連れ去られた先で頼まれたから異世界をプロデュースすることにしました。あっ、別に異世界転生とかしないです。普通に家に帰ります。

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始まりのバレンタイン

ルイちゃんのチョコレート講座! その1

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 前回と同じく水曜日です。今日も学校ではあったが、学校は寝てる間に終わり放課後です。
 あー、よく寝た。寝すぎた。

 やっぱり変な時間に寝てるとダメだな。生活のリズムが狂うよ。おかげで今日はずっと眠かった……。
 おかげで今日は何の授業があったのかもよく覚えてない。ずっと寝てたからね。

 そんなんでいいのかって?

 そりゃあ良くはないが、睡魔には勝てなかったよ。おかげで今はバッチリ目覚めてる。だからいいよね?

 そんな俺は今、駅前のケーキ屋さんに来ています。もちろんケーキを買いにです。
 これからチョコレートを作りに行くのにです。

 お姫様に約束したショートケーキのホールと、お世話になるルイにおばちゃんにと、あとおっちゃん。
 おっちゃん……はたして奴の分は必要だろうか? まあ、買っていこう。いちおう。

 このようにケーキを買い、チョコレートの材料を持ち、いざルイちゃんのチョコレート講座へ!

◇◇◇

 ──はい、そんなわけで!

 第1回。ルイちゃんのチョコレート講座。トリュフチョコを作ろう。が始まりました!
 みんな拍手! パチパチパチ──

 ……ところで、トリュフチョコって何?

 チョコレートってミルクチョコレートと。ブラックチョコレートと。ホワイトチョコレートだけじゃないの?
 トリュフチョコとは? いったい何者なんだい?

「……トリュフチョコって何?」

 何なのかも分からないので、俺の買ってきた材料を確認している幼馴染様に聞いてみた。
 ルイはラフな服装にエプロン姿。なんというか、『エプロン姿とか初めて見た!』って感じです。

「まあ、分からないか。ちょっと待ってろ。えーっと、こういうのだよ」

 ルイは何を思ったのかスマホを操作し、ある画像を見せてきた。綺麗に粉がまぶしてあるチョコが、そこには表示されている。
 これがトリュフチョコというらしい。初めて見た。

「ふーん」

「やる気はあんだよな?」

「──もちろんあります! 一生懸命やらせていただきます!」

 それ以上の感想は特になかったので『ふーん』と答えたところ、予想外にマジな反応が返ってきた。というかさ……昨日までと違くね?
 俺への態度は変わらないが、口調はもう少し優しかったじゃない。あれはまだ距離間をつかめてなかったからなんだね。サービス期間は終わってしまったんだね。

 トリュフチョコが何かは分かったが。もう1つ。ところで……。

 こわい。さっきからルイの隣に置かれている包丁が怖い。その包丁をチョコ作りのどこに使うんすかね。
 まさか俺が失敗する度にそれで……まさかね。まさかね?

「まずはチョコレートを刻むんだけど、その前に。何これ?」

 包丁はチョコ作りに使うと判明し、安堵したのもつかの間。俺が買ってきた材料の1つを手に持っているルイに、昨日と大差ない感じに睨まれた。
 やはりその包丁が火をふくんだろうか……。

 しかし、指定されたものを買ってきた。
 包丁で『えいっ!』ってされるようなしくじりはないはず。
 ルイが手に持っているのは生クリーム。何も不自然なところはない。ちゃんと期限も見て買ってきたし。

「それが何か? 生クリームだろ」

「思いっきりホイップクリームって書いてあるけど」

「……な、生クリームだろ?」

「ちゃんとメール見て買ってきたのか? 分かりやすく脂肪分のパーセントまで書いたよな!」

 脂肪分とはなんだろう。食べられるんだろうか? 最初からできてるヤツじゃダメだったのか?
 はっ──、まさかカロリー的な話か!
 女の子は甘いものが好きだが、太りたくないという矛盾を抱える生き物だし!

「ホイップクリームって……。チョコレートにクリーム塗るわけじゃないんだからな」

「──えっ!? チョコレートに生クリーム塗るんじゃないの?!」

「やってみたら。それ……」

 なんと! チョコに生クリーム塗るわけじゃなかった!
 いやね、画像を見ておかしいとは思ったんだよ。トリュフチョコのどこにも、生クリームなんてないんだもん。

零斗れいと。ダッシュで行って買ってきて。店員に聞いて間違わないようにな」

「今から!? スーパーって駅の向こうじゃん! 遠いよー、コンビニで売ってたりは──」

「──しない。間違えたんだからスーパーまで走れ! 早く行け!」

 生クリームとは、ホイップクリームになってないやつなんだって! みんなも気をつけよう!
 脂肪分はそのまま、中に含まれる脂肪の量だ。パーセントによって風味とか違うらしいよ。動物性と植物性もあるんだって。

 ──なんてまぎらわしい!

 もし買ってきてと頼まれた時に買い間違えると、俺みたいに全力往復ダッシュすることになるよ!
 はぁ……はぁ……死ぬ。まだ、何も始まってないよね?

 生クリームを買いに行って帰ってくるだけで、もう疲れたんだけど……。
 第1回。ルイちゃんのチョコレート講座は続きます。まだ何もしてないからね。
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