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天使のホワイトデー
謝る方法を考える……俺が
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「ううっ……えぐっ……」
こまった……。
大変、困ったことになってしまった。
「……っ、うわぁぁぁぁあん──」
「泣くな、自分でやったことだろ! そして、その鼻水と涙を俺で拭くな!」
もうさっきまでの、勢いで生きていた天使はいない。
今いる天使は、自分のやらかしを後悔するざまぁない天使だ。ざまぁない。なさすぎる。
「だってーー、顔も見たくないって言われたーー。もう完全に嫌われた! もうおしまいよーー」
天使のせいで泣いていなくなってしまったお姫様は、俺の幼馴染のルイちゃん宅にいると判明した。
今いる俺の部屋から、徒歩1分くらいの距離にいるわけだ。
それを知り、すぐにでも押しかけようとする天使を俺が諌め、一愛がルイに電話をかけて、お姫様の様子を聞いたんだ。
『しばらく無理だな。顔も見たくないってよ……』
──と言われた。まあ、あんなことがあれば当然の反応ではあるが、それを聞いた天使は泣き出した。
謝るどころの話ではなかった。顔も見たくないと言われてしまっては、もう無理だ。
「残念だが、どうしようもないから解散。おつかれしたーー!」
「なんでよぉ、助けてよ。アタシを助けてよぉーー」
ざまぁない天使はすがりついてくるが、どうにもならないもんはどうにもならない。
あと鼻水ついてるし、くっつかないでもらいたい。
「今日は無理だ。顔も見たくないと言われてはな。時間を置いて謝りに行くしかないだろう? というわけで解散。おつかれした!」
「そんなの嫌よぉ。こんな気分のまま過ごすなんてムリよぉ」
そうは言ってもな。会ってすらもらえなくては、何ともしようがない。これで無理矢理に会ったところでこじれるだけだろうし。
今日はもう諦めて寝るしかないと思うんだけどな……。
「れーと」
電話だけではあれなので、お隣に直接様子を伺いに行っていた一愛が戻ってきたようだ。木刀も返してきなさいと持たせました。
事あるごとにアレで殴られそうだからさ……。家にあるってだけでビクビクしてしまうさらさ……。
「ルシアちゃんが絶交だって。顔も見たくない。もう帰れってーー」
俺を見ながらだが、天使にかなりダメージが入ることを言う妹。容赦ないな。
まあ、誰が聞いても100%悪いのは天使だから仕方ないんだけど。けど、追い討ちか。今のはわざとかな?
「うわぁぁぁぁぁぁぁん──」
しかし……これさ。傍目から見ると、俺が天使を泣かせているように見えないだろうか?
そして死刑にはなりたくないので、あんまり引っつかないでほしいんだけどな。
「一愛、少し言葉を選べ。そしてミカ。お前は鼻水を拭け。 ──俺を使わないでティッシュを使え!」
ティッシュの箱を天使へと渡し、使い方がわからなそうだから3枚ほど取ってやる。いくらポンコツでも、目の前で一度やって見せれば自分でできるだろう。できるよね?
「どうするの?」
「どうにもならないだろ。面会すら拒否られてはな。日を改めるしかない。ルイには悪いが、今日はお姫様を泊めてくれと頼むしかあるまい」
「ミカちゃんは?」
「こいつは向こうに1週間滞在する予定らしい。『絶交』『帰れ』と言われてはいるけどね。お姫様とは部屋は階も別だし、こいつが気をつければ2人の接触は避けられる。んで、お姫様の様子を見て。機会を見て謝りに行かせるしかない」
天使がいる間に、仲直りさせて帰さなくてはな。
国交とか、天使と悪魔とか関係なく、幼馴染が仲違いしてるという状況は、やはり少し前の自分に重なってしまう……。
長いことそれを放っておいた俺だからこそ、早くなんとかしてやりたいと思うのだろう。
「れーとは意外と面倒見がいいよね」
「『意外と』という部分がよけいだけどな?」
「そういうわけだから、ミカちゃん元気出せや。れーとが手伝ってくれるらしいし。先日までお姉ちゃんと絶交状態だったクズではあるが、だからこそ今のミカちゃんの力になれると思う」
「言葉を選べ。選ぼう? 少しは俺に配慮しよう?」
クズだったのも否定しない。できない!
今の天使くらい……以上ではないよね? 同じくらいには俺もひどかったからな。
時間のかかった分だけ俺の方が悪いか……。
「……ぐずっ……レートはどうしたの?」
「それ、一愛も知りたい! どうお姉ちゃんに謝ったの?」
てっきりルイに聞いているとばかり思ってたのだが、妹はそれについては知らないらしい。
もう済んだことだし、かっこ悪いが謝るといえばこれだと俺は思う。今の天使のためになるなら教えよう。
「──土下座だ!」
「「……んっ?」」
天使は土下座が何か分からないのだろう。異世界に土下座文化はないからな。
一愛は予想外の内容だったのだろう。分かりやすく首をかしげている。
「DO・GE・ZA。だ!」
天使は首をかしげて理解してないふうなまま、妹は態度を一転し俺をゴミを見るような目で見ている。一気に冷ややかな雰囲気になっている。
「ちょっとひくわ。もっと違うやり方があったと思う……」
「ねぇ、『DO・GE・ZA』って何?」
「ミカちゃんは知らない方がいい。れーととは違う謝り方をしようね? 一愛も手伝ってあげるから」
一愛も仲直りを手伝ってくれるらしい。
みんな……何も言うな。言わないでくれ。
※
「お姫様のことはルイには了解を得たし、セバスにも伝えてきた。家出ではなく単なるお泊まりとし、天使がやらかしたという点も伏せておいた」
「よくやった。れーとにしては良い判断だ。ミカちゃんは泊まるとこあるんだよね。帰る?」
「こんな気分で1人で寝るのはイヤ。アタシも泊めて……」
「えっ、それは俺の部屋にという意味か!? 困るなーー」
「そんなわけねーだろ。鼻の下伸ばしてると、また木刀借りてくるからな」
「……はい。調子に乗ってました」
「ミカちゃん。れーとに何かされそうになったら言うんだよ? 社会的に抹殺してやるから」
「わかった」
「…………」
というやり取りがあり、天使が我が家にお泊まりすることになった。絶対に家から出ないという条件を守ると約束させてね。
勝手されて、更にややこしくされてはたまらない。
その天使ことミカは、一愛に引き取ってもらった。それが、いろんな意味で一番安全だと思ったから。
家に天使がいるというのは、かなりの異常事態だと思ったので両親にも了解を得た。
と言っても、異世界とかに特に興味がないらしい両親からは特に何もなく、夕飯の席にお姫様のお友達だと紹介したら納得された。
お泊まりの件も言ったが、まあいつも通りだった。
そんなこんながあり、もうさっさと寝ろよと女子2人には伝え、そうすることにしたのか一緒に風呂へと向かったようだ。
……女の子って一緒にお風呂入るの抵抗ないのかな?
「いかん。不埒なことを考えている場合ではない。しかし、どうしようかなー。土下座が使えないとなると、何も思いつかないな……」
お詫びの品を持って謝りに行くとかかなぁ? そうなるとお菓子か? お姫様は甘いもの好きだし。
しかし、チョコレートではないな。天使にチョコレートを教えるとか。
バレンタインの焼き回し感がハンパないからな。
お詫び。お菓子。ホワイトデー。
ホワイトデーもまだ遠いな。
3月にもなってない。
もっと違うやり方……。一愛が言ったそれかな?
すぐさま行動したいが、明日も平日だし学校へ行かなくてはいけない。放課後はバイトもある。
明日できることは学校行く前にルイに連絡して、お姫様の様子を聞いて、学校でどうするのか考えるくらいか。
何か課題もあった気がするけど、それも学校に行ってから考えよう。
「レート、着替えがない! 悪いけど、ちょっと取りに行ってきて!」
「──うわぁ!? なんて格好でうろついてんだ!」
ベッドに寄りかかって、天井を見上げながら考え事をしていたら、バスタオルを巻いただけの天使が目の前にいた。
集中していたのか接近に気づかなかった。
「ミカちゃん、何をやってんじゃーーーー! いろいろサイズが合わないのは申し訳ないけど、何をやってんじゃーーーー! れーとは目をつぶってろ!」
バタバタと音がして、天使の後から同じ格好で妹も現れる。一愛はミカを引っ張って連れて行こうとするが、天使の方が力が強いので大変なことになっている。
なななな、こいつらは何をやっているのか……。
「──わ、悪い。早くそのエロ天使を持っていってくれ! 早く、連れて行ってくれ!」
「服よ、服! アタシの荷物から持ってきてよーー」
「はぁ? あの山のような荷物からとか無理だ。自分で行け!」
あんなのを漁っていたら日が暮れる。いや、時間帯的にもう暮れてるから日が昇るか?
あの荷物の山に挑むのも嫌だし、女の子の荷物を漁るのも嫌だ。変態じゃん。
「バカ、裸でウロウロできるわけないじゃない!」
「今してるよ? ウロウロしてる」
「れーと、ミカちゃんが暴れるからいけ! バスタオルがとれそう。早くいって持ってこい!」
「えぇー、日が昇るよ? 本当に行くの?」
俺に水滴が飛んできて付着する。
このことから天使がジタバタしている様子が見なくても分かってしまう。見なくてもだ! 俺は何も見ていない!
くっ、だがこのままでは大惨事になり、最悪死刑になるかもしれない。やむ終えない。
「執事に聞けば分かるか?」
「──こっちみんな!」
あっ、つい見てしまった……。
その瞬間、テレビのリモコンが飛んできた。当たりはしなかったが、リモコン投げるとか危ないよ。
……リモコン? ──そうか!
直接の解決策にはならないかもしれないけど、分かることもあるかもしれない! その手がありました!
「いいぞ、一愛。ナイスだ!」
「……変態」
「──違う! そういう意味じゃない!」
「そういう意味って何? 変態……」
もう何を言っても変態としか言われなそう……。
執事に状況を話して、天使の服を持ってこよう。そしてもう1人の執事に頼んで時間渡航しよう。
こまった……。
大変、困ったことになってしまった。
「……っ、うわぁぁぁぁあん──」
「泣くな、自分でやったことだろ! そして、その鼻水と涙を俺で拭くな!」
もうさっきまでの、勢いで生きていた天使はいない。
今いる天使は、自分のやらかしを後悔するざまぁない天使だ。ざまぁない。なさすぎる。
「だってーー、顔も見たくないって言われたーー。もう完全に嫌われた! もうおしまいよーー」
天使のせいで泣いていなくなってしまったお姫様は、俺の幼馴染のルイちゃん宅にいると判明した。
今いる俺の部屋から、徒歩1分くらいの距離にいるわけだ。
それを知り、すぐにでも押しかけようとする天使を俺が諌め、一愛がルイに電話をかけて、お姫様の様子を聞いたんだ。
『しばらく無理だな。顔も見たくないってよ……』
──と言われた。まあ、あんなことがあれば当然の反応ではあるが、それを聞いた天使は泣き出した。
謝るどころの話ではなかった。顔も見たくないと言われてしまっては、もう無理だ。
「残念だが、どうしようもないから解散。おつかれしたーー!」
「なんでよぉ、助けてよ。アタシを助けてよぉーー」
ざまぁない天使はすがりついてくるが、どうにもならないもんはどうにもならない。
あと鼻水ついてるし、くっつかないでもらいたい。
「今日は無理だ。顔も見たくないと言われてはな。時間を置いて謝りに行くしかないだろう? というわけで解散。おつかれした!」
「そんなの嫌よぉ。こんな気分のまま過ごすなんてムリよぉ」
そうは言ってもな。会ってすらもらえなくては、何ともしようがない。これで無理矢理に会ったところでこじれるだけだろうし。
今日はもう諦めて寝るしかないと思うんだけどな……。
「れーと」
電話だけではあれなので、お隣に直接様子を伺いに行っていた一愛が戻ってきたようだ。木刀も返してきなさいと持たせました。
事あるごとにアレで殴られそうだからさ……。家にあるってだけでビクビクしてしまうさらさ……。
「ルシアちゃんが絶交だって。顔も見たくない。もう帰れってーー」
俺を見ながらだが、天使にかなりダメージが入ることを言う妹。容赦ないな。
まあ、誰が聞いても100%悪いのは天使だから仕方ないんだけど。けど、追い討ちか。今のはわざとかな?
「うわぁぁぁぁぁぁぁん──」
しかし……これさ。傍目から見ると、俺が天使を泣かせているように見えないだろうか?
そして死刑にはなりたくないので、あんまり引っつかないでほしいんだけどな。
「一愛、少し言葉を選べ。そしてミカ。お前は鼻水を拭け。 ──俺を使わないでティッシュを使え!」
ティッシュの箱を天使へと渡し、使い方がわからなそうだから3枚ほど取ってやる。いくらポンコツでも、目の前で一度やって見せれば自分でできるだろう。できるよね?
「どうするの?」
「どうにもならないだろ。面会すら拒否られてはな。日を改めるしかない。ルイには悪いが、今日はお姫様を泊めてくれと頼むしかあるまい」
「ミカちゃんは?」
「こいつは向こうに1週間滞在する予定らしい。『絶交』『帰れ』と言われてはいるけどね。お姫様とは部屋は階も別だし、こいつが気をつければ2人の接触は避けられる。んで、お姫様の様子を見て。機会を見て謝りに行かせるしかない」
天使がいる間に、仲直りさせて帰さなくてはな。
国交とか、天使と悪魔とか関係なく、幼馴染が仲違いしてるという状況は、やはり少し前の自分に重なってしまう……。
長いことそれを放っておいた俺だからこそ、早くなんとかしてやりたいと思うのだろう。
「れーとは意外と面倒見がいいよね」
「『意外と』という部分がよけいだけどな?」
「そういうわけだから、ミカちゃん元気出せや。れーとが手伝ってくれるらしいし。先日までお姉ちゃんと絶交状態だったクズではあるが、だからこそ今のミカちゃんの力になれると思う」
「言葉を選べ。選ぼう? 少しは俺に配慮しよう?」
クズだったのも否定しない。できない!
今の天使くらい……以上ではないよね? 同じくらいには俺もひどかったからな。
時間のかかった分だけ俺の方が悪いか……。
「……ぐずっ……レートはどうしたの?」
「それ、一愛も知りたい! どうお姉ちゃんに謝ったの?」
てっきりルイに聞いているとばかり思ってたのだが、妹はそれについては知らないらしい。
もう済んだことだし、かっこ悪いが謝るといえばこれだと俺は思う。今の天使のためになるなら教えよう。
「──土下座だ!」
「「……んっ?」」
天使は土下座が何か分からないのだろう。異世界に土下座文化はないからな。
一愛は予想外の内容だったのだろう。分かりやすく首をかしげている。
「DO・GE・ZA。だ!」
天使は首をかしげて理解してないふうなまま、妹は態度を一転し俺をゴミを見るような目で見ている。一気に冷ややかな雰囲気になっている。
「ちょっとひくわ。もっと違うやり方があったと思う……」
「ねぇ、『DO・GE・ZA』って何?」
「ミカちゃんは知らない方がいい。れーととは違う謝り方をしようね? 一愛も手伝ってあげるから」
一愛も仲直りを手伝ってくれるらしい。
みんな……何も言うな。言わないでくれ。
※
「お姫様のことはルイには了解を得たし、セバスにも伝えてきた。家出ではなく単なるお泊まりとし、天使がやらかしたという点も伏せておいた」
「よくやった。れーとにしては良い判断だ。ミカちゃんは泊まるとこあるんだよね。帰る?」
「こんな気分で1人で寝るのはイヤ。アタシも泊めて……」
「えっ、それは俺の部屋にという意味か!? 困るなーー」
「そんなわけねーだろ。鼻の下伸ばしてると、また木刀借りてくるからな」
「……はい。調子に乗ってました」
「ミカちゃん。れーとに何かされそうになったら言うんだよ? 社会的に抹殺してやるから」
「わかった」
「…………」
というやり取りがあり、天使が我が家にお泊まりすることになった。絶対に家から出ないという条件を守ると約束させてね。
勝手されて、更にややこしくされてはたまらない。
その天使ことミカは、一愛に引き取ってもらった。それが、いろんな意味で一番安全だと思ったから。
家に天使がいるというのは、かなりの異常事態だと思ったので両親にも了解を得た。
と言っても、異世界とかに特に興味がないらしい両親からは特に何もなく、夕飯の席にお姫様のお友達だと紹介したら納得された。
お泊まりの件も言ったが、まあいつも通りだった。
そんなこんながあり、もうさっさと寝ろよと女子2人には伝え、そうすることにしたのか一緒に風呂へと向かったようだ。
……女の子って一緒にお風呂入るの抵抗ないのかな?
「いかん。不埒なことを考えている場合ではない。しかし、どうしようかなー。土下座が使えないとなると、何も思いつかないな……」
お詫びの品を持って謝りに行くとかかなぁ? そうなるとお菓子か? お姫様は甘いもの好きだし。
しかし、チョコレートではないな。天使にチョコレートを教えるとか。
バレンタインの焼き回し感がハンパないからな。
お詫び。お菓子。ホワイトデー。
ホワイトデーもまだ遠いな。
3月にもなってない。
もっと違うやり方……。一愛が言ったそれかな?
すぐさま行動したいが、明日も平日だし学校へ行かなくてはいけない。放課後はバイトもある。
明日できることは学校行く前にルイに連絡して、お姫様の様子を聞いて、学校でどうするのか考えるくらいか。
何か課題もあった気がするけど、それも学校に行ってから考えよう。
「レート、着替えがない! 悪いけど、ちょっと取りに行ってきて!」
「──うわぁ!? なんて格好でうろついてんだ!」
ベッドに寄りかかって、天井を見上げながら考え事をしていたら、バスタオルを巻いただけの天使が目の前にいた。
集中していたのか接近に気づかなかった。
「ミカちゃん、何をやってんじゃーーーー! いろいろサイズが合わないのは申し訳ないけど、何をやってんじゃーーーー! れーとは目をつぶってろ!」
バタバタと音がして、天使の後から同じ格好で妹も現れる。一愛はミカを引っ張って連れて行こうとするが、天使の方が力が強いので大変なことになっている。
なななな、こいつらは何をやっているのか……。
「──わ、悪い。早くそのエロ天使を持っていってくれ! 早く、連れて行ってくれ!」
「服よ、服! アタシの荷物から持ってきてよーー」
「はぁ? あの山のような荷物からとか無理だ。自分で行け!」
あんなのを漁っていたら日が暮れる。いや、時間帯的にもう暮れてるから日が昇るか?
あの荷物の山に挑むのも嫌だし、女の子の荷物を漁るのも嫌だ。変態じゃん。
「バカ、裸でウロウロできるわけないじゃない!」
「今してるよ? ウロウロしてる」
「れーと、ミカちゃんが暴れるからいけ! バスタオルがとれそう。早くいって持ってこい!」
「えぇー、日が昇るよ? 本当に行くの?」
俺に水滴が飛んできて付着する。
このことから天使がジタバタしている様子が見なくても分かってしまう。見なくてもだ! 俺は何も見ていない!
くっ、だがこのままでは大惨事になり、最悪死刑になるかもしれない。やむ終えない。
「執事に聞けば分かるか?」
「──こっちみんな!」
あっ、つい見てしまった……。
その瞬間、テレビのリモコンが飛んできた。当たりはしなかったが、リモコン投げるとか危ないよ。
……リモコン? ──そうか!
直接の解決策にはならないかもしれないけど、分かることもあるかもしれない! その手がありました!
「いいぞ、一愛。ナイスだ!」
「……変態」
「──違う! そういう意味じゃない!」
「そういう意味って何? 変態……」
もう何を言っても変態としか言われなそう……。
執事に状況を話して、天使の服を持ってこよう。そしてもう1人の執事に頼んで時間渡航しよう。
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