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始まりのバレンタイン
ただ、菓子材料を買いに行く。だけだったのに。どうしてこうなった。
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どどどど、──どうしてこうなった?
カカオマスからチョコレートの生成に必要な材料を買い、製菓材料店を出て、帰宅するだけになった俺たち。
諸事情により内面が大変なことになっている俺は、一刻も早く家に帰りたかった。そんで、異世界に逃げ込んで、1日くらい気持ちの整理をしたかったんだ。
それなのに、どうしてこうなった……。
「ナゲットとシェイクだけか? てっきり、セットでも買ってくると思ってたのに」
そう言いながら、俺とは別なレジにて会計していたルイは、大きくもない丸い2人用のテーブル。そのテーブルの俺の正面に座る。
ちなみに、ルイのトレイにはポテトと飲み物が載っている! この情報に特に意味はない!
「夕飯前だからな。お、お前こそ、ポテトだけじゃないか。シェイク以外の飲み物は、一品にカウントしないぞ。このままだと、ナゲットとシェイクで2点の俺の勝ちになるぞ。嫌ならハンバーガーを買ってきなさい」
「なんだそれ。何のルールだよ。ハンバーガーを今から食べる気はないよ。夕方だし、帰ったら夕飯の時間だからな」
「あー、おばちゃん。そういうとこ意外と厳しそうだからな」
「まあ、作ってもらってるわけだからな。連絡なしで食べて帰るわけにはいかないよ。ポテトくらいが限界だな」
ここまで正確には説明してなかったが、俺たちは何故だが、ファストフード店に来ています。店内は帰宅前の学生で混んでおります。以上です。
そんな余裕なかったんだよー。いっぱいいっぱいだったんだよー。今もいっぱいいっぱいだよー。
「別な……隣のテーブルに行ってもいいんだよ? そこ空いてるし広いよ! それに……ほら、このテーブル狭いし!」
「店内全部このテーブルだけど? 広い店内じゃないし、テーブル置くのにはこれがいいんだろ。それに周り見ろよ。学生だらけだぞ? この状況で1人1席は使えないだろ。ほら、早速誰かきたし」
──近い! テーブルが狭いから距離が近い! トレイ同士がぶつかるくらいに近い!
──顔も近い! もっと城みたいに無駄に長いテーブルにしてほしい!
「そ、それにしても、こいつらは早く帰らないで何をやってるんだ? こんなとこでダラダラ。イチャイチャと」
「今日は金曜だからな。急いで帰るヤツばかりじゃない。それに、私たちみたいに電車に乗り遅れたヤツもいるだろ」
そうなんだ。帰りの電車に間に合わなかったんだ。都会と違い、田舎は電車の数がそもそも少ないのよ。
都会のように『電車、行ったな……──もう次の来るの?!』とはならないんだ。
この2月のクソ寒いホームで、次の電車が来るのを待つのが嫌だとルイは言い、駅の横のファストフード店にやって来ました。
1人になりたくても、駅で解散する理由もないし。不自然だし。帰りも同じだし。家は隣だし。
そうだ、家も隣だったーーーー!
また、余計なことを考えてしまった……。どうやっても、ルイと一緒に行動しなくてはならないのか。
何とか誤魔化しつつ、悟られないようにしなくては。
「食べないの? おまえ、さっきから何か変だぞ」
「ぼ、僕が変なのはいつもじゃないか。気にしないでくれ!」
「おい、本当にどうかしたのか。なんか顔赤いぞ? 熱でもあったりするか?」
「──!?」
そう言って身を少し乗りだし、俺の額に手を当ててくるルイ。その手はすでに冷たくなく、体温を感じる。
「熱はないな」
今はなくても、そんなことされたら体温が上がるからやめて! この子はいきなり何すんの!?
あわわわわっ──、だから近いってーー!
「キミはいきなり人目のあるところで何をするんだ! 節度を持って行動しましょう!」
「……なんか変だ。挙動不審すぎる」
「……」
少し勘付かれたが、ルイは某お姫様と違い、名探偵じゃないはず。無言でいれば誤魔化せるはず。
そのためにも黙ってナゲットを食べよう。もぐもぐ。もぐもぐ。
(もぐもぐ……ジーーーーッ)
ルイから意識を逸らすために見た近くの席。
そこには、お付き合いしているのであろう男女がいます。互いに違うとこの制服です。イチャイチャしています。
そのバカップルの女の子が野郎に、『あーん』ってしてあげています。普段なら、『目に毒だから、やめぇや!』そう巻き舌ふうに思うが今は違う。
「零斗、あーん」
あれ羨ましいよな。
俺も『あーん』ってされたい。
こんなところでイチャつきやがって。
あの野郎。頭からシェイクぶっかけてやろうか?
そんなことを考えていたから、ルイに『あーん』ってされたポテトを、違和感なく食べてしまった。
「──?! ごほっ、ごほっ……何すんだ! 何を考えてんの? バカなの? 急にどうしたんだ?!」
「『急にどうしたんだ』はお前だろ。よそよそしいし、挙動もおかしい。この際、カップルを見てるのはいいとしよう。ただ、さっきから何を隠してる。さっさと白状しろ」
なんなのこの子。俺は何て言えばいいのよ? 『実は、お前のことを女として意識しているんだ』って言えばいいの?
──そんなこと間違っても言えるか!
しかし、このままでは逃げきれなくなる。
名探偵ではなくても、付き合いが長いのがよろしくない。
「零斗、あーん」
どどどど、どうすれば……。もぐもぐ!?
「──だからやめて! 恥ずかしいから! 余計に意識しちゃうから!」
あっ、言っちゃった……。
カカオマスからチョコレートの生成に必要な材料を買い、製菓材料店を出て、帰宅するだけになった俺たち。
諸事情により内面が大変なことになっている俺は、一刻も早く家に帰りたかった。そんで、異世界に逃げ込んで、1日くらい気持ちの整理をしたかったんだ。
それなのに、どうしてこうなった……。
「ナゲットとシェイクだけか? てっきり、セットでも買ってくると思ってたのに」
そう言いながら、俺とは別なレジにて会計していたルイは、大きくもない丸い2人用のテーブル。そのテーブルの俺の正面に座る。
ちなみに、ルイのトレイにはポテトと飲み物が載っている! この情報に特に意味はない!
「夕飯前だからな。お、お前こそ、ポテトだけじゃないか。シェイク以外の飲み物は、一品にカウントしないぞ。このままだと、ナゲットとシェイクで2点の俺の勝ちになるぞ。嫌ならハンバーガーを買ってきなさい」
「なんだそれ。何のルールだよ。ハンバーガーを今から食べる気はないよ。夕方だし、帰ったら夕飯の時間だからな」
「あー、おばちゃん。そういうとこ意外と厳しそうだからな」
「まあ、作ってもらってるわけだからな。連絡なしで食べて帰るわけにはいかないよ。ポテトくらいが限界だな」
ここまで正確には説明してなかったが、俺たちは何故だが、ファストフード店に来ています。店内は帰宅前の学生で混んでおります。以上です。
そんな余裕なかったんだよー。いっぱいいっぱいだったんだよー。今もいっぱいいっぱいだよー。
「別な……隣のテーブルに行ってもいいんだよ? そこ空いてるし広いよ! それに……ほら、このテーブル狭いし!」
「店内全部このテーブルだけど? 広い店内じゃないし、テーブル置くのにはこれがいいんだろ。それに周り見ろよ。学生だらけだぞ? この状況で1人1席は使えないだろ。ほら、早速誰かきたし」
──近い! テーブルが狭いから距離が近い! トレイ同士がぶつかるくらいに近い!
──顔も近い! もっと城みたいに無駄に長いテーブルにしてほしい!
「そ、それにしても、こいつらは早く帰らないで何をやってるんだ? こんなとこでダラダラ。イチャイチャと」
「今日は金曜だからな。急いで帰るヤツばかりじゃない。それに、私たちみたいに電車に乗り遅れたヤツもいるだろ」
そうなんだ。帰りの電車に間に合わなかったんだ。都会と違い、田舎は電車の数がそもそも少ないのよ。
都会のように『電車、行ったな……──もう次の来るの?!』とはならないんだ。
この2月のクソ寒いホームで、次の電車が来るのを待つのが嫌だとルイは言い、駅の横のファストフード店にやって来ました。
1人になりたくても、駅で解散する理由もないし。不自然だし。帰りも同じだし。家は隣だし。
そうだ、家も隣だったーーーー!
また、余計なことを考えてしまった……。どうやっても、ルイと一緒に行動しなくてはならないのか。
何とか誤魔化しつつ、悟られないようにしなくては。
「食べないの? おまえ、さっきから何か変だぞ」
「ぼ、僕が変なのはいつもじゃないか。気にしないでくれ!」
「おい、本当にどうかしたのか。なんか顔赤いぞ? 熱でもあったりするか?」
「──!?」
そう言って身を少し乗りだし、俺の額に手を当ててくるルイ。その手はすでに冷たくなく、体温を感じる。
「熱はないな」
今はなくても、そんなことされたら体温が上がるからやめて! この子はいきなり何すんの!?
あわわわわっ──、だから近いってーー!
「キミはいきなり人目のあるところで何をするんだ! 節度を持って行動しましょう!」
「……なんか変だ。挙動不審すぎる」
「……」
少し勘付かれたが、ルイは某お姫様と違い、名探偵じゃないはず。無言でいれば誤魔化せるはず。
そのためにも黙ってナゲットを食べよう。もぐもぐ。もぐもぐ。
(もぐもぐ……ジーーーーッ)
ルイから意識を逸らすために見た近くの席。
そこには、お付き合いしているのであろう男女がいます。互いに違うとこの制服です。イチャイチャしています。
そのバカップルの女の子が野郎に、『あーん』ってしてあげています。普段なら、『目に毒だから、やめぇや!』そう巻き舌ふうに思うが今は違う。
「零斗、あーん」
あれ羨ましいよな。
俺も『あーん』ってされたい。
こんなところでイチャつきやがって。
あの野郎。頭からシェイクぶっかけてやろうか?
そんなことを考えていたから、ルイに『あーん』ってされたポテトを、違和感なく食べてしまった。
「──?! ごほっ、ごほっ……何すんだ! 何を考えてんの? バカなの? 急にどうしたんだ?!」
「『急にどうしたんだ』はお前だろ。よそよそしいし、挙動もおかしい。この際、カップルを見てるのはいいとしよう。ただ、さっきから何を隠してる。さっさと白状しろ」
なんなのこの子。俺は何て言えばいいのよ? 『実は、お前のことを女として意識しているんだ』って言えばいいの?
──そんなこと間違っても言えるか!
しかし、このままでは逃げきれなくなる。
名探偵ではなくても、付き合いが長いのがよろしくない。
「零斗、あーん」
どどどど、どうすれば……。もぐもぐ!?
「──だからやめて! 恥ずかしいから! 余計に意識しちゃうから!」
あっ、言っちゃった……。
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