありがとうございますっ」
2人によしよしされるほどの仲になってるなんて知らなかったよ。
「ケーナは鈍感じゃからハクレイが可哀想じゃったわ」
「わっちの言った通り、目を見てしっかり伝えれば伝わったでありんすね」
「はい!」
ちょっと疎外感を感じるのは気のせいかな。
気のせいであって欲しい。
「正妻が決まったところで、あとはわっちらでありんすな。わっちは側室枠でもかまわんでありんす」
「余は愛人枠でいいのじゃ。魔王なら1人や2人愛人がいて当然じゃからな」
「分かってないわね。漢の部分がそんなの許すわけないでしょ」
「何じゃオトコの部分とは。そんなもの付いとらんじゃろ」
「まるで一物がついてるような言い回しじゃない」
「ついてないけど、心の持ちようってこと! 私と結婚するなら全員正妻だよ。付かず離れずみたいなのはなし」
「わっちを正妻にするでありんすか?」
「余を正妻がじゃ……と……!?」
背筋が凍るような悪寒が一瞬走った気もするが、一度言った以上二言はない。
「そうだよ、全員正妻。私女だし、ハーレムってことにはならないから大丈夫だよ」
男ならややこしくなるけど、女なら大丈夫だと思いたい。
「ケーナが言うのなら、わっちは構わないでありんす」
「余もじゃ」
「皆んなよろしくねっ!」
家で一緒に過ごしている面々には同意がとれた。
「あと式をあげるなら話をする面々は、ミーニャとテッテとオリミラとルオーシアル姫かぁ。内緒にできないし……会いに行くかぁ」
「急がんでもよいではないでありすか?」
「式はすぐに必要かということじゃ」
「そう? ハクレイはどうしたい?」
「言質いただきましたので式はいつでも構いません」
「なんか焦ってたの私だけかー」
結婚をするのが目的で式はあまり重要ではないようで、もしするのであるなら花嫁たちをそろえて盛大に行うことになりそうな予感がする。
テッテが文句を言いそうだな。
オリミラが独り占めしようとするかな。
姫は暴れだすかもしれないな。
ある程度混乱を想定して根回しをしていかないと丸くおさまる気配がしないので、少しづつ未来の花嫁候補たちのことも考えないといけないとひしひしと感じたのだった。
「一瞬じゃの!」
「少しでも目を離したらわからんでありんすな」
「空間転移魔法にこんな使い方があるなんて知らなかったです」
感心する面々をよそにケーナは汗でビッショリになっていた。
「はぁーー危なかった! なんでわかるのよ! 魔女の不在証明スキルで完全に気配消してたのに」
「ケーナをここまで追い込むとは、専属メイドとやらは相当な実力の持ち主じゃの」
「何? ラルンテのこと知ってるの? ラルンテはスキルも魔法も持っていないわよ」
「それはそれで興味深いでありんすな。スキルや魔法の類と違うのかもしれないでありんすね」
「そんなことはいいから、どうだった勝てた? エーナが記憶の共有拒んで教えてくれなかったから」
「エーナお嬢様の勝ちですよ。ハクレイはほっとしてます……」
「やるじゃない! 作戦通りね」
「魂を変えて因果を曲げたのでありんすな」
「まっ、そゆこと」
「運命を曲げる方法とは怖いものじゃ」
「純粋に勝負すればいいのに余計な事するからよ」
「純粋に勝負しても勝てんから余計な事したのじゃろうよ」
後から勝負の一部始終をハクレイから教えてもらい、指輪のことも教えてもらった。
「ところで、エーナとはどういう関係なのじゃ?」
「んーーー、今となって考えてみるとお互いに命の恩人ってかんじかな」
「それと、容姿が同じなのは関係あるのでありんすか?」
(まぁ3人になら話してもいいか)
「えっとね、エーナの体が死んでエーナの体に私の魂が入ったんだけど、エーナの魂が抜ける前に体を完全蘇生させたんだよね。その結果エーナの体に私とエーナの魂が一緒にいる状態になったんだけど、エーナの複製体をスキルで作ったときにエーナの魂がその複製体に移ったんだよ。その時は私はまだエーナの魂の存在に気付いてなかったんだけどね。それでなんやかんやあって今って感じ」
「詳しく聞かせてほしいところはところところあるのじゃが、大体わかったのじゃ」
「容姿が同じなのは複製体ってことだったでありんすな」
「そゆこと」
「ハクレイもケーナに教えてほいしいことがあります」
ハクレイが視線を逸らさず私をまっすぐ見つめてくる。
「何?急に改まって」
「ケーナの魂が男ということはどのようなことなのでしょうか?」
「エーナが最後に言っておったのじゃ」
「意味深でありんしたね」
記憶の共有をしなかった理由はこれのためか。
「あのーね、それは、そのままの意味かな。あ、でも女としての自覚もあるからね。私も詳しくは知らないからね」
「間違いではないと言うことですか?」
「前世の記憶みたいなものだよ」
「前世?」
「んー魂がまだ違う体にいた時の記憶っていえばわかるかな? 前は男の体にいたからそのなごりなのかもね」
「それは、ケーナは女性を好きになるということもあるのでしょうか?」
今日のハクレイは質問攻めをしてくる。
「それは……ある」
「お風呂でした結婚の話、ケーナのお返事がききたいです」
やっぱりはあれはぐらかせないかぁ。
薄々そうじゃないかなぁーとは思ってたけど。
「結婚、したい?」
「したいです!」
「いいの? 魔王って呼ばれてるし……」
「関係ありません。ケーナと結婚したいです。残りの人生はケーナと一緒にいたいです。結婚してないとケーナはハクレイのこと遠ざけそうです」
ここまで読まれるってことは、それくらい私のこと考えてるってことかな。
私を追い詰めるのはいつも味方しかいない。
「わかった。今すぐにってわけにはいかないけど、結婚するにしろ候補者は何人かいるし、1人1人結婚式あげるわけにもいかないから合同でやろうよ」
「候補者達の同意後ですね」
「そうなるね」
「分かりました! ハクレイは嬉しいです!!」
涙目になるほどの事じゃないだろうに、そんなに嬉しいとこっちまでつられちゃうよ。
「よかったのぉハクレイ、よしよししてやるのじゃ」
「わっちもよしよししてやるでありんす」
「ありがとうございますっ」
2人によしよしされるほどの仲になってるなんて知らなかったよ。
「ケーナは鈍感じゃからハクレイが可哀想じゃったわ」
「わっちの言った通り、目を見てしっかり伝えれば伝わったでありんすね」
「はい!」
ちょっと疎外感を感じるのは気のせいかな。
気のせいであって欲しい。
「正妻が決まったところで、あとはわっちらでありんすな。わっちは側室枠でもかまわんでありんす」
「余は愛人枠でいいのじゃ。魔王なら1人や2人愛人がいて当然じゃからな」
「分かってないわね。漢の部分がそんなの許すわけないでしょ」
「何じゃオトコの部分とは。そんなもの付いとらんじゃろ」
「まるで一物がついてるような言い回しじゃない」
「ついてないけど、心の持ちようってこと! 私と結婚するなら全員正妻だよ。付かず離れずみたいなのはなし」
「わっちを正妻にするでありんすか?」
「余を正妻がじゃ……と……!?」
背筋が凍るような悪寒が一瞬走った気もするが、一度言った以上二言はない。
「そうだよ、全員正妻。私女だし、ハーレムってことにはならないから大丈夫だよ」
男ならややこしくなるけど、女なら大丈夫だと思いたい。
「ケーナが言うのなら、わっちは構わないでありんす」
「余もじゃ」
「皆んなよろしくねっ!」
家で一緒に過ごしている面々には同意がとれた。
「あと式をあげるなら話をする面々は、ミーニャとテッテとオリミラとルオーシアル姫かぁ。内緒にできないし……会いに行くかぁ」
「急がんでもよいではないでありすか?」
「式はすぐに必要かということじゃ」
「そう? ハクレイはどうしたい?」
「言質いただきましたので式はいつでも構いません」
「なんか焦ってたの私だけかー」
結婚をするのが目的で式はあまり重要ではないようで、もしするのであるなら花嫁たちをそろえて盛大に行うことになりそうな予感がする。
テッテが文句を言いそうだな。
オリミラが独り占めしようとするかな。
姫は暴れだすかもしれないな。
ある程度混乱を想定して根回しをしていかないと丸くおさまる気配がしないので、少しづつ未来の花嫁候補たちのことも考えないといけないとひしひしと感じたのだった。
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