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天使のホワイトデー
姫祭り ③
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♢20♢
「えー、本日は大変お日柄もよく、お集まりの皆様におかれましては、姫祭りへのご参加誠にありがとうございます。わたくしが白夜 零斗ことプロデューサー。企画立案及び全責任者となっております。プロデューサーが責任者。今のは大事なことなので2回言いました。さて、本日の姫祭りですが、祭りという形式でありますが、目的は姫たちの健やかな成長を祈るという、本来のひな祭りの意を組みとり行います。飲み食いするだけでなく、姫に感謝とかして、姫を敬ったりして、姫を思いながらお楽しみください」
今日の姫祭りの開会宣言は、姫ではないのに俺。何故かと言うとな、お姫様にやらせるはずだったのに、急遽予定の変更を余儀なくされたからだ。
俺は別に目立ちたくて、こんなふうにでしゃばっているわけではない。
それなのに、俺が開会宣言している理由は、勝手に襲来した天使たちだ。
こちらの姫にやらせては角が立つのだ。
予定通りにお姫様にやらせた場合、天使の側から『なんでウチの姫じゃないんだ!』となる。
そうなるのを回避するために、俺がこうして開会宣言をしているというわけだ。
「始めに、姫祭りの尽力者たちをご紹介します。会場の作成には主に城の兵士諸君。飾り台の作成には大工衆及びアンチの皆さん。料理は城のシェフ~たち。小物関係はミルクちゃん。なお、近く開店する彼女のコンビニを皆様どうかよろしくお願いします。あっ、今のはただの宣伝です。このようにわたくし1人ではとても出来ない。みんなの力が合わさって祭りとなっています。急にやってきやがった、一部の飲み食いするだけの方々におかれましは、彼ら彼女らにものすごーーく、感謝してお楽しみください。決して偉ぶらずみんな仲良く。これが大事です。みんな仲良く。これも大事なので2回言いました」
襲来した天使たちは、こないだのヤツらより偉いヤツららしい。ハゲと、ヒゲと、ハゲと、ヒゲと、ハゲと、ヒゲと、ハゲと、ヒゲ。
あとデブとガリガリ。それとミカエルのおっさんだ。
その天使な彼らには座れる席を用意した。
姫祭り自体は立食パーティーな感じだったんだが、主役のお姫様と天使と、本当は俺が座ろうと思っていたところをくれてやった。
何故なら、偉い人たちとあっては無礼な真似はできない。それに客人はもてなせと、ばあちゃんに教わった。
そして今日の俺はもてなす側だからな。
──というのはもちろん建前だ。いいこと言っているだけだ。
本当は天使たちにウロチョロされたくないんだ。座るところがあれば大人しくしてるでしょう?
一箇所にまとめておいて、あとはアレだよ……。
「なお、お酒の席となりますので無礼講。無礼講でお願いします。とはいえ、みんな仲良く。これが根底にあることをお忘れなきようにお願いします。次に料理のご説明を。本家のひな祭りに習い、菱餅にひなあられ。これは市販のやつです。ご了承ください。肉魚料理はシェフ~たちの創作料理。あと、ちらし寿司など用意いたしました。お酒はアンチの皆さんが。日頃から酒ばかり飲んでいる彼らではありますが、それが役に立ったという奇跡が起こりました」
アレについて話す前に酒の話をすると、アンチたちの持ってきた酒は安酒だ。
そもそも高いとか安いとかも俺には分からないし、この異世界の酒がどんなもんかも知らないがな。
まぁ、特に飲みたいとも思わない俺としては、どーでもいいということだ。
だがね。重要なのはここからなんだ。
今、天使たちの前にある酒は安酒ではないんだ。試しに飲ませたアンチは、『フワァーー!』ってなった。
……その酒はどうしたのかって?
当然の疑問だよな。当然、悪魔の力を借りたんだよ。自腹を切ってな!
クソ執事に頼んで、アクマートとやらで買ってこさせた。おかげで俺の臨時収入は消え失せた。
天使共め、今に見ていろ! 我らが姫を侮辱したその行い。
もったいなくて使えないでいたのに、俺の諭吉さんたちがみんないなくなってしまった恨み。どちらも必ず後悔させてくれる!
──ああん!?
諭吉さんの件も八つ当たりではない。
やつらが現れなかったら、諭吉さんたちはまだいたんだ。
なら当然、これもやつらのせいだろう。
くっくっくっ、今に見ていろ……──いかん! 今日はもてなす人でいなくては。今日はね。
さて、諸君。キミたちは何も聞かなかった。いいね?
「次に──」
「──長いぞ! いつまで続くんだ!」
俺のありがたいスピーチに、えらーい天使の人から抗議の声が上がる。
それに便乗し、『そうだ! そうだ!』と他の天使たちも続く。
「えっ、あと1時間くらいは続くけど?」
「長すぎるわ! それでは料理も台無しではないか!」
そんなに長いか? 校長先生とかもっと喋ってない?
壇上に上がった人は自由に喋っていいもんだと、それは壇上に上がった人の特権なんだと思ってたんだけどな。
しかし、天使ちゃんもウズウズしてるし、そろそろ始めましょうかね。
我慢させて、主役が暴走しては台無しだからね。
「えー、ヒゲの方がやかましいので始めたいと思います。ヒゲの方が我慢できない。しょうもない大人だったので、話を切り上げまして開始の音頭といきます。では、各自飲み物を持って。俺に続けよ? ──乾杯!」
「「乾杯」」
※
乾杯と宣言すれば、あとは好き好きに飲み食いするだけだ。しばらくすることもないし、俺も全体的に様子を見て回るか。
アレのための仕込みは自腹を切った時点で終わってるし、あとは時間が進むのを待っていればいいんだ。
そうして時間の経過と共に、やつらの終わりも近づいていくというわけだな。ざまぁ!
「それじゃあどこから……。って、まずは一番気になるところからだな。主役の姫たちのところに行こう。と、その前にパシャパシャと。これで良し」
突然やって来た天使たちに席を奪われた、主役なのに可哀想な姫たちのところに行こう。あー、可哀想。
きっと他の人たちが、これを知ったら大変だねー。
姫たちにこんな仕打ちをするなんて、あの偉い天使の人たちは、両陣営の信者たちから血祭りにされてしまうかもしれないね。あー、可哀想。
ただでさえ俺を怒らせているのに、その上に信者たちも怒らせるとか。彼らは怖いもの知らずだね。
「お、お招きにあずかり光栄よ。ぜっんぜっん、楽しみじゃなかったんだから!」
本来の席を偉い天使たちに奪われ、即席の丸テーブルに椅子を用意された姫2人。
むしろ本来の席より、2人の距離が近くなったのは良いことかもな。
しかし、なんなんだろうな。このツンデレは……。
ミカエラさんは嘘が下手すぎるね。前後の台詞と顔の表情も一致してないし。
思いっきり『楽しみでした!』って顔をしているよ? 言わないけどね。
「立ってないで座りなさいよ。飲み物もあるわよ?」
ミカのコップは空。きっと、話しかける前に飲み干したんだね。緊張すると喉乾くからね。
そんな天使ちゃんを、お姫様は優しい口調で隣に座らせ、飲み物も注いであげる。
「ミカ。このあいだはごめんなさい」
その上、謝らない天使に対し自分は謝るか。
お姫様は大人だ。だが、『このあいだは』か。
「えっ、ルシア!?」
お姫様から急に謝られた天使は面食らっているが、まあそうだろう。
自分はいっこうに謝らないのに、向こうが先に謝ってきたんだ。出鼻をくじかれた感じだろうか。
「これはお詫びのチョコレートケーキ。上手くできたと思うから、食べてみて」
「えぇ……これ……」
お姫様が作ったチョコレートケーキには、アドバイスした時に考えたように、チョコペンで文字が書かれている。
俺には読めない異世界文字がな!
名探偵であるお姫様のことだ。そこまで見越してのメッセージだと思われる。
くそー、メッセージの内容が知りたい。けど、これを聞いたら野暮だよねー。
「二クス。あれはなんで書いてあんの? 教えて」
でも、本人たちに聞かなければいいよね? 許されるはず。きっと。たぶん。だって知りたいじゃん!
こんな時、優しいイケメンは教えてくれるはず。
「さて、何と書いてあるのでしょうね。姫のように白夜さんも、こちらの文字を勉強されては?」
「貴様、嫌味なやつよな。イケメンのくせに」
このイケメン。全然教えてくれない。
それどころか、俺に異世界文字を覚えろだなんて言ってくるよ……。
野暮なことなのは俺も分かってたよ?
でも気になるじゃん! 教えてくれたっていいじゃん!
「では、私はこれを使い写真? とやらを撮ってきましょう」
だが、イケメンに食い下がるのはカッコ悪いな。諦めよう……──なんてな!
そうだよ。ケーキを撮影しておいて、後で解読すればいいんだよ。俺ってばあったまいい!
「悪いね。あったはずの席もなくなってしまったし、雑用まで頼んでしまってね」
「いえいえ、見て回るついでですから」
撮影係にした事を悪いとは思うけど、イケメンのことだ。歩いているだけで城の女の子たちから、『キャーキャー』言われるに違いない。しねばいいのに。
いかん、つい本音が出てしまった。
「大丈夫だとは思うがカメラは壊すなよ? 勝手にパパンのやつを3台も借りてきたんだからな。3台も。それはデジカメだから、壊れたところで死にはしないだろうが。勝手にというところが問題だからさ」
俺が首からぶら下げている一眼レフカメラは、壊したらぶっころされる。なのでこちらは触らせない。
どうして今日はカメラを持ってきたのかと言うとほら、記録って大事だと思うんだ。
姫祭り終了後は来年に向けての資料とかに使えるし、今回は参加できてない城下の人たちとかに見せることもできるから。
今思えば、写真はバレンタインからやっておくんだったな。
自分の携帯でしか撮影してないや。資料作って満足してしまっていた。反省反省。
反省を踏まえて、今回からはイベントも記録していく。そのためにカメラを3台も持ってきた。
そして、デジカメでの記録担当に二クスとナナシの両名を指名したというわけだ。
「お、美味しいわ。とっても!」
「そう。良かった」
いかん! イケメンとカメラの話をしている間に、姫たちの方が進んでいる!
ここの撮影は俺がしなくてはいけないのに。急いでカメラを用意しないと……。
「──って、どんな食い方してんだ! ホールごと!? ケーキをホールごと食うヤツがあるかーーっ!」
ミカはチョコレートケーキを切り分けるとかではなく、ホールのままでフォークを突き刺し、そのままいきやがった!
あぁあ……あれではメッセージなど虫食い状態ですらない。一部分完全に消滅してる。
「これはアタシのよ! 誰にもわけてやらないわ!」
「そうじゃなくて、──このバカ天使!」
「バカって言った。アタシをバカって言った! ルシア。レートがバカって言ったーー」
「えー、本日は大変お日柄もよく、お集まりの皆様におかれましては、姫祭りへのご参加誠にありがとうございます。わたくしが白夜 零斗ことプロデューサー。企画立案及び全責任者となっております。プロデューサーが責任者。今のは大事なことなので2回言いました。さて、本日の姫祭りですが、祭りという形式でありますが、目的は姫たちの健やかな成長を祈るという、本来のひな祭りの意を組みとり行います。飲み食いするだけでなく、姫に感謝とかして、姫を敬ったりして、姫を思いながらお楽しみください」
今日の姫祭りの開会宣言は、姫ではないのに俺。何故かと言うとな、お姫様にやらせるはずだったのに、急遽予定の変更を余儀なくされたからだ。
俺は別に目立ちたくて、こんなふうにでしゃばっているわけではない。
それなのに、俺が開会宣言している理由は、勝手に襲来した天使たちだ。
こちらの姫にやらせては角が立つのだ。
予定通りにお姫様にやらせた場合、天使の側から『なんでウチの姫じゃないんだ!』となる。
そうなるのを回避するために、俺がこうして開会宣言をしているというわけだ。
「始めに、姫祭りの尽力者たちをご紹介します。会場の作成には主に城の兵士諸君。飾り台の作成には大工衆及びアンチの皆さん。料理は城のシェフ~たち。小物関係はミルクちゃん。なお、近く開店する彼女のコンビニを皆様どうかよろしくお願いします。あっ、今のはただの宣伝です。このようにわたくし1人ではとても出来ない。みんなの力が合わさって祭りとなっています。急にやってきやがった、一部の飲み食いするだけの方々におかれましは、彼ら彼女らにものすごーーく、感謝してお楽しみください。決して偉ぶらずみんな仲良く。これが大事です。みんな仲良く。これも大事なので2回言いました」
襲来した天使たちは、こないだのヤツらより偉いヤツららしい。ハゲと、ヒゲと、ハゲと、ヒゲと、ハゲと、ヒゲと、ハゲと、ヒゲ。
あとデブとガリガリ。それとミカエルのおっさんだ。
その天使な彼らには座れる席を用意した。
姫祭り自体は立食パーティーな感じだったんだが、主役のお姫様と天使と、本当は俺が座ろうと思っていたところをくれてやった。
何故なら、偉い人たちとあっては無礼な真似はできない。それに客人はもてなせと、ばあちゃんに教わった。
そして今日の俺はもてなす側だからな。
──というのはもちろん建前だ。いいこと言っているだけだ。
本当は天使たちにウロチョロされたくないんだ。座るところがあれば大人しくしてるでしょう?
一箇所にまとめておいて、あとはアレだよ……。
「なお、お酒の席となりますので無礼講。無礼講でお願いします。とはいえ、みんな仲良く。これが根底にあることをお忘れなきようにお願いします。次に料理のご説明を。本家のひな祭りに習い、菱餅にひなあられ。これは市販のやつです。ご了承ください。肉魚料理はシェフ~たちの創作料理。あと、ちらし寿司など用意いたしました。お酒はアンチの皆さんが。日頃から酒ばかり飲んでいる彼らではありますが、それが役に立ったという奇跡が起こりました」
アレについて話す前に酒の話をすると、アンチたちの持ってきた酒は安酒だ。
そもそも高いとか安いとかも俺には分からないし、この異世界の酒がどんなもんかも知らないがな。
まぁ、特に飲みたいとも思わない俺としては、どーでもいいということだ。
だがね。重要なのはここからなんだ。
今、天使たちの前にある酒は安酒ではないんだ。試しに飲ませたアンチは、『フワァーー!』ってなった。
……その酒はどうしたのかって?
当然の疑問だよな。当然、悪魔の力を借りたんだよ。自腹を切ってな!
クソ執事に頼んで、アクマートとやらで買ってこさせた。おかげで俺の臨時収入は消え失せた。
天使共め、今に見ていろ! 我らが姫を侮辱したその行い。
もったいなくて使えないでいたのに、俺の諭吉さんたちがみんないなくなってしまった恨み。どちらも必ず後悔させてくれる!
──ああん!?
諭吉さんの件も八つ当たりではない。
やつらが現れなかったら、諭吉さんたちはまだいたんだ。
なら当然、これもやつらのせいだろう。
くっくっくっ、今に見ていろ……──いかん! 今日はもてなす人でいなくては。今日はね。
さて、諸君。キミたちは何も聞かなかった。いいね?
「次に──」
「──長いぞ! いつまで続くんだ!」
俺のありがたいスピーチに、えらーい天使の人から抗議の声が上がる。
それに便乗し、『そうだ! そうだ!』と他の天使たちも続く。
「えっ、あと1時間くらいは続くけど?」
「長すぎるわ! それでは料理も台無しではないか!」
そんなに長いか? 校長先生とかもっと喋ってない?
壇上に上がった人は自由に喋っていいもんだと、それは壇上に上がった人の特権なんだと思ってたんだけどな。
しかし、天使ちゃんもウズウズしてるし、そろそろ始めましょうかね。
我慢させて、主役が暴走しては台無しだからね。
「えー、ヒゲの方がやかましいので始めたいと思います。ヒゲの方が我慢できない。しょうもない大人だったので、話を切り上げまして開始の音頭といきます。では、各自飲み物を持って。俺に続けよ? ──乾杯!」
「「乾杯」」
※
乾杯と宣言すれば、あとは好き好きに飲み食いするだけだ。しばらくすることもないし、俺も全体的に様子を見て回るか。
アレのための仕込みは自腹を切った時点で終わってるし、あとは時間が進むのを待っていればいいんだ。
そうして時間の経過と共に、やつらの終わりも近づいていくというわけだな。ざまぁ!
「それじゃあどこから……。って、まずは一番気になるところからだな。主役の姫たちのところに行こう。と、その前にパシャパシャと。これで良し」
突然やって来た天使たちに席を奪われた、主役なのに可哀想な姫たちのところに行こう。あー、可哀想。
きっと他の人たちが、これを知ったら大変だねー。
姫たちにこんな仕打ちをするなんて、あの偉い天使の人たちは、両陣営の信者たちから血祭りにされてしまうかもしれないね。あー、可哀想。
ただでさえ俺を怒らせているのに、その上に信者たちも怒らせるとか。彼らは怖いもの知らずだね。
「お、お招きにあずかり光栄よ。ぜっんぜっん、楽しみじゃなかったんだから!」
本来の席を偉い天使たちに奪われ、即席の丸テーブルに椅子を用意された姫2人。
むしろ本来の席より、2人の距離が近くなったのは良いことかもな。
しかし、なんなんだろうな。このツンデレは……。
ミカエラさんは嘘が下手すぎるね。前後の台詞と顔の表情も一致してないし。
思いっきり『楽しみでした!』って顔をしているよ? 言わないけどね。
「立ってないで座りなさいよ。飲み物もあるわよ?」
ミカのコップは空。きっと、話しかける前に飲み干したんだね。緊張すると喉乾くからね。
そんな天使ちゃんを、お姫様は優しい口調で隣に座らせ、飲み物も注いであげる。
「ミカ。このあいだはごめんなさい」
その上、謝らない天使に対し自分は謝るか。
お姫様は大人だ。だが、『このあいだは』か。
「えっ、ルシア!?」
お姫様から急に謝られた天使は面食らっているが、まあそうだろう。
自分はいっこうに謝らないのに、向こうが先に謝ってきたんだ。出鼻をくじかれた感じだろうか。
「これはお詫びのチョコレートケーキ。上手くできたと思うから、食べてみて」
「えぇ……これ……」
お姫様が作ったチョコレートケーキには、アドバイスした時に考えたように、チョコペンで文字が書かれている。
俺には読めない異世界文字がな!
名探偵であるお姫様のことだ。そこまで見越してのメッセージだと思われる。
くそー、メッセージの内容が知りたい。けど、これを聞いたら野暮だよねー。
「二クス。あれはなんで書いてあんの? 教えて」
でも、本人たちに聞かなければいいよね? 許されるはず。きっと。たぶん。だって知りたいじゃん!
こんな時、優しいイケメンは教えてくれるはず。
「さて、何と書いてあるのでしょうね。姫のように白夜さんも、こちらの文字を勉強されては?」
「貴様、嫌味なやつよな。イケメンのくせに」
このイケメン。全然教えてくれない。
それどころか、俺に異世界文字を覚えろだなんて言ってくるよ……。
野暮なことなのは俺も分かってたよ?
でも気になるじゃん! 教えてくれたっていいじゃん!
「では、私はこれを使い写真? とやらを撮ってきましょう」
だが、イケメンに食い下がるのはカッコ悪いな。諦めよう……──なんてな!
そうだよ。ケーキを撮影しておいて、後で解読すればいいんだよ。俺ってばあったまいい!
「悪いね。あったはずの席もなくなってしまったし、雑用まで頼んでしまってね」
「いえいえ、見て回るついでですから」
撮影係にした事を悪いとは思うけど、イケメンのことだ。歩いているだけで城の女の子たちから、『キャーキャー』言われるに違いない。しねばいいのに。
いかん、つい本音が出てしまった。
「大丈夫だとは思うがカメラは壊すなよ? 勝手にパパンのやつを3台も借りてきたんだからな。3台も。それはデジカメだから、壊れたところで死にはしないだろうが。勝手にというところが問題だからさ」
俺が首からぶら下げている一眼レフカメラは、壊したらぶっころされる。なのでこちらは触らせない。
どうして今日はカメラを持ってきたのかと言うとほら、記録って大事だと思うんだ。
姫祭り終了後は来年に向けての資料とかに使えるし、今回は参加できてない城下の人たちとかに見せることもできるから。
今思えば、写真はバレンタインからやっておくんだったな。
自分の携帯でしか撮影してないや。資料作って満足してしまっていた。反省反省。
反省を踏まえて、今回からはイベントも記録していく。そのためにカメラを3台も持ってきた。
そして、デジカメでの記録担当に二クスとナナシの両名を指名したというわけだ。
「お、美味しいわ。とっても!」
「そう。良かった」
いかん! イケメンとカメラの話をしている間に、姫たちの方が進んでいる!
ここの撮影は俺がしなくてはいけないのに。急いでカメラを用意しないと……。
「──って、どんな食い方してんだ! ホールごと!? ケーキをホールごと食うヤツがあるかーーっ!」
ミカはチョコレートケーキを切り分けるとかではなく、ホールのままでフォークを突き刺し、そのままいきやがった!
あぁあ……あれではメッセージなど虫食い状態ですらない。一部分完全に消滅してる。
「これはアタシのよ! 誰にもわけてやらないわ!」
「そうじゃなくて、──このバカ天使!」
「バカって言った。アタシをバカって言った! ルシア。レートがバカって言ったーー」
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