魔王城の面子、僕以外全員ステータスがカンストしている件について

ともQ

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第11話 魔王様と約束する

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 城外にでて驚いた。

「……全然寒くない」

 むしろ、どちらかというと暖かい。
 加護魔法をかけてくれたコットンに改めて心からお礼をする。これなら、体力の続く限りはスキルを行使できそうだ。
 ……だが、闇雲にやっても効果がないことは前回より明白。
 今日はイメージを固めてきている。どんな景色にしたいのかより、どんな光景を僕が見てみたいかということを。
 なんとなく、僕にはそういうイメージの仕方が合っている気がしたからだ。

「寒さの方は問題なさそうですね」

 僕の様子を見てニャンニャが言う。

「全くの無問題です、コットンすごいですよね!」
「えっ? そう、ですね」

 僕の一言にニャンニャが驚いたように目を見開く。

「あれ? 僕なんか変なこと言いました?」 
「……ふふ。いえ、天音さんは個人を敬い賞賛するのですね。確かに、コットンは加護魔法に置いて右にでるものはいません」

 ニャンニャがくすりと微笑し同意する。
 一般的な加護魔法がどの程度のレベルかは不明だが――ニャンニャがここまで言うからにはコットンはかなりの実力者なのだろう。もしかすると、コットン以外の加護魔法であればこの寒さは完全には防ぎきれないのかもしれない。
 僕とニャンニャは前回と同じ場所に立つ。それと今回はもう一人――、

「天音さんの言う通りワンを呼びましたが、なにか意味はあるのですか?」
「大アリですよ。ニャンニャ様の助言に従ってイメージを固めるのに必須なんです」

 ――そんなワンワはというと、少し離れた場所で雪だるまを作っていた。
 ころころと、楽しそうに雪を転がしているワンワも可愛らしいが――僕が見てみたい光景は他にもある。
 その想いを胸に、僕はよぅしと両頬を叩いて気合いを注入し、

「あ。ニャンニャ様、ご褒美のこと忘れてないですよね?」
「魔王の名にかけて約束は守りましょう。雪がやんだ際には――ギューでもハグでもキスでもなんでもしてくださいな」
「えぇっ! キスもいいんですか?!」

 ニャンニャが冗談めかした表情で笑いながら、

「ふふふ。やる気がでましたか?」
「バリバリですよっ!」
「残念ながら、キスは冗――」
「魔王の名にかけて約束は破りませんもんねっ!」
「――えっ。は、はい?! ま、魔王の名にかけて」

 ふっ、冗談とは言わせない。
 どうやら、僕をからかって遊んでいたようだがそうは問屋が卸さない。僕の胸中でさらに気合いが火柱を上げるかのごとく渦巻いていた。ギューしてハグしてキスだぞ? もうバーニングだよバーニング。
 ……あとは、この呪いをどうにかするだけ。
 だけ、だけ、か――言葉では簡単に言えても一番難易度高そうなんだけどね。僕はなんとなしに雪が吹雪く空にデバイスを向けてみる。
 ステータスを確認・表示するのと同様、ピコンと画面上に文章が浮き出て――、


呪縛の永久雪獄じゅばくのえいきゅうせつごく
 ・ 六代目の勇者によりかけられた呪い。
 ・ この領域に存在するものはでることは叶わず。


「――呪縛の、永久雪獄?」
「天音さん、この呪いについてなにか知っているのですか?」
「このデバイス、ステータスがメインに確認できるものと思っていたんですけど――それ以外も確認できるみたいです、空に向けてみたら名称がでてきましたね」
「解呪方法が載っていたりはしないのですか?」
「いや、解呪方法までは――あくまで呪いの詳細だけですね」
「……そうですか」
「まあ、載ってなくても関係ありませんよ」

 その一言に、ニャンニャがぱちくりと瞳を瞬かせ、

「この雪は僕がとめてみせる、呪いは僕が必ず解いてみせるから」

 僕は力強く答えた。

「……っ。反則、です」
「反則?」
「……い、いえ。なんでも、ありません。気にせず始めてください」

 ニャンニャが僕から視線を逸らす――心なしか顔が赤かった気がした。
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