38 / 101
天使のホワイトデー
姫祭り ④
しおりを挟む
バカな天使ちゃんがまた、お姫様からのお手紙を読まずに食べた。これで2度目だ。
彼女はヤギかなんかなんだろうか? そう言う他にあるまい!
天使が貰ったお姫様からのチョコレートケーキには、その表面にメッセージが書いてあったんだ。こいつが今回のお手紙な。
異世界文字が分からない俺は、そのメッセージをケーキごと写真に収め、後でこっそり解読しようと考えたんだ。
野暮だとか最低だとかは今はいい。あとにして!
しかし、それを実行に移す前に黒ヤギさんがメッセージ部分を食べたんだよ。
自分はしっかり読んだのかもしれないが、そもそもだ。ケーキをホールで食うってなんだ!? バカなんだよ。天使は!
しかも俺にケーキを取られると、勘違いの姫は思ったのかケーキを食うのは止まらず、チョコレートケーキは瞬く間に消滅した……。
お姫様には聞けないし、天使も意外と口が堅い。
あのメッセージの内容を、俺が知る日はこないらしい。
ちなみにここで撮れた写真は、チョコレートケーキを口いっぱいに頬張り続ける天使ちゃんだ。
隣でお姫様は笑っているし、いい写真ではある。なので、デカデカと引き伸ばして飾ってやろうと思う。
「た、食べすぎた……」
「当たり前だ。もうお腹いっぱいだろ!」
チョコレートケーキを一気に全部食べ切った天使は、テーブルに突っ伏している。
ドレスという格好も合わさって、とても苦しそうだ。
女子曰く、甘いものは別腹とはいえ、ホールでいけばそんなの関係ないだろう。こいつはしばらく使い物にならない。
「お腹いっぱい。もう無理……苦しい……」
「ケーキを横取りしたりしないと言ったろうが! 写真におさめたいだけだったのにー。まあ、いい写真は撮れたから、覚悟しておくんだな!」
こっちの姫はダメだな。
勢いと勘違いで生きすぎている。
もう少し姫らしくした方がいいと思う。
「まったく……。ミカがこのように使い物にならないため、ひとまず予定通りにいこうと思う。準備お願いします!」
ダメな方ではない姫に、この後の用意をお願いする。ダメな方がダメなので仕方ないのだ。
予定を知らないからだとしても、いきなりはっちゃけすぎである。
「わかったわ。それじゃあ着替えてくるから」
「お願いします! こっちは準備しておきますんで!」
お姫様はお着替えに行かれた。さて、これでお姫様待ちだな。
その間にこっちも後のメンツを決めないとな。どうしようかな? やっぱりジャンケン大会が無難かなーー。
「ねぇ、ルシアはどこに行ったの?」
天使は食べ過ぎて動けないからか、お姫様の後をついていきはしなかったが、どこに行ったのかと不思議そうにしている。
「どこにって部屋にだろ。写真撮る用のドレスに着替えに行ったんだよ」
「……写真って何?」
この前、お姫様にも同じ説明をしたが、異世界人は知らないからな。メンドくさがらずに説明します。
「こないだバレンタインの資料で見ただろう。こういうやつだ」
姫祭りの資料用に撮影した人入り前の会場と、まだ作成時の会場の様子。すでにプリントアウトしたそれを天使の前に出してやる。
いきなりの一眼レフでは、どう撮れるのか分からなかったので事前に予習しておいたんだ。
カメラっていうのも、いろいろ設定とかあるんだよ。勝手に使ってるわけだから、パパンに聞くこともできないし、ネットで調べたんだが大変だった……。
その甲斐あって、そこそこ使いこなせるようになったけどねー。
「ふむふむ。それでパシャパシャすると、風景が絵になり、こうして出てくるというわけね。へぇーー」
意外と理解が早い天使ちゃん。おかげで余計な説明をしないですんだ。
普段からこうならいいのにねー。
「そうだ。これが写真。こっちはカメラだ。撮ったものがそのまま写真としては出てはこない。撮ったものを写真にするには、別にプリンターというものが必要になる。まあ、カメラは写真を撮るための──」
「写真ってどうするの?」
べらべらとカメラのあれこれを喋ろうと思ったら、核心をつくことを天使ちゃんは言ってきた。
無いということは『どうするのか?』も分からないのだ。どう使えるのかもな。
「後で見返せば『この時はこうだった』『この時はああだった』ってなるだろう? 記憶だけじゃなく画像として残っていれば、思い出は鮮明になるし、証拠としても利用できるんだよ。ふふふふっ……」
「レート、何かこわい……」
──おっと。余計な警戒感を持たれるのはよろしくない。ミカは関係ないが、こいつも天使だからな。
執事への対応がムダに優しいし、意外と身内に甘いかもしれないしな。写真をどう使うのかを、気取られるわけにはいかない。
「──気にすんな! どれ、試しに何枚か撮ってやろう。はい、カメラ目線でお願いします!」
苦しくてもカメラ目線くらいはできるだろう。本番前の最終確認といことで、満腹の天使ちゃんを撮影します。
「こ、こう?」
「いいよー、ちょっと動いてみようか」
「こうかしら」
ミカは立ち上がっただけだが、お腹が苦しいからそんなもんでしょう。
それに姫というだけあって絵になるね。撮る側としては嬉しいよねー。
「いいよー、次は好きに動いてみて」
俺は結構カメラが好きかもしれない。
普段は携帯のカメラで足りてる感はあるけど、こうしてカメラで撮るのもいい。
これが高級なカメラだからかな? これ、頼んだら俺にくんないかな? クソ高いんだろうけど。
「プロデューサーさん。何をしてるんですか」
「その声はミルクちゃん。着替えは終わったの……か」
お姫様より一足早く、撮影のために着替えに行っていたミルクちゃん。
というのもね。普段着で姫祭りへとやってきた彼女にルシアさんは大層怒り、自分のドレスを貸すから『着替えてきなさい!』ということがあったのです。
しかし、ルシアさんは重大な見落としをしていらしたらしい。あの名探偵らしくない。
ああ見えて実は、ミカが来ることに緊張していたのでしょうか。名探偵らしくないミスだ。
すーはーすーはー。
いや、ちょっと深呼吸が必要なんだ。ごめん。
すーはーすーはー。
よし、じゃあいくよ?
「──ミルクちゃん。自分の格好を鏡で見た!? 胸元がスゴいことになってるよ。そんなに出していいの!? 何と言うか……──ありがとうございます!」
──以上だ。ルシアさんとミルクちゃん。身長は同じくらい。
しかし、胸元のサイズは……こう……とても比べられないんだ。察して!
「何度も鏡で見ました。明らかに露出が多すぎるのも自分で分かってます! でも、姫様いないし。外でお祭り始まっちゃうし。出るに出られずにいたら、着替えに来た姫様に怒られるし! 散々なんですよーーーー!」
「そりゃあね……。同じ服を着て。こうも違うのを見たら。キレるのもわかる気がする」
俺がもしお姫様の立場だったなら、やっぱりキレると思う。まあ今の俺には、ありがとうしかないけどね! ありがとうございます!
ミルクちゃんのメロンが、うっかりこぼれそうな感じだ。これはシャッターチャンスを見逃さないようにしなくてはいけないな。
「ミルク……。アンタ、その胸はなに! どうしたらそんなになったの!?」
立ったまま唖然とした表情で、ミルクちゃんを見ていたミカが急に反応した。
「えっ──、ミカさん?」
「んっ、ミルクちゃんはミカを知ってるのかい?」
「はい。ただ、色が……」
ミルクちゃんはミカと同じく、お姫様の数少ないお友達。その友達同士に繋がりがあることは驚かない。
だが、今の反応がなんか変だったよな?
ミカはミルクちゃんに気づいたのに、ミルクちゃんはミカに気づかなかったような。
それに色って何? ドレスってこと?
「──! ちょっとこっちに来なさい。触らせなさい!」
来なさいと言ったのに後ずさるミルクちゃんに、ミカが飛び掛かり押し倒した。
なんて羨ましい。じゃなくて!
「きゃ──、や、やめてください! 本当にサイズが。何とか押さえてるだけだから! あっ、ああっ──」
ナイスだミカ。シャッターチャンスだ!
俺の疑問など、このシャッターチャンスの前には些細なこと! 絶対に逃さないようにしなくては。
「うそ、本物よこれ……。ルシアに勝ったと自慢していた自分が恥ずかしい。こんなところに伏兵がいたなんて。しばらく会わないうちに、こんなことになっていたなんて……」
押し倒した体勢のまま、ミルクちゃんのメロンを触りまくるミカ。なんて羨ましい。
しかし、これは女同士だから許されることであり……ミカが邪魔でしっかり見れない。テーブルとかイスも邪魔だ。取っ払おう。
「プロデューサーさん。助けてください!」
──な、なにぃ!?
俺に助けを求めるの? この状態で?
「指が吸い込まれる。馬鹿な。こんなことが──」
千載一遇のシャッターチャンスか。
失っているミルクちゃんの信用か。
どっちだ? どちらを取る?
「ぷ、プロデューサーさん」
うぬぬぬっ……信用だ!
ここはミルクちゃんに見損なわれている、俺の信用を取り戻すチャンスだ!
「──セクハラはやめぃ! このエロ天使が! 姫たる者がはしたないぞ。はしゃぎすぎるなと言ってあったろうが。強制帰還になるぞ」
「うっ、それは嫌!」
「よろしい。ほら、ミルクちゃん。立てるか?」
強制帰還という言葉でミカは冷静さを取り戻したようだ。ミカを引きはがし、ミルクちゃんの手を掴み起き上がらせる俺。
──よし! これでいくらかは信用が回復しただろう!
「プロデューサーさん。ありがとうございます!」
起き上がったミルクちゃんは、そのまま俺に抱きついてくる。そんなことされると感触が。あっ──。
しかし、これは感謝されてのことであり、いかがわしい気持ちなど無いわけであって──
「おい、また新しい女か?」
「あたしが着替えて戻ってくるまでの間に、いったい何をしているの?」
えっ……。き、気のせいかな……。
今、お姫様の他に、我が家のお姫様の声も聞こえた気がするんだが。気のせいだよね?
「こっち向けや。学校サボって、貴様は何をやってんだい?」
「また、調子が良いこと言ってたのね」
嫌だな。怖いなぁ。
そうは思いながらも振り返るしかない。
確かめなくてはいけない。
勘違いということもあるかもしれないからね。
「一愛ちゃん。どうしているの?」
全然、勘違いじゃなかった……。
「今日は学校終わるのが早かった。以上だ」
これまた、お姫様から借りたのだろうドレスを着た。我が家のお姫様こと妹が現れた!
彼女はヤギかなんかなんだろうか? そう言う他にあるまい!
天使が貰ったお姫様からのチョコレートケーキには、その表面にメッセージが書いてあったんだ。こいつが今回のお手紙な。
異世界文字が分からない俺は、そのメッセージをケーキごと写真に収め、後でこっそり解読しようと考えたんだ。
野暮だとか最低だとかは今はいい。あとにして!
しかし、それを実行に移す前に黒ヤギさんがメッセージ部分を食べたんだよ。
自分はしっかり読んだのかもしれないが、そもそもだ。ケーキをホールで食うってなんだ!? バカなんだよ。天使は!
しかも俺にケーキを取られると、勘違いの姫は思ったのかケーキを食うのは止まらず、チョコレートケーキは瞬く間に消滅した……。
お姫様には聞けないし、天使も意外と口が堅い。
あのメッセージの内容を、俺が知る日はこないらしい。
ちなみにここで撮れた写真は、チョコレートケーキを口いっぱいに頬張り続ける天使ちゃんだ。
隣でお姫様は笑っているし、いい写真ではある。なので、デカデカと引き伸ばして飾ってやろうと思う。
「た、食べすぎた……」
「当たり前だ。もうお腹いっぱいだろ!」
チョコレートケーキを一気に全部食べ切った天使は、テーブルに突っ伏している。
ドレスという格好も合わさって、とても苦しそうだ。
女子曰く、甘いものは別腹とはいえ、ホールでいけばそんなの関係ないだろう。こいつはしばらく使い物にならない。
「お腹いっぱい。もう無理……苦しい……」
「ケーキを横取りしたりしないと言ったろうが! 写真におさめたいだけだったのにー。まあ、いい写真は撮れたから、覚悟しておくんだな!」
こっちの姫はダメだな。
勢いと勘違いで生きすぎている。
もう少し姫らしくした方がいいと思う。
「まったく……。ミカがこのように使い物にならないため、ひとまず予定通りにいこうと思う。準備お願いします!」
ダメな方ではない姫に、この後の用意をお願いする。ダメな方がダメなので仕方ないのだ。
予定を知らないからだとしても、いきなりはっちゃけすぎである。
「わかったわ。それじゃあ着替えてくるから」
「お願いします! こっちは準備しておきますんで!」
お姫様はお着替えに行かれた。さて、これでお姫様待ちだな。
その間にこっちも後のメンツを決めないとな。どうしようかな? やっぱりジャンケン大会が無難かなーー。
「ねぇ、ルシアはどこに行ったの?」
天使は食べ過ぎて動けないからか、お姫様の後をついていきはしなかったが、どこに行ったのかと不思議そうにしている。
「どこにって部屋にだろ。写真撮る用のドレスに着替えに行ったんだよ」
「……写真って何?」
この前、お姫様にも同じ説明をしたが、異世界人は知らないからな。メンドくさがらずに説明します。
「こないだバレンタインの資料で見ただろう。こういうやつだ」
姫祭りの資料用に撮影した人入り前の会場と、まだ作成時の会場の様子。すでにプリントアウトしたそれを天使の前に出してやる。
いきなりの一眼レフでは、どう撮れるのか分からなかったので事前に予習しておいたんだ。
カメラっていうのも、いろいろ設定とかあるんだよ。勝手に使ってるわけだから、パパンに聞くこともできないし、ネットで調べたんだが大変だった……。
その甲斐あって、そこそこ使いこなせるようになったけどねー。
「ふむふむ。それでパシャパシャすると、風景が絵になり、こうして出てくるというわけね。へぇーー」
意外と理解が早い天使ちゃん。おかげで余計な説明をしないですんだ。
普段からこうならいいのにねー。
「そうだ。これが写真。こっちはカメラだ。撮ったものがそのまま写真としては出てはこない。撮ったものを写真にするには、別にプリンターというものが必要になる。まあ、カメラは写真を撮るための──」
「写真ってどうするの?」
べらべらとカメラのあれこれを喋ろうと思ったら、核心をつくことを天使ちゃんは言ってきた。
無いということは『どうするのか?』も分からないのだ。どう使えるのかもな。
「後で見返せば『この時はこうだった』『この時はああだった』ってなるだろう? 記憶だけじゃなく画像として残っていれば、思い出は鮮明になるし、証拠としても利用できるんだよ。ふふふふっ……」
「レート、何かこわい……」
──おっと。余計な警戒感を持たれるのはよろしくない。ミカは関係ないが、こいつも天使だからな。
執事への対応がムダに優しいし、意外と身内に甘いかもしれないしな。写真をどう使うのかを、気取られるわけにはいかない。
「──気にすんな! どれ、試しに何枚か撮ってやろう。はい、カメラ目線でお願いします!」
苦しくてもカメラ目線くらいはできるだろう。本番前の最終確認といことで、満腹の天使ちゃんを撮影します。
「こ、こう?」
「いいよー、ちょっと動いてみようか」
「こうかしら」
ミカは立ち上がっただけだが、お腹が苦しいからそんなもんでしょう。
それに姫というだけあって絵になるね。撮る側としては嬉しいよねー。
「いいよー、次は好きに動いてみて」
俺は結構カメラが好きかもしれない。
普段は携帯のカメラで足りてる感はあるけど、こうしてカメラで撮るのもいい。
これが高級なカメラだからかな? これ、頼んだら俺にくんないかな? クソ高いんだろうけど。
「プロデューサーさん。何をしてるんですか」
「その声はミルクちゃん。着替えは終わったの……か」
お姫様より一足早く、撮影のために着替えに行っていたミルクちゃん。
というのもね。普段着で姫祭りへとやってきた彼女にルシアさんは大層怒り、自分のドレスを貸すから『着替えてきなさい!』ということがあったのです。
しかし、ルシアさんは重大な見落としをしていらしたらしい。あの名探偵らしくない。
ああ見えて実は、ミカが来ることに緊張していたのでしょうか。名探偵らしくないミスだ。
すーはーすーはー。
いや、ちょっと深呼吸が必要なんだ。ごめん。
すーはーすーはー。
よし、じゃあいくよ?
「──ミルクちゃん。自分の格好を鏡で見た!? 胸元がスゴいことになってるよ。そんなに出していいの!? 何と言うか……──ありがとうございます!」
──以上だ。ルシアさんとミルクちゃん。身長は同じくらい。
しかし、胸元のサイズは……こう……とても比べられないんだ。察して!
「何度も鏡で見ました。明らかに露出が多すぎるのも自分で分かってます! でも、姫様いないし。外でお祭り始まっちゃうし。出るに出られずにいたら、着替えに来た姫様に怒られるし! 散々なんですよーーーー!」
「そりゃあね……。同じ服を着て。こうも違うのを見たら。キレるのもわかる気がする」
俺がもしお姫様の立場だったなら、やっぱりキレると思う。まあ今の俺には、ありがとうしかないけどね! ありがとうございます!
ミルクちゃんのメロンが、うっかりこぼれそうな感じだ。これはシャッターチャンスを見逃さないようにしなくてはいけないな。
「ミルク……。アンタ、その胸はなに! どうしたらそんなになったの!?」
立ったまま唖然とした表情で、ミルクちゃんを見ていたミカが急に反応した。
「えっ──、ミカさん?」
「んっ、ミルクちゃんはミカを知ってるのかい?」
「はい。ただ、色が……」
ミルクちゃんはミカと同じく、お姫様の数少ないお友達。その友達同士に繋がりがあることは驚かない。
だが、今の反応がなんか変だったよな?
ミカはミルクちゃんに気づいたのに、ミルクちゃんはミカに気づかなかったような。
それに色って何? ドレスってこと?
「──! ちょっとこっちに来なさい。触らせなさい!」
来なさいと言ったのに後ずさるミルクちゃんに、ミカが飛び掛かり押し倒した。
なんて羨ましい。じゃなくて!
「きゃ──、や、やめてください! 本当にサイズが。何とか押さえてるだけだから! あっ、ああっ──」
ナイスだミカ。シャッターチャンスだ!
俺の疑問など、このシャッターチャンスの前には些細なこと! 絶対に逃さないようにしなくては。
「うそ、本物よこれ……。ルシアに勝ったと自慢していた自分が恥ずかしい。こんなところに伏兵がいたなんて。しばらく会わないうちに、こんなことになっていたなんて……」
押し倒した体勢のまま、ミルクちゃんのメロンを触りまくるミカ。なんて羨ましい。
しかし、これは女同士だから許されることであり……ミカが邪魔でしっかり見れない。テーブルとかイスも邪魔だ。取っ払おう。
「プロデューサーさん。助けてください!」
──な、なにぃ!?
俺に助けを求めるの? この状態で?
「指が吸い込まれる。馬鹿な。こんなことが──」
千載一遇のシャッターチャンスか。
失っているミルクちゃんの信用か。
どっちだ? どちらを取る?
「ぷ、プロデューサーさん」
うぬぬぬっ……信用だ!
ここはミルクちゃんに見損なわれている、俺の信用を取り戻すチャンスだ!
「──セクハラはやめぃ! このエロ天使が! 姫たる者がはしたないぞ。はしゃぎすぎるなと言ってあったろうが。強制帰還になるぞ」
「うっ、それは嫌!」
「よろしい。ほら、ミルクちゃん。立てるか?」
強制帰還という言葉でミカは冷静さを取り戻したようだ。ミカを引きはがし、ミルクちゃんの手を掴み起き上がらせる俺。
──よし! これでいくらかは信用が回復しただろう!
「プロデューサーさん。ありがとうございます!」
起き上がったミルクちゃんは、そのまま俺に抱きついてくる。そんなことされると感触が。あっ──。
しかし、これは感謝されてのことであり、いかがわしい気持ちなど無いわけであって──
「おい、また新しい女か?」
「あたしが着替えて戻ってくるまでの間に、いったい何をしているの?」
えっ……。き、気のせいかな……。
今、お姫様の他に、我が家のお姫様の声も聞こえた気がするんだが。気のせいだよね?
「こっち向けや。学校サボって、貴様は何をやってんだい?」
「また、調子が良いこと言ってたのね」
嫌だな。怖いなぁ。
そうは思いながらも振り返るしかない。
確かめなくてはいけない。
勘違いということもあるかもしれないからね。
「一愛ちゃん。どうしているの?」
全然、勘違いじゃなかった……。
「今日は学校終わるのが早かった。以上だ」
これまた、お姫様から借りたのだろうドレスを着た。我が家のお姫様こと妹が現れた!
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる