遺された日記【完】

静月 

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7〜9ページ目

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7ページ目∶
魔物に片手を食べられた
 すぐに直したけどさっきからずっと回復ばかりで魔力も残りわずか
 一人じゃなければこんなことにはならなかった
 
 探しても見つからない 見捨てられた このまマシヌ

 ミステナイデ ミステナイデ ミステナイデ ミステナイデ

 タスケテ タスケテ タスケテ タスケテ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ
(このページだけ血で書かれていた、きっと傷付いた僧侶のものだろう)
《6ページ目の血が滲んだのか下半分が血に染まっている》

◇◇ ◇◇
8ページ目∶
 あれからどれだけ時間が経っただろう
 私は気がいつの間にか気を失って気づいたらどこかのテントの中で目が覚めた
 入口を開けるとそこには戦士と狩人、いや、偽物が座っていた
 でてきた私に安心したようにほほ笑みを浮かべていたが、あれもきっとニセモノだ
 顔が明らかにしおれ気味だったし、笑ていたその笑みも少し狂ったようで、本物のような暖かさはなかった
 もし落とされたときに擬態を見ていなかったらきっとアイツラのことを信じてしまっただろう
 でも、どうしてか逃げるときに見た少しせつなそうな顔がどうしても忘れることが出来ない
 もしかしたら心の何処かで疑いきれていないのかもしれない
 たしかに私を匿ってくれていたことは確かで、擬態が解けたのも見たわけではない
 本物だったのか、私は戦士たちを偽物と決めつけて?
 いや、そんなことはありえない。きっと食べるために保存していただけなのだ
 そうに違いない
 アイツラは偽物、騙されてはいけない。そう、偽物だ
 偽物がずっと後ろを追いかけてきたから私は闇雲に走った
 今では自分がどこにいるのか検討もつかない、初めのところにもどれと言われたらすぐにできないと言うでしょう
 そうして奥まで進んでいくと何故か地形が整われた洞窟に見合わない部屋を見つけた
 気になって入ってみるとそこには鉄の棒で囲われた牢屋がたくさん立ち並んでいた
 中にはゾンビが入っていたり骨が入っていたり、扉が無理やりこじ開けられた牢屋もあった
 しかしそれ以外には何もなく、お腹が空きすぎてゾンビの肉を食べてしまった
 今のところは特に腹痛に苦しんでいることはないが、なにか自分のいまおかれている状況がどうでも良くなってきた
 どうしてこんな洞窟の中に牢屋があるのかは分からない、けどそれは私にとってどうでもいいこと
 元はと言えばダンジョンは楽しむために来たのだ、せっかく来たのに楽しまないのは勿体ない

 探索を続けないと

◇◇ ◇◇

9ページ目∶
あの部屋から出ると洞窟の地形は少し変わっていて定期的に左右上下に歪むのだ
 なにかのからくりが作動していたのかもしれない。でも楽しいからそれすら気にならない
 そんな中勘だけを頼りに進んでいくととても美しい、温泉の湧く開けた部屋にたどり着いた
 光苔の量もかなりあって道中と比べると桁違いに明るく、壁には金色に光る甘い果実がたくさん実っていて砂漠のオアシスのような印象だ
 そして、ここには本物の仲間たちがいた、皆私に気付いた瞬間駆け寄ってきて抱きしめてくれた
 「よくやった」、「行きてて良かった」とねぎらいの言葉もかけてくれた
 実は、3人は一緒のところに落ちてずっと私を私を探していたらしい
 ずっと見つからず魔物に負傷させられたときにここに辿り着いたそうで、少し休憩している時に丁度私が来たらしい
 アイツラとは違い、皆の顔はいつもと変わらない
 もし誰かがここに迷い込んでちらっと見かけたなら、見ると、その人の目にはきっと4人での泉旅行のように映るでしょう
 神はまだ私達を見捨ててはいなかった。日記もやっと落ち着いた場所で書くこともできた
 まるで夢のよう、許されるならずっとここにいたいがもう十分だ
 すぐにでも地上に出たい。こんな命と隣合わせな場所じゃなく、もっと和気あいあいとしたキラキラな冒険者生活がしたいのだ
 もう少し休憩をしたらここをたつ。4人で協力して絶対に脱出しよう
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