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天使のホワイトデー
見覚えのある、アレ
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♢8♢
ポンコツ天使がしでかしたことが判明した。
お姫様が贈ったバレンタインチョコを、ゴミと判断して跡形もなくしたのだ。しかも、付属していた手紙は読まずに破り捨てた。
そしてボロッボロになりながらも、わずかに残った元ラッピングの袋を、本人の目の前に持ってきて踏みつけ悪態を吐く。
もう、やりたい放題だね……。
上記のように、勢いと勘違いでできているらしい天使。
しかし、このポンコツ天使を見捨てることは俺にはできない。なんか自分と重なるからだ。
泣いてクローゼットの向こうへと消えてしまったお姫様。天使がやらかしたことも判明したし、天使を別室に隔離したので迎えに行くことにした。
恐る恐るクローゼットを開けて自室を覗き込むが、そこにお姫様の姿はない。
代わりに、何故だか妹が俺の部屋にいる。
「一愛。お姫様はどうした?」
「れーと。一愛は怒らないから、しょーじきにいってごらん?」
「何の話だ? それよりお姫様は──」
正座して俺に背を向けていた妹が、握っていた何かを構えて振り返る。上手いこと俺の首の位置でピタリと停止した、それ。
それ、何か見覚えがあるんだけど……。嫌な思い出もあるんだけど……。
「ルシアちゃんは、どうして泣いてるのかな? おまえは何をやったんだい。しょーじきにいおう」
「違っ──、俺じゃない!」
「──おまえ以外に誰がいるんだ! 何をやったのか正直に言ってみろ。さもないと、こいつを今すぐ振るわなくちゃいけない!」
こいつとは、一愛が手に持っている木刀のことである。
アレ、間違いない。おっちゃんが旅行先で買ってきたやつだ。『中学生かよ』と感想を言うしかない。
あっ! おっちゃんと言うのは、お隣の和菓子屋の、──ってそれどころじゃない!
それの威力は身をもって知っている。
俺はついこないだ、その木刀でボコられたからね……。
「一愛ちゃん。それさ、どうしたんだい?」
「お姉ちゃんに借りてきた。れーとをシメると伝えたら、『ほどほどにしろよ』と言われた。だから、ほどほどにシメる」
ルイーーーー! なんで貸した! ほどほどにとか言ってないで止めてよ!
この妹はやる。目がマジだし、納得するように説明しないとやられる。
「待て、一愛。話を聞いてくれ。頼む。お願い。この通りです。本当にお願いします」
とりあえずでやられてはたまらないので、必死に頼んでみた。若干、妹が引いてるように見えるのは気のせいだろう。
「……わかった。話くらいは聞いてやろう」
だが、俺の必死の思いは伝わったらしい。
助かったーーっ。幼馴染に次いで、妹にも木刀で殴られるとか笑えないからな。はっはっは──……。
一愛が木刀を下ろしたのを確認し、ほっと安堵した時、背後からギィとクローゼットが開く音がした。
どうにか誤解を解く機会を得たのに、それを台無しにする音がした!
「やっぱり、アタシも一緒にいく」
トラブルの原因がクローゼットから出てきやがった。待ってろと伝えてきたのにだ。
お前がいるとメンドくさくなるから、大人しくしててくれと言ってきたのにだ……。
「れーと。何か弁解の言葉はある?」
「一愛ちゃん。キミはきっと、何かとんでもない勘違いをしているよ」
現れた天使を一瞥し、妹は木刀に再び力を込める。
状況が振り出しに戻った。むしろ、よくない勘違いをしている分だけ悪化した。ダメかもしれない。
「二股……いや、三股? ダメなヤツだと思ってはいたが一愛は悲しいよ。これじゃあルシアちゃん泣くわ。ルシアちゃんとお姉ちゃんに代わって、一愛が成敗してやる! そこになおれ!」
「──話を聞いてくれるんじゃないのか!?」
またまた天使のせいで、妹が最悪な勘違い。三股って。
一愛からするとお兄ちゃんは、そんなにモテるくんに見えているというのか。けど、三股って。
「もう貴様と話すことなどない! 黙って成敗されろ。三股最低男!」
「……いや、三股どころか誰ともお付き合いしてない。悲しいがそれが現実だ」
自分で言って、これほど悲しいことがあるだろうか? 涙が出てきそうだよ……。
本当に三股だったら最低だが、その最低ですら俺はない。悲しい現実があるだけだ。
「それもそうだね。じゃあ……──女の子を泣かすようなセクハラをしたんだね! やっぱり成敗。セクハラ最低男!」
一瞬納得したかに思えた一愛は、俺に新たに罪状を追加して、振り上げた木刀を振り下ろす。
自分に真っ直ぐに向かってくるそれを、なんと俺は白刃どりした。俺すごい!
「──話を聞けって!」
普段なら、今ので殴られて死んでいただろう。しかし、今日の俺はひと味違う。
なんか痛い思いをたくさんしてるし、バトルもののようなバトルを生で見たからな。このくらいはな。
「はなせ、そして殴られろ! おうじょうぎわがわるいぞ!」
「天使ちゃん! 妹に私がやりましたと証言して。私がお姫様を泣かせましたと言ってーーっ!」
白刃どりはしたが状況はあまり変わらない。ここは天使に助けを求めるしかない。でないと一愛は木刀を振り回す。
仮に俺が避けたとしても、狭い部屋の中でそんなことされたら、絶対にどこかしらは壊れる。
天使には辛いだろうがやってもらわねば。
「……天使? お姫様の次は天使? 見境なしだな!」
「天使だけど天使も姫だ。そして早く証言してーーっ」
「れーとは姫が好きなの? そんな特殊な趣味なんだ。だから彼女ができないんだね……」
「妹が勝手に納得してるから、──早く証言しろや! お前のせいだぞ、これ!」
兄妹のやり取りに見入っていたらしい天使は、ハッとした顔をしてから、ようやく口を開く。
「そいつにセクハラされました。押し倒されて胸を揉まれました。ルシアを泣かせたのもそいつです」
そう言って俺を指差した。
「!?」
「──やはり貴様が犯人だ! なにが、何もしてないだ。白々しい! ルシアちゃんにも同じことをしたんだな、しねっ!」
天使の嘘(一部本当を含んではいる)に、思わず天使の方を見てしまった。
一愛はその隙に、俺のスネを蹴っ飛ばし、木刀の自由を確保する。
「いてえ! このポンコツ天使、ぎゃぁぁぁぁぁあ────」
結局、妹にも木刀で殴られました。
天使はこの様子を見てニヤニヤしていました。『やってやった!』そんな顔をしていました。
※
「事情はわかりました。れーとはセクハラの犯人だったが、ルシアちゃんを泣かせた犯人ではなかったと。れーと、ごめんね」
「そうだね。もっと早く気づいて欲しかったね。俺じゃないとずっと言ってたしね」
「そんなの信用できません。現にルシアちゃんは泣いていました」
「妹への俺の信用がないのが、そもそもの問題だから仕方ないね」
「そのとおりです」
俺の部屋に今週の週刊誌を勝手に借りにきた一愛は、俺の部屋で1人で泣くお姫様を発見。どうしたのかと尋ねるも、お姫様は泣くばかりで要領を得ない。
仕方ないのでお姫様に質問し、お姫様が頷いた部分だけの情報を頼りに、俺を成敗しようと部屋で待ってたらしい。マンガを読んでね……。
そんな偏った情報だけで木刀を用意し、俺をやるつもりで待っていたことに、これまで以上の恐怖を感じました。
この妹はヤバいです。うっかりやられないようにして生きていきます。
「じゃあ、お名前からお願いします。私は白夜 一愛といいます」
「ミカエラといいます」
「ミカエラさん。ご職業は姫でよろしかったでしょうか?」
──で、再びの事情聴取的作業。お姫様の時もだが、こいつはこれ好きね。
何か、ドラマとかの影響なんだろうか? それとも、実は刑事になりたいとかか?
よくは分からないが、自分で聞かなくても天使のことが分かりそうなので良しとする。
「……職業? アタシは学生よ」
「姫、天使、学生、ギャル、色黒、巨乳……少し盛りすぎじゃないでしょうか?」
「何の話? ちょっと理解ができないんだけど」
「なら結構です。れーと、なんかある?」
何故だか急に事情聴取を俺に振る妹。もう事情聴取ごっこには飽きたのだろうか?
だが、なんかと言われたら気になるところはある。
「学生ってどういうことだ。天使の学校があるのか?」
「そうよ。天使のいろいろを学ぶ学校よ。アタシは今年卒業するわ! やっと地獄が終わるのよ!」
「あれは制服みたいな服じゃなくて、本当に制服だったのか。宿題ってのも納得したわ」
着替える前の天使の格好が何だったのか分かった。だからどうだということでもないが、わかった。
しかし、天使の学校ね。聞いただけでとっても神々しい感じがするね。
でも、通ってる人は地獄だと言っているけどね。
天国にあるのに地獄のようなところか……絶対に行きたくないね。絶対にだ。
異世界転生しようと通いたくないね。その天使の学校だけには。フラグは立たないようにしなくちゃ。
「天使……いや、ミカエラと呼んでもいいか?」
「ミカと呼びなさい。アタシは三股最低男と呼ぶことにするから!」
「わかっ……──ふざけんな! 人前でそんな呼び方したらぶん殴るからな。白夜 零斗だ!」
「わかったわよ。レートと呼ぶことにするわ」
まったく、本当に三股最低男とか呼びやがったら、マジでぶん殴る。
こいつなら殴っても、不思議と心は痛まなそうだ。
「ミカちゃん……なんか、れーとに似てる。ダメなとことか似てるし、他も似てる気がする。一愛が言うんだから間違いないと思う」
「「──誰がこんなやつと!?」」
「ほら、思考のパターンも一緒。やらかすのも一緒。 うわぁ……2人はとってもお似合いだよ」
「「──嬉しくない! こんなやつ無理だから!」」
「こわい。ダメなやつが2人になった……。世界は大丈夫なんだろうか? 天変地異とか起きそうでこわい」
それ、世界規模で恐れるようなことなの? もし俺みたいなのが3人になったりしたら世界は終わるの?
そうなんだとしたら、確かに怖い……。なんて冗談はさておき、最初から言ってるけど改めて聞かないと。
「それで。お姫様は?」
「お姉ちゃんのとこ」
「わざわざ木刀を借りに行ったわけではなかったのか。よかった……」
「木刀を借りるついでに、泣きやまないルシアちゃんを、お姉ちゃんに押し付けてきたんだよ?」
「「…………」」
ポンコツ天使がしでかしたことが判明した。
お姫様が贈ったバレンタインチョコを、ゴミと判断して跡形もなくしたのだ。しかも、付属していた手紙は読まずに破り捨てた。
そしてボロッボロになりながらも、わずかに残った元ラッピングの袋を、本人の目の前に持ってきて踏みつけ悪態を吐く。
もう、やりたい放題だね……。
上記のように、勢いと勘違いでできているらしい天使。
しかし、このポンコツ天使を見捨てることは俺にはできない。なんか自分と重なるからだ。
泣いてクローゼットの向こうへと消えてしまったお姫様。天使がやらかしたことも判明したし、天使を別室に隔離したので迎えに行くことにした。
恐る恐るクローゼットを開けて自室を覗き込むが、そこにお姫様の姿はない。
代わりに、何故だか妹が俺の部屋にいる。
「一愛。お姫様はどうした?」
「れーと。一愛は怒らないから、しょーじきにいってごらん?」
「何の話だ? それよりお姫様は──」
正座して俺に背を向けていた妹が、握っていた何かを構えて振り返る。上手いこと俺の首の位置でピタリと停止した、それ。
それ、何か見覚えがあるんだけど……。嫌な思い出もあるんだけど……。
「ルシアちゃんは、どうして泣いてるのかな? おまえは何をやったんだい。しょーじきにいおう」
「違っ──、俺じゃない!」
「──おまえ以外に誰がいるんだ! 何をやったのか正直に言ってみろ。さもないと、こいつを今すぐ振るわなくちゃいけない!」
こいつとは、一愛が手に持っている木刀のことである。
アレ、間違いない。おっちゃんが旅行先で買ってきたやつだ。『中学生かよ』と感想を言うしかない。
あっ! おっちゃんと言うのは、お隣の和菓子屋の、──ってそれどころじゃない!
それの威力は身をもって知っている。
俺はついこないだ、その木刀でボコられたからね……。
「一愛ちゃん。それさ、どうしたんだい?」
「お姉ちゃんに借りてきた。れーとをシメると伝えたら、『ほどほどにしろよ』と言われた。だから、ほどほどにシメる」
ルイーーーー! なんで貸した! ほどほどにとか言ってないで止めてよ!
この妹はやる。目がマジだし、納得するように説明しないとやられる。
「待て、一愛。話を聞いてくれ。頼む。お願い。この通りです。本当にお願いします」
とりあえずでやられてはたまらないので、必死に頼んでみた。若干、妹が引いてるように見えるのは気のせいだろう。
「……わかった。話くらいは聞いてやろう」
だが、俺の必死の思いは伝わったらしい。
助かったーーっ。幼馴染に次いで、妹にも木刀で殴られるとか笑えないからな。はっはっは──……。
一愛が木刀を下ろしたのを確認し、ほっと安堵した時、背後からギィとクローゼットが開く音がした。
どうにか誤解を解く機会を得たのに、それを台無しにする音がした!
「やっぱり、アタシも一緒にいく」
トラブルの原因がクローゼットから出てきやがった。待ってろと伝えてきたのにだ。
お前がいるとメンドくさくなるから、大人しくしててくれと言ってきたのにだ……。
「れーと。何か弁解の言葉はある?」
「一愛ちゃん。キミはきっと、何かとんでもない勘違いをしているよ」
現れた天使を一瞥し、妹は木刀に再び力を込める。
状況が振り出しに戻った。むしろ、よくない勘違いをしている分だけ悪化した。ダメかもしれない。
「二股……いや、三股? ダメなヤツだと思ってはいたが一愛は悲しいよ。これじゃあルシアちゃん泣くわ。ルシアちゃんとお姉ちゃんに代わって、一愛が成敗してやる! そこになおれ!」
「──話を聞いてくれるんじゃないのか!?」
またまた天使のせいで、妹が最悪な勘違い。三股って。
一愛からするとお兄ちゃんは、そんなにモテるくんに見えているというのか。けど、三股って。
「もう貴様と話すことなどない! 黙って成敗されろ。三股最低男!」
「……いや、三股どころか誰ともお付き合いしてない。悲しいがそれが現実だ」
自分で言って、これほど悲しいことがあるだろうか? 涙が出てきそうだよ……。
本当に三股だったら最低だが、その最低ですら俺はない。悲しい現実があるだけだ。
「それもそうだね。じゃあ……──女の子を泣かすようなセクハラをしたんだね! やっぱり成敗。セクハラ最低男!」
一瞬納得したかに思えた一愛は、俺に新たに罪状を追加して、振り上げた木刀を振り下ろす。
自分に真っ直ぐに向かってくるそれを、なんと俺は白刃どりした。俺すごい!
「──話を聞けって!」
普段なら、今ので殴られて死んでいただろう。しかし、今日の俺はひと味違う。
なんか痛い思いをたくさんしてるし、バトルもののようなバトルを生で見たからな。このくらいはな。
「はなせ、そして殴られろ! おうじょうぎわがわるいぞ!」
「天使ちゃん! 妹に私がやりましたと証言して。私がお姫様を泣かせましたと言ってーーっ!」
白刃どりはしたが状況はあまり変わらない。ここは天使に助けを求めるしかない。でないと一愛は木刀を振り回す。
仮に俺が避けたとしても、狭い部屋の中でそんなことされたら、絶対にどこかしらは壊れる。
天使には辛いだろうがやってもらわねば。
「……天使? お姫様の次は天使? 見境なしだな!」
「天使だけど天使も姫だ。そして早く証言してーーっ」
「れーとは姫が好きなの? そんな特殊な趣味なんだ。だから彼女ができないんだね……」
「妹が勝手に納得してるから、──早く証言しろや! お前のせいだぞ、これ!」
兄妹のやり取りに見入っていたらしい天使は、ハッとした顔をしてから、ようやく口を開く。
「そいつにセクハラされました。押し倒されて胸を揉まれました。ルシアを泣かせたのもそいつです」
そう言って俺を指差した。
「!?」
「──やはり貴様が犯人だ! なにが、何もしてないだ。白々しい! ルシアちゃんにも同じことをしたんだな、しねっ!」
天使の嘘(一部本当を含んではいる)に、思わず天使の方を見てしまった。
一愛はその隙に、俺のスネを蹴っ飛ばし、木刀の自由を確保する。
「いてえ! このポンコツ天使、ぎゃぁぁぁぁぁあ────」
結局、妹にも木刀で殴られました。
天使はこの様子を見てニヤニヤしていました。『やってやった!』そんな顔をしていました。
※
「事情はわかりました。れーとはセクハラの犯人だったが、ルシアちゃんを泣かせた犯人ではなかったと。れーと、ごめんね」
「そうだね。もっと早く気づいて欲しかったね。俺じゃないとずっと言ってたしね」
「そんなの信用できません。現にルシアちゃんは泣いていました」
「妹への俺の信用がないのが、そもそもの問題だから仕方ないね」
「そのとおりです」
俺の部屋に今週の週刊誌を勝手に借りにきた一愛は、俺の部屋で1人で泣くお姫様を発見。どうしたのかと尋ねるも、お姫様は泣くばかりで要領を得ない。
仕方ないのでお姫様に質問し、お姫様が頷いた部分だけの情報を頼りに、俺を成敗しようと部屋で待ってたらしい。マンガを読んでね……。
そんな偏った情報だけで木刀を用意し、俺をやるつもりで待っていたことに、これまで以上の恐怖を感じました。
この妹はヤバいです。うっかりやられないようにして生きていきます。
「じゃあ、お名前からお願いします。私は白夜 一愛といいます」
「ミカエラといいます」
「ミカエラさん。ご職業は姫でよろしかったでしょうか?」
──で、再びの事情聴取的作業。お姫様の時もだが、こいつはこれ好きね。
何か、ドラマとかの影響なんだろうか? それとも、実は刑事になりたいとかか?
よくは分からないが、自分で聞かなくても天使のことが分かりそうなので良しとする。
「……職業? アタシは学生よ」
「姫、天使、学生、ギャル、色黒、巨乳……少し盛りすぎじゃないでしょうか?」
「何の話? ちょっと理解ができないんだけど」
「なら結構です。れーと、なんかある?」
何故だか急に事情聴取を俺に振る妹。もう事情聴取ごっこには飽きたのだろうか?
だが、なんかと言われたら気になるところはある。
「学生ってどういうことだ。天使の学校があるのか?」
「そうよ。天使のいろいろを学ぶ学校よ。アタシは今年卒業するわ! やっと地獄が終わるのよ!」
「あれは制服みたいな服じゃなくて、本当に制服だったのか。宿題ってのも納得したわ」
着替える前の天使の格好が何だったのか分かった。だからどうだということでもないが、わかった。
しかし、天使の学校ね。聞いただけでとっても神々しい感じがするね。
でも、通ってる人は地獄だと言っているけどね。
天国にあるのに地獄のようなところか……絶対に行きたくないね。絶対にだ。
異世界転生しようと通いたくないね。その天使の学校だけには。フラグは立たないようにしなくちゃ。
「天使……いや、ミカエラと呼んでもいいか?」
「ミカと呼びなさい。アタシは三股最低男と呼ぶことにするから!」
「わかっ……──ふざけんな! 人前でそんな呼び方したらぶん殴るからな。白夜 零斗だ!」
「わかったわよ。レートと呼ぶことにするわ」
まったく、本当に三股最低男とか呼びやがったら、マジでぶん殴る。
こいつなら殴っても、不思議と心は痛まなそうだ。
「ミカちゃん……なんか、れーとに似てる。ダメなとことか似てるし、他も似てる気がする。一愛が言うんだから間違いないと思う」
「「──誰がこんなやつと!?」」
「ほら、思考のパターンも一緒。やらかすのも一緒。 うわぁ……2人はとってもお似合いだよ」
「「──嬉しくない! こんなやつ無理だから!」」
「こわい。ダメなやつが2人になった……。世界は大丈夫なんだろうか? 天変地異とか起きそうでこわい」
それ、世界規模で恐れるようなことなの? もし俺みたいなのが3人になったりしたら世界は終わるの?
そうなんだとしたら、確かに怖い……。なんて冗談はさておき、最初から言ってるけど改めて聞かないと。
「それで。お姫様は?」
「お姉ちゃんのとこ」
「わざわざ木刀を借りに行ったわけではなかったのか。よかった……」
「木刀を借りるついでに、泣きやまないルシアちゃんを、お姉ちゃんに押し付けてきたんだよ?」
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