連れ去られた先で頼まれたから異世界をプロデュースすることにしました。あっ、別に異世界転生とかしないです。普通に家に帰ります。 ② 

KZ

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天使のホワイトデー

ガールズトーク ②

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『で、ミカちゃんはどうして、ルシアちゃんからのバレンタインチョコをぐちゃぐちゃにしたの? やっぱりバカなの?』

 ミカちゃんをだいたい把握したので、ここら辺で核心をついてみることにした。
 聞いただけのことしか知らないから、本人から暴挙の理由を直に聞いてみたかった。

『──バカ!? 今、バカって言わなかった!?』

『言ってないよ。それよりはよいえや』

 ミカちゃんは無駄にバカに対する反応が早いよね。
 きっと、自覚があるんだね。つまりバ……。

『……チョコレートは知らなかったのよ』

『それだけかい? 本当はもっと違う理由があるんじゃないの?』

『そうね、アレは結果ね。きっかけは違う。あのね』

 小さい頃。ルシアちゃんのところに来たミカちゃんは、お城に1週間くらい滞在していることがあった。
 何事かを大人たちは話し合い日数を過ごしていたが、子供であるミカちゃんからすれば、泊まりがけで遊びに来た。そんな認識だったらしい。

 その楽しいお泊りも最後になった日。
 もう帰るとなった日に、ミカちゃんは明日も遊ぼうとルシアちゃんと約束した。ミカちゃんは帰りたくなかったし、ルシアちゃんは帰らないで欲しかった。
 小さい2人の思惑は一致し、仲良し2人は考える。

『どうしたら明日も遊べるか。どうしたら帰らなくていいのか。どうしたら、この楽しかった時間が続くのかを考えた。アタシたちなりに一生懸命に考えた』

 明日も一緒だと約束し合ったが、その明日を迎えるためには、自分たちの意見など聞かない、帰る気の大人たちを出し抜くか、心変わりさせなくてはいけなかった。

 そのために2人で画策したのに。上手くいっていたのに。もう少しだったのに。最後に、『ルシアに裏切られた』そうミカちゃんは思ったらしい。
 状況だけを見ればそうなんだろう。でも、ルシアちゃんが自分でやったのではないと思う。でも、小さいミカちゃんにはそうとしか思えなかったんだ。

 この時のことは、ずっとミカちゃんの中に残っている。悲しいやら悔しいやらな思い出として。

『それからは、アタシは学校も勉強も忙しくなって、遊びに行く暇もなかった。いえ……会いたくなかった。そんな中でも、たまに公務でルシアと顔を合わるの。その度に、どうしても裏切られたという気持ちが大きくて、ルシアに噛み付いて喧嘩になってしまう。アタシは悪くない。ルシアが悪い。そんなふうにばかり思っていたら、アタシも気づかないうちに今の状況だった。喧嘩していないともう、どうしていいのかも分からなかった。元がどうだったのかも分からなくなってしまっていた』

『はぁ……』

『──今のため息は何!? アタシ、重要な話してたわよ。核心に迫る重要な話だったわよ』

 そりゃあため息もでるよ。そこでこそ、お姉ちゃんぶりたいなら噛み付かないで、大人な対応をしてあげれば良かったのに。
 まぁ、無理か。ミカちゃんには無理だね。子供だからね。

『にゃんでもないよ。続けてください』

『……けど、本当は昔みたいにしたかった』

『そうだね。仲直りしないとね』

『そのために、どうしたらいいのかが分からない』

 昔と同じというのは無理だろう。だって、もう子供じゃないんだから。未だに子供みたいなことしてるけど、小さい頃とは違うんだから。

 とは言っても、ミカちゃんは子供のままな気がする。対してルシアちゃんは大人な対応ができる娘だと思う。
 なのでルシアちゃんの対応を考えつつ、ミカちゃんにルシアちゃんとの距離感を考えさせなくてはならない。

『とりあえず練習しよっか』

『何の? アタシ、自慢じゃないけど勉強とか練習とか嫌いよ?』

『やらないのならミカちゃんの秘密を暴露するだけだ。いいのかい? 一愛いちかはやると言ったらやるよ。何せ、れーとの妹だからね』

『──何て説得力! 納得するしかないわ』

『まずは謝る練習からやろう。もしくは告白の練習の方がいい? 好きですってルシアちゃんに言う?』

『──言わないわよ! す、好きじゃないし!』

 ミカちゃんは嘘が下手。好きじゃなかったらこんなことしてないじゃない。
 嫌いだったら。どうでも良かったら。別にそのままでいいはずだ。
 それが嫌でなんとかしようとするってことは、好きだからでしょう。まったく。本当に素直じゃないやつだ。

『はいはい。好きじゃない好きじゃない』

『何よそれ!』

『一愛がルシアちゃん役をやるから謝ってみて。できるまでやるからね。はい、はじめ!』

『そんな急に……』

『いいからやれや!』『──はいっ!』

 と言うようなことがあった。この後、繰り返し練習して姫祭りに臨んだのに。
 ダメっ娘はチャンスを台無しにしやがった!


 ※


「嫌いではな…………くもないこともないような気がしないということもないような気がするようなしないような──」

「──だーーーーっ! どうして素直に言えないんだ。さんざん練習しただろうが!」

一愛いちか、それはナイショだって言ったじゃない!」

「今、いい場面だったのに。台無しだ! 本当にれーとみたいだ。ダメなヤツだ! ダメっ娘!」

「練習とは違うのよーー」

 苦労したのに。今、チャンスだったのに。
 ミカちゃんが肝心なところで怖気づきやがった。

「…………」

 ダメっ娘に対してルシアちゃんはやっぱり大人だ。普通はキレるところなのに特に怒りもしないとは……──あれっ、怒りもしないというのは、それはそれでマズくないかな?

 ルシアちゃんはミカちゃんの骨を折ったあとから、特に怒りもしていない。実はこれはもう、見離されているということは……ないよね?

「……る、ルシアちゃん?」

 それか内心は、はらわた煮えくりかえっているんじゃないよね。だとすると、ミカちゃんはピンチなんだけど……。

「一愛。どうしたの?」

「──いや、なんでもないっす」

 見た感じ、普通。しかし、なんか違和感があるような……。
 専門家の人に意見を聞きたいけど、アレは未だに面白楽しくはしゃいでいる。アレも肝心なところで使えない。ダメれーとめ。

「そう。あたしちょっと外すわね」

「うん。ゆっくりでいいからねー。いってらっしゃいー」

 恐ろしいくらい何もなくルシアちゃんは席を立つ。
 これがトイレ休憩だったらセーフ。違ったらアウトだ。しかし──

「練習とは違うのよ。いざとなるとダメなのよーー」

 泣きくずれているダメっ娘。

「おっさん、あんた意外といけるな! 続けてもう一曲どうぞ!」

 面白楽しいお祭り男。
 どうしよう……。
 ダメなやつしかいないんだけど。
 これはあれだな。一愛も向こうにまざろうかな。
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