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きっかけ ⑨
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そして同日の昼休み。
いつもの場所にいくと友人Aだけでなく友人たちが勢揃いしていて、僕は姫川さんへの告白がどういう顛末を迎えたのかを話した。
誰も僕が喋っている間に口を挟むことなく話はスムーズに終わり、聞いた友人たちがそれぞれの思いを口にした。
黒川さんと同じクラスの友人Bは黒川さんにいい印象はないようで、彼らしく厳しくはっきりと否定され。
同クラスの友人Dは言うまでもなく黒川さんにいい印象がないに加え、とても恐ろしいと認識しているようだった。
友人Cは最初からビッチと黒川さんを評価していて酷評だし、友人Aも今朝のことと聞こえてくる黒川さんの噂からいい顔をしなかった。
つまり友人たち全員が黒川さんとの交際に対し、姫川さんに告白すると言った時以上に難色を示した……。
今回は僕が黒川さんに告白するとかではなく、すでに黒川さんから交際を申し込まれていての状態だったからだろう。
ここからの失敗はまずないし、黒川さんと付き合うということのマイナス面を友人たちは気にしてくれたのだと思う。
「一条殿。二次元にとは言わないですが、あの手の女子はやめた方がいいと思います」
「そうだ。姫川さんに告白するのとはわけが違うぞ。姫川さんを高嶺の花と前に言ったけど、あれは高嶺の花とは逆の意味で触れられないものだよ」
友人たちが僕を心配しているのは理解できた。
姫川さんへ告白すると言った時も、告白が成功するわけないからと言った友人たちの気持ちの裏には、僕への心配という気持ちも同じくらいにあっただろうからだ。
だけど、姫川さんに告白すると自分で決めたように、友人たちにどう言われようと決めるのは僕だ。
彼女がほしいから黒川さんの申し出を受け、彼女と付き合うのかどうなのかを決めるのは自分自身なんだ。
ここに友人たちが介入するのは違うと思う僕は、友人たちに姫川さんの時と同様に宣言した。
「僕は黒川さんと付き合おうと思う。彼女がどんな人間でもだ」
「やめとけって。女なんて他にいるだろ」
「いないよ。あんなに積極的に行動してくる女の子は他にいない。僕の頭の中はそんな黒川さんでいっぱいなんだ」
これが「あーしと付き合わない?」と言われたから、彼女がほしいと思う心から生じるものなのかはわからない。
確かなのは僕は何も嘘をついておらず、間違ってもいないということだ。
「一条、悪い噂のある女子と好き好んで付き合うのか? 噂はいずれ消えるかもしれんが、落ちた評価は簡単には戻らないぞ」
「うん、わかってる。ラブレターが姫川さんに届かなかったのが始まりなだけだ。僕に好きな女の子なんていなくて、僕に好意を向けてくれる女の子がいるんだ。利害は一致してる」
「利害……そんなもので交際して関係が続くと思うのか?」
「僕に交際経験なんてないんだからわからないよ。でも、僕にはみんなみたいに彼女ができることはないのはわかる。それにさ、黒川さんは悪い人じゃないよ。絶対に」
黒川さんがどれだけ悪い噂を持っていようと、僕は僕が見た彼女のことしかわからないし知りもしないんだ。
それに誰かが語るその人のことなんて、事実だとしても真実ではないと僕は思う。
関わってみないと人間の本質なんてわかるわけがないんだから。
人間の外から見えている部分は外見だけで、内のことは近しい友人にも家族にだってわからないんだ。
僕は彼女を聞いたものだけで判断して、排除したくなかった。
お付き合いするなら彼女がいいと思った。
「一条、オマエはいいヤツだけどよ。言い出したら聞かないヤツでもあるよな。オレは忠告をした。あとのことは知らん」
「おい、忠告したからいいというわけではないぞ!」
「わかんねぇヤツだな。姫川の時と同じだ。オレたちにできることはやったんだよ。言って聞かないんだから終わりなんだよ」
友人Cは心底呆れたのかこれで屋上から去り、以降一度もこの場所に現れていない。
このあと直ぐに夏休みとなり半日授業だからというだけでなく、僕から連絡しようと友人Cからの返事はない……。
「一条。賛成はできないのは変わらない。でも、意見を変えさせる方法も思いつかない」
「おい、待て!」
友人Aとはクラスが同じだから夏休み中も会話があるが、友人Aは黒川さんのことには一切触れない。
これ以降、友人Aと少し距離が空いたのは間違いない……。
「……」
「お前もか、待てと言うのに!」
友人Dは何も言わずに去ってしまう。
彼にしたら僕に彼女ができるということは自分一人だけが取り残されるということで、この時の友人Dに僕から言える言葉もなかった。
気休めも同情にしか聞こえないし。
「あいつら……」
「いいよ。こんなふうになるとわかってた」
「一条、彼女を作らないとと言ったのは自分だ。あの言葉がなかったらと今さら思っても遅いのはわかるが、失言だったと思うしかない。ひどく責任を感じるよ」
「やめなよ。それじゃあ彼女は彼女になってなかったかもしれないじゃないか」
きっかけと。始まりと。その結果。
彼女を作るために僕は友達たちを失いました……なんて僕は間違っても思わない。
間違っていないのだから恥じることも後悔する必要もない。友人たちが友人でなくなるわけもない。
しかし、これで一人になったのは友人Dではなく僕で、この昼休みの裏でどこかで話が出て広がったのだろう。
僕が姫川さんに告白したという噂はあっという間に広がっていた……。
いつもの場所にいくと友人Aだけでなく友人たちが勢揃いしていて、僕は姫川さんへの告白がどういう顛末を迎えたのかを話した。
誰も僕が喋っている間に口を挟むことなく話はスムーズに終わり、聞いた友人たちがそれぞれの思いを口にした。
黒川さんと同じクラスの友人Bは黒川さんにいい印象はないようで、彼らしく厳しくはっきりと否定され。
同クラスの友人Dは言うまでもなく黒川さんにいい印象がないに加え、とても恐ろしいと認識しているようだった。
友人Cは最初からビッチと黒川さんを評価していて酷評だし、友人Aも今朝のことと聞こえてくる黒川さんの噂からいい顔をしなかった。
つまり友人たち全員が黒川さんとの交際に対し、姫川さんに告白すると言った時以上に難色を示した……。
今回は僕が黒川さんに告白するとかではなく、すでに黒川さんから交際を申し込まれていての状態だったからだろう。
ここからの失敗はまずないし、黒川さんと付き合うということのマイナス面を友人たちは気にしてくれたのだと思う。
「一条殿。二次元にとは言わないですが、あの手の女子はやめた方がいいと思います」
「そうだ。姫川さんに告白するのとはわけが違うぞ。姫川さんを高嶺の花と前に言ったけど、あれは高嶺の花とは逆の意味で触れられないものだよ」
友人たちが僕を心配しているのは理解できた。
姫川さんへ告白すると言った時も、告白が成功するわけないからと言った友人たちの気持ちの裏には、僕への心配という気持ちも同じくらいにあっただろうからだ。
だけど、姫川さんに告白すると自分で決めたように、友人たちにどう言われようと決めるのは僕だ。
彼女がほしいから黒川さんの申し出を受け、彼女と付き合うのかどうなのかを決めるのは自分自身なんだ。
ここに友人たちが介入するのは違うと思う僕は、友人たちに姫川さんの時と同様に宣言した。
「僕は黒川さんと付き合おうと思う。彼女がどんな人間でもだ」
「やめとけって。女なんて他にいるだろ」
「いないよ。あんなに積極的に行動してくる女の子は他にいない。僕の頭の中はそんな黒川さんでいっぱいなんだ」
これが「あーしと付き合わない?」と言われたから、彼女がほしいと思う心から生じるものなのかはわからない。
確かなのは僕は何も嘘をついておらず、間違ってもいないということだ。
「一条、悪い噂のある女子と好き好んで付き合うのか? 噂はいずれ消えるかもしれんが、落ちた評価は簡単には戻らないぞ」
「うん、わかってる。ラブレターが姫川さんに届かなかったのが始まりなだけだ。僕に好きな女の子なんていなくて、僕に好意を向けてくれる女の子がいるんだ。利害は一致してる」
「利害……そんなもので交際して関係が続くと思うのか?」
「僕に交際経験なんてないんだからわからないよ。でも、僕にはみんなみたいに彼女ができることはないのはわかる。それにさ、黒川さんは悪い人じゃないよ。絶対に」
黒川さんがどれだけ悪い噂を持っていようと、僕は僕が見た彼女のことしかわからないし知りもしないんだ。
それに誰かが語るその人のことなんて、事実だとしても真実ではないと僕は思う。
関わってみないと人間の本質なんてわかるわけがないんだから。
人間の外から見えている部分は外見だけで、内のことは近しい友人にも家族にだってわからないんだ。
僕は彼女を聞いたものだけで判断して、排除したくなかった。
お付き合いするなら彼女がいいと思った。
「一条、オマエはいいヤツだけどよ。言い出したら聞かないヤツでもあるよな。オレは忠告をした。あとのことは知らん」
「おい、忠告したからいいというわけではないぞ!」
「わかんねぇヤツだな。姫川の時と同じだ。オレたちにできることはやったんだよ。言って聞かないんだから終わりなんだよ」
友人Cは心底呆れたのかこれで屋上から去り、以降一度もこの場所に現れていない。
このあと直ぐに夏休みとなり半日授業だからというだけでなく、僕から連絡しようと友人Cからの返事はない……。
「一条。賛成はできないのは変わらない。でも、意見を変えさせる方法も思いつかない」
「おい、待て!」
友人Aとはクラスが同じだから夏休み中も会話があるが、友人Aは黒川さんのことには一切触れない。
これ以降、友人Aと少し距離が空いたのは間違いない……。
「……」
「お前もか、待てと言うのに!」
友人Dは何も言わずに去ってしまう。
彼にしたら僕に彼女ができるということは自分一人だけが取り残されるということで、この時の友人Dに僕から言える言葉もなかった。
気休めも同情にしか聞こえないし。
「あいつら……」
「いいよ。こんなふうになるとわかってた」
「一条、彼女を作らないとと言ったのは自分だ。あの言葉がなかったらと今さら思っても遅いのはわかるが、失言だったと思うしかない。ひどく責任を感じるよ」
「やめなよ。それじゃあ彼女は彼女になってなかったかもしれないじゃないか」
きっかけと。始まりと。その結果。
彼女を作るために僕は友達たちを失いました……なんて僕は間違っても思わない。
間違っていないのだから恥じることも後悔する必要もない。友人たちが友人でなくなるわけもない。
しかし、これで一人になったのは友人Dではなく僕で、この昼休みの裏でどこかで話が出て広がったのだろう。
僕が姫川さんに告白したという噂はあっという間に広がっていた……。
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